武蔵五日市駅
11月。紅葉シーズンの始まりです。いつもならこの三連休は遠出をするのですが、今年の企画は台風のために流れてしまいました。代替案を考えるにも、通行止めが多すぎてとても短時間では纏まりません。そこで既知のコースを。
今年の紅葉は遅いようなので、東京近郊でこの時期に紅葉が始まっているのは奥多摩くらいでしょう。ということで、やってきたのは武蔵五日市駅です。
駅前のr33檜原街道
周囲の山はまだ緑色ですが、駅前のr33檜原街道の街路樹はすでに紅葉が始まっています。
これなら、山の上の方は少しは紅葉しているかもしれません。
色付いた木
檜原街道は車が多いので、私たちはここはいつも裏道の秋川左岸を行きます。
伝統的な民家
伝統的なたたずまいの民家の庭先の柿の木はいい色です。
石垣の横を行く
この秋川左岸の道は特に何があるというわけではないのですが、鄙びていてとてもいい感じです。
ちょっと上り
秋川の両岸から山が迫っているところにやってくると、道は川のぎりぎりのところを通っています。
こんなところには決まってアップダウンがありますね。
花の擁壁
この山側には一軒の民家があり、その擁壁は小さなピンク色の花で覆われています。
この花、時々見かけるのですが、未だにその名を知りません。なんて言う花でしょう。
養沢川沿い
急に前方が明るくなると、薄暗い山道風のところから養沢川沿いに出ます。ここは落合で、秋川に養沢川が流れ込んでいます。
養沢川の上流方面に進み、新橋を渡ったところで左の細道に入るとそこは寺岡という集落で、ちょっとした激坂が現れます。その激坂を上り終えたところで畑作業をしていた方が、この先は通行止めだと教えてくださいました。下に出ていたはずの案内表示を見落としたらしいです。
寺岡の集落を上る
今日のルートはすべて通行止め情報をチェックしましたが、あきる野市は市道○○線のどこそことしか書いていないので詳細位置の特定ができませんでした。ごく一般の人は市道○○線と言われてもわかりません。地図で示してよね!
それはともかく、この通行止めがどんな様子か聞かぬうちに教えてくださった方はどこかに行ってしまったので、とりあえず下にあるはずの案内表示を確認することにしました。道の入口まで戻ると、横に置かれたA型バリケードに、『この先通行止め』と書かれています。
倒れた電柱
表示はあるにはありますが、それは道を塞ぐ形ではなく、どかされて横に置かれている状態です。この道は生活道路なので住民の方がどかしたのかもしれませんが、とにかく封鎖の程度はごくごく軽いものなので、行ってみることにしました。
すると上からハイカーが数人降りてきたので様子を伺うと、電柱が倒れているけれど通行は可能とのことです。そこでそのまま進むと、その通りに電柱が倒れています。そっとその下をくぐらせてもらい、無事反対側に抜け出ました。
おやき屋さんの横でガックシの面々
『よかった〜、これでおやき屋さんに行けますよね。』 と、何よりここを通過できたのを喜ぶのはクッキーでした。
さて、製材所の横を通り無事に乙津(おつ)の集落に下りました。クッキーが言うおやき屋さんは秋川の乙津橋の少し上にあります。そこまで下って行くと、小さなログハウスのおやき屋さんのカーテンは閉まっていて、ドアには『本日は閉店しました』とあります。時は9時半。ここの営業は8時半からと聞いていたので、この日は臨時休業か何かなのでしょう。これにはガックシのクッキーでした。
青木平橋から見る秋川
しかしこればかりはどうしようもありません。とにかく秋川の近くまで下ってしまったので、乙津橋から秋川の流れを眺めることにします。ここの周囲の木々は僅かに色付いてきたところ。
このすぐ横のキャンプ場の中を通って元の道に戻ろうと思いましたが、この先は私道で通行不可だったのでおやき屋さんの前に戻ると、そこに丁度おやき屋さんのおばさんがやってきたところでした。しかしおやきはそうすぐにはできないので、結局これは断念。
r33檜原街道
秋川左岸を進むとすぐに多肉植物販売所というところが現れました。そこのオーナーからどうぞ見ていってくださいと声をかけられたので、近くに食べ物を売っているところがないか聞くと、向かいの家がおいしいシフォンケーキを作っていると言います。これを聞いたシュンシュンがさっそく向かいますが、ここは11時からとのことで、これも残念。
青木平橋で秋川を眺め、檜原街道に出たら一路西へ向かいます。この道はちょっと交通量が多いので要注意です。
森の風°
