関東地方は6月8日に梅雨入りしたそうです。梅雨時にはやっぱりしっとりした花が似合います。今日はそうした花巡りを。
坂戸駅に集結したのは8名で、なんとビジターが4名。そのうちの3名が初参加という、ちょっとめずらしいメンバー構成になりました。
今日の花はあじさいと花菖蒲です。久々に登場したムッチーを先頭に、坂戸駅からまずは『すみよし菖蒲園』に向かいます。
駅前から郊外に抜けるまでの間、きれいな花々をたくさん見かけました。この時期はとても花の種類が多いですね。あじさいが咲いている民家の庭をいくつもかすめて進みます。
民家が少なくなり田んぼが現れると、『すみよし菖蒲園→』の標識が出てきます。
すみよし菖蒲園はこんな田んぼの中にあります。
飯盛川を渡る橋から、土手の桜並木に沿って西へ数十m進めば、
『わ~、咲いてる、咲いてる~♪』
すみよし菖蒲園は、飯盛川に谷治川が流れ込む合流点のすぐ南東にあります。
ここには白や紫の花菖蒲が咲き競っています。ピークを過ぎた花も多いようですが、遅咲きのものは満開です。周辺にはあじさいも少し植えられています。
花菖蒲に良く似た花としては、アヤメとカキツバタがありますが、咲く時期はアヤメ、カキツバタ、ハナショウブの順で、この時期はアヤメとカキツバタはもうおしまい。
これらの中で、一番花が大きく華やかなのがハナショウブです。
さて、レイナから、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブはどうやって見分けるのかという質問があったので、ここに一発判定のしかたを。花の内側の付け根の模様と色に注目。ここに網の目の模様があるのがアヤメ。アヤメの名はこの網目から来ているともいわれています。カキツバタとハナショウブにこの模様はなし。
次にここが白いのがカキツバタ、黄色いのがハナショウブ。この花は網目がなく黄色ですから、ハナショウブですね。
と、ちょっとお勉強をしたら、小舟に乗って遊覧を。って、この舟はちっとも動かないのでした。
すみよし菖蒲園の横を流れている飯盛川はこのすぐ先で越辺川(おっぺがわ)に流れ込みます。すみよし菖蒲園からはその越辺川の土手を目指します。
このあたりは一面、田植えが済んだばかりの青々とした田んぼです。その中を新人ビジターのマサちゃんが行く。
r74の天神橋で越辺川の土手に上がれば、そこから北には快適な自転車道が延びています。
コアメンバーのレイナは、隊列の中程の位置で全体を締めつつ進みます。
しばらくすると、右手に真新しい木造の橋が見えてきました。島田橋です。
このあたりには川の土手の中にあり、川が増水すると沈んでしまう沈下橋がたくさんありますが、この島田橋もそうしたものの一つです。
この橋はつい最近架け替えられたようで、まだいい木の香りがします。このすぐ下の都幾川には長楽落合橋が架かっていたのですが、それは大雨で壊れたあと撤去されてしまいました。この島田橋も少し老朽化が目立っていたので心配していましたが、木造で架け替えられたとはうれしいです。
少し前までは渡るとボコボコ、ガタゴトと激しい音を発していたのですが、さすがに出来たばかりとあって、鉄板を踏む時に僅かな音がするだけで、ピクリともしません。
この先、越辺川の左岸の自転車道は東武東上線で途切れてしまうので、島田橋を渡り返して右岸の土手を進みます。
右岸の自転車道はこの先のR407も東武東上線もアンダーパスし、問題なく進みます。
しばらくすると、越辺川と高麗川、そしてもう一本の川が合流する地点になります。少しの間高麗川に入り、二本の橋を渡って越辺川の右岸に復帰。
越辺川大橋を渡り、越辺川左岸に出ると、その土手には真新しい自転車道が整備されていました。このあたりは来るたびに自転車道が延長されているのを発見します。
『ここはずっと自転車道でいいですね~』と、今日も元気いっぱいのクッキー。
自転車道は快適なれど、暑い! すでに気温は30°Cに達しようとしている。川の土手の自転車道にはたいてい日影がなく、夏はとても走れたものじゃあない、ということになります。
しばらく木陰を求めて走り続けますが、なかなかいいところがありません。ようやくほんのちょっと木陰がある公園が見つかりました。ここでホッとひと息。
