今年の梅雨はまともに雨降りで6月・7月とほとんど走れませんでした。もちろん8月はさっぱりです。ようやく9月になり涼しくなったかと思ったら、ここのところまた暑い日が続いています。そして台風がやってくるようになりました。明日は台風15号が首都圏を直撃しそうです。
ということで、走るならこの日しかない、と集まったのは埼玉県の小川町駅前。
しかし天気予報は最高気温34°Cで、熱中症注意マークが付いています。これでは日向は走れません。できるだけ日影があって涼しいところに向かいます。そうとなれば森の中のせせらぎと滝でしょう。
既知のせせらぎと滝をつないで、あまりきつくないコースを組み立てます。まずは小川町から館川ダムを通り、大野に抜けようと思いましたが、林道赤木七重線がしばらく通行止めとの情報が入ったので、急遽コース変更です。
ここは林道赤木七重線より簡単な松郷峠経由で都幾川に抜けることにしました。裏道をちょっと行って、r273西平小川線に出たらあとは一本道です。
すぐに周囲は山の雰囲気になります。
道の両側に木立が現れるとペダルが重くなり、上りに入ったことを知らせてくれます。この序盤の勾配は5%程度なので、ペースを乱さずに上っていきます。さすがに木立の中は涼しく快適です。
しかしそのうち10%近いところがでてくるようになり、あへあへが始まります。こうなると木陰の涼しさはどこへやらで、汗だらだら。しかしこのきつい区間は500mほどなので、なんとかふんばります。
きついな〜と思い始めた頃には勾配が緩み、コンクリートで覆われた切り通しが現れます。
松郷峠に到着です。この峠は小川町とときがわ町との境を成していて、町境の標識があります。しかし峠名の表示はありません。
今日は距離は走らないつもりなので、ゆっくり、まったりOKです。この松郷峠で汗を拭い、しばし休憩。
さて、十分に汗を拭ったら、西平に下ります。この木陰の下りは気持ちいいです。道脇にはせせらぎが流れ、風を受けた身体が気化熱でスーッとします。
しかしこの木立の中の下りはすぐに終わり、慈光寺への分岐を過ぎると空が開き、勾配が穏やかになります。
西平でr172大野東松山線に出ると、そこに流れるのは都幾川です。ここからは都幾川沿いを東に向かいます。
西平の交差点のすぐ傍の民家の庭先に大きな百合が咲いていました。時期からするとタカサゴユリだと思いますが、どうなんでしょう。
ここにはシバザクラに似たピンク色のバーベナ・テネラと、やはりピンク色のハナトラノオもきれいに咲いていました。
小さな花畑を眺めたら、大野東松山線をどんどこ。
するとまもなく都幾川を渡ります。
都幾川はここから程近い10kmほどのところにある奥武蔵グリーンラインの高篠峠付近に源を発しているので、ここではまだ小さな川です。
この橋から東に300mほどのところに『三波渓谷』の標識があったので寄ってみることにしました。
道脇には車10台ほどの駐車スペースがあります。
三波渓谷の入口はこの駐車スペースの奥にあり、鬱蒼とした木の下にある階段を降りて行くと、急に空気がひんやりし出します。
すると下に突然、渓谷が現れました。この流れは都幾川なのですが、先ほど橋の上から見たそれとはまるで違う表情をしています。陽の光を反射して薄緑色に輝く渓谷に、思わず、
『お〜、きれいやな〜〜』 と叫ぶシロスキーでした。
流れの中をよく見れば、小さな魚がたくさんいます。写真の倍くらいの大きさのものも少し見えます。
この三波渓谷で魚を追いかけつつパチャパチャ遊んでいると、先ほどまで吹き出していた汗がスーッと引いていきました。
すっかり涼んだところで三波渓谷をあとにします。
『三波渓谷、サイコーでした〜』 と、Vサインのクッキー。
そのうしろに見える、車が停まっているところが三波渓谷の駐車スペースです。
このあとすぐに大野東松山線を離れ、別所橋を渡ります。ここには都幾川四季彩館があり、その前の川縁はピクニックやバーベキューができる広場として整備されています。
先ほどの三波渓谷には深いところがあるのですが、ここの水深は浅く、流れも穏やかなので、子供が遊ぶにはちょうど良さそうです。
ここからは都幾川沿いの細道を行きます。
川の反対側は稲穂が垂れてきた、きれいな田んぼ。
この田んぼの反対側の木立の先に、穏やかな都幾川の流れが見えたので行ってみることにしました。
今日は走っているより、寄り道している方がうんと長いです。まあ、私たちはポタリング・クラブですからね。(笑)
ここの流れは穏やかで、岸には葦を始めとする草が生え、とてもいい雰囲気。
川の中の石には苔が生えていて、それを食べる小魚がたくさん泳いでいます。
