秦野駅
空気が澄んだ冬は山がきれいに見えます。そしてこの季節の花は梅。そんなんで、富士山を眺めながら観梅を!
観梅の地には神奈川県の曽我梅林を選びました。『曽我梅林・サイクリング』でWEB検索したら、かつてお世話になったロボさんのペイジがヒット。このコース、なんと富士山もばっちり。ということで前半はロボさんのコースをほぼそのまま頂戴させてもらうことにしました。
小田急線の車窓からは丹沢が、そしてその向こうに富士山も見えます。今日はお天気も良くて、素晴らしい山の景色が期待できそうです。
今泉名水桜公園
秦野駅から南に向かうとすぐに、今泉名水桜公園があります。
秦野は湧水で有名な地らしく、全国名水百選に秦野盆地湧水群が選定されています。その中でも最大級の湧水量を誇るのがこの今泉湧水池で、ここは隣にあるお寺の名から古くから太岳院池と呼ばれていたそうです。
池から流れ出す水量はかなりのものなので、この池のどこからか、水がこんこんと湧き出しているのでしょう。ここからは富士山も良く見えますが、あまり美しくない民家越しなのがちょっと残念。
秦野の街と丹沢の山並み
今泉名水桜公園からは市街地を抜け、r62を越えるといきなり上りとなり、道脇には『震生湖→』の標識が現れます。まずはこの震生湖(しんせいこ)に向かいます。
この坂から振り返れば、秦野の街とその向こうに丹沢の表尾根の山並みがきれいに見えます。山はきれいなれど、この上りですでにちょっとあへあへ。
震生湖近くの富士山
なんとか坂を上り切ると、目の前に真っ白な富士山!
『おぉ~』 とみんな声を上げてこの富士山の姿に感動。
震生湖
標識に導かれて進み、枝道の激坂を下ると震生湖に到着。
この湖は関東大震災の折り幅約200mにわたって陥没し、市木沢(いちぎさわ)がせき止められてできたもので、自然の湖としては日本で一番新しいそうです。周辺はひっそりとしていい感じで、釣り人が何人か糸を垂れていました。
震生湖付近から丹沢を望む
しばしひっそりとした震生湖の湖面を眺め、下ってきた激坂を今度はよじ上ると、正面にはあの丹沢の山並みが再び現れます。これもいい眺め。
秦野を下に南に進む
秦野の街を左手に見ながら東に向かい、その後東名高速に向かって南下、坂道をまっしぐらに駆け下ります。
東名高速のすぐ手前でバベルの塔のような給水塔らしきものの脇をかすめ、ググッとターンして東名高速に沿った道を西に向かいます。
みかん畑を這い上る
この東名高速沿いの道が突き当たった道を進み、細道に入ると、いつしか路面は簡易舗装のごつごつしたものに変わり、みかん畑の中を這い上るようになります。
この上りはきつい!
うしろに見えるのはどうやら南足柄の山々のよう。
みかん畑から富士山を望む
勾配が緩くなり、上ってきた方面を見返ると、左手にはまたしても富士山! えっ、なんで左手に富士山が?
このあたりは道がうねうねしているので、方向感覚があやしくなってしまうのです。
相模湾と伊豆大島
この高台からは相模湾も見渡せ、そしてその中に伊豆大島が浮かんでいるのが見えます。
南足柄の山々に富士山、そして相模湾が見渡せるここは、ハヒハヒして上ってきた甲斐があったというものです。
再び丹沢
道が下り出すと、秦野付近で見えた丹沢の山々が再び見え出します。
道の勾配が穏やかになると先ほど通った震生湖の南側で、このあたりは静かなカントリーロードです。一旦バス通りの広い道に出たあと再び細道に入れば、この道はうねうねと小さなアップダウンを繰り返しながら、小原の集落を抜けて行きます。
小原付近
進行右手は小高い山で、その向こうには渋沢の街があるはず。このあたりの秦野から渋沢の南に広がる丘陵は渋沢丘陵と呼ばれ、その中にはハイキングコースもあるようです。
広い道に出ると老健施設や大きな研究施設が現れ、上りはその少し先まで続きますが、そこから豪快な下りが始まります。
大井松田カートランド付近
この下りは東名高速まで2km少々続きます。先ほどは東名高速の下をくぐりましたが、今度は東名高速の上を跨ぎ越えます。東名高速の先も少し下って中村川に。ここで下りはおしまいです。
中村川の先のr77を渡り、先の細い道に入れば道は穏やかな上りに転じます。この道を少し進むと、なにやらウィーンという甲高い音が聞こえだします。この音はこの先にある大井松田カートランドから聞こえてくるもので、何台かのカートがコースを回っていました。
いこいの村あしがら付近から丹沢を望む
大井松田カートランドの先は地道になり、なんと道脇には雪が残っているところがあります。しかし路面にはもう雪はなく、ホッ。木立の中を200mほど進むと舗装路に出ます。
そこからも上りは続いて行きます。通りから入った極細道の激坂の上にはこんな景色が。ん~ん、広々としていて気持ちいい~
いこいの村あしがら付近から富士山を望む
畑の先に立派な施設が現れます。それは『いこいの村あしがら』で、屋外にはスポーツ広場やテニスコートがあり、屋内には温泉や会議室があるようで、宿泊もできる施設のようです。ちょうどその向かいで、雛祭りのイベントをやっていました。ここでおいしい甘酒をいただいて小休憩。
『いこいの村あしがら』からは気持ちのいい細道となり、そこからは絶景の富士山!
