大月駅
ここのところ朝晩の気温は次第に低くなってきていますが、日中は陽が照っていれば暖かいです。この日の天気予報は、晴れ。こんな日は旧甲州街道の鄙びた集落、犬目から鶴川あたりを巡るのも悪くないと思い、大月駅にやってきました。
大月はもちろん旧甲州街道の宿場町で本陣が残ってはいますが、ここは都市化が進んでかつての雰囲気はほとんど感じられなくなっているので、散策はせずに北西にある真木へ向かいます。
笹子川
このあたりの甲州街道に沿って流れているのは笹子川です。大月から犬目までは笹子川の北の山中にある鄙びた林道を行くことにしました。犬目から鶴川までのかつての宿場町は鄙びてはいても街なので、前半は逆に自然を楽しみたいと思ったのです。
笹子川を渡って中央高速道側に出ます。
中央高速沿い
中央高速道の横の道は落ち葉に埋もれたダートでした。
大月の駅前で、『今日はダートはないですよね〜』というシュンシュンに、『確かなかったと思うよ〜(笑)』と応えたサイダー。まあ、サイダーが言うことは当てにならないのはいつものことなので、あまり驚かないシュンシュンです。
笹子川と高川山
大月インターチェンジの下をくぐると、笹子川に沿って道が延びています。
その向こうに低い山々がずらずらと並んでいるのが見えます。
笹子川沿いを行くサリーナ
今日は快晴で風がなく、いい天気。そんな中、笹子川沿いをルンルン行くサリーナ。
真木
中央高速道をくぐり、NECのUFOのような建物を過ぎると、道は山道のようになります。
ここの道脇では楓がいい感じに赤く染まっています。
上真木
真木は南北に長い集落で、南の大月側が下真木、北側が上真木です。
上真木までやってくると小さな田んぼに霜が降りていました。都心では滅多に霜は見ないので、ちょっとびっくりのサリーナ。
林道橋倉線への上り口
上真木からは林道橋倉線へ続く細道を上ります。その入口からは富士山がきれいに見えます。
林道橋倉線への上り口から見た富士山
朝の光を浴びた富士山!
最初のピーク
富士山を眺め、ちょっとえっこらよっこらすると、本日最初のピークです。
このあたりの山は遠目には茶色でしたが、その中に入ると、黄色、オレンジ色、赤に染まった木々があります。
橋倉鉱泉
薄暗い山道を下って行くと突然陽の光が射し、きれいに手入れされた庭先に出ます。ここはかつて橋倉鉱泉でしたが、現在は営業していないようです。
林道橋倉線を行くミッちゃん
かつての橋倉鉱泉を過ぎると道脇に林道橋倉線の標識が立っています。ここから先が林道なのでしょう。
しかし雰囲気はこれまでとほとんど変わりません。
南の山々
林道橋倉線は下って上り。そのピーク付近からは南に山々が連なっているのが見えます。
西奥山
ピークからちょっと下ると西奥山のバス停に出、林道橋倉線が終わり林道遅能戸線に入ります。
林道橋倉線はこの写真の左奥へ続いている道です。
林道金山線の紅葉
林道遅能戸線からr512金山大月線に入り北へ向かうとほどなく、道は小さなせせらぎを渡り林道金山線となります。
林道金山線を行くシュンシュン
すると道は再び上りに。
金山
上った先は金山(かなやま)という集落。この名からするとかつてこのあたりに金山があったのでしょうか。
道はここで二手に別れ、その中央に伝統的な建築の大きな民宿が立っています。
金山本沢橋
民宿の横を流れる沢には金山本沢橋(かなやまほんさわはし)が架かっています。
林道奥山線入口
この橋を渡った先が、本日の前半のメインイベントである林道奥山線の入口で、左側に青い林道の標識が立っています。
落ち葉に埋もれた林道奥山線
林道奥山線は舗装されているのですが、落ち葉がびっしり降り積もっていて路面が見えません。
路面が見えた林道奥山線
その落ち葉をカサコソと踏みながらしばらく上って行くと、ようやく少し路面が見えてきました。
林道奥山線から見た富士山
そして道が南西を向くと、富士山が姿を現します。
上るサイダー
富士山が見えると道の勾配が弛み、最初のピークに到着。
林道奥山線の最初のピーク
金山本沢橋を渡った先の林道奥山線の上り口は日影でしたが、ここは日向で明るく、いい感じです。
林道奥山線の紅葉
ここは山の傾斜がきつく、片側はモルタルで覆われていますが、その上の紅葉がきれいです。
トズラ峠を廻ったところ
上の休憩した地点からは少し下ってまた上り。そしてほどなくトズラ峠に到着しました。
トズラ峠はカーブを廻ってすぐの少し開けたところにありますが、金山側から上ると標識が見えにくいところにあり、通り過ぎてしまいました。この写真でシュンシュンとサリーナがいるところにトズラ峠の標識があります。
トズラ峠
ちょっと戻ってトズラ峠と書かれた標識を入れて記念撮影しました。
大きなパッパとサイダー
足下には大きな葉っぱがたくさん落ちています。朴の木でしょうか。
赤い実の植物
横には赤い葉に赤い実を付けた植物があります。ガマズミ?
