2018年の走り始めは東京の下町、深川の七福神巡り。
出発地は錦糸町駅前で、序盤はこのあたりのちょっとした公園や緑道そして水路を巡り、後半は深川へ行き七福神を詣でます。
ヨンチェスから電車遅延の連絡が入り、みんな揃って出発できるかドキドキハラハラでしたが、何とか間に合い、錦糸町駅のロゴの前に並びます。
今年は元旦からさわやかな天候が続き、心はウキウキ! この日も快晴で、気持ちの良い晴天に背中を押されて、いざ出発!
足取り軽く快適に漕ぎ出すレイナ、ご機嫌で続くはレイ。 気もそぞろにまず向かうは、首都高速に沿って続く竪川河川敷公園。
高速道路の下とは思えぬほどに整備された竪川河川敷公園に日本庭園風のモチーフが現れると、そこは三代豊国五渡亭園です。三代豊国とは浮世絵師の歌川国貞、のちの三代目歌川豊国のことです。三代豊国は五渡亭の別号を持っていました。これは豊国がこの辺りの五の橋の際に住んでいて渡し船があったことから、狂歌師の大田南畝が豊国に贈ったものだそうです。
高速道路に直行するガード下で、浮世絵のギャラリーを発見しました。ここは三代豊国ギャラリーで、豊国の作品が紹介されていました。このガードがどうやら豊国が住んでいた五の橋らしいです。
先に見えるは三代豊国五渡亭園の朱塗りの太鼓橋です。浮世絵に出てきそうな真っ赤な色した太鼓橋です。
その下にある池は『かわらぬ恋の池』というしゃれた名前。どうやら江戸城の瓦を近くで作っていたことと、池の鯉をかけたようです。ここは近くの子供たちの格好の遊び場になっているそうです。
この高速道路は下を流れる堅川を暗渠化して造られました。堅川を横切る方向に昔は都電が走っていて、専用の橋が渡されていたそうです。その橋の記憶ということで案内板が立てられてました。
ここから昭和の時代の都電跡に沿って小名木川へ向かいます。
ここを走っていたのは都電の38系統です。江東区を南北に走る鉄道です。
その都電跡は現在は亀戸緑道公園や大島緑道公園して整備されており、これらを辿って南に下ります。まぶしいばかりの陽光を受けて颯爽と走ります。
小名木川に出ました。隅田川と旧中川を結び、東西に流れる運河です。この運河は江戸時代に、行徳塩田から塩を江戸湊まで運ぶために開削されたものです。その後、近くの河川や運河との航路が整備され、塩以外にも農作物や年貢米などが運ばれるようになり、物流の重要な経路となったようです。
当時は小名木川の東端の旧中川の入口には船番所が設けられていたそうで、その場所には現在記念館が建てられていて、この地域の水運の歴史を知ることができます。
小名木川を西に走るとクローバー橋に出ます。人と自転車が通れるX型の珍しい橋です。
確かに四角の四辺に橋を作るよりも対角線にクロスさせた方が短くて済みます。昔幾何で習いましたよね、三角形の二辺の和は他の一辺よりも長いって!
遠くに見えるはスカイツリーです。横から見るので分かりにくいですが、スカイツリーの下に左右に伸びる水色の橋がクローバー橋です。
このクローバー橋で午前の部は終わり。昼食処に向かいます。
さあお昼だ。急げや急げ! お腹を空かせた食いしん坊軍団のジオポタメンバーの早いこと早いこと! 今回は手打ち蕎麦屋の銀杏です。そば通の方に有名だそうで、席が心配なのでしっかり予約を入れておきました。
進行右手の土手は亀戸から南へ延びるJRの貨物線です。そうそう、これはさっき三代豊国五渡亭園を抜けたとき下をくぐった線路です。
銀杏に到着! 赤い幟は隣は神社ですが、ここは深川七福神ではないので参詣はパスです。いえ、メンバーの中に一人、しっかりお詣りしたものがいたとか。
銀杏はコンクリート打ち放しの建物。外から見ると民家風で暖簾がなければ、とてもとても蕎麦屋には見えません。期待を膨らませて、いざ入店!
テーブル席は三日にもかかわらず満席。ご近所の方やそば通、隣の神社に初もうでの方などで大いににぎわっていました。予約しておいて大正解です。私たちは店に一部屋しかない別室をキープしていました。まずは席に着いてホッとくつろぐジオポタの面々。
メンバーには天とじ蕎麦が第一人気でした。大盛にする者もいて、午後の走りに備えてエネルギーを充てんしました。
さて、午後はいよいよ深川七福神巡りです。 蕎麦屋からまずは横十間川の隣の猿江恩賜公園を抜けて進みます。これは横十間川で見かけた海鵜です。海鵜ってこんなとこまでやって来るんですね!