富士山を横目に走るムカエル
うっ、畑に雪が残っている!
なんてことにはめげずに、富士山をバックに気持ち良さそうに走るムカエル。
富士山を背景に記念撮影
美しい富士山をバックにまだまだ余裕の一枚。
しかしこのあと思わぬ展開が。
浅間山へ押しの面々
ここからは激坂が1kmほど続くのです。これまで片側は開けていた道もその両側が木々に覆われるようになり、足元には雪が現れます。それはともかく、この勾配がきつ~
全員、速、押し。。。
浅間山から上曽我方面を望む
この激坂を喘ぎつつ押し上ると、先の木立の中に電波塔が見えだします。この電波塔のところが浅間山で、本日の最高地点です。
ここから南西側には、かろうじて上曽我方面への眺望があります。
浅間山からの下り
ここで90度方向を変え、上曽我に下ります。この浅間山からの下りは怖い。
下り始めは勾配は穏やかなものの、落ち葉がびっしりで滑り落ちそう。
上曽我・小田原方面と駿河湾
落ち葉が少なくなるとみかん畑の中の激坂下りとなり、ブレーキレバーを握り締めてゆっくり下ります。しかし、レバーをぎっちり握りしめても滑り落ちてしまいそうなくらい。
視界がパッと開け、下に上曽我から小田原、そして駿河湾が一望にできるところの出ました。駿河湾にはあの伊豆大島を始め、その先の島が二つ浮かんでいるのが見えます。近くでは梅の花がちらほらと。
みかん畑の中の下り
この駿河湾への眺めを楽しんだあとも、みかん畑の中を下ります。
瑞雲寺入口
坂を下り終えた先には小さな川が流れ、その先に瑞雲寺が建っています。瑞雲寺は曽我梅林の中河原地区の最北にあるお寺で、その入口には立派なしだれ梅がありますが、これはまだ咲き出したばかりです。
境内には曽我兄弟が父の仇を討つために経文を納めて十人力を授けられたという、西行法師開眼と伝えられる力不動尊が安置されています。そして境内のいたるところに石仏が。
瑞雲寺のしだれ梅
入口付近の梅は全体としては五~六分咲きといったところですが、奥にある白いしだれは満開できれい。
宗我神社
瑞雲寺からは宗我神社に向かいます。もう下に下りたので上りはないだろうと思ったら、この神社まではちょっとした上りがありました。膝が笑いかけています。
宗我神社は江戸時代には小沢明神と呼ばれ、曽我氏の祖先を祀った神社といわれています。当時は北側にある法輪寺に属していたようですが、明治の神仏分離令でそこから独立したそうです。秋には五穀豊穣を願う祭礼があり、華やかな山車や神輿が出ます。
芥川賞作家で文化勲章受章者の尾崎一雄はこの神社の神主の家に生まれ、この地を舞台とした小説をいくつも書いています。神社から下った一の鳥居の近くにある尾崎一雄文学碑には、下曽我から見える富士の姿を記した『虫のいろいろ』の一節が刻まれています。
城前寺前から富士山を望む
一の鳥居を出ると、そのすぐそばに城前寺が建っています。
このお寺の本堂の裏手には、曽我十郎・五郎兄弟などの墓と伝えられる四基の五輪塔が建っています。
城前寺前から曽我の街を望む
そしてお寺の前からは富士山と曽我の街並みがよく見えます。
曽我梅林・原地区
城前寺からはいよいよ本日の目的地・曽我梅林の梅まつりのメイン会場を目指します。
r72を渡ると曽我梅林の原地区に到着。曽我梅林は別所、中河原、原の三地区からなり、全部で三万五千本の梅が植えられている関東でも有数の梅林です。この原地区は有名な流鏑馬が行われる会場で、今年は先の11日だったようです。曽我梅林の特徴は、たとえば偕楽園のようないわゆる庭園や公園ではなく、梅の実を採るための畑だということで、ここには梅の畑が整然と並んでいます。
曽我梅林・別所地区
小学校の脇を通り越すと曽我梅林の中のもっとも大きな地区、別所地区に到着。ここが梅まつりのメイン会場です。
