今年の関東地方の梅雨入りは6月5日だったらしい。これは平年より3日早く、昨年より2日遅いそうです。そしてここまで、それなりに梅雨っぽい日が続いていました。梅雨ならあじさいかな、ということで春には桜で有名な幸手の権現堂堤に行ってみることに。ここはあじさいでも有名なんだそうです。
天気は順当には雨、良くても曇りかなと思っていたら、当日はピーカン! これは困った。。
晴れで困ったもないのですが、この日は気温が30°Cを超えるといいます。こうなると熱中症の危険も。
幸い今日のコースは鉄道が近くを通っているので、状況を見て適当なところで上がりにすることもできます。
ともかく栗橋駅前を出発し、利根川の土手に上がります。
さすがに坂東太郎、河川敷が広い。
先に長い鉄橋が見えています。その上を東北新幹線が快音を轟かせて走り去って行きました。
やっぱり新幹線って、早いね〜
その鉄橋の手前で利根川の土手を下り、権現堂川沿いに入ります。
権現堂川はかつては利根川本流だったこともあるそうですが、現在は栗橋側の流頭が廃止されたため流れがなく、行幸湖(みゆきこ)と呼ばれています。
ここは桜並木が続いており、木陰があっていくらか涼しい。
『暑いけど、木陰は気持ちいいですね〜』 と赤シャツのシンちゃん。
行幸湖はこの先にある中川の洪水抑制などのための調整池で、湖岸では釣り人が糸を垂らし、湖面にはボートの練習をしている人々の姿があります。
行幸湖が終わると大きな水門が現れ、その先に白い吊り橋の外野橋(そとのはし)が見えてきます。
外野橋の下を流れるのは中川で、その手前にある水門で行幸湖と仕切られています。
外野橋の向こう側に続く緑の帯が権現堂堤。この堤は現在は中川の堤防となっていますが、かつて権現堂川の堤として造られたものでした。
栗橋駅からここまでわずか8kmほどですが、着いた途端に汗がドーっと流れ出します。暑い!
この堤の上には千本の桜が植えられ、春には花見客で賑わいますが、このあじさいの時期もそれなりの人出があります。
今年は気温が高いのか、あらゆる花の時期が例年より早くなっています。ここも平年並みならちょうど見頃のはずなのですが、特に陽当たりのいいところのあじさいはほぼおしまいで、かなり色褪せています。
しかし中には、こんな色鮮やかで可憐なものも。
ここに咲くあじさいは100種ほどもあるそうです。こんなのは見たことないですね。
花びら(本当は顎)が大きくて、淡いなんともいえないブルー。花房と呼べるようなものが無いようにも見えます。これもあじさい?
こちらは青紫で、これもけっこう花が大きい。
日向は暑くてかなわんと堤の中に入れば、そこはひんやりとまではいかないけれど、かなり過ごしやすい。
木陰だからか、はたまた種類の違いからか、ここに咲くあじさいは日向のもよりかなり元気です。
清楚な感じの白。
白といえば、堤の南西面では北アメリカ原産のアナベルが満開でした。(TOP写真)
花の色はアントシアニンという色素によります。これがいろいろ変化して赤になったり青になったりするようです。
あじさいは土壌により花の色が変化すると言われています。酸性ならば青、アルカリ性ならば赤ですが、七変化と呼ばれるように、同じ個体でも開花からの日数などによっても、その色は変わるそうです。
ピーカンの中、汗を垂らしながら観るというのはやっぱりあじさいにはちょっと似合わないな、と感じつつも、それなりに楽しめた権現堂堤のあじさいでした。
さて、たっぷりあじさいを鑑賞したら、中川に沿って下ります。
もっとも権現堂堤の先はしばらく川沿いに道がないので、少しの間川を離れ、田んぼの縁を行きます。
その田んぼは、真緑が見事。
ほどなく幸手総合公園に到着します。
この公園の木陰の中を通り抜けると中川の土手に出ます。
ここで先頭のコンタが『中川は元々あった川?』と聞くので、調べてみました。
