関東地方は紅葉の季節を終えようとしています。そこで今回は恒例の都心の紅葉巡りです。
これまでは集合場所を東京駅にしていましたがそこは朝は日影になるので、今回は皇居のお濠に架かる平川橋にしました。今日は快晴無風でポッカポカ。
平川橋からまずは北の丸公園に向かいます。
平川濠の桜並木はかろうじて赤い葉っぱを残していてくれました。
首都高速道の入口を横目に北の丸公園に入ります。
紅葉は樹種によっても、また日当りなどの環境によってもその進行状況は大きく変わるので、毎年紅葉狩りをいつ開催するか悩むのですが、北の丸公園の入口付近で感じたのは今年はどうやら少し遅かったということで、葉を落とした木がだいぶありました。やはり先週の方が良かったかな。。
と思うも奥に行くにつれ、黄色や赤が目に飛び込んできました。この銀杏は見頃ですね。やっぱり紅葉はむずかしい。
北の丸公園の一番の見どころは池の西側、公園中央部付近の千鳥ヶ淵側にある楓林でしょう。
この楓林の紅葉は全体としてはやや遅めの感があり、萎れたり縮れたりしているものもありますが、まだかなり見られる状態で残っていました。
陽の光を透かした赤が心をわくわくさせてくれます。
遠方に立つ銀杏の黄色が画面に入ると、絵に深みが出ます。
黄色よりのオレンジ色から赤までのグラデーションが素敵。
楓の紅葉に満足顔の面々は左から、山娘マコリン、ロードバイクから小径車に乗り換えたコムラン、時々このあたりまで散策に来るミルミル、今日は電動のシロスキー、いつもちっこいタイヤのサンダリアス、マジックで飛べるマージコ、へぼカメラはいつものサイダー。
楓林に満足したら武道館の前を通って北の丸公園を北に抜けます。
武道館前は銀杏並木で、ここの木々にはまだ緑色をした葉っぱが残っています。
北の丸公園の北の端にあるのは江戸城の田安門です。北の丸公園はかつて江戸城だったのです。
田安門を出たら、通りの向かいにある靖国神社を覗いてみます。
靖国神社の参道は銀杏並木。
ここの木々にはちょうど真黄色になっているものもあれば葉を落としているも、そしてまだ青い葉を残しているものもあります。
あまり知られていませんが、靖国神社の奥には日本庭園の神池庭園があります。
この庭園の桜は葉を落とし、楓は色がくすんでいて鮮やかではありませんでした。紅葉のピークを過ぎているのです。しかしここはひっそりしていて、いい感じのところです。
靖国神社の敷地の中には同神社の宝物館とでもいうべき遊就館があります。
この一階は無料で入場できるのですが、そこでは零戦やC56蒸気機関車などが見られます。
靖国神社からはいったん外濠に出て、神田川沿いにある肥後細川庭園に向かいます。
市ヶ谷の外堀通りの並木は、樹種はわかりませんがなかなかいい色になっています。
市ヶ谷田町で外堀通りを離れ北へ向かいます。すると大日本印刷の再開発エリアになります。
その周囲は『市谷の杜』と名付けられた公開空地で、まだ整備されたばかりなので木々は育っていませんが、そのうち都市のオアシスになるかもしれません。残念なのはこの中は自転車走行禁止であること。
市ヶ谷の奥のあたりには歴史ある町名がそのまま残っているところがあります。今回のルート上に二十騎町(にじゅっきちょう)がありました。かつてここは牛込二十騎町(うしごめ にじっきまち)でした。江戸時代にこの地が西丸御先手組与力2組に与えられたのです。先手組1組は寄騎馬10騎、それが2組で20騎、そこから二十騎町になったのでしょう。騎は人が馬に乗った状態を表す数え方で、ここには与力の家が20軒あったそうです。
早大通りに出ました。ここは欅並木ですが、そのほとんどの木が紅葉をこれ以上深めずに葉を落としそうです。
神田川に出ると江戸川公園や椿山荘の紅葉が目に映ります。
これらを横目に西へ進むと肥後細川庭園があります。
この入口の楓は葉っぱがとても細いです。オレンジ色のピークでした。
門をくぐって奥へ進むと、赤の楓。その先に池があり、雪吊りが施された松の木が数本見えます。
最近東京で雪が降ることは稀ですが、春先にちょっとした雪が積もることもあります。そんな時、ここは絶好の写真スポットになります。
肥後細川家の名が重いのか、それとも日本庭園があまり人気がないのかわかりませんが、ここはいつ来ても人はあまり多くなく、静かです。一人でちょっとぼーっとするにはうってつけのところです。
肥後細川庭園からは早稲田大学に向かいます。
早稲田大学は東京専門学校として大隈重信によって設立されたことはかなり知られています。大隈講堂の横にはその大隈重信邸の庭園が残っています。
平日の昼間にここに来ると大抵、早稲田大学の学生たちがお弁当を広げたりしているのですが、今はコロナウイルス感染症対策で休講なのか、それとも土曜日だから出てくる学生が少ないのか、この日はそれらしい人々はいませんでした。私たちのような訪問者がごく僅かいるだけです。
ここは楓が絶好調。
紅葉の鮮やかさで一番なのはやはり楓でしょう。
大隈庭園を出たら早大南門通りを南下します。
諏訪通りから戸山公園に入りました。
戸山公園は江戸時代は尾張徳川家の下屋敷だったところで、明治に入ると陸軍戸山学校となり、それが閉鎖されると戸山ハイツが建設され、その後、公園となりました。
尾張徳川家時代に箱根山に見立てた築山の玉円峰が造られました。これが現在の箱根山(標高44.6m)です。
この山は山手線内の最高峰だそうです。
ということで、ここは登山を!(笑)
登頂成功を祝して、せーの、いち、に、の、さ〜ん!
