10月の三連休は初日、二日目と雨で遠出の予定をキャンセル。なんとか晴れ間が出そうな三日目に、急遽外秩父山地へ出かけることになりました。
東武東上線の高坂駅西口は、駅前ロータリーがしっかり整備されていて、なかなか立派なところです。
その駅前から西へ延びる大通りを行き、
関越自動車道を跨ぐとすぐ、高坂カントリークラブ右の標識があります。これを入ると道は穏やかに上り出し、ゴルフ場の間を進んで行きます。
ゴルフ場の入口を過ぎるとほどなく、それまで広かった道が狭まり、なかなかいい雰囲気になってきます。ゴルフ場の気配がなくなったところでピークを迎えた道は、山の中を下り出します。
短い下りの先にゴルフ練習場が現れると道は平らになり、田んぼの中を行くようになります。
先に外秩父の山並みが見えてきました。今日はあの一番手前の山の中に踏み入ります。
田んぼの中から小さな集落の外側を廻って進むと、都幾川に架かる鞍掛橋に出ます。
この橋はコンクリート製で車も通れますが、欄干がない沈下橋です。
鞍掛橋からr172大野東松山線の月田橋までの間の道は、野原(畑?)の中を行く快適な道で気持ちいい。
月田橋の一つ上流側の学校橋からは都幾川の土手に桜並木が続きます。
横の田んぼの稲刈りはすっかり終わっていて、三角帽子の稲藁が置かれており、その先にはどこまでも続く山並みが見えています。
この都幾川の桜堤は花見の季節には大勢の人で賑わいますが、それ以外の季節はいたって静か。
のんびり走るのにうってつけの道です。
都幾川の桜堤が終わると、そこに架かるは八幡橋。その八幡橋を渡ったところには鎌形八幡神社があります。ここには『木曽義仲産湯の清水』があります。
平安時代の終わり、平家から源氏の時代へと移っていく中、木曽義仲は源氏の中心的な武将として活躍したことで知られています。その義仲はこのあたりで生まれ、七清水と呼ばれる湧き水を汲んで産湯にしたといわれています。ここはその七つのうちの一つなのだそうです。
鎌形八幡神社からは都幾川に流れ込む雀川に沿って進みます。
雀川は両岸がコンクリートで固められ、あまりいい姿ではありませんが、その周囲は、山間にパラパラと民家が建っているだけで、なかなかいい感じです。
r173ときがわ熊谷線を越えると、ちょっとした急坂で春日神社へ上ります。
目指しているのは雀川の上流の雀川砂防ダムで、それは標高150mほどのところにあり少し上らなければならないのですが、ここはその前の小さな上りといったところ。春日神社の先で道はいったん平らになり、雀川を渡るのですが、ここの雀川は渓流っぽい。
渓流の姿の雀川はこの一瞬だけで、その後は再びつまらない川になりますが、先に雀川砂防ダムがある雷電山(418m)が見えてきます。
今日はこの先、あの雷電山を廻る林道雀川上雲線(すずめかわかみくもせん)を手始めに、いくつかの小さな峠を越える予定です。
道がJR八高線の線路に出たすぐ先で、雀川に沿う小径を発見。
この道に入ってみるとすぐに車止めがあり、自転車通行可とある遊歩道の表示がありました。ここはあまり使われていないようで落ち葉がかなり溜まっていますが、ちょっといい気分。
JR八高線とr30飯能寄居線を渡ると、雀川砂防ダムへのアプローチ道に入ります。雷電山の頂が左になり、右手には大峰山、そして正面には名もなき頂が見えています。
写真ではほぼ平らに見える道ですが、このあたりでは明らかにペダルに負荷を感じるようになります。
茶畑のある日影の集落の一番奥に辿り着くと、そこが雀川砂防ダム公園です。この入口付近にはちょっとした駐車場があり、その奥に休憩所や野外ステージが設えられています。
ダム自体はその奥にあり、これが見下ろせるところまで道があるので、とりあえずそこまで上ってみることにしました。公園の入口をかすめて進み、さらにその先でVターンした先の坂は結構きついです。
えっちらおっちらとその坂を上って行くと、左手に雀川砂防ダムの本体が見えてきます。
このダム、ダムとしてはそう大きな方ではないと思いますが、これまで見てきた雀川の大きさからすると、想像以上に大きなものでした。
そのダム湖を背景に、ここまで上ってきた面々です。このダム湖の横は展望広場になっており、トイレと東屋があるので、ここでちょっと一休み。
ちなみにこの展望広場からは、雀川の谷の先に、埼玉新都心だか池袋だかの超高層ビル群も見えます。
