新型コロナウイルス感染症の流行でしばらくまともな企画を行っていませんでしたが、緊急事態宣言が解除されたので、様子を見ながら再開したいと思います。
やってきたのは多摩センター駅。春の東京近郊企画は多摩の里山から始めます。このあたりは私たちのお気に入りの場所で半年ほど前の秋にもやってきたのですが、春はまた違った表情を見せてくれると思います。天気は上々で暖かく20°C近くもあり、半袖でもいいくらいです。
まずは小野路の入口となる妙櫻寺に向かいます。多摩センターはニュータウンとして作られた町で、駅前には広いスーパーデッキが通っています。
そのスーパーデッキの突き当たりには多摩市の複合文化施設であるパルテノン多摩が聳え、これを廻り込むようにして進むと多摩中央公園です。
多摩はもの凄く広いエリアですが、その中央の公園という名を持つここはやはりかなり広い公園で、なかなか気持ちのよいところです。都心の桜はすでに満開ですが、このあたりもそれに近くなってきています。
多摩中央公園の落合白山神社で本日の安全祈願をし、いったん多摩中央公園通りに下ります。
多摩中央公園通りから落合団地の中の遊歩道に入り、これを南下します。
このあたりは1980年代に都市計画で歩行者と車の道が分離されて整備され、広い南多摩尾根幹線道路も一本杉橋で安全に渡れます。
一本杉橋の先は一本杉公園です。
この桜は満開!
一本杉公園の中には江戸時代の民家が二軒、移築保存されています。
これは旧有山家住宅で、屋根は元は茅葺でしたが銅板葺に変更されています。
ザシキは竹敷き〜
毎日足つぼマッサージができます。
こちらは旧有山家住宅のすぐとなりに立つ旧加藤家住宅。
ザシキは板敷きです。
ここでコケコッコーと鋭い鳴き声が。
旧加藤家住宅の前庭にはニワトリが7〜8羽放し飼いにされていました。放し飼いのニワトリを見るなんて、何年ぶりでしょう。
二軒の古民家の横には池があり、その畔に桜の木が数本植わっています。これもいい調子。
一本杉公園を出て恵泉女学園の横を通り、小野路の入口の妙櫻寺までやっていきました。
この入口はちょっとわかりにくいですが、妙櫻寺の駐車場と駐車場の間です。
これを入るとすぐに道は一間ほどの幅になり、傾斜地の畑の中を進んで行きます。
小野路には複雑に入り組んだ谷戸があちこちに残っています。
ここは笠松谷戸というようですが、ご覧の通りに傾斜地なので、昔から田んぼではなく畑だったのでしょう。あるいはもっと下の方が田んぼなのかもしれません。
『ほ〜、ここはのどかなところですね。』と、ビジターのジンちゃん。
ずいぶん昔に一度このあたりに来たことがあるそうですが、あらためでこのあたりののどかさを噛み締めているようです。
笠松谷戸が大犬久保谷戸(おいなくぼやと)に合流すると、そこには布田道が通っています。布田道は江戸時代の調布の布田五宿と小野路宿を結ぶ間道でした。
この布田道に私たちと同類の小径ホイールの自転車が停まっているなと思ったら、それはなんと参加の予定がなかったユッキーでした。急に思い立ったのかなんだか聞きそびれましたが、多摩センターの集合時刻には間に合わなかったので、ここで待っていたと。ということでここからユッキーを加えた6人で走ります。
その布田道を小野寺宿方面へ向かうのですが、ここからかなりきつい坂が続きます。
えっさこらさと上って行くと、坂道は『関谷の切り通し』に辿り着きます。
現代のように重機がなかった時代に道を切り通すのはかなりたいへんなことだったはずです。ここに切り通しがあるということは、やはりこの道がそれだけ重要だったということを示しています。
この切り通しから竹薮の中に延びていく小径があるのですが、それがかつての鎌倉街道だとする説があるようです。
静まり返った空気をしばらく楽しんだら、切り通しをゆっくり下ります。
小野寺宿に下ったら今回は町には寄らずに、そのまま西の森に入って行きます。
西の森も坂道が続きます。
激坂を上って行くと視界が開け、畑の中に出ました。
森の中に開けた小さな畑です。そこで農作業に勤しむ人たちがいました。
