春も盛り、花も盛りです。ここに来て一気にたくさんの花が咲き出しました。つつじ、牡丹、芍薬、藤。
今回はこれらの花を見に、埼玉県の比企丘陵にやってきました。
東武東上線の坂戸駅から西に向かえば、すぐに高麗川の流れに出会います。
この川の土手には自転車道があって快適。お天気も快晴とあって、気分はルンルン。
土手の脇の桜はすっかり花を落とし、その葉っぱは新緑の黄緑から深いヴィリジャンに変わろうとしており、その下ではつつじやすみれがカラフルな花をつけています。
そして土手には黄色い菜の花がいっぱい。
高麗川が越辺川に合流し越辺川となると、そこには木造の沈下橋である島田橋が架かっています。
この橋、なんでも幾多のTVドラマや映画の撮影で使われたところだといいます。ここはちょっと向こう岸まで往復。
越辺川に都幾川(ときがわ)が合流するとその流れは大きく向きを変え、その先に水管橋が架かっています。これをくぐると、
r74の天神橋です。
この天神橋で越辺川の左岸に渡り、
越辺川を遡ります。
かつて越辺川と都幾川の落合には、越辺川に赤尾落合橋、都幾川に長楽(ながらく)落合橋と連続する二つの木造の沈下橋が架かっていました。
しかし沈下橋の宿命で洪水で何度も流されたため、長楽落合橋は近年撤去され、赤尾落合橋は通行止めにされたまま朽ち果てるのを待っています。
こうした橋や川面を眺めながら快適な自転車道をどんどこ。
しかしその自転車道も東武東上線の線路で行き止まりに。ここからは下に降りて田んぼの中を行きます。
田んぼから市街地に入るとすぐに東松山駅付近に到着。ここにあるのが本日の最初の目的地、箭弓稲荷神社です。
この神社の創建は古く712年と伝えられており、かつては日本三大稲荷の一つとされたこともあるそうです。そのころは広大な敷地があったようですが、駅前市街地の中にあるためか今日の境内はそう広い方ではありません。
しかし今日ここは牡丹園で有名になっています。
その一角には本数こそ少ないものの見事なつつじも咲いています。
今、まさに満開です。
目の覚めるような赤、あでやかなピンク、紫、白と色とりどり。
そしてこちらが牡丹。
ふわふわの花びらがなんともいえません。
立てば芍薬座れば牡丹・・・と言うけれど、牡丹は木で背が高く、芍薬は草で背が低いそうですよ。
藤も目いっぱい満開です。
箭弓稲荷神社からは田んぼの中を抜け、都幾川を目指します。
R254沿いで昼食をとったあと、田んぼの端っこで一休み。
ビジターのチャナちゃんは植物博士で、このちっちゃな青い花はオオイヌノフグリ、こっちのピンクの花はカラスノエンドウと説明してくれます。
再び都幾川の流れに出会えばそこに架かるのは稲荷橋で、これはコンクリート造の沈下橋です。
これは水面が近くて楽しい。
稲荷橋を渡ると先にこんもりした丘が見えます。
次の目的地の正法寺はあの丘の向こうで、ここから本日唯一の上りが始まります。
この丘の上りは結構勾配がきつくて、ちょっとよろよろ。
丘を下ってお寺の参道に入れば、そこからは穏やかな上りで山門に辿り着きます。
しかしそこから本堂まではとても乗っては上れないような激坂です。もっともこれはごく短いので押し上げても問題なし。
このお寺は比企丘陵から少し外れた岩殿丘陵の最東端の急斜面にあり、山寺の雰囲気があります。
坂東三十三箇所の十番札所。
観音堂の横にはこんな大イチョウも。
岩殿観音のすぐ隣は物見山です。ここは山全体が公園になっていて、4万本のつつじが植えられています。
頂上からは東松山方面の眺望があります。
こうして見るといつの間にか結構上ってきたんですね。
ここのつつじは本数が多いだけに、その品種もまた様々です。
これは野生のツツジではもっとも広い分布を持つヤマツツジ。
こちらはサツキ。本来は山奥の岩がちな所に自生しているものだそうですが、園芸種も多くあり日常的に良く目にする花ですね。
これは一本の木に赤と白の花を付けています。
物見山のあとは本日の走行部門のハイライト、『市民の森』(東松山市)に入ります。ここは武蔵野の雑木林をそのまま残した緑地で、清々しい木漏れ日とマイナスイオンを浴びて走れます。
ただし、地球観測センターを過ぎると砂利道が100mほどあります。
市民の森から下って来ると、小高い丘に囲まれた谷津状の田んぼの中に出ます。
このあたりには日本の原風景を感じさせるものがまだ残っていますね。
青々した畑は麦畑。
この快適な道の先にはローカルなJR八高線が走っています。その駅の中でも明覚駅は比較的新しくできたものですが木造で、コストや機能一辺倒でない味わいがある駅になっています。
明覚駅からは八高線に沿って南下し、本日最後の見どころの『五大尊つつじ公園』を目指します。
ちょっとその前にと立ち寄ったのがこちらの『パン工房しろくま』。
ここのパンはどれもおいしいのですが、お薦めはなんといってもクリームパン! スムースでほんのりとした甘さのクリームとふわふわした生地のマッチングがたまりません。
本日最後の見どころの五大尊は正しくは長徳寺といい、不動明王を始めとする五体の明王像が祀られていました。現在これらは埼玉県立博物館に寄託されているので、残念ながらここにはないそうです。
お堂の周囲にはつつじがいっぱいです。しかし、つつじ公園というほどじゃあないな、と思って眺めているといると、公園はあっちですよ、と南の方を指差して係の方が教えてくれました。
この入口からは指差された方もほとんどただの山にしか見えないのですが、そちらに数十m歩いて行けば突然、山の東斜面に油絵の具を塗ったような強烈な色彩が目に飛び込んできます。
山を登るにつれその色合いと形が微妙に変化していき、
ここは赤と白、そして背景の黒緑の対比がきれい。
花は終わったものやこれからのものもありますが、この日はほぼピークと言って良い状況です。写真ではいま一つ伝わりにくいのですが、ここのつつじは見事です。
山の上からは越生(おごせ)の町が良く見えます。いつの間にこんなに上ったのか。。
ピンクもかわいらしい。
なんと、それを汚す人々!
さて、越生の五大尊つつじ公園で本日のつつじ巡りは終了です。
しかし走行部門はここからもなかなか鄙びていていいですよ。まずは越生の水の張られた田んぼの中を行き、
毛呂山ではかつての鎌倉街道をちらっとかすめます。ここは八重桜が最後の花を潔く散らしているところで、一面ピンクの花びらが敷かれたようになっています。
鎌倉街道の見どころはここの少し先からです。
そしてとにかくこのあたりはどこまでもカントリーロード!
高麗川に戻って若宮橋を渡り、
再び高麗川の自転車道で出発地の坂戸駅に向かいます。
今日の三か所のつつじはどこも少しずつ趣が異なり、それぞれ見応えがありました。特に五大尊はちょっとワイルドなロケーションで印象が深い。
これらの見どころに負けないのがこのあたりの自転車ルートです。なんとものどかで、これはまったくすばらしい!