雀川砂防ダム公園のあとは、いよいよ林道雀川上雲線に入ります。この入口は展望広場へ入るVターン道のコーナー部で、林道の表示もしっかりあり迷うことはありません。
入口を入るとまずは結構な急坂です。これは二番目のカーブの先くらいまで続きますが、その後はかなり緩くなります。
道は林道としてはかなり広めで、舗装状態も良好なので、おしゃべりしながらゆっくり並走もできますが、たまに車が来ることもあるから注意して。
入口から1kmほど行くと、小さな下りが現れます。この下りから一上りすると、左手に眺望が開きます。雀川砂防ダムはこの左手の下あたりにあるはずです。
そしてまた下って上る。この林道には何箇所か下りがあるのです。
すると二度目の眺望ポイントに出ます。方角からすると、今ここから見えている山がおそらく雷電山の山頂でしょう。
ここでシンチェンゾーが、『さっき熊鈴を持っているハイカーがいましたが、このあたりは熊が出るんですか?』 と聞く。
『もちろん、出るぞ〜。』 と、サイダーが脅かす。
この林道は道の両側から木々が覆い被さるところもなくはないのですが、概ね谷側の木々は浅く、開けているところもあるので、かなり明るい印象です。
『頂上はまだ〜』 と、少々疲れが見てきた面々。
左手の眺望が木々で隠れ、緩い右カーブの先にきつい直線の上りが見えます。この上りはくじけそうになりますが、これを上り終えた地点が林道雀川上雲線のピークです。
このピークにはなんの印もなく、眺望もまったくありません。ここまで上ったり下ったりの繰り返しだったから、ここがピークと知らなければ、そのまま下ってしまうようなところです。
ともかくこのピークでひと息付いて、下り出すとすぐ、T字路にぶつかります。ここが林道雀川上雲線の終点で、右へ向かえばR273西平小川線の松郷峠、左へ向かえば雲河原の集落から林道雲河原線(くもがわらせん)を経て、都幾川が流れる別所に下ります。
ここには『熊出没注意!』の看板が。今年は各地で熊が多く出ているらしい。ここでシンチェンゾー、『やっぱり熊、出るんですねぇ。みんなを待っている間に出てきたらどうしようかって思っていたところです。』
私たちはこのT字路は左へ。すると間もなく四幡神社が現れ、その先で雲河原の集落に入ります。雲河原の集落からは南東に視界が開け、先の山並みがきれいに見えます。
その眺望を楽しみ先へ進むと、道は二車線になり大きくUの字を描いて下って行きます。この坂を道なりに下ってしまうと、R273西平小川線の松郷峠の南に出てしまいます。
林道雲河原線はこのカーブの途中から入る桜並木の道です。入口はこんなふうに明るくてあまり林道っぽくありませんが、この先で南東に開けた眺望の素晴らしいところがあります。(TOP写真)
この眺望の先で道が下り出すと、木々の中を行く林道らしい雰囲気が楽しめます。
しかしそれはごく僅かな区間で、すぐに別所の里に下ってしまいます。
林道雲河原線はこの写真にある山の中を通っているのです。
別所橋で再び都幾川の流れに出会います。
川のほとりの木々の中にあるのは温泉施設の都幾川四季彩館で、そのうしろの山は弓立山。このあとはあの弓立山を廻ります。
弓立山を廻り出す前に腹ごしらえです。ちょうどうまい具合にルート上に古民家茶屋というのがあるので、ここで昼食です。
築200年だというこのそば屋は製材所の奥にあり、ちょっと入りにくいのですが、内装は綺麗で、もりそばセットはたくさんのおかずが楽しいものでした。
さて、午後の部はまず弓立山の南を廻って大附のみかん畑を眺め、西平へ抜けます。この道はごく普通の道ですが、道脇に地蔵尊や石碑などがあちこちにあるので、それなりに歴史のある道なのかもしれません。そんなものを横目に、徐々に高度を上げていきます。
するとここでスピーカーから、『西平地内、霊山院から正法寺へ向かう山中において、熊の出没した形跡が発見されました。熊を見たら、絶対に近寄らず逃げてください。』 だって。やっぱり熊は出るのだ。
この上にある弓立山の山頂に上れば360°の眺望が得られますが、それは次の機会にということにして、その南斜面に広がる大附のみかん畑を眺めながら、さらに高度を上げていきます。
その大附からは南東に視界が開け、いい気分。みかんが生るところは陽当たりの良い暖かいところですが、なんとこの先で桜が咲いているのを発見! 狂い咲き?
