上野公園大噴水前
ここのところ寒い日が続き一昨日は雪になりましたが、この日は快晴で風もなく暖かです。そろそろ梅がピークになるし、早咲き桜も咲きそう。ということで、梅と桜を観に行きます。
上野公園の大噴水前に集まったのは左から、今日は通勤車で登場のコムラン、最近DIYにはまっているマージコ、近くだけれど今日は電車でやってきたユッキー、上野を庭にしているサリーナ、カメラはいつものサイダー。
寒桜
集合場所の横を見ると、いい具合に寒桜が咲いていました。満開!
この寒桜は染井吉野よりピンク色が強いので、青い空にとても良く映えます。
上野公園を行く
幸先良く寒桜に出会えて満足な面々が次に向かうは、上野公園の中にある花園稲荷神社。
小松乙女と小松宮彰仁親王像
大噴水をうしろにして進むと、上野動物園のアプローチ路の角に小松宮彰仁親王の騎馬像があります。
その前でも桜が咲き出しています。この桜はコマツオトメ(小松乙女)といい、その名は小松宮像の傍に原木あることからの命名だといいますから、まさにこの木がコマツオトメの原木なのでしょう。
コマツオトメはソメイヨシノの近縁種で、花びらの大きさはそれより僅かに小さく、色は僅かに濃く、淡い紅色をしています。
花園稲荷神社の朱色の鳥居
さて、花園稲荷神社にやってきました。
石の鳥居のうしろには朱色の鳥居がたくさん並んだ並んだ。
花園稲荷神社の梅
その横に小さな花の白梅がひっそりと咲いていました。
花園稲荷神社社殿
上野公園はかつて寛永寺の境内でした。天海僧正が寛永寺を創建した際に、このあたりの狐が棲み処を失ったことを哀れんで一洞をつくり、そこに祠を建て祀った忍岡稲荷(通称穴稲荷、お穴様)がありました。これは江戸時代の後期、天保年間に刊行された江戸名所図会にも『忍岡稲荷社』『穴のいなり』として描かれています。
忍岡稲荷は幕末の上野戦争の際に失われたようですが、花園稲荷神社と改称され再興します。花園稲荷の名はこのあたりに寛永寺の花畑があったことに因むそうです。
五條天神社
花園稲荷神社のすぐ横には五條天神社があります。すぐ横というより同じ境内にと言った方がいいでしょうか。
花園稲荷神社はその名のとおりにお稲荷様、五穀をつかさどる食物の神である倉稲魂神(うかのみたまのかみ)をお祀りしたものですが、五條天神社には医薬祖神二神が祀られています。どうかコロナにも効きますように。
五條天神社の紅梅その1
ここは天神様だから菅原道真も祀られているか、はい、もちろん。もっともここに菅原道真が祀られたのはかなり後のことで、その前からここには天神の名が付けられていました。この天神は道真のことではなく、『天の神』という意味だそうです。それはともかく、今は道真様もおられるので、合格祈願の絵馬がたくさんぶら下がっています。
境内に紅梅が咲いていました。
五條天神社の紅梅その2
終わりかけの花もありますが、この枝はまだこれから。
五條天神社の白梅
白梅はほとんど蕾でしたが、数輪が開いています。
五條天神社の河津桜
そして河津桜がほんのちょっと。
白梅と河津桜のピークは10日ほどあとでしょうか。今年は例年より少し遅めかもしれません。
両大師橋
上野のお山で梅と桜を眺めたら、両大師橋でたくさんの線路を跨ぎ、浅草へ向かいます。
ちなみにこの橋の名は、写真の右手にある寛永寺の開山堂を一般に『両大師』と呼ぶことから来ていると思います。両大師とは、寛永寺の開山である天海、そしてその天海が尊崇していた慈惠大師良源のことだそうです。
北上野から見た東京スカイツリー
両大師橋を下りると北上野で、正面にはあの東京スカイツリーがバーンと!
