10月三連休の中日、快晴です。西武池袋線はハイキングや自転車を抱えたサイクリングの人々、それからボーイスカウトの少年少女などでかなり混雑しています。飯能駅で自転車を組み立てていると、50人はいそうなハイキングの団体さんが準備体操を始めています。『私たちもやらないとね~』 とちょっとだけストレッチしてから、いざ出発。
しばらくは入間川南の旧道を走ります。あたりはすぐに丘陵に囲まれた畑が続くのどかな雰囲気に。青空の下、満開のコスモスを楽しんだり『自家製手作りこんにゃく』の看板を見つけたりしながら順調に進みます。入間川北側の県道70号は結構交通量が多いので、この南側のルートがお勧めです。
道はずっと入間川に沿っていて、ときどき開ける清流の眺めも目を楽しませてくれます。子どもたちが水遊びをしていました。
自由の森学園を過ぎたところから旧道が狭くなり、林の間を抜けていきます。もう車はほとんど通りません。ちょっとだけ山道の雰囲気が出てきました。
旧道を離れ入間川を渡り、県道70号に出ると小瀬戸に到着です。
小瀬戸の交差点の脇には『新寺地蔵尊』が祀られていました。ここを曲がって県道350号に入ります。
しばらくは入間川の支流の中藤川に沿って平坦な道が続きます。民家や畑を通り過ぎて行きます。
そのうちに両側の緑が迫ってきて川がすぐ道の脇を流れるようになると、いよいよ山の雰囲気が漂ってきました。少し上りですがそれほど勾配はきつくないので、まだまだ余裕のサリーナ。
竹寺への分かれ道に到着。竹寺へはあと2kmくらいですが、すぐ目の前はいかにもきつそうな坂! この先も『竹寺』という看板が現れるたびに勾配が少しずつきつくなり、ヨタヨタと低速でペダルを漕ぎ続け何とか竹寺の駐車場に到着。最後の300mは10%以上あったんじゃないかな~
竹寺は天台宗の寺院で、ご本尊は牛頭天王(ごずてんのう)、本地仏は薬師如来で、神仏習合のお寺だそうです。牛頭天王はインド祇園精舎の守護神が中国から日本に伝わったともいわれています。今年は丑年なので、12年に一度の御開帳にあたり、ご本尊を拝むことができました。
竹の鳥居が並んでいるのは『竹寺』ならではか。
この鳥居の内側にあるのは『茅の輪』。くぐるといいことがあるのかな。標高490mにあり、奥武蔵の山並みの眺めも楽しめるところでした。そして驚くことに、ここからは新宿の高層ビル群までもが見渡せるのです。
本殿は茅葺き!
なかなか立派です。
さて、素敵な竹寺にお参りしたあとは、這い上ってきた来た激坂を下ります。上るときはきつくて写真が撮れませんでしたが、こんな感じです。
県道350号まで下り、子の権現のある北へ向かうとすぐに林道の標識が。どうやらここからは県道ではなく林道のようですが、林道なのに民家が建っているのはちょっと変ですね。道脇には渓流が右に左にと位置を変えながらも、ずっと並走して行きます。この林道の入口付近の勾配は県道350号と同じく、3%ほどなのでかなり緩い感じです。
きれいな石垣がある民家の脇を抜けて穏やかな上りを進みますが、勾配はいつまでも3%というわけには行きません。道が狭くなり、両側から木々が覆い被さってくるようになると、徐々に勾配がきつくなってきます。
『子の権現まで300m』の小さな立て札を過ぎ、路面がアスファルトからコンクリートに変わるとそこは激坂! 10%、12%、15%、えぇ~・・・ もうとても自転車には乗って上れません。ここは押してもきつい! おそらく20%はある。。
この激坂、10数年前に訪れたときにはダートでした。それが舗装されたとはいえ、やはりこの上りはきつかった。
子の権現の入口の杉の大木に倒れ込むようにして、なんとか押し上りました。
子の権現は天龍寺というそうで、腰より下、つまり足にご利益があるお寺だとか。そんな訳でか、ここには大鉄ゲタと大わらじが奉納されています。自転車にもご利益があるかな。
子の権現からは下りです。下り出すとすぐに権現様の屋根付きの駐車場があり、なんと道はその建物の中を通っています。とても不思議ですが、おそらくここには本来は道はなく、権現様の私有地なのでしょうが、利便性向上のために交通を許しているのでしょう。