おやきが買えなくてブーたれているクッキーですが、その他のみんなもおやきを当てにしていたので、このままでは補給食がありません。この先には有名な豆腐屋のちとせ屋さんがあるにはありますが、あそこのおからドーナツは10時半からなのでまだちょっと早いです。
何かないかな〜と思っていると、道脇に手作りパンの標識が。森の風°(もりのぷう)さん。おいしいそうなパン屋さんが見つかって、みんなとてもうれしそうです。よかった〜
このお店の壁には小型のアルペンホルンが飾られていますが、これはこのすぐ近くで制作されたものだそうです。
橘橋
さて、森の風°さんのパンで小腹を満たしたら、さらに檜原街道を行きます。
檜原村役場を通り過ぎ、橘橋までやってきました。ここの木々はごく僅かに色付き始めたところです。
急勾配の屋根を持つ民家
北秋川と南秋川が合流し秋川となる橘橋の先でT字路を右折し、北へ向かいます。私たちが行く道はr205水根本宿線となり、その横を流れるのは北秋川となります。
奥多摩は東京の中ではもっとも雪が多い地方なので、古い民家の中には急勾配の屋根を持つものもあります。この家は現在は瓦葺きですが、かつては茅葺きだったのでしょうね。
水根本宿線と北秋川
豆腐のちとせ屋さんがある払沢の滝の入口には、滝までは行けない旨の表示がありました。
その先の瀬戸沢林道も台風の影響で通行止めになっているので、残念ながら今回は水根本宿線でぐるっと廻ります。
中里の水根本宿線
今日のメインディッシュはこの道のずっと奥にある入間白岩林道(いりましらいわりんどう)ですが、実はそのピークまではずっと上りっ放しです。
序盤はあまり上りという認識はないのですが、ちとせ屋さんを過ぎたあたりから、徐々に上りを感じるようになってきます。
北秋川
道横にはずっと北秋川が流れています。白く濁っていて、なんだか氷河の水みたいですね。
水の流れる音を聞きながら走るのはとても気持ちいい。
白倉
道は中里、白倉と小さな集落を抜けて進んで行きます。橘橋までの檜原街道は結構な交通量でしたが、この水根本宿線に入ってからはそれがぐんと減り、このあたりはもうかなり少なくなっているので、ほとんど車を気にすることなく走れます。
森のプーさんですっかり機嫌を直したクッキーは快調そのもの。最後尾はみんなを守るようにして走るシュンシュン。
先っちょだけ紅葉
白倉の集落の先で右岸の細道に行く橋があったので覗いてみました。
川辺に生えた楓は、水に近い下の方の葉だけ紅葉しています。
北秋川右岸の細道
この橋から続く北秋川右岸の道は台風の影響でどうかなと思ったのですが、ここは短いので行ってみることにしました。
果たして道は問題なく、苔むした石積みの擁壁を見ることができました。
神大橋
青いアーチ橋の神大橋が見えてきました。
ここを右折すると神戸岩(かのといわ)ですが、そちら方面も通行止めで、大ダワの鋸山林道を通って奥多摩には抜けられません。とにかくしばらくは幹線道路以外はかなり慎重にチェックしてからでないと走れませんね。
神大橋付近の紅葉
ここに来てようやく、山の中にもうっすらと色付き始めた木々が現れるようになりました。
小岩
小岩までやってきました。
この写真の右から降りてくるノンスリップ加工が施されたコンクリート舗装の道が、払沢の滝から続く瀬戸沢林道の下り口です。
せせらぎの音を聞きながら上る面々
小岩の先からは道の勾配に強弱が付くようになります。ちょっと急になったり穏やかになったり。
それでも変わらずに横を流れるのは北秋川です。
にこやかに進む面々
この道はロードバイクに股がる人々のトレーニングコースのようで、たくさんのバイカーが私たちを追い越して行きますが、私たちは周囲の山々の変化を眺めながらゆっくり行きます。
『わぁ〜、あそこ、赤くなってきてるね〜』 と、ちょっとした紅葉にも笑みを浮かべるサリーナ。
深い山の中の紅葉
その山はこんなです。
日向平
いつの間にか道幅がぐっと狭くなっていて、中央車線がなくなっています。
藤倉が近づいてきました。
藤倉
ここが武蔵五日市駅から来るバスの終点の藤倉です。左に見える橋の先は山道。右手の道を行くとトイレとバスの折り返し場があり、そのずっと先には最大斜度45°近い勾配のモノレールに乗って行く小林家住宅と『雨乞いの滝』があります。私たちが向かう入間白岩林道は左手の道のさらに先です。
面白いことにロードバイカーの皆さんはここで折り返して戻って行きます。私たちはどちらかというとここまではプロローグで、これからが本番なのですが。
入間白岩林道へ
入間白岩林道に続く道に入ると、この先は俄然雰囲気が変わり、一段と山の中度がアップします。