中川はここのやや北の羽生市に流れを発していますが、江戸時代までは利根川と荒川の本流だったようです。利根川と荒川の本流とはどういうことか。
かつて利根川と荒川は合流し、東京湾に注いでいました。その後利根川は東に、荒川は西に移された結果、残った流れが現在の中川なんだそうです。江戸時代以降、このあたりの大型河川は大きな流路変更がなされたのですね。
その中川の土手を進んで行くと、川の流れが大きく向きを変える地点で幸手放水路が分岐します。この放水路の先には江戸川が流れ、中川上流排水機場で中川の水は江戸川に放水されるのです。
この分流点近くには宇和田公園があります。この公園もかつての権現堂川の堤防でした。このあとは春日部まで休憩ポイントがないので、この公園の木陰でひと息入れます。
幸手放水路から先の中川の流量はぐんと減って、当然ながら川幅もだいぶ狭くなります。
初夏のこの時期は草刈りの季節。ここの土手ではトラクターのような姿の草刈り機がうなり声を上げています。
川の流れは極めて穏やか。
そしてこのあたりには、木造を思わせる欄干の低いなかなか感じのいい橋が何本か架かっています。
このあたりの中川は春には菜の花でいっぱいになりとてもきれいなのですが、その水質は全国ワースト一位という不名誉な記録もあるとか。
でも最近は若干水質が改善されてきているようで、魚介類の増加がみられるそうです。
中川の両岸の道はどちらも鄙びた田舎道で大差はありません。しかし右岸には細い用水路や小川が流れ込み、そうしたところで道が途切れるので、左岸を行ってみます。
その左岸も、時々川沿いには道がなくなり普通の道に出たり、ちょっと川を離れたりします。
いつもなら穏やかな川面を眺めつつのんびり走るのですが、この日はなにせ暑い。早く走ればそれだけ風を受け涼しくなるので、いつになくハイスピードで飛ばします。とはいってもせいぜい20km/hをちょっと超す位ですが。
先に春日部野田バイパスが見えてきました。時は正午少し前。ということでここらあたりでお昼休憩を。元気があれば春日部の街中に入っても良かったのですが、全員一刻も涼しい所に入りたいということで、街とは反対にあるイオンに飛び込みました。
そのイオンは春日部の中心部からそう離れていないせいもあってか、かなりの賑わいで、まだ昼前だというのに、飲食店の前には行列ができていました。
しかしさほど待たずに昼食にありつき、ひと涼みです。
冷気で体を冷やしたあと外へ出ると、そこはほとんど灼熱地獄のようなありさまで、猛烈な熱射が襲いかかってきます。
されど漕がねば進まぬと、えっちらおっちら。
30分も漕いだら、もう木陰が恋しくなります。しかし中川沿いのこの道に木陰はあまりありません。
ようやく見つけた一本の木立の下に逃げ込みます。その前には元気にタチアオイが咲いています。そういえばあじさいの季節はこの花の時期でもありましたね。あじさいがどちらかというと日陰を好むのに対し、タチアオイにはお日様が似合います。
野田橋が架かる県道19号越谷野田線を越えたところで中川を離れ、江戸川へ向かいます。
というのも中川の土手はこの先で吉川市街に入ると、普通の道になってしまうからです。
江戸川の土手上は自転車道になっています。
対岸の千葉県野田市側は川までの距離が近く、川面が見えるのですが、こちらの埼玉県側は遠く、それが見えないのが残念。
埼玉県道326号川藤野田線をくぐると突然道幅が広がります。ここはいったいどうしてこんなに広いのでしょう。スーパー堤防とか、そんなのでしょうか。
相変わらず暑い! 江戸川の土手上にはもちろん木陰はありません。
そこで仕方なく、コンビニに寄って涼むことにします。
土手から下るとそこは青々とした田んぼ。そんなところには大抵、白鷺が一羽か二羽います。
かつてはこのあたりにもいただろう鶴はもうまったく見られなくなってしまいましたが、鷺だけでもいつまでも田んぼの主でいてほしいものです。
