東京スカイツリーが300mを越えたから見に行こう! レナールの直前の案内に反応したのは6人。あまりに直前だったので走行コースを吟味することなく適当に走ることにしました。
参加メンバーが集まりやすいところということで、出発点は文京区小石川は播磨坂の桜並木です。桜はちらほら咲き出していて開花宣言間近といったところです。
途中から参加のルビオとの待ち合わせは京成線青砥駅。そこへ向けて走り出すと民家の合間の細い路地の先に、大きな交差点ではビルの狭間に建設中のスカイツリーがチラチラッと見え隠れします。
なかなか詳細を見せなかったスカイツリーがその全貌を現したのは、隅田川に架かる白髭橋でした。
『お~、さすがに高いな~。あれが今の東京タワーくらいの高さなんだね~』
完成すればこの倍以上の高さ、634mになるといいますから、ちょっと想像を絶する高さですね。自立式電波塔としては世界一の高さになる予定だそうです。
白髭橋の次は荒川に架かる四ツ木橋です。ここではスカイツリーは位置を変えて橋の後ろの方に見えます。
一時間ほどで青砥駅に到着、ルビオと合流です。ここまでは街中でさほど面白いコースではありませんでしたが、ここからが本番。まず中川沿いに水元公園を目指します。
この中川は江戸時代以前には利根川と荒川の本流だったそうです。水上交通網の整備や新田の開発、治水などの理由から、江戸から明治にかけ、利根川を東に荒川を西に移す大土木工事が行われた結果、残ったのが中川なのだそうです。
西岸を少し行くと、道幅が狭くなり車の通らない快適な道になります。
中川大橋でうっかり橋を渡り東岸に出てしまいました。東岸は二車線の普通の道で結構車が通るので、西岸を飯塚橋まで進んだ方が快適です。
しかしその東岸も飯塚橋を越え、野球グランドがある広場あたりからは快適になります。先頭ルビオは湖岸近くのダートをどんどこ、あとの面々は舗装路をのんびり進みます。
『ところで、あのスカイツリーは? お~、あった! すいぶん小さくなちゃった。』
ルビオの後方、ビルの合間の遠くにスカイツリーが見えています。
青い空は広く、時折中川をモーターボードなどが滑って行きます。川面を見ながら快調快調と進む面々です。
道がぐるっと回り大きくUターンするように進むと、道は中川を離れ大場川沿いになります。大場川にはモーターボートがたくさん停泊しています。さっき中川を滑るようにしてやってきたボートはここから出て来たのでしょう。
広かった大場川の水面が狭まり、流れの方向を変えたところで大きな道に出ると、すぐに水元公園の入口に到着です。この入口は道路に面していますが、ちょっと暗くて裏口みたいな感じです。立派な公園なのに少しもったいない感じがしました。
しかし公園の中に入ると、なかなか良い公園だと気付かされます。正面には大場川から引き込まれた水面が広がり、釣り人が糸を垂れています。
この水面の手前の小さな池の廻りは望遠レンズを付けたカメラを構える人々でいっぱい。池の中には微妙な枝振りの木が置かれています。
その枝にどこからともなく現れたのはちょっと小ぶりのカワセミでした。カメラの人々が狙っていたのはこれですね。カメラを気にする様子もなく、カワセミくんは10分ほどこの池で遊んでいました。
しばしカワセミくんを眺め、釣り人を横目に進むと、キャンプ場の案内や植物園の案内が現れます。メタセコイアの並木の間からは中央の広い芝生広場が見えています。少し盛りを過ぎたものの、まだ大きな枝に付いている白い花はコブシでしょうか。
休日の公園はとてもたくさんの人々で賑わっています。その合間を縫うようにして進み、公園の中にある飯処でお昼にしました。ここも昼過ぎのいい時間帯とあってかなりの賑わいです。海老穴子天丼(900円)はボリューム満点でなかなかいけます。
その前で記念撮影。対岸は埼玉県のみさと公園でこちらも気持ち良さそうですね。
水元公園からは江戸川に出ました。ここには江戸川サイクリングロードが走り、時折サイクリストが駆け抜けて行きます。私たちもここはスイスイと行きます。
こちら葛飾、とくれば『こちら葛飾区亀有公園前派出所』でしょうか。両さんの主題歌に出てくるとんがり帽子の取水塔が見えてきました。その先には丸い帽子のも。なんとなく愛嬌があってかわいらしいですね。
