岩井駅
冬の晴れ間のぽかぽかと暖かい土曜日にはるばる房総までやってきたのは、シュンシュン、サリーナとカメラのサイダーの3名です。
シュンシュンは、まだ暗いうちから始発の鈍行に乗って4時間もかけてやってきました。「来た甲斐がありましたよ〜!」と快晴の空に笑顔。
路地を抜ける
駅からまず西へ向かいます。細い路地を通り抜けると、1kmほどで岩井海岸の海辺に到着です。
岩井海岸
「ワーイ、海だ海だ〜」とはしゃぐサリーナとサイダー。
2人の間に小さく白い頂が見えるのがわかりますか?
富士山
ちょっと霞がかかっているようでくっきりとはいきませんが、海の向こうに白い頂の富士山が美しい姿を見せています。いいね、いいね〜
海岸の砂の道
というわけで、海岸沿いの道をちょこっと走ります。
これが結構砂地獄で、ときどきタイヤが砂に埋まりそうになり、おっとっと、と言いながら走ります。
富津館山道路をくぐる
海岸を離れ、富津館山道路の下をくぐって東へと進みます。
県道89を走る
そして県道89に入ったら、そろそろ水仙遊歩道の入口が近づいてきました。
とみやま水仙遊歩道入口
ここが「とみやま水仙遊歩道」の入口です。手前にもう1箇所あり、帰りはそちらに出てくる予定。
道ばたに自転車を停めて、ここからはプチハイキングにいざ出発。
すぐに水仙の花園
最初は階段状の上りですが、すぐに回りには可憐な白い水仙が現れます。
眩しく白い水仙の花園の中を行くサイダーとシュンシュン。
水仙
朝の光を浴びて輝くニホンズイセン。白い花びらは萼片と花弁で、黄色い円形は副花冠といいます。
水仙の花はみんな同じ方向を向いて咲いているので、このあたりは坂の下から見上げるのが正しいですね。
木々の間の水仙
丘の木々の間を水仙が埋め尽くしています。この時期だけの豪華な眺めです。下から見ると、水仙の顔が皆こちらを向いています。あたり一面にいい香りが漂っています。
丘の上からの水仙
丘を上って上から見れば水仙は皆後ろ姿ですが、それもまた清楚で美しい。
ミツバチの巣箱
そして、水仙の花園の中にミツバチの巣箱を発見。あたりには働き者のミツバチがたくさん飛んでいます。
水仙の蜂蜜はどんな味なのでしょうね。
八重の水仙
さらに進んだところで、変わった水仙を発見。八重の水仙ですね。花びらの奥は黄色です。
展望台
水仙の小道からちょっとはずれて展望台へ。
先ほど通った岩井海岸方面を望む展望台でポーズするサリーナ。結構上りましたね。ちょうど日だまりになっていて、とっても気持ちのいいスポットです。
水仙の道は続く
展望台をあとに、さらに水仙の道は続きます。
今度は山道を下っていきます。
細道を埋め尽くす水仙
木々の間の下りの細道を埋め尽くすように水仙が咲いています。
一面、水仙
道の回りにも水仙の花園が広がり、落葉した木々の間で咲き乱れています。
花道のサイダー
水仙の花道に埋もれているサイダー。
林とシダのエリア
このあたりで水仙のエリアは終了し、林の中のシダをかき分けて進むと、
緑の下草のエリア
緑に輝く下草のエリアに入りました。ツユクサのような巻いた葉っぱの草でした。
県道89に戻る
遊歩道を抜けて県道89に戻ってきました。先ほどの遊歩道入口より西側に出てきています。「とみやま水仙遊歩道」は知る人ぞ知るスポットなのでしょうか、この2km少々の道のりで2人ほどにしか出会いませんでした。
自転車を置いた場所に向かって道路沿いをのんびりと歩いていると、
キズイセン
キズイセンの群生に遭遇。
全身黄色に染まり、春から縁起がいいですねえ。
VENTO
そして、遊歩道の入口と出口のちょうど中間点あたりにあるのが、このVENTO。ここでお昼としましょう。
ピザやパスタがとてもおいしい。それもそのはず、こちらは近藤牧場の直営店で、牧場でつくったチーズを使っているのです。
デザート
あっという間に食べたピザやパスタは残念ながら写真なし。でも、お勧めは他にもあります。ミルクやチーズを使ったデザートです。
写真手前はクレマ・カタラーナ。普通はとても柔らかいプリンのイメージですが、ここのは固くて濃厚な味わいで、とっても私(サリーナ)好みです。そして、奥のリコッタチーズのプリンもビワの酸味のあるソースとマッチしてとてもおいしい。
あぜ道を行く
お昼どころをあとに、次の目的地へと走り出します。
県道89沿いをちょっと離れて田んぼのあぜ道を行くサリーナとシュンシュン。
林道「下要路線」
あぜ道を出て県道89を横切ると、林道「下要路線」に突入。いきなりきつい上りです。ついに来た。これぞ房総!
