秋の長雨とは良く言ったもので、ここのところずっと雨が続いています。昨日は一日中本降りの上、気温は12月並の12〜13°Cだったらしく、私は暖房を入れてしまいました。来週も雨予報が続きますが、この日曜日だけは曇りマーク。ただし朝方まで雨が残りそう。
そんな時のお助けコースは、都心から近くてアクセスが容易な荒川サイクリングロードです。
時期的に言えばコスモスの季節なので、何年かに一遍訪れる、新河岸川のコスモス街道と吹上の荒川河川敷に作られた広大なコスモス畑を繋ぐルートにしました。もっともこのいずれも今年は新型コロナウイルス感染症の影響で、予定されていたコスモスまつりは中止になっており、どの程度コスモスがあるのかわかりません。
新河岸川の支流の柳瀬川が流れる柳瀬川駅から川沿いに志木に向かいます。雨は上がったのですが、あちこちの路面にしっかり水溜まりが残っています。
志木市役所の前を通るr36に出ました。これを市場坂上方面にちょっと行くと、いろは樋の大枡と登り竜(復元)があります。
いろは樋は江戸時代に川越藩主の松平(伊豆守)信綱によって作られた野火止用水(伊豆殿堀)を、新河岸川を跨ぎ越して宗岡地区に導いた水路橋です。
長さ220m、幅と深さはそれぞれ42cm、川面からの高さ4.4mという木製の樋です。なんか凄そう!
柳瀬川に架かる栄橋を渡ると、あれれ、志木市役所がない! 志木市役所はどうやら建て替え中らしく、関根伸夫の彫刻『空相』(1972年)だけが残され、あとは更地になっていました。
この志木市役所の東を流れる新河岸川の両岸には遊歩道が設えられており、例年この時期はこれに沿ってコスモスが満開になります。しかし今年はコスモスは植えられないと聞いていたので、こぼれ種から芽が出ていたらラッキーと思っていましたが、市役所側にそれはまったく見当たりませんでした。
ふと対岸に目をやると、なんとそこにコスモスが咲いています。ここは向こう側を通るべきでしょう。
新河岸川に架かる『いろは橋』を渡るとすぐ、いろは樋の跡(写真)があります。懸け樋だったいろは樋は洪水によりしばしば被害を受けたようで、時代が下るとその修繕のための木材の入手が困難になってくるなどの事情もあり、明治時代にこれは埋設鉄管に置き換えられました。その長さは272mほどだったようです。この時、大枡も木製から煉瓦製に替えられました。
その後の新河岸川の改修に伴い、いろは樋も再度の改修を余儀なくされ、全長109mほどの潜管に替えられました。この時は鉄管の足りない分を鉄筋コンクリート管で補ない、コンクリート製マンホールも増設されたようです。
鉄管が置かれた広場の奥の民家の庭先には、黄色からオレンジ色になりつつある柿の実がたわわに生っています。
秋ですね。
さて、ここからが新河岸川の左岸上流方向に続くコスモス街道です。
『お〜、咲いてる咲いてる!』 と、このコスモスを見て感動の面々。
ここは市民ボランティアの方々によってコスモスが植えられていたはず。市がコスモスはないと言っていたのは想像ですが、種の配布はしない、ということだったのかもしれません。
とにかくここは、コロナに負けずにしっかりボランティアの方々がコスモスを咲かせてくれたようです。
咲いているのはピンク色や白といった伝統色です。
これは濃い赤。
咲いてて良かったね〜 と喜ぶ面々は左から、このあたりは庭だぜのムカエル、ここは裏庭よのリッちゃん、このあたりには時々来るよ〜のマージコ。
今日の天気予報は曇りですが、空にはうっすらと青空が見え、お日様もちょっと顔を出しています。
風速は2〜3mとのことだったのですが、ここは川辺だからちょっときつい冷たい北風が吹き付けており、花がゆれゆれでなかなか丁度いいアングルで写真に入ってくれません。
この土手のコスモスは残念ながら150mほどしか続いていませんでした。でもまあ、ここでコスモスを見られたので良しとしましょう。
新河岸川を上流に向かい、次の袋橋で右岸に渡ります。
前方に外秩父の山々が見えてきました。空の青みが増してきて、気分は良好。
新河岸川の支流の富士見江川に入りすぐのところにある、鶉橋(うずらばし)までやってきました。
例年はこのあたりまでコスモスがずらりと咲き並んでいるのですが、残念ながら今回は最初に観たいろは橋付近のコスモス以外にはそれを見ることはできませんでした。
新河岸川に戻ってさらにその上流に向かいます。
蛇木河岸跡あたりで新河岸川の土手道は通行止め。下の道を行きます。
すると民家の奥にコスモス畑がありました。伝統三色がびっしり。
これは中央が白で周辺がピンク色。ちょっとだけ変わっている?
