成田線沿いを行く
『急ですが今週末、印旛沼の近くに大きな桜があるので観に行きましょう!』
都心と埼玉県の比企丘陵での花見を終えたところに、ジーコマリアから突然の誘い。もう都心の桜は散ってしまっているので、
『え~、桜、まだ咲いているの?』 と半信半疑の私たちですが、
『先日は五分咲きだったので週末ならバッチリです。』 とジーコマリア。
こうして緊急企画の発動となったのでした。あまりに突然の企画なので参加者はいないかと思われしも、なんと7名も集まりました。
満開の桜
都心から我孫子に出、成田線に乗換えるとその車窓からは満開の桜が。このあたりの桜は都心よりずいぶん遅いようです。
快晴で7月の気温という好条件の中、木下(きおろし)駅から成田線沿いに東に向かい、小林駅から南下しはじめると民家の庭先の桜は満開。
『お~、この調子なら吉高の大桜も満開かも!』 と気分は盛り上がります。
カントリーロードを行く
県道から入った道は徐々に細くなり、雰囲気のいい田舎道になりました。民家の軒先には早くも鯉のぼりが泳いでいます。こんな道を進み、田んぼの中のこんもりした山に向かえば、周辺は杉林になり急坂が現れました。
その坂をえっこらえっこら上ると竹林になり、突然視界が開けたかと思うと、そこには満開の小さな桜が。
『え~、これが大桜?』
『いえいえ、これは小桜、大桜はあっちです~』 とジーコマリア。
畑の中に大桜
近くの農家が出しているらしい露店の、ネギ3本50円、さといも大袋入り200円などを横目に畑の中を進めば、
『お~、で、でかい~~』
大桜の前で
そこに現れたのは今まで目にしたことがないような、本当の大桜。足元にはこれも満開の黄色い菜の花と紫色の可憐な花が。
ここはちょっとした名所のようで、お花見客で大賑わい。人ごみを掻き分けるようにして大桜に向かいます。この桜はこの郷のある人の氏神祠に植えられたものだそうですから、今でも桜も周辺の土地も個人のものなのでしょう。その個人とはジーコマリアらしい(ウソ、ホント? 所有者と名前は同じみたいだけど)。。
たけのこごはん
畦を行くと大桜の先は杉林。畑の中は7月中ばの陽気ですが、林の中はひんやりとして気持ちいい。さらにぐるっと桜の廻りを回って大桜を楽しみました。
もとに戻ると茶店がありました。この時期だけの営業なのか半分仮設のような店の奥の杉林の下には仮設のテーブルが。気持ちのよいここでタケノコごはんをいただきました。
春満開
大桜も見事ですが、ここの周りには紅白模様の桃?、菜の花、紫のモクレン、白いコブシと春満開です。
印旛捷水路を行く
吉高の大桜見物を終え、丘を下ると印旛捷水路です。この捷水路は北と南の印旛沼を繋ぐもので、両側が木々に覆われた丘でちょっと渓谷風で気持ちのよいところです。ランドナーに乗る企て人ジーコマリアを先頭に陽気なムカエルが続く。
印旛沼周遊
印旛捷水路が終わり双子橋を越えると南の印旛沼に出ます。橋の少し先に双子公園山田休憩所があるので小休止。ここから印旛沼の南湖畔を進みます。
『快晴でいいきもち~、でもちょっとあついな~』 とサリーナがルンルン飛ばします。そんなとき、向かい側から数台の自転車がやってきたかと思うと、
『あー、サイダーさ~~ん!』 と呼ぶ声が。なんとそこには『地下神殿と川巡り』に参加されたチカさんとタカさんの顔が。世の中狭いですね~
印旛沼の自転車道と桜並木
印旛沼湖畔には自転車道があり、その脇には若木の桜が植えられています。ここの桜はピークは過ぎていたものの、まだいい感じです。
風車あり
おだやかな印旛沼の周りを進んで行くと道は二度大きく進路を変えます。すると狭まった沼の対岸に妙なものが現れました。良く見るとそれは風車のようです。
通りに出て橋を渡るころになると、大勢の人々が風車がある『佐倉ふるさと広場』を目指して歩いています。風車の足元はとてもカラフル。なにかな~、と思ったら『チューリップまつり』の最中で、色とりどりの露店が出ていたのでした。
チューリップと風車
冬には殺風景なここも今の時期はとてもカラフル。色とりどりなのは露店ばかりでなく、ものすごい数のチューリップが赤やピンクや黄色といった見事な花を咲かせています。春~~~
風車は勢いよく羽根を廻しています。電動かな~、と思ったのですがどうもそうではないらしい。この風車は本格的なオランダ風車だそうで、中を見学すると、太い木製の軸にやはり木製の大きな歯車が付いていて、ぐるぐる回っています。かなりの迫力でした。
師戸川沿いを行く
チューリップと風車を楽しんだあとも印旛沼を廻り、船戸大橋から師戸川(もろとがわ)沿いのカントリーロードに入ります。田んぼとこんもりした森があるのどかな道です。
泉福寺薬師堂
その道を外れてジーコマリアはあらぬ方向へ進んで行きます。田んぼを横切り師戸川を越え、こんもりした森に向かえばそこにはこんなものが。
ひっそりと小さな茅葺きの泉福寺薬師堂が佇んでいました。小さなお堂の典型、三間四方の寄棟造りですが、ちょっと変わったことといえばこれは東に向けて建てられています。お堂の横にはとっても古そうな石仏がいくつも並べられていて、ちょっと見の建物だけではわからない時代を伝えているようでした。