明治以降の近代工業の発展に伴い、この地域は地盤沈下に悩まされました。そこで抜本的な治水対策に迫られ水門を造ることになりましたが、同時に船の航行に支障がないように閘門という特殊な水門施設となりました。 それが昭和51年度に竣工となった小名木川の扇橋閘門です。
残念ですが扇橋閘門はこの時改装工事中で、中に入って見ることができません。しかたありませんので、西側の道路から見物することにしました。日陰になってますが、右奥に見えるのが扇橋閘門です。
これだけ廻ったのに深川七福神まだぁ? との声もありましたが、七福神は一時間程度で廻れるので楽しみはこれからだよ、となだめながら深川神明宮を目指します。
やっと到着しました。深川七福神巡りの最初は深川神明宮です。ここには寿老神が祀られています。
400年ほど前の深川は葦の生い茂る三角州で、そのころこのあたりに住む人はまだいなかったそうです。そこに深川八郎右衛門という人が一族を引き連れて移り住み、土地を開拓し、屋敷内に小さな祠を建て、伊勢神宮の分霊をお祀りしたそうです。それがこの明神さまの始まりだそうです。ということで、ここは深川の始まりの地とされているようです。
深川神明宮を出ると、賑やかな幟が目立つ芭蕉稲荷神社の前を通り掛りました。
「ここ七福神? お参りしようよ!』 と、あわてんぼうのマサキン。
『マサキン、ここは深川七福神ではありませんよ!』 と、すかさずレイナ。
芭蕉稲荷神社は、かの松尾芭蕉が住んだ芭蕉庵があったとされる地に、地元の人々の手によって祀られたお稲荷さんです。その境内には芭蕉庵跡の碑や芭蕉の句碑がありますが、深川七福神じゃあないってことなので先へ進みます。
やっと七福神二番目の深川稲荷神社に着きました。ここに祀られているのは布袋尊です。
小さな交差点の角にある、小さな鳥居の先の小さな社がその深川稲荷神社です。ここはかつては西大稲荷と称したそうですが、とても大とは言えませんね。でもこの大稲荷の大は、かつてこのあたりが深川西大工町と呼ばれたことから来ているそうで、大っきなお稲荷さまという意味ではなさそうです。その大工町の名は、小名木川の水運が栄えていた頃に、このあたりに船大工が大勢住んでいたことから来ているそうです。
地名は歴史も語りますが、最近はそうした地名がどんどん無くなっていくのがちょっとさみしいですね。
深川稲荷神社からは龍光院へ向かいます。その途中、清澄公園の中を走ってみました。するとこんな時計台を発見。
このあたりは江戸時代の豪商、紀伊國屋文左衛門の屋敷があったと伝えられるところです。明治時代に入るとその跡地を三菱財閥創業者の岩崎弥太郎が買い取り、庭園を造りました。その敷地がこことこの隣にある清澄庭園の場所でした。
これらはのちに東京都が入手し開放しています。写真の火の見櫓風の時計台は昭和時代の公園の大改修時に、隣の清澄庭園のイメージに併せて設置されたものだそうです。
清澄公園からは龍光院へ。
ところが先頭のマージコは清澄庭園前の信号を渡り深川の本通りに入ると、あらぬ方角へ走って行きます。あれ、どこ行くの? なんでもこのあたりにちょっと古くて面白そうな建物があるんだそうな。実はマージコはサリーナとサイダーが古い建築物に興味があるので、お年玉代わりのサプライズを入れたらしい。
着いたところは清州橋通りに建つ清州寮という建物。
寮の中に入ると木製の引き戸の部屋の前にプジョーの折り畳み小径車! お仲間かな?
この建物は戦前の1933年(昭和8年)築だというので、築80年を超えるビンテージ物件です。時期的には同潤会と重なりますが、この建物はどうやら個人が発注した個人所有のものらしいです。
レトロな佇まいとマージコの忖度にサリーナ感動のひとときでした!