葛飾とくればもう一つ、柴又は寅さんでしょう。こちらはその寅さんが柴又に帰るときに乗った『矢切の渡し』。これは伊藤左千夫の『野菊の墓』で政夫と民子の最後の別れの場となったことでも知られますが、江戸時代からある渡しで、千葉県側の地名が矢切というそうです。
陸上交通が発達した現在はほぼ観光用らしいのですが、なんと100円で渡れます。込んでいなければ自転車も渡してもらえるそうです。一度自転車を渡してみたいですね。
矢切の渡しを上って、寅さんついでにもう一カ所、帝釈天に立ち寄りました。さすがに有名なお寺だけありものすごい人です。境内の一画ではめずらしい『猿回し』をやっていて結構笑わせてくれました。
帝釈天ってこのお寺の名前かと思ったら実はそうではなくて、梵天と並らぶ仏教の二大護法善神の一つなんだって。柴又のこのお寺はその帝釈天を祀ってあるから一般に柴又帝釈天と呼ばれるようになったそうな。
柴又帝釈天からはその参道を行くつもりでしたが、もの凄い賑わいで、自転車を押してもはばかられそうなので今回はパスして、中川に向かいました。
その中川はへびのようにうねっていますが、あるところで真正面にあのスカイツリーが現れました。これからはその塔に向かって進みます。
中川を途中ショートカットして荒川の木根川橋に出ました。ここからははっきりとあのスカイツリーを望むことができます。
木根川橋を渡り、荒川を少し南下して旧中川に入ります。この旧中川は元は先の中川の続きだったのですが、明治末に起こった大水害を期に、大正から昭和初期にかけて造られた荒川放水路によって分断された尻尾なのです。
さきほど通った巨大な荒川が人工的に造られた川だとは、実に驚きです。
というわけで、この旧中川は荒川から入り荒川に出るという奇妙な流れとなっています。川面にはサギや川鵜、カルガモ、そしてユリカモメといった鳥が遊び、土手にはムーミンのニョロニョロのようにツクシがニョキニョキと生えていました。
突然レナールがこの近くに面白そうな商店街があるので行ってみたいと言い出しました。旧中川からは北十間川を辿りスカイツリーに向かうつもりでしたが平井橋でルート変更、京島三丁目に向かいます。
そこにあったのは、それはそれはなつかしい商店街でした。この日は休日なので閉まっている店も多かったのですが、レトロな看板の下には、100年以上前の窯で作るカステラ屋さんや、渋い鶏肉焼き鳥の店、コロッケや天ぷらなどの総菜を売る店などが並んでいるのでした。近所のおじさんやおばさんが徒歩で自転車で買い物に来ていました。
このちょっと楽しい商店街を後にし、出た所は十間橋。隅田川と旧中川とを結ぶ北十間川から横十間川が分岐するところにある橋です。
北十間川は江戸時代に水運と農業用水のために築かれた運河で、横十間川は現在、小名木川のクローバー橋から南が親水公園として整備されています。共に川幅が十間だったことから付けられた名だとか。
十間橋からはスカイツリーがバ~ンと目の前に見えます。ちょうど川面にツリーが写り込み、絶好の撮影ポイントとなっています。
スカイツリーの足元まで寄ってタワーを見上げるとさすがに迫力満点です。工事中なのでクレーンやらなにやらがガチャガチャしているのでなおさらなのでしょう。
十間橋側は逆光なので西へ向かい、業平橋近くの児童公園のようなところまで移動しました。ここからだとなんとか順光でスカイツリーを撮ることができます。
スカイツリーは足元の平面形は三角ですが、上に行くにつれ丸みを帯び、320mでまん丸になります。今丁度その真円になったあたりですね。これでまだ半分の高さですから、完成した姿をなかなか想像できません。十間橋からの写真も、頂部を入れると川が写らなくなりそうです。
東から西から足元からスカイツリーをたっぷり楽しんだあとは、吾妻橋を渡り浅草に出ます。吾妻橋の手前にあるアサヒビールのビルには、ゆらゆらとちょっと歪んだスカイツリーが写り込んでいます。吾妻橋からも振り返ればスカイツリーが、雷門の先で振り返れば、ちょっと角度は良くないけれど雷門とスカイツリーが同時に見えていました。