林道奥山線を下るサリーナとシュンシュン
トズラ峠から先の道はほとんど落ち葉に埋もれています。しかも勾配がきついところがありスッテンコロリンしないように慎重に下って行きます。
林道奥山線の出口付近に、10mほどの区間ですが小石が散乱しているところがありました。落ち葉と小石は見分けがつきにくく、危うくパンクしそうでした。ここは押して下りました。
東奥山
下った先は東奥山。金山の前に通ったのが西奥山ですから、トズラ峠を挟んで東西に奥山はあることになります。
東奥山からトズラ峠に上ると金山からより高度差が大きくなり、なおかつ勾配もきついので、かなり難易度が高くなりそうです。私の足ではこちら側からは上れそうにありません。
葛野川
大沢川に沿って下り葛野川に出ました。葛野川は桂川の支流で対岸に見える集落は大月市七保の葛野。
とんがり帽子は大洞岩。遠くに見える白い煙は野焼きでしょうか。穏やかな里の景色が広がっています。
百蔵山
正面に見えているのは百蔵山。
その裾に広がる家々は山に守られているように見えます。
葛野から北西を望む
伝統的な造りの家が残る葛野の集落の中を下り、大洞岩の北にやってきました。
ここから本日一番の激坂上りが始まります。
大洞岩北の激坂上り
距離1.4kmで185mの上り、平均勾配13%! しかも最初はまっすぐで道が壁のように見えますから、気が萎えます。
ここは押した方が早いかも・・・
peak
20分かけてようやくピークに到着。ハヒハヒ・アヘアヘ〜
このピークにはご褒美はありません。ただのコンクリートブロックで固められた切り通しがあるだけです。(笑)
里山大橋からの上りより
下って市営グラウンドからちょっと上り返し、富浜町宮谷まで下ります。
宮谷川に架かる里山大橋を渡るとまた上りが始まります。ちょっと上ると中央高速道と富士山が見えます。このあたりの山並みは変化に富んでいて、見ていて飽きません。
上るミッちゃん
道は比較的最近整備されたものらしく、広くて路面はきれいなのですが、通る人はほとんどいません。
どこに行く道? と思っていると、この上りの途中に桂川ウェルネスパークという表示が出てきました。名前からはどんな施設か想像できませんでしたが、トイレマークがあったので小休憩です。
桂川ウェルネスパーク里山交流館
桂川ウェルネスパークは、公園、バーベキューサイト、ドッグランなどがある公的な施設で、その中核施設である里山交流館にはうどんやカレーが食べられる食堂がありました。ここで昼食にしようかとも思ったのですが、今一つ食指が伸びず、それは予定の通り犬目のうどん屋ということにしました。実はこの選択は大きな間違いでした。
ここの前庭からは、先ほどの上りの途中から見えた景色とほぼ同じ景色がゆっくり見られます。
富士山と山々
休憩後さらに上って行くと道路の幅員が狭くなり、桂川ウェルネスパークが下に見えるところに出ました。あの広い道は桂川ウェルネスパークへ行くためのものだったのですね。
富士山が中央から少し左に半分だけ見えています。そしてその手前に連なる山々。なかなか雄大な景色です。桂川ウェルネスパークには先ほどお世話になりましたが、写真に入れない方が景色が素敵に見えるので、それは画面の外です。
上るシュンシュン
上の写真の箇所以降は適正道幅で快適に上って行きます。
ゴルフ場のところでVターンしなければならなかったのを失念していて鳥沢に下ってしまいそうになりましたが、すぐに気が付いたので事なきを得ました。危ない危ない。
うねうねへび道の直線部
Vターン後はうねうねのへび道になります。
勾配はちょっときつめですが、紅葉がいい感じになっていますから気が紛れます。
大月カントリークラブ西の紅葉
このあたりの紅葉は真っ赤や真っ黄色になることはあまりなく、くすんだオレンジ色から茶色になっておしまいになるものがほとんどなので、だいたい今頃がピークだと思います。
赤い楓
くすんだ色の中の赤い楓はアクセントとして効いています。
この道はピークかなと思ってもまた上りがあり、今度こそピークかなと思ってもまた上り、そんな道です。