奥山おまいりまち
合羽橋の食器や鍋釜を横目に進んで浅草に入ります。
六区から『奥山おまいりまち』を通って奥山門をくぐると、
浅草寺本堂
浅草寺です。コロナで外国人観光客の姿はなく、さらにオミクロンの第6波に加えここのところ寒かったからか、日本人観光客の姿もまばらです。昨年秋に来た時もかなり少なかったですが、こんなにガラガラの浅草寺は始めてかな。
本堂内から大音量の読経が聞こえてきます。お坊さんが一人で唱えるお経は法事で良く耳にしますが、大勢での合唱は滅多に聞く機会がないので大迫力なのにびっくりします。普段は観光客の雑踏雑音がもの凄いので、あまり読経が聞こえていなかったのかもしれません。
浅草寺五重塔
かつて五重塔はどこからでも見えるシンボルでした。現在は周囲に高い建物がたくさん立っているし、ここからも東京スカイツリーが見えるので、あまり目立たなくなってしまいましたね。でもこうやって見ると、なかなか立派です。
浅草寺の多くの建物は再建で、本堂、この五重塔、そして大提灯で有名な雷門も鉄筋コンクリート造なのがちょっと残念ではありますが。
浅草寺境内を行く
浅草寺では西にいくらか梅が咲いていましたが、これは思ったほどではなく、三社祭で有名な浅草神社や二天門付近にもその姿はなし。
ということでお参りを済ませたら隅田川へ向かいます。
隅田川の梅
二天門からまっすぐ東へ向かい隅田川に突き当たると、そこに梅の木が数本植えられています。
上野の白梅はまだこれからでしたが、ここは満開。いい匂いです。
梅めぐり散歩道の梅その1
この隅田川沿いは隅田公園になっており、野球場の南には『梅めぐり散歩道』があるのでそこへ移動。
『梅めぐり散歩道』は日当りが良く、紅梅、白梅ともにいい塩梅。
梅めぐり散歩道の梅その2
目立つ坊主刈りの大きな白梅はまだですが、これは五分咲き。
梅めぐり散歩道の梅その3
匂い香しい。
梅めぐり散歩道の梅その4
ここの紅梅は五條天神社のそれより赤みが少なく、濃いピンク色。
梅めぐり散歩道の梅その5
薄いピンク色の枝垂もなかなかよろしい。
桜橋より隅田川を望む
『梅めぐり散歩道』の梅に満足したら、隅田川を遡ります。
隅田川の右岸の道はこのすぐ先で終わるので、X字形をした優雅な歩道橋の桜橋で左岸の墨田区側へ渡ります。
向島
この墨田区側の地名は向島。浅草側から見た、向こう側の島のようなところという意味でしょうか。
ここは桜並木でもう一月半もすれば花見客で賑わうところです。この桜は徳川八代将軍吉宗が植えさせたものだそうで、当時から名物だった桜餅の山本やが享保年間からここで営業を続けています。
白鬚橋
高速道路の下の遊歩道を北へ向かい、白鬚橋までやってきました。この橋の創架は1914年(大正3年)で、当時は木造橋だったそうですがその長さはなんと230mもあったそうです。現橋は1931年(昭和6年)竣工で、日本の橋梁設計の第一人者であった増田淳の手によるもの。美しい曲線ともの凄い数のリベットが面白いです。
この橋が架かるまでここには『橋場の渡し』と『白鬚の渡し』がありました。伊勢物語で在原業平が『言問』の歌を詠んだのはこのあたりとされています。
ユリカモメ
名にしおはばいざ言問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
この歌の都鳥とはユリカモメのことらしく、当時からここはユリカモメの名所だったようで、現在もそれはたくさんいます。
そのユリカモメを威嚇しているように見える真っ黒な鳥はカワウですが、これは単に甲羅干しをしているだけで、決して威嚇しているわけではありません。
東京スカイツリーと白鬚橋
白鬚橋を渡り再び隅田川の右岸に出ます。
白鬚橋から北へは快適な遊歩道が続いています。
白鬚橋付近から隅田川上流を望む