この真偽のほどはともかく、その駐車場を突き抜けると、連なる山並みが見える見晴らしの良いポイントに出ます。ここからも新宿方面が見渡せます。
景色を楽しんでいよいよ下り出します。こちら側は南側からのアプローチに比べれば、勾配は断然緩いものの、それでもきついところは10%はありそうです。ゆっくり慎重に下ります。2kmほど下ると勾配は穏やかになり右手に渓流が現れるようになりました。
県道395号に出ると僅かに道幅が広がり、勾配は緩いものの上りになります。ここにも道脇には渓流が流れています。今日のコースはとても良く川の流れが見えるのも特徴です。
この渓流を眺めながら穏やかな上りを続けます。
道がクイックターンし、川から離れると勾配が急になりました。今日の三つ目のピーク、天目指峠(あまめざすとうげ)への上りが始まったのです。しかし先ほどまでの林道の上りとは違い、こちらはれっきとした県道なので勾配はそこそこで7~8%といったところでしょうか。森も深くはなく、木々の間から空が見えます。
県道に出てから20分ほどで天目指峠に到着です。この峠はその名に似合わず特に見晴らしがあるわけではなく、ただの切り通し。しかし近くの案内板には、『天目』は豆柿のことで、『指』は、焼畑農法のこととあります。つまり、天をめざす壮大な峠というわけではない、ということでちょっとがっかり。
ただこの峠はハイカー御用達で結構な賑わいなのです。北は吾野あたりからこの峠を抜けて子の権現、さらに竹寺へというルートが定番だとか。
天目指峠でハイカー3人とちょっとおしゃべりした後は、名栗に下ります。県道とはいえかなり細い道なので慎重に下るも、あっという間に名栗の県道53号に出ました。ここには朝見た入間川が流れています。
名栗からは県道53号に平行して走る川の西側の道を行きます。53号はそこそこ交通量がありますが、こちらはほとんどないので快適です。
この少し下流に名栗湖があるので寄って見ることにしました。名栗湖は入間川の支流の有間川を塞き止めた有間ダムによってできた湖で、ここまではちょっと上り。
名栗湖で本日のメインイベントは終了です。この近くには温泉があるのでそこで温泉に浸かってもいいのですが、飯能までは結構な距離があるので、体が冷えてしまいそうです。そこで別のお風呂を探すと飯能付近にはなく、一番近そうなのが狭山なので狭山に向かうことにしました。
相変わらず静かな流れの入間川沿いを進みます。
名栗郵便局で二手に分かれる県道53号は、入間川の北を走る方を進みます。川の南側より道幅が狭く交通量が少ないので快適です。この道が県道70号になると途端に交通量が増えます。飯能に行くならこの70号を行くのが手っ取り早いのですが、狭山までだとこの南側を通る193~195号を使う手もあります。
そこで県道221号に入りました。ここには山王峠という小さな峠がありました。もう上りはないと思っていたので、ここはちょっと精神的にこたえました。狭山が近づくにつれ、茶畑をよく目にするようになります。狭山はお茶で有名なのでしたね。
もうこのあたりは消化試合のようなもの。交通量はそこそこあり、景色もそれほどではないのでお風呂を目指してひた走るだけです。JR八高線をくぐり抜け、西武線を超え、稲荷山公園から入間基地の脇を抜けるとようやく狭山の温泉に到着。いや~、最後の10kmは長かった。しかしその甲斐あって温泉はなかなかgoodでした。
10年と少し前に上った竹寺、子の権現、天目指峠ですが、当時は初心者、今ならもう少し楽に上れるかと思いましたが、ちっとも楽ではありませんでした。しかし、山の雰囲気もほとんど当時のままで、これはとても素晴らしかったです。
竹寺、子の権現とも最後の数百メートルはとてもきつい上りですが、これは距離が短いので押し上げても問題ありません。天目指峠は7~8%、その他は概ね3~5%と緩いので、山の雰囲気を味わいながら、ちょっと上りに挑戦したいときにぴったりのコースです。