r171で自転車道が終わると、田んぼの中を行くようになります。このあたりは鳩山町と毛呂山町の境あたり。
この田んぼの中をどんどこ行くと、先に越生(おごせ)の山が見えてきました。
本日の花第二部は、あの山の麓の『さくらの山公園』です。
越生のまちに入り、越生駅をかすめ法恩寺の前に出ました。さくらの山公園はこの裏手の山の一角になります。
その入口は、越生町役場の斜め向かいにある保健センターの敷地の奥にある弓道場の横で、通りに小さな標識があるだけでひどく分かりにくい。
ともかく、弓道場の脇の細い道を上って行くと、それらしい雰囲気になってきます。
ここは『さくらの山』公園というくらいなので、桜の木が多いのですが、その足元をあじさいが飾っています。
今の季節はサクラではなく、こっちのアジサイの方が主役です。
花の色はアントシアニンという色素によります。これがいろいろ変化して赤になったり青になったりするようです。
あじさいは土壌により花の色が変化すると言われています。酸性ならば青、アルカリ性ならば赤ですが、七変化と呼ばれるように、同じ個体でも開花からの日数などによっても、その色は変わるそうです。
ところで、あじさいの花って、花じゃあなくて『顎』だって知っていました?
本当の花は、花のように見える顎の真ん中にある、ちっちゃいプチッてしたやつだって。え~~ぇ!
あじさいの花が顎なら、わざわざ『顎アジサイ』って言わないでよねぇ~
しかも、アジサイの原種はこっちだって。
などと、だれかの解説を聞きながら上って行くと、ちょっと見晴らしのあるところに出ました。下に見えるのは越生のまちです。
ここのあじさいは、咲き終わってすでに枯れているものもあったので、全体としては少しピークを過ぎている感じでしたが、まずまずといったところ。
さくらの山公園であじさいを堪能したら、ちょうど昼飯時です。
『今日は暑いし、あじさいと花菖蒲だから、日本的なそばがいいな~』 と、どなたかがおっしゃるので、近くのそばやさんに。
このあたりでは、タチアオイが満開でした。
午後の部はまず、あじさいの続きから。
青い実を付けた越生梅林の梅の木を横目に、山へ向かいます。
先に小高い山が見えてきました。あじさいの第二部はあの山を上る『あじさい街道』です。
この先はちょっときつくなるので、ムッチーとレイナは越生梅林のすぐ先からショートカットし、お茶することに決定。
残る6名は越辺川の谷を山奥に向かいます。
先頭のマサちゃんは自転車を購入してまだ半月ほどで、長距離は乗ったことがないとのことですが、まだまだ元気なよう。
越辺川にその支流の沢が流れ込むところから、『あじさい街道』は始まります。
そして、ここからいよいよ上りになります。
『あじさい街道』はその名のとおり、道の両側にあじさいがびっしり。
その脇には清流が流れ、木陰もあってちょっと涼しいのがうれしい。
この上りは勾配も4~5%と、上りやすいのもいいところ。
あじさい街道のほぼ終点にあるのが『あじさい山公園』。
ここはかつてはあじさいの名所でしたが、園内のそれは数年前に病気になってしまい、現在は一本もなし。早く回復するといいですね。
あじさい山公園からは少し戻って、上谷(かみやつ)の大クスノキに向かいます。
ここからは勾配がぐんと上がり、10%超えもでてきて、あへあへ。先頭は激坂をガシガシ行く新人ビジターのエーちゃん。
このあたりのあじさいは咲き終わった花がなく、これからが見頃のようです。先の『さくらの山公園』より少し標高が高いからでしょうか。
へろへろ~っとなんとか辿り着いたT字路から、さらにもうひと上りすると、ようやく上谷に抜ける道のピークに到達します。
このピークから先は、森の中の細いちょっと荒れた地道の下りとなります。その地道を慎重に下るは新人ビジターのヒロちゃん。この方、ブロンプトンにテントを積んでキャンプツーリングをするという、ツワモノ。
この地道を抜け、舗装路になってからもさらに下り、T字路からちょっと上り返すと、上谷の大クスノキです。
それは、白い蔵がある民家の裏にあります。
この楠は、周囲の木々も大きいからか遠目ではあまり大きく見えないのですが、近づいてみると驚愕!