快晴とはいきませんが、やっぱりコスモスには青い空が似合います。
土手道が行けないのでこの辺をうろうろ。
すると温室がたくさん並んでいて、その中でこんな植物が育てられていました。三色スミレの仲間のようです。
コスモスとスミレを楽しんだら新河岸川を離れ、びん沼自然公園に向かいます。
首都圏を流れる大河である荒川の周辺には当然ながら田んぼがたくさんあります。
ここはすっかり稲刈りを終え、刈り取られた稲の切り株からまた緑色の葉っぱが生えてきています。
向かい風がきついですが、日差しが強まってきてうっすら汗をかきはじめました。
びん沼自然公園に到着。
この公園はびん沼川の畔にあり、東側は広大な湿地帯になっていて葦がびっしり生えています。鳥の鳴き声があちこちからするのですが、残念ながらその種類がわかるものは私たちの中にはいませんでした。
ぐねぐねとうねったびん沼川はかつては荒川の本流だったそうですが、しばしば水害を起こしたため大正時代に河川改修が行われ、現在の荒川が作られました。その結果、びん沼川は堰き止められて遊水池となったのですが、堰き止められて瓶のようになった沼ということで、瓶沼の名が付いたそうです。
ここは『関東の富士見百景』に選出されているようなのですが、湿地帯の横にある展望デッキに上ってもそれは見えませんでした。富士山の方角を考えると、周囲の木々がじゃまをして空気が済んだ日でも見えないんじゃないかと思います。
富士山は残念でしたが、気落ちのいい芝生広場の間を通り抜け、園内を一周しました。
びん沼自然公園を出たらびん沼川に沿って進みます。
ほとんど流れがなくなったびん沼川は生け簀状態になり、釣りのメッカとなりました。道端にたくさん車が停まり、大勢が釣り糸を垂らしています。
治水橋の下を潜って進めば、川岸はちょっとした林で覆われるようになります。
ここは竹やぶ。
この竹やぶの先に高い土手が見えます。荒川に出たのです。
入間川と荒川の合流点に架かる上江橋までやってきました。ここからは両川の間を行く荒川サイクリングロードに入るつもりにしていたのですが、これは今改修中で入れなかったため、そのまま荒川を渡ってその東岸を遡ることにしました。
ところが東岸の荒川サイクリングロードも工事中で迂回を余儀なくされます。どうもあちこちで土手の工事がされているようですが、これは去年の台風19号の影響でしょうか。
1kmほど進んでようやく土手に復帰。ただし土手上は工事中で、土手中の道を進んで行きます。
見覚えのある上尾市西貝塚環境センターの煙突が見えてきたところでようやく土手の上の道に上れました。
開平橋から北の荒川サイクリングロードはとても狭く、歩行者がいたり対向車が来るとかなり気を使いますが、それでも一応サイクリングロードに復帰です。
この自転車道は荒川のすぐ近くを通っているので、時々その川面が見えます。
荒川は下流の放水路では幅が500mほどありますが、このあたりは通常は50mあるかどうかといったところです。
畑の中の狭い荒川サイクリングロードを進んで行くと、咲いていました、コスモス。
その向こうに見えるのは外秩父の山々。いつの間にか大きくなってきました。
榎本牧場に到着。
牛さんが二頭、柵の中で寝そべっています。小さな女の子が恐る恐るそこに近づいて行きます。怖いかな〜
そう言えばここは去年の台風19号で浸水したそうです。その時の荒川の幅はどれくらいだったのでしょう。あれからほぼ一年。今は何事もなかったかのように営業されています。良かった。
