今年は寒いのか、梅の花はなかなか便りを送ってきませんでしたが、ようやくここに来て咲き出したようです。ということで今回は、関東の梅の名所の中でも比較的早く咲く曽我梅林へ。
やってきたのは小田急線の秦野駅。本日の参加者は左より、シロスキー、サリーナ、シュンシュン、カメラはいつものサイダー。
運良く今日は快晴で気温は18°Cにもなるといいます。しかし風が強そう。
秦野駅の北には丹沢が、そして南西には渋沢丘陵が広がり、条件が良ければその向こうに富士山が見えます。
丹沢と渋沢丘陵に囲まれたこのあたりは水が豊富で、あちこちに湧水があります。
秦野駅の南西500mほどのところには今泉湧水池があり、その周囲は今泉名水桜公園として整備されています。この池の湧水はかなりの量らしく、排水口からザーザーと水が流れ出しています。
池の周囲には20種類近くの桜が植えられており、一年のうちかなりの期間、桜が楽しめるそうです。2年前のほぼ同じ時期にここに来た時は咲いていたのですが、今年は桜も遅いらしく、残念ながらこの時咲いているものはありませんでした。
しかしふっくら大きくなった蕾があちこちに見えますから、もう少しですね。
今泉名水桜公園からは渋沢丘陵へ向かいます。
県道62号平塚秦野線を渡るとすぐ、渋沢丘陵の上りが始まります。
『今日は最初からきついわね〜』 といきなりの上りに身体が反応しないサリーナ。
うしろのきれいな三角錐の山は、東京側から見ると丹沢山地の南端に見える大山(1,252m)。
ワッセワッセとしばらく上ると、上の道に出ます。
いつもはここで『おお〜っ!』という声が上がるのですが、この日それは聞こえませんでした。この正面に白い雲が見えますが、あの雲がなければそこには富士山の姿が見えるのです。今もよく見れば、雲の中に富士のお山がおいでです。
富士山雲を眺めていると足下に白い花が咲いているのに気が付きました。
水仙のようですが日本に古くからあるニホンズイセンとは違います。これの学名はナルキッスス・パピラセウス(Narcissus papyraceus)で、英名の paperwhite Narcissus から一般的にはペーパーホワイトと呼ばれるようです。あまり見掛けないような気がしますが、実は日本には鎌倉時代に渡来しているらしく、日本名は白花水仙と言うそうです。
ここからはちょっとだけ丘を下ります。
震生湖にやってきました。
これは関東大震災によって川が塞き止められてできた湖で、今日はヘラブナ、コイ、バスなどの釣りが盛んなところとなっています。
この日は車がたくさん駐車してあったので釣り人が結構来ているようでした。
震生湖から上ると梅畑がありました。本日の梅、第一号です。
優しい色の白梅が7部咲きといったところでしょうか。
垂直にす〜っと伸びる枝は梅独特のものです。
そして、はんなりとした匂いもいいですね。これを嗅ぐと春を感じます。
本日の梅第一号に心が和んだら、震生湖を廻るようにして進んで行きます。
すると周囲はみかん畑になります。
ここは南斜面で暖かく、既にこの季節のみかんは出荷を終えていて木に実は残っていませんが、眺めがとってもいいところです。
ここからも条件が良ければ富士山が見えるのですが、それは相変わらず雲を着ていました。
みかん畑から中井町の本別所に下ってきました。
渋沢丘陵はその内でのアップダウンがかなりあります。平らなところはないと言ってもいいくらい。
その下り切ったところの民家の庭先に、見事な紅白の梅が咲いていました。
これらの木はとても大きくて立派です。
目出たい紅白梅を眺めたらその上にある八幡神社へ向かいます。しかしここは激坂。
ゆっくり自転車を押し上げて、なんとか八幡神社に到着。
この神社は取り立てて言うほどのものはありませんが、日当りの良い高台から長い間、この地区の人々を見守り続けてきたのでしょう。ひっそりしていていい感じ。
八幡神社で上りは終わりかと思ったら、まだ先に続いていました。