道幅はご覧の通りの狭いものになります。都道は先の藤倉から小林家住宅方面に続いていき、こちらは都道ではなくなるのでおそらく村道なのでしょう。そのためか路面も少し荒れています。
薪
道脇に薪となるのだろう木材が置かれています。森林資源が豊富な日本では、かつて燃料の主力は薪でした。
現在は電気やガスといった簡便なエネルギーが使われることがほとんどですが、このあたりではまだ薪を使う家もあるのでしょう。薪が燃えるあの赤い火は、だだ見ているだけで楽しいです。
赤く色付いた木
北秋川に月夜見沢が流れ込むと、道の勾配は一段アップ。私たちの息もアップアップになってきます。
このあたりから北秋川は倉掛川あるいは白岩沢と名を変えるようです。
上るサリーナ
その沢を横目に、きつい坂道をなんとか上って行くサリーナ。
あれ、そのあと続いていたクッキーは・・・ たぶん押しに入ったのでしょう。
風張林道上り口
右手にもの凄い角度で上って行く道が現れました。ここが超が付く激坂で有名な風張林道の入口です。
私たちが行く入間白岩林道の入口はこのすぐ先なので、ここでちょっと休憩です。森のプーさんで買ったパンでエネルギーを注入します。その間にここから風張林道に向かうバイカーが二人いました。みなさん、がんばりますねぇ。
入間白岩林道入口
さて、私たちには風張林道はお呼びでないので、やってきた道をそのまま先へ進みます。細い倉掛林道を正面に見、左に折れて小さな橋を渡ると、入間白岩林道の入口を示す青い標識が立っています。
これまでいい音で耳を楽しませてくれた北秋川とはここでお別れ。
入間白岩林道上り口付近
橋の先の道はカーブしていて、すぐに急勾配の上りとなります。この上り出しはちょっときつい。
かつてここは砂利道だったのですが最近舗装されたようで、路面はきれいなアスファルトになっていました。よかった〜 これで押さなくても上れそうです。そして心配していた台風での倒木や枝などの散乱は、すでにすっかり片付けられたようです。
入間白岩林道を上るサリーナ
標高は700mを越えました。
このあたりになると周囲の紅葉もいい感じになってきています。
上るクッキー
シュンシュンはガシガシ漕いで行ってしまい、あっという間に見えなくなってしまいました。
サリーナがそのあとを追い、サイダーとクッキーはのろのろとなんとか上って行きます。
カーブの先がピーク
カサコソという落ち葉を踏む音が心地いい。
サイダー&クッキー
2.3kmで200mの上り。平均斜度8.7%。なんとかサイダーとクッキーも上ってきました。本当はちょっと押したけどね。
入間白岩林道のピークには先客がいました。私たちが到着すると、その中の一人が『ジオポタの方ですか。』と聞いてきました。これにはちょっとびっくり。その方は良く私たちのWEBペイジを見てくださっているとのことで、何だか見たことのある人たちだなと思ったのだそうです。いや〜、悪いことはできませんね。(笑)
藤原峠付近
お名前をお聞きするのを忘れて失礼をしてしまいましたが、トップの写真はその方が撮ってくださったものです。ありがとうございました。
さて、この入間白岩林道のピークには峠であることを示すものは何もなく、 ただ浅間嶺と風張峠方面を繋ぐ細い山道が出てきているだけです。ここは藤原峠と呼ばれることもあるようですが、それは元々はこの上の山道にある峠を指したようです。まあ、新しい道ができると峠の場所も移動するというのは良くあることなので、ここを藤原峠と呼んでもいいかもしれません。
数馬へ下る
藤原峠を越えたら反対側の数馬に下ります。
この序盤は比較的穏やかな勾配で、南斜面なため木漏れ日があっていい気持ち。
三頭山方向の谷
だいぶ下ってきました。細かいカーブをいくつかこなし、少し長い直線区間に出ると右手の視界が開き、数馬の先の谷が奥まで見えます。方向からするとあの山は三頭山でしょうか。
鮮やかな黄緑色とオレンジ色
上を見上げれば、まだ紅葉が始まらない鮮やかな黄緑色の木と、その上に覆い被さるすっかりオレンジ色になった木が、いい対比を見せています。
南東の山
さらに下ると南東の山が見えてきました。
いくつもの山襞が重なっています。
サリーナ、クッキー、シュンシュン
並んでどんどこ下ります。
このあとはかなりの激坂になり、路面も荒れたところが多くなり、コンクリート舗装のところも出てきます。
色付いた葉っぱ
数馬に下ってきました。
道脇に『浅間坂』という看板が出ています。浅間坂はかつて民宿でしたが、今は浅間湯という風呂と木庵という蕎麦屋になっています。ここでお昼にします。