今日はポカポカの陽気で暑いくらい。こんな日にのんびり畑仕事をしたら気持ちいいだろうな〜
最近雑草研究家になったサリーナはその辺の雑草の収集に余念がありません。
これはぺんぺん草とホトケノザ。
ここからは畑の横を通らせていただいて、森の中に入ります。
畑の奥は針葉樹林です。
春になりましたが下草の篠はまだ充分に生育を始めていないので、走るのには問題ありません。
この樹林を一時的に抜けると、そこにはこれぞ多摩丘陵という景色が広がります。
木々の芽吹きが進行した重なり続く低い丘の中に、桜と菜の花。
小さい畑の作物は様々で、タマネギは育ち、農家の方は今ネギを植え付けていました。写真の作物は大根ですね。
その向こうの大木は欅で初々しい芽吹きです。森はいつの間にか広葉樹林になっています。
子供の頃はよく嗅いだ臭い匂い。家畜小屋です。中にいるのは牛さん。
いや〜、この匂いも都会暮らしだと忘れてしまいそうです。たまにここに来て嗅がせてもらいましょう。
いい匂いをたっぷり嗅いだら再び森の中に入って行きます。
すると萬松寺で、その入口付近にお地蔵さまが立っておられます。これはたぶん六地蔵だと思うのですが、あたし、最近目が悪くなっていて、どうも七地蔵に見えてしまうので困ったものです。
六か七か、七か六か、いくらお目目を擦ってもはっきりしないので、これは諦めて先に進むと、艶やかな桃の花が目に入りました。
ここは萬松寺谷戸です。この季節の主役はやっぱり桜だと思いますが桃は桜とはまた違った色っぽさがあり、いいですね。
この萬松寺谷戸の先は激坂! フロントギアが一枚しかないユッキーはここであえなく押しに。
後続のシュンシュンはブロンプトンを山岳仕様にしているのでスイスイ上ってきます。
萬松寺谷戸の先の激坂を上り終えたあとが本日の小野路で一番の難所です。ここはアップダウンがある上に、舗装に砕石が入れられてしまったので、私たちのような薄いタイヤの自転車で走るにはパンクというリスクを伴うゾーンなのです。ということで押したり引いたりしながら、なんとか進んで行きます。
小野路城址に到着です。
小野路城址は小山田城の支城で12世紀に築かれました。城の例外に当たらず、ここも周辺からちょっと高くなった高台です。
めずらしく、全員揃ったジャ〜ンプ!
小野路城址で12世紀に思いを馳せたら、奈良ばい谷戸に下ります。
ここからは空気が澄んだ日には富士山が見えるのですが、さすがに春先の水蒸気が多い時期は無理ですね。
ここには三角屋根の小屋が二棟立っています。
左に見える小さいそれは炭焼小屋で、たまに煙が上がっていることがあります。
この奈良ばい谷戸はボランティアの方々によって管理運営されており、この日は作業日で何人かがそれぞれ担当の作業をされていました。
ここにいたボランティアの方に話を聞くことができ、ついでにと、ここで焼いた炭をプレゼントしていただきました。
これは竹炭で、とてもきれいな色に仕上がっていて、叩くとカーンと鋭い音を発します。良い炭の証拠です。
サリーナ、マージコそしてシュンシュンは、ビニール袋いっぱいにこの炭を詰め込んでいました。ありがとうございます。
炭焼小屋から下ると、菜の花と桃。
いや〜、春ですね〜
桃の花って白、桃色、赤の三色ですよね。どうして一本の木から三色の花が咲くのでしょう。
谷戸のいちばん下では田んぼの準備がされていました。そう言えば前回ここを訪れた時は稲刈り直前の状態でした。
おっといけない。ボランティアの方々と話が弾んで、ついつい長居をしてしまいました。シロスキーとの待ち合わせに遅れてしまいそうです。急ぎましょう。
奈良ばい谷戸の次にやってきたのはシロスキーとの待ち合わせ場所の小山田緑地です。ここはいくつかのゾーンに別れた広い緑地で、グラウンドや見晴らし広場といったものもあります。
桜はちょうど見頃です。手前左手に見えるのは巨大なヤマザクラ。
小山田緑地の見晴らし広場に上りました。写真には写りませんでしたが、ここからは丹沢の山々がきれいに見えます。時々富士山も。
ここでほぼ半年ぶりにシロスキーと再開。