さすがに有名な観梅所だけありこの日は人出が多く、到着した時には、ちょうど獅子舞が舞われていました。
曽我梅林の梅
小川に架かる橋からは梅の花の先に見事な富士山が。(TOP写真)
満開は白梅の十朗と寒紅梅。黄色い蝋梅はそろそろおしまいです。遅咲きの白加賀と枝垂れ梅はようやく咲き始めで、全体としては五~六分咲きといったところ。最盛期は一週間後あたりでしょうか。
民家のしだれ梅
梅の木の下でお弁当を食べながら、花を眺め、ほんのりとした香りを楽しんで過ごします。
近くの民家の軒先に大きなしだれ梅があるというので行ってみました。ここもまだ咲き始めですが、いく輪がはいい感じで咲いています。
やまゆりラインに上る
別所梅林のメイン会場をあとにし、やまゆりラインに向かいます。
このアプローチの梅は満開で、とてもきれいです。
やまゆりラインから梅林と富士山を望む
やまゆりラインに辿り着くと、そこからはほぼ満開の梅林の向こうに富士山が良く見えます。
富士山を見に出かけると、曇っていたり霞んでいたり、山頂に雲が掛かっていたりと、うまい具合に見えないことが多いのですが、この日はいつの間にか快晴となり、バッチリです。
富士山をうしろにやまゆりラインを行く
午後の部は、やまゆりラインで高山を廻るところから。
実は高山を越えるハイキングルートを行く案もあったのですが、午前中に徹底的に上りで痛めつけられたみんなから、これは却下されたのでした。
やまゆりラインを上る
やまゆりラインは普通の道なのでそれなりの交通量がありますが、思ったほどではなくて問題ありませんでした。
普通の道の勾配は普通なので超激坂はありませんが、ここからもしばらくは上りで、ちょっとアヒアヒします。
台山の北付近
2kmほどで90mほど上昇したのち、道は下りに転じます。やまゆりラインは中村川の手前で北上するようですが、私たちは中村川の坂呂橋まで下り、さらに川向こうに渡ります。
遠藤というところまで来ると、本日何度目かの激坂登場で、ここはみんな押し。でもこのあたりは鄙びていていい感じです。台山をぐるりと廻るようにして左手に川に落ち込む開けた谷を見ながら進めば、いつしか前方に丹沢が見えてきます。
北窪付近
再びちょっとした川を越え、小高い丘の裾野を廻るようにして進んで行きます。
七国峠バス停付近
一旦r77に出てゴルフ場の脇を行く本日最後の上りを終え、七国峠バス停からカントリーロードに入ります。
正面に丹沢、そして左手に富士山が見えるこの道は、畑の中を行く気持ちのいい道でお薦めです。
遠藤原の碑付近
畑の先にちょっとした林が現れると、そこに『遠藤原』と書かれた碑が建つ休憩所があります。
『遠藤原』は七国峠と合わせて平塚八景の一つになっており、富士山・箱根山・丹沢山・大山などが一望できる広大な台地で、このあたりの地名のようです。しかしここは周囲が木々に覆われているせいもあり、残念ながらこうしたものは見えそうで見えません。すぐ近くからはそうしたものが見えるので、碑と案内板を少し移動したほうがよさそうですね。
遠藤原
カントリーロードから少し広い道に出ると、そこは地図に遠藤原と記された集落があるあたり。遠藤原は台地の名称から集落の名称になったのかもしれません。
この道はちょっと広めですが、車は少なく、なかなかいい感じです。
金目川から富士山を望む
金目川まで下ると、うしろにはあの富士山。
ここで富士山とお別れし、本日の終着地・鶴巻温泉に向かいます。
東海大学構内道路
金目川を離れるとすぐに東海大学の構内に入ります。
この道はとても広くて静かで気持ちいい。
弘法の里湯
東海大学を抜けたら、市街地の中をどんどこ。鶴巻温泉の弘法の里湯で本日の汗を流します。
この温泉は公共の温泉で、かなり混雑すると聞いていましたが、この日はそれほどでもありませんでした。ちょっとしょっぱい味がする、なかなかいい温泉ですよ。