ここに来たらやっぱりアイスクリームを頂かないとね。
濃厚なミルクで作られたここのアイスクリームはやっぱりそこらへんのものとはひと味もふた味も違います。
榎本牧場のアイスクリームに満足したら、樋詰橋(ひのつめばし)を渡ってホンダエアポートに向かいます。
今朝方までの雨で、荒川はご覧のように濁っていました。
ここに来て空から青い色が退き、白が支配的になってきました。
今日は落下傘の花が見られるかな〜 雲が多いときは飛ばないのかな〜
ホンダエアポートに到着すると、ちょうどスカイダイビング用の飛行機が離陸して行きました。
かつて空を飛び回っていたマージコによれば、この飛行機にはドアはなく、ネットが張られているだけだそうです。横腹を良く観察してみると、確かにドアではなくネットでした。お〜怖〜〜
この飛行機は高度3,000mまで上昇し、それからダイバーが飛び降り落下傘が開くまでは今から10分程度らしいのですが、お腹がぺこぺこなのでこれは待たずに昼飯処に向かうことにしました。
太郎衛門橋とR468の高架橋をくぐり抜けると、左手に鳥羽井沼が見えてきました。
この沼の畔にはかつて、おじちゃんとおばちゃんでやっているサイクリスト歓迎の茶店があったのですが、それがなくなってからは足を向けることもなくなりました。
西を見れば広大な田んぼの先に外秩父の山々が見えます。
あの山の向こう側に秩父盆地があります。
市野川を渡り、土手を乗り換えて吉見の桜堤に入ります。
ここは春には桜と菜の花で見事な風景を作り出しますが、この時期はサイクリストは通るものの、いたって静かです。
桜堤を抜けたら再び荒川の左岸の北本にある昼飯処に急ぎます。
このあたりには伝統的な佇まいの農家が残っています。前に畑、うしろに巨大な木が生える屋敷林。
この向かいの家の庭先には、もうすぐ口が開いてルビーのような真っ赤な果肉が見えるだろうザクロの実が生っていました。
本日のランチはイタリアンのアドマーニ。
大抵混んでいるのでちょっと待たなければなりませんが、おいしくて雰囲気のいいレストランです。
おいしいランチを頂いたら、北本水辺プラザ公園に下ります。
ここは荒川の流れが間近に見られ、芝生の広場があるので家族連れで賑わっています。
北本からは荒川に沿って吹上に向かいます。
ここから荒川の流れは次第に自転車道から離れて行くので、しっかりその流れを見ておきます。
長〜い御成橋を潜ります。
この御成橋の東詰付近には『川幅日本一』の標識が立っています。
日本で一番川幅が広いところは御成橋から北に630mほど行ったところで、その幅は2,537mだそう。ここがそのあたりなのですが、肝心の荒川は見えないときた。(笑)
まあ、ここで言う川幅は通常実際に水が流れているその幅ではなく、所謂土手と土手の間の距離ですから、あまりピンと来ません。たぶん向こう側の土手は遠くに見える連続して木が生えているところあたりかと想像するのですが、どうもはっきりしません。
それはともかく、ここに2.5kmの幅の川が出現する可能性はあるということですね。なんだか恐ろしい・・・
川幅日本一を通過してさらに荒川サイクリングロードをどんどこ行きます。
巨大なコスモスアリーナ吹上とその先の荒川水管橋が見えてきました。