そこは再びみかん畑になり、北に大山の頭が見えます。
ここにも普通のみかんはありませんでしたが、夏みかんがたくさん生っていました。
夏みかんは晩秋には黄色くなりますが、この時点では酸っぱすぎて食べられません。春先から初夏までこのように木に付けたままにしておくと、酸味が抜けておいしくなります。
夏みかんはマーマレードにしてもおいしいですね。
夏みかんを見て口の中が酸っぱくなったら、その先の梅の花を見て、もう一度口の中を酸っぱくしましょう。(笑)
高台のみかん畑の先は森の端っこで、その中を今度は下って行きます。
山道を抜けた先で震生湖から来る広い道に出ると栃窪です。
ここはその名の通りに土地が窪んでいて、北に表丹沢が見えます。
栃窪の先に新しく作られた霊園を抜けて峠の集落に出ます。
峠という名からはここが道の峠だったと考えるのが順当だと思うのですが、実はここは丘陵地の中の凹部なのです。
ということで峠からは竹林の中の上り。
峠はよくもまあこんなところに集落ができたものだと思うようなところで、どこへ行くにもこんな坂を上らなければなりません。
現在は渋沢と峠トンネルで繋がっているので陸の孤島というのは大げさですが、ちょっと前まではそう言ってもおかしくないところだったと思います。
上の写真の道を上り終えると渋沢峠です。
ここは峠トンネルの上に当たります。峠集落の名はこの峠を越さなければ行けないところという意味だったかもしれません。渋沢からこの渋沢峠まで登るのはかなりきついです。
渋沢峠の周囲には畑が築かれています。この畑は峠集落の方が作られているのでしょう。
その畑の一角に菜の花が咲いていました。そしてこのすぐ横でイソヒヨドリを見ましたよ。
渋沢峠の西には渋沢の街と丹沢の山々が見渡せる素敵な展望所があります。グーグルマップには『畑の展望台』と表記されています。
ここは個人所有の畑の一角だと思いますが、ベンチが置かれていたのでありがたくそこで休憩させてもらいました。
足元には赤紫色のホトケノザ。
春がやってきたのを感じます。
『畑の展望台』で眺めを楽しんだら、うっかり元の道で峠へ下りそうになりましたが、戻って展望台から改めて西へ向かいます。
この道はほぼ等高線に沿って進み南へ進路を変え、峠の隣の篠窪の集落へ向かいます。
左手の視界が開くと、下に峠を通る県道が見えます。
峠の集落そのものはあの県道のさらに左手にあり、起伏と木々に隠れて見えません。峠はどこからもほとんど見えない集落なのです。
左手に築かれていた畑がなくなるとその先は森になり、篠窪へ続く細道を下ります。
細道を下り切って県道に出ると、その向こうに一軒の民家と数本の紅梅が見えます。ここは篠窪の外れで、この下に集落はあります。
この先でさらに上の道を行こうと思っていたのですが、すでに予定より30分遅れているので、富士見塚まで県道を行くことにしました。
篠窪には三嶋神社があります。この神社の入口の鳥居横にある椎の木は、推定樹齢500年で樹高15mと巨大も巨大。木が斜めになっているので道を跨ぐ鉄骨のサポートが設けられています。三嶋神社には自然林の『椎ノ木森』があり、このような椎の大木が26本もあるそうです。
この三嶋神社は鎌倉時代、源頼朝創建と伝わり、前を行く道は大山街道、矢倉沢往還でした。
三嶋神社の先で県道は篠窪隧道に入りますが、富士見塚はこの隧道の上なので旧道をえっちらおっちら。
木製のしゃれた富士見塚の標識まで辿り着きました。ここは塚とは言っても人工的に築かれたものではなく、海抜250mの丘です。トイレがありそのさらに先まで上り坂が続いていたのでそちらには行きませんでしたが『見晴休憩所』があるようです。そこまで行けば富士山が見えるのかもしれません。
ここから富士山とは逆側の北を望めば、大山と篠窪の集落の端っこが見えます。
富士見塚からは一丘越えて大井町柳の河津桜が咲く『おおいゆめの里』を目指します。
東へ延びる細道を行くと、バ〜ンと、でた〜〜〜 富士山!