バシャバシャやっているみんなを見て、水に入ろうか入るまいか悩んでいるシロスキー。入ろうよ〜、とシロスキーを促すクッキー。
このあとシロスキーはクッキーの誘惑に負けて、川ジャボすることになるのでした。
しばらくジャブジャブしたらさらに都幾川沿いを行きます。
広い道に出て川北橋を渡り明覚駅に向かおうとすると、突然何かを思い出したようにサイダーが戻って来て、都幾川の左岸をさらに進んで行きます。
『確かここの辺りに流れ橋があったんだけどな〜』 と、記憶を手繰るようにサイダーが言います。しかしこの先にあったのは意外としっかりした橋でした。この橋は架けられてからだいぶ年数が経っているようです。で、流れ橋はいったいいつごろの話かと思えば、もう10年以上前のことらしいです。10年ひと昔ですね。(笑)
この橋の下には30cmほどの魚がいて、その魚を魚にみんなでワイワイガヤガヤ。サンダリアスによれば、この魚はブラックバスの仲間だそうです。ブラックバスってどこにでもいるんですね。
一人サイダーは流れ橋がなくなったのを残念がっていますが、他の面々はブラックバスで遊んだので満足そうにこの橋を離れます。ここまで遊ばせてもらった都幾川とも、ここでお別れです。
橋のすぐ先にはJR八高線の明覚駅があります。この駅舎は木造で、なかなかいい雰囲気です。
シロスキーがちょっと変わった花が咲いているというので行ってみました。それは明覚駅のすぐ前に植えられていました。
ピンク色と青紫色と赤紫色の三色があります。なんていう花でしょう。
時は11時。早起きしてきたみんなはもう腹がへったと言います。ちょっと昼食には早いかと思ったのですが、明覚駅近くにはなつかしい店があるのでそこで昼食にすることにしました。
八高線に沿って南西に少し行ったところにその店はあります。
たぬきがダンスしているこの絵が目印の、『ぽんぽこキッチン』。
ここはかつて『ぽんぽこ亭』でしたが、しばらく前に名前が変わりました。それが気になってはいてはいたのですが、今日まで来る機会がありませんでした。
ぽんぽこ亭は大盛りのうどんと草鞋のようなでっかい天ぷらが有名でしたが、キッチンにはこれらはなくて、おしゃれな洋食のメニューになっていました。
まぐろハンバーグ(おろしドレッシング付)、オムハヤシライス、キッシュ・スパゲティ・サラダのワンプレートランチ、サーモンステーキをやってみましたが、みんなとてもおいしいかったです。
ぽんぽこキッチンからは八高線を跨ぎ、その東側を南下します。
ここは先に小高い山が見え、道脇は緑色の田んぼ。先の小山の下は木陰で涼しく、気持ちのいい道です。
『あ〜っ、ここの田んぼは稲刈りがもう終わっていますね。早いですね!』 と、サンダリアス。
なんと、早い田んぼでは稲刈りが済んでいてびっくりでした。
気持ちのいい田んぼ道は500mほどでおしまいになり、再び八高線沿いの道に戻ります。
ときがわ町から越生町に入りました。
深い緑色の草、空の雲は夏の雲。秋はまだまだ先のようです。
r30飯能寄居線を越えて畑道を行けば、
デザートにと思っていたシロクマパンなのですが、しばらく休業だそうです。残念。
道脇にはポツポツと白やピンク色のコスモスが咲き出しています。
このオレンジ色の花はその名もキバナコスモスですが、実はこれはコスモスとは別の種類だそうです。
五大尊の裏山を眺めながら越生駅方面へ向かえば、越辺川を渡ります。
この越辺川沿いには遊歩道が続くのですが、今日は山側の道を使って毛呂に抜けることにしました。
さすがにこのあたりは木陰がないところが多く、かなり暑いです。
『あっついぜ〜。そろそろ日影がほしいっす。』 と、なぜか頭が焼けるのを気にしながら走るシュンシュン。
しかし毛呂の先でr186毛呂停車場鎌北湖線に出ると、次の水辺の鎌北湖まではもうすぐです。
この先は毛呂停車場鎌北湖線をそのまま行ってもいいのですが、そのすぐ南に遊歩道があるので、これを使います。
ここは、レーサー志向なら毛呂停車場鎌北湖線、ポタリングなら遊歩道でしょう。
この遊歩道は、前半は開けた畑の中を行き快適です。しばらく行くと小さな橋が現れ、この橋を渡ると毛呂停車場鎌北湖線に出、直進は林の中のダートになります。
今日は暑いので直進。林の中のダートを選択。この道沿いには鎌北湖から流れ落ちたせせらぎが流れているのでとても涼しく、気持ち良く走れます。
『あ〜、涼しくて気持ちいい〜〜。やっと一息付けましたよ〜』 と、ここは満足げなシュンシュン。
しかしこの道は最後に試練が待っているのです。それがこちら。
鎌北湖の下までやってくると、そこから鎌北湖までは超がつく激坂です。押して持ち上げるのもきつい。しかも狭い!