西にゴルフ場が見えてきました。
道はこのゴルフ場の間を通って西平へ抜けていくのですが、そのピークにあるのが、先に見えるゴルフ場のクラブハウスです。
周辺が開けているのでこのあたりは気分はいいのですが、勾配は7〜8%が続いていてちょっときつい。しかしそこをあっという間に上ってしまうのは、僅か6速しかないブロンプトンに乗るシンチェンゾーでした。
先行していたシンチェンゾーは要所要所でみんなを待ってくれていますが、ここは日枝神社の下で鳥居の先に急峻な階段が続いているのが見えます。この階段の上にどんなお社が建っているのか、ちょっと興味はあったのですが、上り道の途中で自転車を降りて神社に行こうというものはおらず。
日枝神社を過ぎると両側がゴルフ場になり、道は平らに。この平らな部分は200〜300m続き、最後に塔のような形のクラブハウスのエントランスが現れます。
ここが本日二番目のピークです。林道雀川上雲線のピークもそうでしたが、ここには何の表示もありません。ただ私たちにとってはこれは立派な峠ということで、コース紹介の案内文には峠という言葉で表現させてもらっています。
クラブハウスの先には南西の山並みが見えています。ここはまだ外秩父山地に東側から入ったばかりのところで、西側はどんどん深い山になっていくのです。
ここから下るのはあの山の手前の谷にある西平です。この下りは森の中でなかなかいい感じなのですが、あっという間に終わってしまったので写真はなし。動画に写っているかもしれませんので、様子はそちらで。
西平に下ったら、氷川(ひかわ)沿いを遡り椚平(くぬぎだいら)を目指します。
西平に椚平、この山の中で『平』と名が付くところにはちょっとしたスペースが広がり、小さな集落になっているということでしょう。
さらさらという氷川がたてる耳に心地よい音を聞きながら、椚平へ向かいます。
ここももちろん上りです。
道が右カーブを描くところに、ちょっと目に付く建物が現れます。椚平入口にある『癒しの隠れ湯鎌倉山荘』は、露天風呂があり宿泊もできるところらしいのですが、なんとお風呂も宿泊も無料だとか。
この横には川に向かって、復元された大木戸が建っています。案内板によれば、戦国時代にはこの南の山にある出城があり、街道を往来するものを監視するために大木戸が置かれたと伝わっているそうです。
ここには近郊の案内図もあります。この図を見ると、このあたりがいかに山深いかがわかるでしょうか。
現在地は右下で、これから向かうは上部真ん中付近に見える日向根の赤いところですが、ここで少し時間に余裕があることがわかったので、図下に流れる川沿いを行き、折り返してシュウカイドウの群生地を覗いてから向かうことにしました。シュウカイドウの見頃は9月いっぱいなのでもう終わっているかもしれませんが、ここまでの道端には結構きれいに咲いているものもありました。
大木戸でメインロードから別れ、氷川沿いを行く道は林道泉川線。
この道は川沿いを行くのだからほぼフラットなんじゃあないかと思ったのですが、これがとんでもない間違いで、速アヘアヘモード全開に。
『この道はフラットって言ったの誰だ=』 と、怒りつつ上るサリーナ。
『わ、私ではないと思います〜 たぶん、、、』 と、なんだか怪しいマージコ。
横を流れる氷川にはコンクリートの堰が何箇所かありますが、こんなふうな渓流でもあります。このサワサワという水の音が、上りの辛さを少し和らげてくれます。
この道、勾配は少々きついけれど、なかなか雰囲気のいい道です。
大木戸から1.6kmほどで折り返し地点の腰巻に到着です。大木戸からここまでは結果140mほど上っていますから、平均斜度9%弱といったところで、これはやっぱりきつい。
林道泉川線はこの先も延びていて、その終点から先にも道はあり、林道砥石線を経て奥武蔵グリーンラインのブナ峠に出ることができるようですが、かつて砥石線では散々な目に遭ったのでこれはやめ、ここから折り返してシュウカイドウの群生地へ向かいます。
この折り返しから先はなんと砂利道だったのですが、ここはほぼフラットで距離も短く、問題なくクリアできました。
川筋が平坦でこちらが上りと思っていたのに、逆だったわけです。