田起こし
まだ水が張られていない田んぼでは今まさに田起こしなのでしょう。トラクターで農家の方がガタゴトと。道の正面にある小高い丘の麓が私たちが進むルートです。
のどかな道
師戸川は両側を木々に覆われた小高い丘の間を縫って走っています。その一方の丘の麓をのんびり進みます。この道は時折農家のトラクターが通る以外には誰も通らず、ジオポタ専用道です。
この田んぼの脇からえっこら~と一漕ぎして丘を上ると栄福寺薬師堂に到着です。このえっこら、一漕ぎは一漕ぎですが斜度は15%超えの激坂でした。
栄福寺薬師堂
さて、このお堂も先ほどの泉福寺薬師堂と同じく三間四方の寄棟造り。こちらは正当に南向きで、正面の屋根が二重になっていて張り出しています。建立年代がはっきりしている木造建築としては千葉県最古のものだそうです。すぐ右手の鳥居には熊野神社とあります。こういうのを見ると、日本では神仏が混じって民衆の信仰の対象になっていたことがよくわかりますね。
行け行けカントリーロード
この境内で耳を澄ませばなにやらガタゴトと音が。林に囲まれて周辺の様子は見渡せないものの、このすぐ下には北総線が走り、印旛日本医大駅はすぐ近くなのだそうです。ここの森は小さいけれど、鎮守の森にはそういった世俗から隔絶した宇宙を作りだす神秘があります。
泉福寺薬師堂から激坂を下り元の道に戻ります。カントリーロードはいい雰囲気でこの後もどこまでも続いて行きます。
抜きつ抜かれつのランナーグループ
そのカントリーロードの先にはどこかで見た数人のランナーが。
『こんにちは~、さっきお寺でお会いしましたね~』
泉福寺で休んでいるときにやってきたグループでした。なんとこのランナーたちの速いことといったらありません。このあと私たちが休憩している側わらをタッタカと走り抜けて行くのでした。ランは自転車より速い?
腕まくりの二人
今日は暑い! ほんとうに暑いといっていいくらいの天気なのです。なんでも7月半ばの陽気だとか。
『今日からデラリンで~す。よろしく!』 と袖をまくってにこやかにカッ飛ぶ新人デラリン。
後ろは同じく袖をまくって最後尾から写真を撮りまくるビジター・ロボさん。ロボ・コップとは大違いで、腕が細くてまくり上げた袖が落っこちちゃいそう。しかし写真の腕前は太く、良い写真を沢山とってくれます、(笑)
続々カントリーロード
師戸川沿いのカントリーロードはまだまだ続きます。先頭ビジター・オカちゃんがガシガシ行きます。実はこの企画、オカちゃんが吉高の大桜を観に行きたくてジーコマリアを誘ったのがきっかけなんだって。お裾分けサンクスです、オカちゃん。
あやしき道
カントリーロードが終わり、印西牧の原でR464を越えると普通の道になります。白い花が咲く梨?畑を横目に住宅地を抜け、再びカントリーロードに入って、またまたちょっとした坂を上ったら、
『えっ、本当にここを行くの?』 というような民家の間の獣道のようなところをジーコマリアは進んで行きます。
宝珠院観音堂
その獣道のようなところの先に現れたのはこちら、宝珠院観音堂。本来ならここに到達するにはお堂の正面の何段もある階段を上らなければならないのですが、ジーコマリアは気を利かせて横の抜け道から案内してくれたのです。
お堂の手前にしめ縄が巻かれた杉の大木、後ろに桜と銀杏、周囲はもろもろの雑木という、小さいけれど周囲のしつらえもすばらしいお寺で、時がたつのを忘れそうなところです。こちらも三間四方の寄棟造り、茅葺きです。
手賀沼へ?
宝珠院から下ったとたんに風が強くなってきました。漕いでも漕いでもなかなか前に進みません。しかし先頭ジーコマリアはどんどこガシガシ進みます。あれよ~、という間にわずか7名の隊列はビヨヨ~ンと伸びて、伸びっぱなし。
手賀沼経由で我孫子まではまだ15kmほどありそうです。これで本当に手賀沼まで行けるの?
手賀川沿いを木下へ
ふと遠目にオランダ風車の方に目をやれば、そこは砂嵐。あのあたりは畑や未舗装の駐車場が多いのです。これを目にしたジーコマリア、丘を越えた所で、
『風が強くなってきたのでコース変更、手賀沼から我孫子はあきらめて木下へ向かいます!』 とのこと。助かった~。
というのは甘い。そこからジーコマリアの選んだコースは畑の中のダート。おいおい・・ まあ、固く締まった砂利道で距離も僅かだったのでなんとかなりましたが、泣きそうな人が少しいましたな。
手賀川の土手に上がると、そこは下の道に輪をかけたようなものすごい風。ビュビュ~ン、と唸る風音に頭を下げながら隊列を組んで進みます。土手の上には農家のトラクターがのんびり走り、川には白鳥や真っ黒な川鵜などがいて目を楽しませてくれますが、そんなものには目もくれられず、黙々と木下へ向かう私たちでした。
最後の強風は予定外でしたが、このコース、見たこともないような大桜に、風車とチューリップ、沼と川の水辺、茅葺きの古いお寺と見どころ満載、いつでも楽しいコースだと思いますが、もちろんお勧めは桜の季節ですね。師戸川沿いの田舎道はひっそりとしていて、いつでも楽しめるグッド・コースです。