観梅&富士見、ハイキング+サイクリングを。観梅は数年前から気になっていた、高尾梅郷です。
天狗さんがいる高尾駅から線路沿いを西へ向かうと、ほどなくR20に出て南浅川を渡ります。
R20を進めばすぐ先の西浅川の交差点でr516がぶつかりますが、このr516は旧甲州街道で、ここから小仏峠を越えて相模湖に抜けています。しかし高尾梅郷はもう少し先から始まるので、ここは曲がらずに直進。
南浅川は上椚田橋(かみくぬぎだばし)で二手に分かれ、右手・西からの小仏川と呼ばれる流れに沿って高尾梅郷の中の梅林の一つ、遊歩道梅林があります。
高尾梅郷は旧甲州街道とこの小仏川に沿って点在している梅林や梅の木の総称で、東から、遊歩道梅林、関所梅林、天神梅林、荒井梅林、湯の花梅林、木下沢梅林、小仏梅林と並びます。これらの梅の木の総数は一万本だとか。
遊歩道梅林の横を流れる小仏川。
ここの紅梅は満開。
白梅も七部咲きといったところで、ちょうど見頃です。
遊歩道梅林の北、旧甲州街道沿いには、東海道の箱根、中山道の碓氷と並んで『関東の三関』の一つとされた『小仏の関』の跡である小仏関跡と駒木野宿の碑があります。
この周囲は関所梅林で、白、ピンク、赤の梅に加え、黄色いサンシュユも満開。
見事な白梅です。
関所梅林から旧甲州街道を西へと向かえば、道端の畑際にも梅が咲いています。
中央自動車道の八王子JCTの近くにあるのは荒井梅林。
この梅林はすぐ南をJR中央本線が通っていて、ロケーションとしてはあまり良くありませんが、
ちょうど良い咲き具合である上に誰も居らず、なかなかいい雰囲気です。
けっこうきれいに咲いています。
荒井梅林から旧甲州街道に戻るとすぐに天神梅林があります。
ここは紅梅は満開ですが、白梅は三分咲きといったところ。
天神梅林からさらに旧甲州街道を西へ進めば、ここにも梅が。
とにかくこのあたりはそこら中に梅の木があります。
中央自動車道の八王子JCT付近で圏央自動車道の下をくぐりさらに西に進めば、左手に湯の花梅林があるのですが、これは現在工事中とのことで入れません。
中央本線の古い煉瓦造の高架橋をくぐり、
すぐに線路に沿って戻るように進んで中央自動車道の下をくぐります。
その先の山の斜面に木下沢(こげさわ)梅林は広がります。ここはこの時期だけの限定公開です。
木下沢梅林は高尾梅郷の中で最も広く、1400本の梅の木が植えられているそうです。
ここもほぼ見頃。
霞のような白梅に、
真っ赤な紅梅もきれい。
来た甲斐がありました。
木下沢梅林の梅を楽しんだあとは、旧甲州街道をさらに西へ向かい、小仏峠の登山口を目指します。
小仏バス停の近くに高尾梅郷の最西となる小仏梅林があります。ここは高尾梅郷発祥の地だそうですが、現在梅の木は数本しか残っていません。しかもこの時期はまったく開花していませんでした。
小仏バス停からさらに西に進むと、ほどなく小仏峠の登山口に到着。ここには車が10台ほど停められる駐車場があり、その奥から山道となった旧甲州街道が山に向かっています。
沢には小さな滝が落ちていて、その周囲でハイカーが数人談笑をしています。
山に入るとすぐに道は二手に分れます。直進する道と沢に沿って景信山(かげのぶやま)へ向かう道です。
ここでマウンテンバイクの方がいたのでそちらに行って二言三言言葉を交わしたのが運の尽き。そのまま考えもなしに沢に沿う道を進んでしまったのです。
この道にはすぐに雪溜まりが現れ、ちょっとよろよろ。しかしその後雪はほとんどなくなり、どんどこと登っていったのですが…
この道が目的のルートでないことが分かって、戻ってやり直し。
さて、旧甲州街道は最初は穏やかで広めの道が続きます。しかし徐々に細くなり、勾配も次第に増してきて、石ころも目立ち始めます。
ここはハイキングの方が多いので、そもそも自転車に乗って上ろうとは思っていませんでしたが、雪もかなり残っていてそれどころではありません。下って来るハイカーに聞けば、雪溜まりは数カ所とのことなので、とにかく行けるところまで行ってみることにします。
道が大きくカーブするところで川を渡ります。この右手はやや小高くなっており、そこに細い道が通っているようにも見えます。江戸時代の甲州街道はもしかすると現在の道ではなく、あの細道だったのかもしれません。
さらに行くとすごい雪溜まりが。ここは30~40cmほど積もっています。しかし10mほどで通過できるとわかり突破します。この途中には水場がありましたが、今日は水は必要ありません。
水場から少し先で道は大きく向きを変え、極細道となり急斜面をうねりながら這い上るようにして進んで行きます。ここは道が崩落しないようにコンクリートで固められています。ここを自転車を押し上げるのはとても大変です。
このうねうねの急勾配の道が終わり勾配が穏やかになると、左手が笹薮になります。
ちょっとバサバサする笹の葉を押しのけて進めば、なんとか小仏峠に到着です。
小仏峠は高尾山から城山を経由して景信山や陣馬山へ向かう道が通るポイントなので、登山者が大勢います。
ここは意外に広く、茶屋跡や石地蔵、庚申塔もあります。
そして東には八王子から都心までの眺めがあり、南西には相模湖から富士山が見えます。
ここに自転車を置いて景信山に登ることにします。景信山にはここよりさらに素晴らしい景色があり、西には丹沢や富士山の広々とした眺望があるそうです。
いざ、景信山へ!