森を抜けるとほどなく路面はアスファルト舗装に変わり、小さな向尾根の集落の中を下り出します。
この下りの先にシュウカイドウの群生地があります。ここのシュウカイドウはやはり大半が終わっていましたが、それでも一部はきれいな花を付けていました。
シュウカイドウはベゴニア科の多年草で、ピンクの花とその真ん中に付く黄色いボンボリの雄しべがかわいらしい。
シュウカイドウの群生地からはちょっとしたアップダウンを繰り返し、日向根の三番目のピークへ向かいます。
この三番目のピークはかつての小学校を利用したくぬぎむら体験交流館の東あたりで、林道馬生線に入ったところです。
くぬぎむら体験交流館付近からは南東に小さな谷が落ちていって、これが椚平となり、その突き当たりが先ほど走ってきた氷川の谷で、ここからはその氷川のさらに向こうにある山が見えています。
日向根の林道馬生線にあるピークゾーンはごく僅かなアップダウンはありますが、等高線に沿って進むため、ほぼ平らです。
進むにつれ、横から後ろにかけて見える山並みが僅かに変わってきます。
小さなカーブを四つほど繰り返すとこの道の最高標高地点ですが、これまで同様ここにもなんの表示もなし。その上これまで見えていた眺望もここではなくなっています。
さて、予定しているピークはあと二つ。そこを目指してまずは林道馬生線の下り。林道泉川線で少し遠回りしたので、時間的にもちょうど良くなっています。
ところがこの馬生への下りで、サリーナの後輪がパ〜ンと大きな音をたてて炸裂。内装ギアのBD-2.1は後輪の取り外しがかなり面倒なので、チューブはパッチで対応しますが、タイヤが1cmほど裂けていたので、タイヤにもパッチを。
やっとパンク修理が終わって走り出すと、また、パ〜ン!
タイヤを良く見てみると、サイドに何かが当たっていたのかある部分が一周ぐるりと痛んでいて、今にもあちこちからチューブが飛び出しそうな感じ。しかたがないのでタイヤの中にガムテープをぐるりと貼って対応。しかしその貼り方が悪かったのか、空気を入れるとリムからタイヤのエッジが飛び出しそうになってしまいます。なんとかタイヤが飛び出さない程度のぎりぎりの空気圧を入れ、再スタート。
下りだし、空気圧が低いしで、恐る恐るゆっくり慎重に下るサリーナでした。
なんとか無事、馬生まで下ってきました。しかし二度の大パンクで一時間もロスしてしまいました。
ここでサリーナは安全をとり、バス輪行へ。他の面々はとりあえず第四のピークを目指します。
氷川沿いを下って宿に出ました。ここで氷川は都幾川に流れ込みます。
宿はこのあたりでは大きな集落で、r172大野東松山線沿いに郵便局やちょっとした飲食店が建ち並んでいます。その中の建具会館でトイレ休憩させてもらい、今後のルートを検討。
宿から向かう予定の第四のピークは慈光寺の先にあるのですが、そのあたりは熊が出たという霊山院のすぐ傍なので、安全をとりここは回避することにしました。
そこで西平の交差点に出て、r273西平小川線で第五のピークの松郷峠へ向かうことに決定。
r273西平小川線は普通の道ですが、あまり車の通りは多くないので、まずまず快適に上れます。斜度も5〜6%程度とほどほどなので、のんびり行きます。周囲は鬱蒼とした針葉樹林で日没が近いこの時間帯はかなり薄暗い。
この道のピークは松郷峠で、今回のピーク中ただ一つ峠という名が与えられているところですが、しかしここにも峠の表示はなく、小さな切り通しとなっていて眺望はこれまで同様ありません。
松郷峠を過ぎるとときがわ町から小川町に入ります。この峠は町境になっているのです。
斜度は小川町側のほうが若干きついのですが、下り出すとすぐ直線基調になるので、一気にかけ下りますが、こちら側の序盤も針葉樹林です。
ほどなくその針葉樹林を抜け、明るいところへ出ます。下古寺でr273西平小川線を離脱し、裏道で小川町駅へ向かえば、道端にススキやコスモスが咲いています。
パンクや熊などで計画とは少し違ったものとなりましたが、予定時刻に小川町駅前に到着、いつもの居酒屋に飛び込み、カンパイーッ。サリーナはバスの乗換えもうまくいって、少し遅れたものの無事居酒屋で合流と相成りました。