ここは、後ろには東京スカイツリーが立ち、左岸にはずっと先まで高速道路が延び、右岸には北千住の巨大ガスタンクというちょっとシュールな空間ですが、ほとんど流れがない穏やかな隅田川の川面に時々ユリカモメが浮かんでいる姿にほっとさせられます。
荒川サイクリングロード
千住汐入大橋で隅田川を離れ、堀切橋の西詰めから荒川右岸のサイクリングロードへ。
するとすぐに先ほどまで隅田川の左岸に見えていた高速道路をくぐります。直線基調で広いこの荒川サイクリングロードは、いつでもサイクリストでいっぱいです。
旧中川
快調に荒川サイクリングロードを南下したら、木下川水門(きねがわすいもん)から旧中川に入ります。
正面には東京スカイツリーと墨田区清掃工場の煙突がバン、ババーンっと。
旧中川上流方向
この旧中川は、中川が荒川放水路(現荒川)で分断された結果できたその下流部です。
旧中川の上流端は木下川水門、下流端は荒川ロックゲートで、いずれも荒川に接続しています。しかしこの二つの水門は旧中川の水質管理のために開閉される程度であるため、旧中川の流れはごくごく穏やかで、ほとんど流れがないように見えます。
旧中川水辺公園の河津桜その1
そのため墨田区側の畔は旧中川水辺公園として整備されており、河津桜が連続して植えられています。
この河津桜はそろそろ咲く頃なのですが、ここのところの冷え込みで、まだほんの二三輪しか咲いていませんでした。
旧中川水辺公園の河津桜その2
それでも、ちょっとだけはんなりした感じが味わえたのは良かったです。
もう二三日暖かい日が続けば一気に開花しそうです。一週間後あたりから見頃になるでしょうか。
旧中川水辺公園を行くコムランとユッキー
『一週間早かったですね〜、でもちょっと開いた花があったので良しとしましょう。』
ということで、旧中川水辺公園をゆっくり流して行きます。
ボート
ほとんど流れがない旧中川は恰好のボート練習場になっており、たくさんボートがやってきます。
ボートを眺めながら行く面々
次から次へと。
カモとオオバン
水鳥もそれなりにいます。
黒いのはオオバン、その向こうは鴨のつがいのようですが、ヒドリガモでしょうか、それともコガモ?
亀戸中央公園付近
平井駅付近で昼食にしたあとはシンチェンゾーが合流。
北十間川を渡るとその南は江東区になり、川の辺の道は地道になります。
SUP
先ほどまではボートがたくさんやってきましたが、ここではSUP(Stand Up Paddleboard)の人がパドルを漕いで来ました。ここは波がないのでポチャする危険性は少ないですが、この季節にポチャるとえらいことになりますね。
この日はいませんでしたが、ここではカヌーを漕ぐ人も時々見掛けます。
うしろに総武線の橋梁
総武線の橋梁をくぐりました。
このあと江戸川区側の河津桜が咲いているかと期待し、ふれあい橋を渡り左岸の平井駅側に出てみましたが、残念ながらそれもまだでした。
残雪
一昨日の雪はほとんどすっかり解けていましたが、日影になる橋の下で残っているところがありました。
雪は大人になると嫌なものになりますが、子どもの時はとっても楽しみでしたね。ああ、もうみんな大人になっちまっただ〜
旧中川・川の駅
旧中川は、江戸時代に隅田川と旧中川を結ぶために開削された運河である小名木川と合流点します。
この合流点に川の駅があるので、ここで一休み。
旧小松川閘門
川の駅からは大島小松川公園に入ります。そこには西洋のお城のような意匠の旧小松川閘門が保存されています。
この閘門は、水位が異なる中川(現旧中川)と荒川との間を船で通過するためのエレベーターで、1930年(昭和5年)に完成しました。
荒川ロックゲート
今日その旧小松川閘門に替わるのは、2005年(平成17年)に完成した荒川ロックゲートです。荒川と旧中川は水位差が最大3.1mもあるそうですが、約20分で通過できるようです。
ここで旧中川は荒川に合流します。
荒川サイクリングロードその2
荒川ロックゲートで再び荒川サイクリングロードに出ました。
やっぱり荒川は空が広い!