きつい上り
ヨロヨロと上るうちに、少し眺望が開けてきました。
もうこんなに上ったのね。。
水仙の道を走る
少し上っただけで汗が出てきました。上り坂ということもありますが、今日は本当に暖かいのです。
ちょっと停まって上着を脱いで、再び出発。道沿いには水仙もたくさん咲いています。
小さな川沿い
そしてピークを越えてざーっと下ると、佐久間の集落に入りました。
小さな川沿いを東へ進んでいきます。
茅葺き屋根の家
すると、とても美しい茅葺き屋根のおうちが見えたのでちょっと寄り道を。
そういえば数年前に来たときには、屋根の葺き替え作業の真っ最中でした。今は周囲に馴染んで落ち着いた渋い色になっていますね。
長屋門
すぐ近くのこちらには、とても立派な長屋門がありました。
「門とは思えませんね〜」とシュンシュン。
サイダーが走る
再び川沿いに戻ります。
「どうだ〜、いいコースじゃろ〜」とご満悦は企画者のサイダー。
川沿いの細い道
そんな川沿いの道は、いつしか木々に覆われた細い遊歩道のようになりました。
昼なお薄暗い道を行くサリーナとシュンシュン。
佐久間ダムへの上り
車道に出ると、ここからは佐久間ダムまでの上りです。
エッチラオッチラと上っていく足元には、可憐な水仙が顔をのぞかせています。並木は桜で、このあたりは南房総で一番の桜の名所なのだそうです。
佐久間ダム湖
ようやく佐久間ダム湖まで上ってきました。
ブロンプトンですいすい上るシュンシュンです。
水仙と湖
そして、水仙の中で湖を見渡せる場所があったので、しばし休憩。
たくさんの水仙に覆われた湖と房総の丘、そして青空の景色にうっとりする面々。(TOP写真も)
ぽかぽか陽気の湖畔
水仙の爽やかな香りとぽかぽか陽気で、いい気持ち。笑顔のサイダーとサリーナ。
しばらくくつろいでいましたが、まだまだ先は長い(険しい)のでそろそろ出発です。
目黒不動尊
湖沿いはほぼフラットで、水仙に囲まれて快適に進んでいたのですが、
をくずれ水仙郷への山道
すぐに激坂の細い山道に入りました。ヨロヨロと停まってサイダーとサリーナは押し。シュンシュンだけが立ち漕ぎで、すぐに見えなくなってしまいました。
周囲ではロウバイや気の早い桜がほころんでいます。
斑入りの椿
そして、こんな斑入りの椿も咲いています。
いろいろな花が咲いていて、やはり房総の春は早いですね。
をくづれ水仙郷
押しながら上りきり、「をくづれ水仙郷」に到着。今年はちょっと遅くなりましたが、何とか水仙に間に合ったようです。坂道の両脇や棚田の縁の土手に植わった水仙が私たちを迎えてくれました。
「きついところを上ってきたね〜」と、道ばたで水仙を売っているおじさんが声をかけてくれました。「これからもきついよ〜」だって。
八雲神社
そこから少し上ったところに八雲神社があります。階段を上って境内へ。狛犬に守られた神社です。
水仙の花園
神社のちょうど道を挟んだ向かいには広々とした水仙の花園があり、その後ろの民家の屋根、そしてさらに後ろの房総の丘の山並みが額縁となって、とてもステキな景色が広がっています。
棚田のまわりの水仙
「をくづれ」は「大崩」と書きます。地滑りの多いところだったそうです。
棚田のまわりに水仙が咲き乱れ、静かな山里に春が舞い降りてきているようです。
上るサイダー
そんな「をくづれ水仙郷」の道を、足元の水仙を楽しみながら先頭で上っていくサイダー。
上るサリーナとシュンシュン
続くサリーナとシュンシュン。しばらくは緩い上りで水仙を愛でる余裕あり。
しかし次第に勾配がきつくなり、へろへろと力尽きそう。もうだめじゃ〜
ピークに到着
何とかピークにたどり着きました。このピークは鋸南町と鴨川市の境界で、ここからちょっとだけ鴨川市に入ります。
ピークから東を眺めると、法明の集落の棚田が見下ろせます。
法明の棚田
少し下って、棚田を下から見上げてみました。
近づくには急勾配を上らなければならないので遠景だけ(笑)ですが、この棚田も縁に水仙が植えられていて美しい。
半ダートの下り坂
その先の道は、舗装路なのかダートなのか半々くらいの感じです。
かなりの急勾配を下っていくと、今度は上り返しが結構きつい。
上り返しの終わり
上り返しが終わったところでは、ちょうど水仙が出迎えてくれました。アップダウン、激しいねえ〜
サイダーとシュンシュンの後ろには丘が連なり、やっぱり房総です。
平塚
そこからざーっと下り、いったん県道88を通って平塚ですぐに脇道に入ります。
田んぼの中の道
脇道は田んぼの中を通っていきます。
「いい道ですね〜」と、束の間の平和、いえ平地を楽しむシュンシュン。
県道88
そして北上し、再び県道88に入ります。
県道とはいえ、これも結構上りだったりしますね。やっぱりさすが房総です。
大山林道
それでも県道はほどほどの勾配ですが、そこから今度は大山林道に入ります。
勾配はもちろんきつくなり、しかも途中からダート。にこやかに進むシュンシュン、あなた、何者?