ああだこうだ、とやっているうちになんだかかなり予定時間を超過してしまっていたので、小山田緑地の分園にあるアサザ池とトンボ池を巡るのは中止して上小山田で昼食としました。
午後の部は尾根緑道からです。
尾根緑道はかつては戦車道と呼ばれた道路で、第二次世界大戦の末期に相模陸軍造兵廠で製造された戦車の走行テストをするために作られたものでした。
ここで新車の走行テストをするのはシロスキー。
道脇の緑が多くなると小山内裏公園です。
小山内裏公園の東展望広場に到着。
シロスキーが本日走行テストをしていたのはBESV(ベスビー)という電動バイク。なかなかかっこいいですね。
ここにやってきたのはロードバイクでカッ飛んできたシンチェンゾー。
本当は折り畳み自転車で来るつもりだったそうですが、しばらく輪行していないので、折りたたみ方を忘れてしまったから、と。
鑓水で尾根緑道はおしまいとなるので、そこからはR16八王子バイパスに沿って南下し、相原の丘を上りました。
斜面に沿って戸建住宅が立ち並んだ奥が私たちのフィールド。ここにもかつての多摩丘陵が残っています。今回はその端っこをちょこっとかすめます。
相原駅近くまで下ったら横浜線の線路を渡ります。
ここ、道路から線路まで急な坂道で、遮断機がその斜面にあるため、注意しないと遮断機に引っかかってしまいます。サイダーは自転車のハンドルが引っかかり、おっと危ない。
相原駅前のコンビニエンスストアに立ち寄ったら、本日の最後のチェックポイントの城山湖に向かいます。
ここからちょっとだけ境川沿いを行きます。境川はその名の通りに町田市と相模原市の境を流れています。
大戸までやってくると、先に谷戸が入り込んでいるのがわかるようになります。その先の小高い山の上に城山湖はあります。
ここに来て日が陰り始め、気温がぐっと下がったようで少し肌寒さを感じるようになりました。脱いでいたウィンドブレーカーを着込んで走り出します。
境川を渡り、穴川交差点から城山湖に向かいます。
ここまで来ると密集住宅地の引力圏を脱し、山裾には畑が広がるようになります。
足下には、つくつくつくしんぼ。
横にはみごとな桜。
道はいつの間にか穏やかな上りに。
ゲートがあったと思ったら、道の勾配がぐんと上昇。ここは穴川林道です。穴川はこの横を流れる小さな流れで、先ほど通過してきた集落も穴川、この林道も穴川です。
穴川林道には北から○○ノンスリップコンクリート舗装の道が上ってくるのですが、これは雨降林道で、その入口付近には22%という恐ろしい数値の標識が立っています。もっともこの雨降林道は距離は短いので、えいや=と踏ん張れば、上れないこともないです。
穴川林道が終わるといよいよ城山湖です。
その頂上付近は染井吉野で埋め尽くされています。
見事ですね〜
ここまで結構な坂でハヒハヒなのですが、なんとか上ってきました。そしてついに城山湖が見えました。その湖岸にも桜が咲いています。目の前の枝垂桜はこれからですね。
この城山湖は山頂にあり、どこからも川は流れ込んでいません。それなのにどうしてこんなに水が溜まっているのか不思議ですね。その理由は城山湖は正式名称を本沢調整池といい、揚水式の城山発電所の上池なのです。電力需要が少ない夜間に発電所で発生する余剰電力を使用してこの城山湖へ水を汲み上げ、電力が必要なときに放流し発電するのです。
上池があるなら下池もあるのか。はい、ありますよ〜 それは津久井湖です。この津久井湖こそが本沢ダム湖で、城山湖の水はここから汲み上げられます。
城山湖は神奈川県相模原市にありますがこのすぐ北は東京都町田市です。今目の前に広がっているこの景色は東京都なんです。
城山湖からはダウンヒル。中着を一枚着て寒さ対策をした上で下り出します。本日の終着地は橋本です。ここには近い将来リニア新幹線の駅ができるそうで、駅前には超高層マンションがにょきにょきつくしんぼ。なんだか駅前だけ凄いことになっている。
橋本は東京都ではなく神奈川県だということは知っていましたが、相模原市の緑区だそうです。へ〜、しらんかった〜(笑)