仙台堀川公園
葛西橋の手前で仙台堀川公園に入ります。
小名木川同様、仙台堀川も隅田川と旧中川を結ぶ運河でした。仙台堀川の名は、現在の清澄公園の西隣に仙台藩の深川蔵屋敷があり、この堀を利用して仙台から送られた米などを運び入れたことから『仙台堀』と呼ばれるようになったことに由来するそうです。
野鳥の島
仙台堀川はほどなく横十間川にぶつかります。その交点にあるのが『野鳥の島』です。
『野鳥の島』はとても小さいですが島なので、通常、人が立ち入れないため、野鳥がたくさんいます。
アオサギ
珍しい鳥は見掛けませんが、大型のアオサギ、カワウ、ダイサギ、そしてコサギなどを見ることができます。
特にアオサギはここで営巣していて、子育てが見られるのが楽しいです。写真には納まりませんでしたが、この巣には雛が二羽いました。
横十間川
『野鳥の島』からは横十間川沿いを北へ向かいます。この川沿いも親水公園になっています。
横十間川の名は、川幅が十間(18m)あったことからというのは想像がつくところですが、地図で見ると『縦』に走っているのに『横』十間川とはこれいかに。この運河が開削されたのはこのあたりの他の運河と同様に江戸時代のことで、江戸城から見るとこの川は横に流れているために『横』が付いたようです。
横十間川と小名木川の交差点のクローバー橋より
横十間川に小名木川が交差する点にはX字形にクローバー橋が架かります。
そこからさらに北に延びる横十間川の先には、またしてもあの東京スカイツリーが。
クローバー橋から北へ向かう面々
クローバー橋から北には遊歩道があります。
川の辺の遊歩道の中には自転車通行禁止のところも多いのですが、ここは自転車も通れて快適。
亀戸天神
猿江恩賜公園の北の清水橋で遊歩道を上がってやってきたのは亀戸天神。
ここは藤で有名ですが、梅もなかなか良いです。
亀戸天神の白梅その1
赤い太鼓橋が架かる亀池の畔の白梅は二分咲きほどで、まだ鞠のような蕾がたくさんですが、それもなかなか味わいがあります。
亀戸天神の白梅その2
ようやく開いたばかりの花びらは、蝶が蛹から出てきて羽根を広げ出した時のよう。
ここにはしだれ梅や紅梅もあるのですが、日当りのせいかこれらはほとんど咲いておらず、拝殿横にある二本の大きな木もまだでした。
くず餅を食す面々
今日の気温は予報では10°Cほどとのことでしたが、風が全くなくポカポカです。
いい陽気なので、亀戸天神の入口にある1805年創業の船橋屋で買い求めたくず餅を境内の端っこの方でいただきました。くず餅は小麦粉澱粉でできた和菓子で唯一の発酵食品で、甘い黒糖蜜ときな粉を掛けていただきます。上品な味です。
北十間川を行くシンチェンゾー
梅とくず餅でいい気分になったら亀戸天神をあとにし、東京スカイツリーへ向かいます。
東京スカイツリーが立っているのは北十間川の畔です。横十間川と同じくこの川幅も10間だったのでしょう。
東京スカイツリー
東京スカイツリーができたことでこのあたりはだいぶ変わりました。
その足下あたりがモダンなショッピング街となったのはかなり驚きです。
すみだリバーウォーク
そして東武スカイツリーラインの高架下には複合商業施設の東京ミズマチもでき、隅田川橋梁には歩行者デッキの『すみだリバーウォーク』が設けられ、隅田川を歩いて渡れるようになりました。
浅草と向島が繋がったのです。
金色の火の玉と東京スカイツリー
東京スカイツリーの足下の変化に驚いたら、『すみだリバーウォーク』を使って隅田川を渡り、吾妻橋に出ます。
吾妻橋の北にはアサヒビールの金色の火の玉があり、その隣に東京スカイツリーが立つというシュールな世界。
雷門
そして横には浅草寺の雷門がありますから、これはなんとも言えませんね。まさに混沌の日本です。
御徒町の居酒屋
さて、今日は梅と河津桜を観に出かけてきたのですが、それにはほんのちょっと早かったようです。しかし春に向けて身体をならすにはちょうど良かったです。