松節林道
ルートは松節林道に入り、ワイルド感がさらにアップ。途中の景色も「これぞ房総!」
この道中でワンちゃんとお散歩中の方にお会いしたのですが、ワンちゃんが迷子になって私たちの前を逆方向に駆け出していきました。大丈夫だったかな。
ダートの林道を行く
山奥的な道をどんどん進むシュンシュンと、ハヒハヒ続くサリーナ。ダートはつらいです。
ダム湖の橋
そして下りに入り、ダートも終わって現れたのは赤い橋です。戸面原(とづはら)ダム湖にかかる橋にやってきました。
戸面原ダム湖
こちらがダム湖。1970年代につくられたダムで、釣りのスポットでもあるようです。
県道88を飛ばす
さて、ここからはまた県道88に戻り、どんどん飛ばします。
このあたりからは下り基調が続きます。よかった〜
犬岩への道
しばらく走ったところでちょっと寄り道を。「犬岩」という看板が目印です。
細い道をちょっと不安気に下りるシュンシュン。
犬岩の入口
細い道の終点に柵と網が設けられています。この柵を動かして中に入ったところに犬岩があるようです。網と柵は、猪が入ってこないためのものらしい。
自転車を置き、ちょっと冒険気分で柵を動かしていざ出発。
切り通しに出た
薮をかき分け、泥道を横切ると、地層の浮き出た切り通しに出てきました。
水辺に出た
その切り通しの先には、崖に囲まれた蛇行する水辺が現れます。
いきなり開けた景色に「おお〜!」と歓声が。
関の犬岩
あの細い泥道からこの静かな渓流に出てくると、ちょっとした感動を覚えます。この川は先ほどの戸面原ダム湖から続く湊川で、ここは人の行き来する旧往還だったそうです。
そして、そこに立っているのが「関の犬岩」。両側に耳があり、なるほど犬に見えなくはありません。川の流れに削られてこんな奇岩ができたのでしょう。
犬岩の周囲
川岸は岩盤で、水は意外に深い。川の流れが周囲の岩を削り、地層をあらわにした様子がうかがえます。
川岸の穴
川岸の岩盤には、穴がいくつもあいています。まさか、掘建小屋の柱の跡? 古代の人が建てたのかな?
甌穴
そうではなく、自然につくられた甌穴のようです。
甌穴とは、固い河川の岸にできたくぼみに石が入って、川の流れの渦で回転して周囲が削られて丸い穴になっていくものです。この石も水が入ると穴を削っていくのでしょうか。
夕陽の中を走る
しばらく県道88を進み、その後脇道に入って田んぼの中を走ります。もうかなり傾いた真正面の夕陽に向かって走っていきます。
そんな道のりを高速でバリバリと引くサイダー。待って待って〜
湊川沿いを走る
休みなく走り続け、ついに湊川の下流に出てきました。
川沿いを河口に向かってさらに走ります。「疲れた〜」と泣きが入りそうなサリーナ、はげますシュンシュン。
河口と海が見えた
漁船が停泊する河口と、その先に海が見えてきました。夕陽はかなり海に近づいています。
さらにダッシュを続けるサイダー。
海辺に到着
土手を上ると、上総湊海浜公園の海辺に出てきました。夕陽はまだ地平線の上にあります。
「夕陽に間に合った〜」と笑顔のサリーナ。日没前に海に着きたくて、バリバリ引いていたサイダーだったんですね。
シュンシュンとサリーナ
無事に海辺に到着を喜ぶシュンシュンとサリーナ。
残念ながら富士山は雲に隠れて見えませんが、ともかくここでじっくり日没を眺めましょう。
日が沈む
いろいろな形の雲がちらばる中、赤く染まった海の向こうに日が沈んでいきます。
そして日没
そしてついに、地平線に太陽が吸い込まれていきました。
地魚寿司
日没すばらしかったね〜と言いつつ、時刻はちょうど午後5時です。締めは地元のおいしい地魚のお寿司をいただきましょう。
ここ「さとみ寿司」さんは前にも来たことがあり、おかみさんも覚えていてくださいました。残念ながら名物の「はかりめ」(穴子)はありませんでしたが、あじやひらめ、まだい、かんぱち、くろむつ、珍しいところでは「いしがきだい」「ひらすずき」なんていうお魚もありました。おいしくて大満足です。ところで突然「イタタタ〜」とサイダー。後半飛ばしすぎて、足がつったようですね。
1月の定番「房総の水仙」は今年もとても美しく、初めて訪れた「犬岩」も雰囲気があってとても面白く、小春日和の楽しい一日でした。