幹周り15m、高さ30m、樹齢は1000年以上といわれる巨木で、全国巨木ランキングでも16位というもの。
大木というのはどんなものでも、そこからすごいエネルギーを感じるものですね。
そのエネルギーをしっかりキャッチするクッキー。
この楠の近くでは、黄色いビワと赤い木いちごの実がなり、薄いオレンジのヤマユリとこんな白いあじさいが咲いていました。
白いアジサイもきれいですね。
上谷の大クスノキからもほんの少し上らなければなりませんが、そのあとはずっと下りが続きます。
ビューッと下ってメインの道に出れば、勾配は穏やかなれどそこからも下りで快適。
お茶をしているムッチーとレイナがいるカフェで二人と合流し、再び8名で明覚駅へ。
この駅は『関東の駅百選』にも選ばれた、地元産の木で造られたログハウス風の建物で、併設されているトイレもきれいなので、ちょっと休憩するのにもってこいの場所です。
明覚駅からは本日最後の花処、『ときがわ花菖蒲園』に向かいます。ここはかつて『たまがわ花菖蒲園』と呼ばれていたと思いますが、先日調べたら『ときがわ花菖蒲園』となっていました。
白のハナショウブ。
こちらは西洋欄を思わせる、フリル付きで紫のトリミングのもの。
花菖蒲と一口でいっても、もの凄い種類があるようです。
ときがわ花菖蒲園で全員集合。うしろの花菖蒲は3年ものですが、その前に並ぶのは、二十数年もののちょうど見頃の花から、枯れる寸前の70年ものまで。
ときがわ町のときがわ花菖蒲園の横を流れているのは、こんな都幾川です。
この都幾川に沿って、ときがわ花菖蒲園から嵐山渓谷へ向かいます。
その途中にあるのが鎌形八幡神社で、この階段の袂にあるのが『木曽義仲産湯の清水』。
ここ鎌形にはかつて七清水と呼ばれる湧き水があったそうで、義仲の産湯にはその清水が使われたといわれています。この清水は、七清水の一つに数えられているものだそうです。冷たくておいしい。
鎌形八幡神社を出、すぐに都幾川の八幡橋を渡り、桜堤を下って、
次の橋で再び都幾川を渡ると、正面に大平山が見えてきます。
これから向かう嵐山渓谷はあの山の袂なのです。
畑を抜け、民家の横をすり抜けて進めば、突然道は細い地道となり、うす暗い森の中へ。
その道の突き当たりの少し手前を右に下ると、槻川(つきがわ)の嵐山(らんざん)渓谷です。
力強い緑に囲まれたこの流れは、1kmほど下流で、先の都幾川に合流します。このあたりは京都の嵐山(あらしやま)の景色に似ていることから、『武蔵国の嵐山』と命名されたそうです。
大平山の中には槻川に沿って散策路が作られています。この散策路を1kmほど行くと、遠山に抜けます。
明覚や武蔵嵐山から小川町に抜けるには、八高線沿いのr30や東武東上線沿いのR254がありますが、これらはいずれも車が多く走りにくい。槻川に沿って、遠山から小川町に抜けるこの道は、これらと比べるとうんと交通量が少なく、快適です。
さて、その道をどんどん行って、小川町駅前に到着。本日の〆は焼き鳥。東松山付近のこのあたりで焼き鳥といえば、それは鳥ではなく豚なのだそうです。これは焼きトンと呼ばれることもあるそうですが、とにかく豚の肉だそうな。運良く入れた地元密着型っぽい焼き鳥やさんによれば、カシラ(豚の頭の肉)がウリだそうです。
気温が高く、陽が照っていて、湿度もそれなりにあったこの日は、サイクリングに最適な日とはいえませんでしたが、日本的な花と巨木、そして涼しげな渓谷も眺められ、変化に富むコースでなかなか良かったです。