でもこの道はちょっときついのでした。
逆光気味ですが本日のメンバーを入れて。
富士見塚に行かなくてもこれで充分満足です。
さらに上って行くと、ほとんど表丹沢を背負っています。
天気予報の通りに風がちょっと出てきましたが、ここは山の中なのでさほど気になりません。小田原側に下るとちょっと心配ではありますが。
午前の部はいきなり終了! 実はこのあとサリーナの自転車にトラブル発生で、その復旧に小一時間を費やしてしまったのです。『おおいゆめの里』付近には食事をするところがなく、そのあとは浅間山へ登って曽我に下るつもりでしたが、これは時間が掛かり過ぎて昼飯を食いはぐれてしまいます。
仕方がないので『おおいゆめの里』へ向かうのは諦め、途中から上大井に下ってなんとか昼食にありつきました。
上大井からは酒匂堰に沿って進み、曽我梅林を目指します。心配された風はまだそれほどきつくありません。
下大井に入ると梅林が現れ出し、かなりいい調子で白梅が咲いています。この様子であれば曽我梅林も楽しめそうです。
北には平べったく曽我丘陵が横たわっているのが見えます。
この写真では判然としませんが、丘の頂部に浅間山の鉄塔が見えます。本来はあそこから相模湾を眺めながら下ってくる予定でした。
前に曽我丘陵、そしてうしろにはあの富士山が。
上曽我に入ると周囲は梅林だらけに。
曽我梅林の前にいつも行く瑞雲寺に立ち寄ってみます。
その門前にはみかんを売っている民家があり、庭先のしだれ梅がなかなかいい調子です。
そして瑞雲寺のすぐ前では白梅が。
瑞雲寺到着。
このお寺は室町時代の創建なのでそう古くはありませんがなかなか立派で、境内は梅の木で埋め尽くされています。
その中でも特にこの石碑のうしろのしだれ梅が素敵です。
しだれは白梅より咲くのが遅いのでまだ咲き始めですが、それも味方によってはあまり仰々しくなく、良いかもしれません。
盛期にはこの10倍ほど花を付けて、枝はほとんど見えなくなるくらいになりますから、まったく別物になります。それも見応えがあっていいですが。
ここで、昨日は越生梅林、今日は熱海梅園へ行ってきたという方にお会いしましたが、両方ともまだあまり咲いておらず、この曽我周辺が一番早いとおっしゃっていました。
そうですね、今年は例年より2週間以上遅いでしょうかね。
完全に開いた花はもちろんいいですが、蕾はどんなものでもかわいらしい。
瑞雲寺の梅を楽しんだらいよいよ曽我梅林です。
曽我梅林はいくつかの地区に分かれていますが、私たちは原梅林から入ります。
梅祭りのメイン会場となる別所地区は人が多く賑やかですが、この原地区はほとんど人はおらず静かで、お弁当を食べたりちょっと一休みするのに打ってつけです。
私たちはお昼は済ませてしまったので、ここでおやつタイム。
おやつのあとは別所地区へ向かいます。
梅の木が並んだ並んだ。
匂い香し。
この梅は柔らかな白。
ここには白梅だけでも十郎、南高、杉田、白加賀などがあり、咲く時期も花の姿も少しずつ異なります。
今満開なのは早咲きの十郎だそうですが、私にはどれがどれだか…(笑)
梅祭りのメイン会場付近を避け、別所梅林を通り抜けます。
東の県道に出ると、そこにはしだれ梅がずらり。
これはまだ咲き出したばかりで見頃になるのはもう少しあと。
この県道付近の個人のお宅に大きなしだれ梅があります。
これもまだ咲き出したばかりですが、ヴォリュームがあるだけにこの状態でもかなり見応えがあります、もう一週間したら壮観でしょう。
大しだれを見終わると、時は16時20分。予定時刻を大幅に過ぎてしまったので、今日はあまり走っていませんがここで上がりとしましょう。
県道松田国府津線をどんどこ南下し、東海道線をくぐって、
国府津駅に到着。
今日は予定の通りには行きませんでしたが、ポカポカ春陽気で、序盤の渋沢丘陵が充分楽しめたし、曽我梅林の梅も咲いていたので良しとしましょう。