もみじトンネル
ゴルフ場へのアプローチ路に合流すると道路幅員が広がり、もみじのトンネルが現れます。
そしてようやくこの先で道はピークを迎えます。
山谷の紅葉
そのあとは山谷という集落へどーんと落ちて行きます。山谷は山と谷の両方があることから付けられた名なのでしょう。100mほどの高度差を1kmで下ります。
落っこちた底にあったのがこの紅葉です。
恋塚
山谷の先は恋塚。
集落の東の端にある山住神社の前では、大きな欅と銀杏の木がそれぞれ赤と黄色に染まっています。
恋塚一里塚
山住神社を過ぎるとM字カーブとなり、その真ん中に恋塚一里塚がポンと置かれたように出てきます。
この道は旧甲州街道で、恋塚一里塚は日本橋から21番目のものです。一里は約4kmですからここは日本橋から80kmくらいということになります。
宝勝寺の紅葉
犬目にやってきました。その西端に位置する宝勝寺の入口にある大きな楓は真っ赤です。
犬目
犬目は甲州街道の宿場町でしたが、家々の並びはかつてのものから大分違っているようで、現在はその面影は感じられません。ただ集落の真ん中辺りに『犬目宿』と彫られた石碑が立っているだけです。
ここから桂川沿いの下鳥沢へ下る途中に犬目峠という峠があったようで、葛飾北斎や歌川広重が『甲斐犬目峠(かいいぬめとうげ)』という画題で富嶽三十六景や冨士三十六景などを残しています。しかしこの峠についてはどこなのかはっきりしていません。
大野
時は13時、予定の通りです。さあ、ここで昼食をと思ったら、なんと目当てのうどん屋は休業でした。がーん。コロナが一段落して飲食店はほとんど営業を再開しているので問題ないだろうと思ったのですが、確認していませんでした。
仕方がないので談合坂サービスエリアに向かいます。しかしこの行き方は事前にチェックしておらず、なんと入り方が分からずに断念。おいおい!
大分下ってしまったので大野ダムに向かうことにしました。その周辺にラーメン屋くらいはあるだろうと思ったのです。
大野御嶽神社
ダム湖の大野貯水池が見え出すと、御嶽神社の前の大銀杏が黄色い絨毯を敷き詰めています。
ダムの周辺には食堂はありませんでしたが弁当屋が見つかり、その前の公園で遅い昼食にありつきました。
四方津付近の桂川の谷
大野ダムまで下ってきてしまったので予定ルートの野田尻から鶴川までの旧中山道は止めて、四方津に下って桂川の谷沿いを進み、上野原に出ることにしました。
四方津から久保へ
R20の現中山道は好きではないので、四方津からは中央本線の南を通っている細道を行きます。
久保
この細道は短く久保でおしまいになりますが、そこから桂川の右岸に渡り杖突から栃穴に抜けることはできます。
その先は山道でこれは通れるかどうかわかりませんが、時間は充分あるので行ってみることにしました。
杖突橋から見た桂川
杖突橋で桂川を渡ります。
杖突でちょうどそこにいた住人の方に栃穴から先はどんな道か訪ねたところ、完全な山道で徒歩ならなんとか行けるかもしれないが自転車では無理、崩落しているかもしれないとのことなので断念しました。ここからは素直にR20で上野原へ向かいます。
上野原
上野原からは予定ルートの大越路、くらご峠を目指します。
R20の長い上りはいやなのですが、仕方ありません。
上野原の銀杏
この坂を上り終えて市役所までやって来ると、サリーナがこの先はパスすると言うので、全員ここで上がりを決め込み、藤野へ向かうことにしました。
さっきあの坂を上ったのはいったい何のため、ということになりますが、まあ、それはそれ。(笑)
境川橋付近より見た相模川
上野原からは裏道を行き境川橋まで下り、川向こうの道を行きます。桂川はこのあたりで相模川と名を変えます。
境川橋
相模ダムで塞き止められている相模川は流れがとても穏やかで、川面に釣り人を乗せたボートがたくさん浮かんでいます。
藤野駅
今日は昼からは予定とはまったく違ってしまいましたが、前半は充分に楽しめたので良しとしましょう。