山は登ったら下らねばなりません。この下り、結構急ですよ。
戸山公園からは新宿に向かいます。そこでまず通り抜けなければならないのは大久保です。
大久保といえば現在はコリアン・タウンとして有名ですね。キラキラの化粧品を求めてか、若者がゾロゾロ。
別の通りにはおじさんの行列。安く呑めるのかしらん。
新宿中央公園にやってきました。その入口には巨大欅がたくさん並んでいます。
時は正午過ぎ。今日の昼食は日比谷公園を予定しているのですが、そこまではまだかなり時間が掛かりそうなので、ここで軽くおやつとコーヒーをいただきます。
新宿は不思議なまちで、ここに来ると毎回新しい超高層ビルが立っているように思います。どこにそんな土地があったんだろう?
東京都の街路樹はイチョウが多いですが、これは東京都の木がそれだからだそうです。
新宿には欅並木が多いなと思ったら、欅は新宿区の木だそうです。
新宿中央公園の次は明治神宮です。
明治神宮の表の入口は言わずと知れた原宿駅前ですが、私たちは北参道から入ります。こちらは言うなれば裏口です。
明治神宮は今から約100年前に整備されましたが、それ以前のここは『代々木の原』と呼ばれる原っぱでした。
そこに鎮守の杜となる人工林を作ったのです。その人工林は現在はほとんど自然の森と思える状態になりました。
鎮守の杜の理想は人の手を掛けずに安定した状態の林、極相林が続くことです。そのためにはほぼ広葉樹からなる林が必要ですが、その広葉樹は成長が遅いため、当初ここにはそれが早い針葉樹も植林されました。これをあとから成長する広葉樹が被覆することで極相林が生まれる計画でした。現在この林を見ると、かなり順調にそれに向かっているように思えます。
私たちは拝殿には向かわず、鎮守の杜の中を西へ進んで行きます。
するとひっそりとした北池があります。
この北池の向こう側はあっと驚く光り輝く世界。深く暗い林から突然ここに出ると、眩しいくらい陽の光を感じます。
ここは宝物殿前広場です。明治神宮の表側はハレの場なのでごろごろできるような場所はありませんが、ここはこうしてのんびり過ごせるのです。
宝物殿前広場で少しの間のんびりしたら、千駄ヶ谷の銀杏並木を眺めながら青山に向かいます。
千駄ヶ谷駅前を通過するとまず右手に東京体育館が現れ、
その先に東京オリンピックのメインスタジアムとなった国立競技場が見えてきます。
このあたり一帯は明治神宮の外苑です。
神宮外苑には日本で一番有名といっても良いだろう銀杏並木があります。
その銀杏並木は青山通りから聖徳記念絵画館へ向かうr414四谷角筈線の400mで、パースペクティウ゛の消失点に絵画館がくる設計です。
残念ながらここのイチョウの紅葉はほぼおしまいでしたが、写真ではなんとか見られそうです。
この並木のイチョウの木は上の方がやたらにとんがっているね、と誰かが言いました。
これはもちろん自然の樹形ではなく刈り込んでいるのです。イチョウの自然樹形は明治神宮の鎮守の杜で見たようなもので、街路樹にする場合は程度の差はあれど、イチョウの場合は大抵整形されています。
外苑の銀杏並木を堪能したら安鎮坂の街路樹のユリノキとトチノキを眺めながら四谷に向かいます。
ここのユリノキとトチノキはほとんど葉っぱを落としていました。
赤坂迎賓館にやってきました。この時迎賓館は工事中で塀に仮囲いがあり、建物はほとんど見えません。
その北に並ぶ巨大なユリノキ並木に葉っぱはほとんど残っていません。ちょっと来るのが遅かったですね。
赤坂迎賓館は残念でしたが気を取り直して紀尾井町に向かいます。
ホテルニューオータニの前、紀尾井坂の銀杏並木はまだかなり青いです。
紀尾井町通りに入ると鮮やかな色が目に飛び込んできました。清水谷公園です。
江戸時代、このあたりに紀州徳川家、尾張徳川家、井伊家の屋敷があったため、そこから紀尾井町の名が生まれたそうです。この清水谷公園は紀州徳川家の屋敷だったようで、清水が沸き出ていたことから付近は『清水谷』と呼ばれていました。この公園内には明治維新の元勲である大久保利通の哀悼碑が立っています。大久保は馬車で皇居へ向かう途中、このあたりで暗殺されたのです。
清水谷からは内堀通りに出ます。
お濠の紅葉はほぼおしまい。並木のユリノキもほとんど葉っぱを落としています。
そんな中、国会議事堂周辺の銀杏並木だけは今が盛り。
銀杏は落ち葉も黄色い絨毯になってきれいです。でもあの強烈な匂いのギンナンだけはどうぞご勘弁を、とはユッキー。
『ここの銀杏はピークですね。外苑とはずいぶん違いますね。』 と、同じ銀杏でも紅葉の進行の違いに驚くサンダリアス。
国会議事堂からはダーッと下って日比谷公園へ。
日比谷公園では様々な木がいい色を見せていました。
かなり遅くなりましたが、いつもの松本楼のガーデンテラスで昼食です。
ここはオムレツライスをいただきましょう。手前はハヤシソース、向こう側は二色のソース。どちらもとてもおいしゅうございます。
松本楼でゆっくりしていたらだいぶ遅くなってしまいました。これまで紅葉狩り企画の集合場所にしていた東京駅前の行幸通りはすっかり日影になっていて、銀杏並木も周囲の色に解けていました。