このコスモスアリーナ吹上の前の河川敷には、例年なら目を見張る広大なコスモス畑が見られるのですが、今年はコロナで種まきを取りやめたと聞きました。去年は台風の影響でこの畑も被害に合っているので、こぼれ種から花を咲かせるものも少ないだろうとは思っていましたが、淡い期待はありました。
しかしその期待は、、、 なにもありません。完全にまったく。恐ろしいほどの荒野状態。
しかしパークゴルフ場の横に小さなコスモス畑が作られると聞いたので、そこに向かってみました。
あちこち見回してようやくゴルフ場の横の駐車場の入口にそれを見つけましたが、そこには多くが未成熟であるコスモスの木と、ほんのちょこっとだけ咲いているコスモスがあるきり。
広大なコスモス畑は作らないことにしたけれど、やっぱりちょっとだけでも作ろうか、と考えたのでしょう。種まきの時期が遅かったので、まだ生育が充分ではないのではないかと思いました。ん〜ん、ここはちょっと残念。
午後に入ってからは空に青空が戻ることはなく真っ白なままで、ちょっとうすら寒くなってきました。
そろそろ上がり時かなと、ここからは大芦橋を渡り東松山に向かうことにしました。
荒川右岸の吉見町にもコスモス畑があったはず。まだ時間はたっぷりあるので、そこがどうなっているか覗いてみることに。
どこだったかこの辺りで富士山が一瞬顔を出してくれました。天気が良ければなかなかの富士山眺望ポイントです。
右岸の荒川サイクリングロードをどんどこ行くと、御成橋に続くr27東松山鴻巣線が近づきます。
このあたりが川幅日本一で、先ほど左岸から見た対岸です。ここからは向こう側の土手はまったく見えず、近くに鬱蒼とした木々が見えるだけです。向こう側から見えた連続して木が生えているところはあそこだったようです。
吉見町のかつてはコスモス畑だったところにやってきました。ここの情報はほとんどなかったので、今年はコスモス畑は作られないだろうなと思っていました。そして結果はまさにその通りで、荒れ地が広がるばかり。
こぼれ種から生えたのか、それとも誰かが種を播いたのかはわかりませんが、数本のコスモスがその縁に咲いていました。
両側を低い丘に囲まれた中に築かれた田んぼに入ると、その入口にある沼でとある一家が釣りをしていました。
子供たちが元気よく『こんにちは』と声を掛けてくれたので、釣りの様子を覗かせてもらうと、鯉や鮒がたくさん釣れていました。餌はでっかいミミズ。最近はこうした生き物を嫌う子供も多いと聞きますが、この子らはそういったことはなく、元気いっぱいに楽しんでいるようでした。
リッちゃんによればこのお父さんがヤンキーっぽくて良かったって。彼女のイメージではなぜか東松山ってヤンキーがいっぱいいるところらしい。若いヤンキー父ちゃんに会えてラッキーなリッちゃんでした。(笑)
市野川の東岸には懸造りの岩室観音堂と吉見百穴があるのですが、今回はもういいよね、ということで東松山駅に直行。東松山駅の造りはかなり立派で、ヤンキーっぽくなくてちょっと残念かな。
さて、今回はほとんどが自転車道でほぼフラットな初級者向きのコースでした。始めから『ない』とわかっていたコスモスを探す旅でもありましたが、ちょこっとだけでもそれが発見できたので良かったです。見事なコスモスは来年に期待しますが、まあ何よりこの雨続きの天気の中、それなりに走りを楽しめたのが一番ですね。
関連レポート
1618荒川と新河岸川のコスモス'16
1518秋バラと荒川のコスモス
1207比企丘陵とコスモスの荒川左岸
0415新河岸川コスモス街道