自転車の押し上げでかなりへろへろな私たちはハイカーに追い抜かれながらよろよろと登ります。
序盤は小仏峠までと同様、木々の中を行くので見晴らしはまったくありませんが、山頂が近づくと、東の展望が開きます。これはいい眺め。
そして行く手の視界も開け、山頂付近が見え出します。
よろよろ~っとなんとか景信山の茶屋に辿り着きました。景信山の山頂付近は広く、茶屋のテーブルとベンチがたくさんあるので、ここでお弁当を。
ここからの眺めは最高です。
南東に高尾山、その奥に丹沢。
西に視線を移せば、下に相模湖、
上には富士山。
景信山でこの素晴らしい眺めを楽しみつつ休憩したら、小仏峠まで引き返します。
小仏峠で自転車を拾い上げ、旧甲州街道を相模湖・底沢方面に下ります。ここの旧甲州街道は基本的に尾根を進んで行きますが、まずは尾根の北側の巻道から始まり、つづら折れ、直線、つづら折れ、直線、中峠、沢筋への下りとなります。
さすがにかつての五街道の一つだけあり、至る所に切通しが見られ、かつてのこの道がどれほど重要だったかが伺い知れます。
高尾側から小仏峠までは何人かのハイカーとすれ違いましたが、こちらは高尾側より利用度が低いようで、誰もいません。
この下りは全体として高尾側より勾配がきつい上、道幅も狭く、つづら折れも多い。
勾配が穏やかになり、まっすぐな道の先に少し広めのスペースが現れると、そこが中峠です。ここは峠とはいってもピークではなく、江戸時代に茶屋があったところだそうです。その少し先には高い鉄塔が建っています。この鉄塔を過ぎると、中央自動車道からの音らしきものが聞こえ始めます。
木々の合間から中央自動車道が見えだすとほどなく底沢側の登山口に到着し、舗装路に合流です。
その中央自動車道の下をくぐると、すぐ右手に底沢の美女谷温泉(廃業)の看板が現れます。『美女谷』の名に引かれてちょっと調べてみると、ここは、室町時代の小栗判官(おぐりほうがん)の伝説にある照手姫の出生の地といわれているそうです。伝説の最後に小栗は熊野のお湯に浸かって全快することになっていますから、その温泉と美しい照手姫のイメージからここの名は付けられたのかもしれません。
美女谷温泉を過ぎると、いよいよ林道栃谷坂沢線への上りとなります。
照手姫伝説のある七ツ淵入口を横目に進めば、橋の前後に雪が吹き溜まりになっています。
この雪は轍で通りやすくなっていたので、なんとか通過します。
しかしこの先に若干の不安が。。
林道栃谷坂沢線のゲートからは路上に細かい枝などが散乱していて、ちょっと走りにくい。
そして先日の雪で倒れたと思われる木があちこちで道を塞いでいます。
跨いだりくぐったりして、なんとかそうした倒木を突破して行きます。
そしてあちこちで雪が道を塞ぐようになり、そうしたところを何カ所かは突破してきたものの、
ついに通行不能に。
あ~あ、残念。でもここまで楽しかった!
やむなく林道栃谷坂沢線の途中から引き返すことに決定。
時間ができたので、来る時はスルーした照手姫伝説のある七ツ淵に寄ってみることにします。
入口には木彫りの照手姫の像があり、
沢に沿って山奥に道が続いています。
しかしその道はまたしてもこんなことになっているのでした。
木の枝の合間から先を覗けば、七ツ淵は小さな滝壺のようなものらしく、そこで照手姫が髪を洗ったとされています。
さて、今日の〆は林道栃谷坂沢線の先にある温泉のはずだったのですが、そこには到底行けないし、こちら側の美女谷温泉は廃業してしまったので、R20沿いにある弁天島温泉に向かうことにしました。
中央自動車道の高架を見上げ、
その高架に沿って美女谷川沿いを下り、
R20に入って少し高尾方面に向かうと、弁天島温泉に到着。
お風呂はこの崖の下だったので、ちょっとヨロヨロ。
ここのしだれ梅もきれい。
お風呂のあとはR20で相模湖駅へ。
途中にある小原は甲州街道の9番目の宿場町で、
4層のカブト造りの入母屋風の本陣が残っています。
林道栃谷坂沢線が通れなかったのは残念ですが、小仏峠にはなんとか登れたし、景信山からの眺めは素晴らしかった。高尾梅郷の梅はちょうどでしたから、まずまず良しとしましょう。