木庵
コンクリート舗装の激坂道を上ると、清水の舞台のように高いやぐらの上に、比較的新しく建てられた木庵が立っています。
庭にはソバの実が干されています。よく考えると蕎麦っていうのはかなり効率の悪い食べ物ですね。あのちっこい実からどれほどの蕎麦ができると言うのでしょう。
石臼曵き とろろそば
まあそれは置いておくとして、ここでは刺身こんにゃくととろろそばをいただきました。サービスで出てきた千成ひょうたんの漬け物と煮物、そしてゆずの甘煮がおいしかったです。
こんにゃくはみずみずしく、自家製感たっぷり。そして蕎麦はちょっと食べたことのない食感です。かなりの太麺で、もちもち。コシがあるといえばそうなのですが、ちょっと普通のコシとは違います。語彙が少ないのでこれ以上は表現できないですが。あ、ここの蕎麦、かなり大盛りです。
南秋川に架かる一枚石橋
さて、お蕎麦をいただいたらr206檜原街道に下ります。
下に南秋川に架かる一枚石橋が見えます。その向こう側が檜原街道です。
r206檜原街道
一枚石橋を渡って入間白岩林道に別れを告げ、r206檜原街道に入ります。
こちら側の檜原街道は、東京でもっとも標高が高い道路とされる風張峠(1,146m)を通る奥多摩周遊道路から続く道で、モーターバイクが多い。
入間白岩林道が通る山の紅葉
左に今下ってきた入間白岩林道が通る山が見えます。こうして見ると、かなり色付いてきていますね。
さて、今日の終着点は上野原なので、数馬からは南秋川沿いを上川乗(かみかわのり)まで下り、甲武トンネルをくぐります。
上川乗交差点に立つ民家
ぐわ〜っと下って行くと、あれ、後続が来ない。しばし速度を落として待つも、来ない。何か起こったかなと思っているとサリーナがやってきて、クッキーがパンクしたと言います。仕方がないのでいったんクッキーとシュンシュンがいるところまで戻ります。
なんとかパンク修理が済んで、上川乗の交差点まで下ってきました。ここに二軒並んで立つ民家は共に大屋根で素敵です。
南秋川橋
ここで右折して南秋川橋を渡り、甲武トンネルまで上ります。
やってきた道を見下ろす
南秋川橋と甲武トンネルの標高差は200m。これはちょうど数馬と南秋川橋のそれと同じです。
つまりたった今、数馬から下ってきた分をそっくりそのまま上らなければならないのです。ここでブーたれるもの約一名。(笑)
サイダーとブーたれクッキー
いつものようにシュンシュンとサリーナはさっさと上ってしまいました。
そしてこれまたいつものように、残されたサイダーとブーたれクッキーが、時々押しを交えながらゆっくりゆっくり上って行くのでした。
栗坂トンネル
押してでも引いてでも、とにかく前に進めばいつかは目的地に到着します。栗坂トンネルの入口に到着です。そうそう、ここは甲武トンネルが有名ですが、それに連続してこの栗坂トンネルがあるのです。
栗坂トンネルの長さは200m強、甲武トンネルのそれは1km弱で合わせるとかなりの距離になりますが、ここは車が少ないので大抵は恐怖を感じることなく通過できます。
棡原
甲武トンネルをくぐり抜けるとその先は山梨県の上野原市です。
ぐわ〜んと下って棡原(ゆづりはら)。
棡原から鶴川上流の谷を見る
棡原からは鶴川の右岸の県道ではなく、左岸の鄙びた道を行きます。
ところがここでクッキーがまたもやパンク。というか、先ほどのパンクで当てたパッチからのエア漏れのよう。なんだかパッチの具合が良くないようだったので心配していたら、案の定、ってことなのですが。
鉄橋を渡る
一度空気を入れて様子を見るも、やはりまた抜けるようなので再度パンク修理を。今度はサイダーが持っていたパッチにしたので、これはオーライ。
しかしすっかり暗くなってしまいました。特徴ある鉄橋を渡り、
夕焼け
うっすらと夕焼けが残る中を上野原に下って行きます。上野原に入ったら街の中心部の台湾料理屋さんで反省会です。
このレストランにはテレビがなかったので、スマホでラグビー・ワールドカップの決勝戦、南アフリカ対イングランド戦を見ました。なんとイングランドはノントライ。日本を破った南アフリカが優勝です。ヒュ〜〜
まあ、今日はいろいろと反省を強いられるポタリングでしたね。おやきが食べられなくて遭難しかけた件、パンク修理でチューブをバーストさせた件、パンク修理でパッチがうまくいかなかった件。。
しかし今日のコース、心配された台風の影響はほとんどなく、なんとかうまくいきました。メインの入間白岩林道は車は皆無で、飛ばしやのバイカーもいないのでのんびり走れました。ここはなかなかいい道です。