さて、ようやく深川七福神三つ目の龍光院に到着です。ちょっと寄り道をしてしまいましたが、コースに戻りました。
こちらには毘沙門天が祀られています。そのうしろの錦の幕がお正月っぽいですね。
龍光院からは斜めの裏路地を行く予定でしたが、これが分からず表通りを。するとすかさずサイダーがチェック! 『ごら〜、マージコ! 道、ちゃうねん!!』
深川七福神の四つ目は円珠院です。こちらに祀られているのは真っ黒な大黒天。この大黒さま、かわいいですねー! 見ていてほっこりします。手に持っているのは打ち出の小槌。福・金運の神様ということで、ここはしっかりお参りしましょっと。
大黒さまに手を合わせるのは、遥々ミャンマーから駆けつけたヨンチェス。『今年こそ大金持ちになって日本に帰れますよ〜にぃ〜』
ここで入口方面を見ると、パンフの略図を片手に毘沙門天はどことサイダーに尋ねているご老人が。
『マージコ、毘沙門天の場所、分かるだろ? えーっ何、分かんねぇ? 斜めの道来ねえからだよ!』
結局このご老人が地図を90度違えて見てることが分かって、なんとか無事解決はしたのでありますが、、、(汗)
今年の冬は寒いですね。時は15時で普通なら一日でもっとも暖かい時刻ですが、日陰のせいもあって気温は8°Cしかありません。そこでこのあたりでお茶でもしようと向かったのが、ブルーボトルコーヒー清州白河店。
ブルーボトルコーヒーはアメリカ発祥のコーヒー店で、焙煎したてのコーヒーを店頭で飲むことができます。この店舗は倉庫をリノベーションしたもので、1階部分にロースタリー(焙煎所)とカフェスペースがあります。大人気のお店で正月にもかかわず長蛇の列でした。これを見て入店は断念し、心行寺に急ぐことにしました。
ブルーボトルコーヒーのすぐ南には仙台堀川が流れています。この川も小名木川同様に江戸時代に造られた旧中川と隅田川を結ぶ運河のひとつです。
仙台堀川の名は、この北岸にあった仙台藩の蔵屋敷にこの運河から米などを運び入れたことから来ているそうです。現在この東側のかなりの部分は仙台堀川親水公園となっています。
心行寺に着きました。先の二つのお寺はかなり新しい建物で、なにかちょっとお寺のありがたさが薄かったのですが、ここは昭和時代の建築ではあるものの、それなりの風格が感じられます。
ここには福禄寿が祀られています。福禄寿とは、福(幸福)・禄(身分)・寿(寿命)を兼ね備えたありがたい神様です。
可愛らしい福禄寿の石像がありました。
いいなぁーこの姿。心が和みます!
ところがこの福禄寿の先の小さな六角堂にも『福禄寿』の札が。どうやらこちらの六角堂の中におられるのが本物の福禄寿さまのようです。先の石像はこれがあまりよく見えないために造られたのでしょう。
福禄寿に何をお願いしたの?
えーっ、秘密って、水臭いなー!
さて、深川七福神もようやく六つ目になりました。ここは冬木弁天堂です。
可愛らしい小さなお堂なのに大勢の参拝客が! お金がいっぱい欲しいジオポタメンバーは、財産神ということで金運を願って我先にお参り。
先ほどより、日差しはまずまずなのですが風が強く、めちゃくちゃ寒い。
弁天さまの庭先に置かれた達磨ストーブに群がり、暖を取る寒がりのジオポタメンバー!
『安納芋でも焼けてるといいのにね!』 と、サリーナ。
『懐かしいなぁ、高校時代まで教室にあったよ、コークス・ストーブ。』 とマージコが言えば、
『えーっ、いったいいつ頃の話?』
ははは、歳は取りたくないもので! みなさんくつろいでますね〜
寒がりメンバーはこの先ショートカットして、ここから真っすぐ七福神最後の富岡八幡宮に行きたいと騒いでいますが、八幡さまはもうすぐ近くなので、親水公園を走り廻ってから行きまよ〜
その親水公園は、元は川だったところを埋め立てて造られたもので、福富川公園と言います。
小さな公園ですが、ここにはイカダや丸太の橋もあって子供たちの格好の遊び場になっています。面白い形をした入口は旧水門を活かして造られたそうです。やるなぁ江東区!
福富川公園を抜け、木場公園に入りました。木場公園はとっても広い公園で気持ちいいです。
仙台堀川を挟んでその南北に跨がる公園です。この南北の二つの公園をつなぐ大橋を走ろうと思います。
仙台堀川に架かる木場公園の大橋。大きな吊り橋です。走りごたえがあります。
橋の上から眺める仙台堀川や下町の景色に感動しました。
木場公園を出て仙台堀川公園に入ります。この公園は横十間川親水公園を経て、果ては小名木川にまでつながる緑道公園になっています。
豊かな縦横に走る水路に囲まれて、この周辺の住環境は最高です。レイとレイナは何年か前までこのあたりに住んでいて、ここが通勤路だったそうです。公園に沿って高級マンション群が続きます。
可愛らしい裸の男の子の像が水の中に立っています。女性連からあの子寒くないかなって優しいお言葉!