白鷺を眺め、コンビニで涼んだあとは再び江戸川自転車道をどんどこ。本日のしんがりはすっかりメンバーとして定着したマージコ。みんなの走りをしっかりチェックしながら進んでいきます。
河川敷にはゴルフ場が現れ、対岸には流山市のリサイクルプラザの煙突が見え出し、その手前の常磐自動車道が近づいてきます。
常磐自動車道をくぐると三郷駅はすぐそこ。
三郷駅の手前でいったん河川敷に下り、流山橋と武蔵野線の鉄橋をくぐり抜けたところで再び土手上に復帰します。
武蔵野線の鉄橋の南側には『みさとの風ひろば』というトイレのある小さなたまり場があるので、ここで一休み。
時は15時。日がちょっと傾いてきて、暑さが少しだけ和らいできました。
三郷を過ぎればあとは本日の最終目的地ともいうべき水元公園へ向かうだけです。
『おいら、暑いの大好き〜』と、先頭でがりがり行くユキちゃん。
『あ、スカイツリー、見えた〜』と、体を動かすのが大好きなミルミル。
下街のシンボル、そして東京のシンボルにもなったスカイツリーが、視線の先にボワッと現れました。
東京が近づいてきたのですね。
左手の川向こうにちょっとした高層ビル群が見え出すと、そこはどうやら松戸駅のあたりらしい。
水元公園は江戸川を挟んであの松戸のちょうど反対側にあります。
その入口となるのは東金町運動場で、ここは土手上の自転車道から直接入れるようになっています。
運動場の奥はちょっとした広場になっていて、水元公園はさらにその奥に位置しますが、広場と水元公園の間にはR298が通っていて、そのためスムースに移動できないのがちょっと残念。
なんとかR298を渡って水元公園に入ります。
オニバスがあるはずの池を通り奥へ進んでいくと、目の前に大きな池が現れます。
これは小合溜といい、江戸時代に作られた用水池です。
小合溜の対岸の緑は埼玉県三郷市の三郷公園で、東京都側にある水元公園と向かい合っています。
水元公園は広大で、バードサンクチュアリや大きな広場などがありますが、花菖蒲園もあります。
ここでは同じ葛飾区にある堀切菖蒲園と合わせて、ちょうど葛飾菖蒲まつりが行われています。
今年の花菖蒲は例年に比べ咲くのが早かったようで、5月下旬に咲き出し、6月上旬にはすでに見頃だったそうです。ということで、この日はあまり花が残っていませんでした。
しかしそんな菖蒲田の端っこでは、子供たちが楽しそうにザリガニ釣りをしていました。
ザリガニ釣りの餌は相変わらず裂きイカのようで、結構立派なザリガニがかかっていました。
この日は大漁のため、釣っては逃がし、釣っては逃がしているそうです。
菖蒲田の中でも木陰になるところでは、花が少し残っていました。
クローズアップでは撮れませんが、これくらいの距離ならなんとかそれらしく見えます。
今年の葛飾菖蒲まつりは6月の1日から20日までで、この日は地元の高校の吹奏楽部の演奏などが行われていました。その様子をちらっと覗いて、水元公園をあとにします。
時は17時少し前。そろそろ呑み屋も開くころだろうと、金町駅前に向かうことにします。
ちょうどこのルート近くに『縛られ地蔵』があるというので立ち寄ってみることにしました。それは南蔵院という寺にあるのですが、残念ながらちょうど門が閉まったところでした。
ということで『縛られ地蔵』はまたの機会ということにして、金町駅前に急ぎます。
金町は寅さんが生まれ育った柴又のすぐ隣で、下町情緒が残るところ。
駅前にある下町っぽいもつ焼屋に入ってみました。小さなテーブルが二つとカウンターだけの店で、どうやら常連さんがほとんどのよう。
ここのもつはフレッシュで安く、種類も豊富でおいしい。そして下町といえばボールだそうな。ボールってなによ。どうやらボールはハイボールの焼酎版で、焼酎を炭酸水で割ったものらしい。要はチューハイってことかな。
でも激暑のこの日は、やっぱりビールでしょう。新人三名の入会式を兼ねて、乾杯〜〜