ここで立ち往生したクッキーを見かねたシュンシュンが、クッキーを助けに向かいました。
クッキー、担がなくて良くてラッキーだったね。
なんとか鎌北湖まで自転車を持ち上げた面々ですが、もうへとへとです。僅かに木陰となっている桜の木の下にみんな倒れ込んでしまいます。
鎌北湖は農業用水を確保するために造られた人工湖ですが、湖というよりは池と言った方が良さそうな大きさで、スワンボートが浮かび、釣りをしている方が大勢います。
鎌北湖を眺めたら、次は本日のメインの涼みどころの宿谷の滝(しゅくやのたき)に向かいます。
鎌北湖の西の端まで進み、そこから林道権現堂線に入ります。森の中を行くこの道はずっと木陰で涼しいのですが、上りがちょっときついです。
この林道権現堂線からは林道宿谷権現堂線が分岐します。この分岐点が本日の最高標高地点です。
ここでちょっと遅れていたクッキーを待ちますが、心配になったサンダリアスが迎えに行くと、意外とすぐそこまで上って来ていたようで、すぐにやってきました。
この分岐で体勢を整え直して林道宿谷権現堂線を下り出します。この序盤は急勾配のヘアピンカーブが連続するので慎重に行きます。
このカーブを抜け出て道が直線基調になると、勾配が穏やかになり、安心して下れるようになります。道の南側は谷で、渓流が流れているようです。
直線基調だった道にカーブが現れると、その先に宿谷の滝の入口があります。
この入口にはかろうじて車が一台駐車できる程度の空地があるので、そこに駐輪して滝に向かいます。
滝に向かう道は階段の下りで、上から見るとこれはかなり長く続くように感じます。ここで下から、子供の楽しそうな声が響いてきました。こんな暑い日に考えることはみんな同じで、ちょっとでも涼しいところで過ごそうと、ここに家族でやってきたのでしょう。
道が方向を変えさらに下って行くと、空気がひんやりしてきて、ザーッという水の音が聞こえてきます。階段の途中の木陰から横を見ると、スマートに流れ落ちる滝が見えました。
これが宿谷の滝です。高さは12mだそうで、水量は多くはありませんが、ストレートな水の流れが美しいです。
ここで滝ジャボした人、若干一名。もうおわかりですね。(笑) その他の面々もみんな水に足を浸けたり腕を浸けたりしています。クッキーは、『やっぱり着替えのズボンを持ってくれば良かった〜』 と、滝ジャボできないのが残念でたまらない様子。
まあとにかくみんなそれぞれに、ここでゆっくり身体を冷やしたのでした。
さて、本日のメインイベントが終わったら、サブイベント会場に移動です。
宿谷の滝からは、またカーブの下り坂です。
下の道に突き当たると、そこには宿谷の滝から流れ出た宿谷川が流れています。
ここまで下ると道の勾配はかなり穏やかになります。
毛呂山町に入り、八高線と東武越生線の線路を越え、葛川沿いに田んぼの中を進んで行きます。
やってきたのは坂戸市の小島ぶどう園。ここがサブイベント会場です。
実はここでぶどう狩りの予定だったのですが、試食として出された巨峰をたくさん食べてしまって、もうお腹いっぱいと、ぶどう狩りは次回に持ち越しに。
なんということだ!
ぶどうって、これを一つづつ手作業で被せるのですから大変ですね。
一房もぎたいけれど、もいでも食べきれないな。しかし家族思いのシュンシュンは二房買い上げ、バッグの中にそーっと忍ばせて持ち帰るのでした。
シュンシュンのお蔭で恥ずかしい思いをしなくて済んだ私たちは、また来年来ますね、と言って小島ぶどう園を後にしたのでした。
さて、小島ぶどう園の近くを流れているのは高麗川です。先ほどの宿谷川はこの高麗川に流れ込んでおり、高麗川はこのすぐ東で越生を流れていた越辺川と合流します。
その高麗川には沈下橋の若宮橋が架かっています。この橋は老朽化により2016年に架け替えられたものです。橋脚は以前は丸太でしたがコンクリート製になりました。桁はかつては米国製の鉄道レールが用いられていましたが、これはどうなったでしょうか。
若宮橋を渡って高麗川の土手の自転車道を行きます。
ここからは富士山が見えるのですが、残念ながらこの時は見えなかったようです。
上がりは坂戸駅近くの『ふるさとの湯』。夏の暑い日はやっぱり温泉がなくちゃあね。
この日は露天風呂でゆっくり一時間ほど温泉に浸かり、一日の汗を流したのでした。
そして最後の〆はイタリアン居酒屋で、シーザーサラダ、カルパッチョ、ガーリック・シュリンプなどをいただきました。どれもおいしかったです。ごちそうさまでした。
今日は強烈な暑さでしたが、うまく水辺と森をつないでなんとか走れました。たっぷり時間はとったつもりでしたが、結局その時間をフルに使ってしまいました。のんびりゆっくり、お尻を叩かれないで走るこういう企画も、たまにはいいですね。