さぞかし寒いでしょう、お努めごくろうさまです。
横十間川親水公園の中にある水車のある公園を抜け、仙台堀川に並行する水路を木場公園に向かって戻ります。
このあたりの水路沿いは、ほんとうにマンションが多いです。
再び木場公園に戻ってきました。公園の南の端を走っていると、ここでアクシデント発生。
シンチェンゾーの後輪の空気抜け。スローパンクかと空気を入れ直して再発進しましたが、すぐにまた空気抜け。とほほ、願いむなしくいつものパンクだったようです。
ブロンプトンの後輪は外すのが大変です。シンチェンゾーはチューブ交換を断念し、輪行で直接宴会場の月島に向かうことになりました。
深川七福神の最後の富岡八幡宮に着きました。とりを飾るにふさわしい大きな神社です。ここには恵比須さまが祀られています。
今年はここで残念な事件があって参拝客が激減するのではとのうわさもありましたが、行列はないもののそれなりの人混みがありました。
参道には出店がいっぱい出てました。その奥にあるのはすごく立派な本殿です。
例年ですと参拝客で溢れかえっていて身動きが取れないほどですが、今年は余裕でお詣りができます。
みなさん何をお祈りしているのでしょうか? 神妙な顔して!
恵比寿神が祀られているところは、八幡宮の本殿から少し離れた西側にあります。
真ん中が恵比寿社です。ここでみんな集まって記念撮影です。
さて、これで深川七福神巡りは無事終了。今年もたくさんいいことがあるように、七ヶ所も参拝したのですから、今年のジオポタは安泰でしょう。
富岡八幡宮からは月島の新年会場へ向かいます。
富岡八幡宮を出たら、東西に走る古石場川親水公園に入るのですが、先頭のマージコが道を忘れてしまったので、サイダーに案内してもらいました。じ、じつはマージコは、コースを暗記してカンピューターで走っていたのです。マージコが弁明するには、ハンドルバーに余地がなく、愛用のiPhoneがつけられないだけですって。
まかさ地図を見ないで走るなんてね。お〜、マージコ、スゲー芸当してくれるじゃあねぇ〜かよ〜
清州通りに出て豊洲運河を渡り、運河沿いを石川島公園方面へ向かいます。
おっと、この運河沿いは自転車進入禁止だって。しばらくここには来ていなかったのですが、いつの間に。仕方がないので一般道で隅田川に出ることにします。
隅田川の中央大橋の袂までやってくると、そこから南の隅田川沿いは佃公園です。
この川沿いは自転車で走っても問題ないようです。
佃公園を進んで、小さな佃川支川に架かる住吉小橋を渡ると佃島です。
住吉小橋のすぐ先の、通りから入った奥には住吉神社が建っています。この神社は佃島の始まりからあるものだそうです。地元の方たちがやってきているのか、ここはほどよくにぎわってました。下町の懐かしい神社って感じですね。
住吉神社から元の道に戻ると、まちかど展示館があります。
毎年八月にある例大祭で繰り出す大きな神輿が飾られてます。八角神輿と呼ばれる珍しい八角形の立派なお神輿です。お祭り見てみたいですね!
佃島はご存知、東京名物佃煮の発祥地とされています。写真は1837年創業の老舗佃煮屋さん「天安」です。
江戸時代初期頃に大阪から移住してきた漁師さんが作った食べ物が佃煮です。時代を感じるお店ですが、残念ながらお正月はお休みでした。
あきらめ切れないのか、横目で天安の看板を見ながら走るレイナでした。
ここで隅田川の川面を覗くと、漫画・アニメ界の巨匠の松本零士さんデザインの水上バスが、夕暮れの隅田川を優雅に流してました。浅草に向けて川を上っています。
かっこいいですねー!
対岸に見えるツインタワーは聖路加病院の聖路加タワーです。なんでもあそこにはお金がないと入れないとか。
月島到着。いよいよ本日のメインイベントの宴会です!
輪行で来たシンチェンゾーに、宴会のみの参加のムカエルとキルピコンナも合流し、賑やかな新年会が始まりました。
今回はもんじゃです。メンバー恐る恐るもんじゃを作り始めます。食べなれない作り慣れないもんじゃに、おっこれいけるね、美味しいよ、とワイワイガヤガヤ! 楽しく時間が過ぎていきます。
キルピコンナとユッキーの嬉しそうな顔。おいしい料理の前に顔がほころびます。
もんじゃの次はお好み焼き、そして最後は焼きそばと楽しく夜が更けて行きます。
今年はジオポタ発足20周年ということも手伝って、大いに盛り上がってました。
もんじゃのあとは二次会に突入。店を変えて締めのスイーツです。
みなさま、どうもお疲れさまでした。本年もどうぞよろしく。
◆ひとこと by 企て人マージコ
初めて企画の大役を頂き、無事完走! ありがとうございました。七福神を主テーマにどうコース取りをするのかに悩みましたが、幸い深川近辺には江戸の水運を支えた沢山の水路がありまして、天気もよく皆さんに楽しく走ってもらうことができました。
今年も一年、楽しく走ろうねー!