不忍池ボート池
2月に入って都心の梅が咲き出しました。そこで下町を巡る観梅ポタリングです。
梅は種類も多く花期が長い花ですが、近年の都心では2月の中旬あたりにそのピークがあるようです。ということで建国記念の日の2月11日に開催予定でしたが、生憎その日の天気予報は雪とあって延期になり、この日となりました。
今日の天気は、朝方は曇りでちょっと寒くダウンジャケットが必要なくらいですが、10時頃から徐々に晴れ間が広がり、午後は15°Cまで気温が上がるようです。
不忍池を廻る
不忍池の畔に集まったのは11名。都心のゆる〜いポタリングは人気があります。だってうちらポタリング・クラブだも〜ん。(笑)
まずは不忍池を廻りましょう。うしろの建物は辯天堂で、横の並木はソメイヨシノです。
上野広小路遺跡三橋遺構
不忍池の畔に立つ下町風俗資料館の横に最近『上野広小路遺跡三橋遺構』が整備されたので覗いてみました。(写真は別の日撮影)
江戸時代には不忍池から忍川(しのぶがわ)という細い川が流れ出しており、寛永寺に向かう広小路を横切っていました。そこには三橋(みはし)という三つの橋が架けられていました。その石組と水路の遺構が20年近く前に発見され、ここに当時の様子が一部が再現されたのです。ここで使用されている石材と木材は発見された当時のものだそうです。
石は伊豆石のようで、手前には4段しか積まれていませんが、実際は奥に見えるように7〜8段積まれていたようです。両側の石組を繋ぐようにして川底に木の板が渡されており、川はその木の板の上を流れていました。この木の板も発見されたものが置かれています。そこにお賽銭なのか当時の銭がへばりついています。
三橋を描いた浮世絵
三つ並んだ橋の内、両側の橋は一般庶民が渡り、真ん中の橋は将軍が寛永寺を参詣する際に通行する橋だったそうです。そのため 御橋(みはし)と称されたとも言われています。
現地に小島勝月(こじま しょうげつ)が三橋を大名行列が渡っているところを描いた浮世絵がありましたが、これは現実には起こらないことだそうです。大名には格式があり、格式が高い大名がやってくると格下の大名はひれ伏して格上の大名を先に通さなければならなかったため、橋の上で大名同士がすれ違うようなことはなかったのだそうです。
不忍池の河津桜
三橋の遺構を眺めたら不忍池の東岸を北へ向かいます。ここには若い河津桜が数本咲いていました。
五條天神社の河津桜
不忍池から上野公園へ上って行く途中に五條天神社があります。
この天神様の入口にはちょうど見頃になってきた河津桜が咲いています。河津桜は花の色が濃く、なおかつ花が密集しているものが多いように感じますが、この木の花の色は薄く、密集度も低いので河津桜にしては軽やかな印象です。
五條天神社
五條天神社の境内では白梅と紅梅がどちらも満開です。
五條天神社の白梅
これは入口付近にあった白梅。
五條天神社の白梅と枝垂紅梅
奥の白梅と紅梅。
五條天神社の枝垂紅梅
この紅梅は枝垂で姿がきれいです。
五條天神社の奥には花園稲荷神社があります。花園稲荷神社は元は忍岡稲荷といい、江戸時代の天保年間に刊行された江戸名所図会にも『忍岡稲荷社』『穴のいなり』として描かれています。天海僧正が寛永寺を創建した際に、このあたりの狐が棲み処を失ったことを哀れんで一洞をつくり、そこに祠を建て祀ったのが始まりとされます。
小松乙女の原木と小松宮彰仁親王像
五條天神社と花園稲荷神社にお詣りしたら上野公園に入ります。
上野公園にはちょっと珍しい桜があります。それは『小松乙女』の原木です。小松はこの写真の銅像の方で、小松乙女という名は銅像のすぐ横に原木があることからの命名だそうです。小松乙女はかなり早咲きでこの時はすでにピークを過ぎていました。
そしてその横にはまだ咲かぬソメイヨシノの木があります。
寒桜
これらのソメイヨシノは小松乙女の兄弟の可能性があり、ソメイヨシノはここで誕生したのではないかとも考えられています。小松乙女の一番近くにあるそれは、よりソメイヨシノの原木に近いと推定されています。
上野公園の大噴水の前ではなにやらイベントが行われていて賑やかです。その横で目を楽しませてくれるのは寒桜。この木もかなり早咲きですでに葉が出ていましたが、花はまだ見頃が続いています。
かっぱ橋本通り
上野公園を出たら下町情調たっぷりの『かっぱ橋本通り』で浅草へ。
かっぱ橋の交差点が近づくと、店先には食器や調理器具が並ぶようになります。ここは日本一の食器・調理器具の問屋街なのです。
スカイツリー
この道の正面には東京スカイツリーがバーンと立っています。
このあとはあのスカイツリーの廻りを廻るように進んで行きます。
浅草寺五重塔
かつてこのあたりで東京スカイツリーのような存在だったのは浅草寺の五重塔でしょう。この塔は江戸時代には上野寛永寺、池上本門寺、谷中天王寺の塔ともに江戸四塔と呼ばれたほど有名だったようです。
浅草寺は第二次大戦でほとんどの建物を失ったので、この五重塔も戦後の再建ではありますが、やはりお寺には塔がよく似合います。
浅草寺本堂
新型コロナウイルス感染症の流行によって規制されていた外国人の観光目的の入国規制が昨年10月に大幅に緩和されたことにより、浅草にも賑わいが戻ってきました。
ここではあちこちから外国語が聞こえており、すでに半年前の100倍以上の観光客がやってきているように見えます。
梅めぐり散歩道の枝垂梅
久しぶりの賑わいを感じた浅草寺の東には隅田川が流れています。その畔は隅田公園で『梅めぐり散歩道』という小さな公園のようなところがあります。
ここはとても日当りが良いせいか、梅はほとんど終わっていました。その中で唯一この赤い枝垂だけが満開でした。
桜橋
梅めぐり散歩道からは隅田川を遡ります。この先の右岸は土手上の道がなくなるので桜橋で左岸に渡ります。
時は11時10分前。ようやく空が青みを帯びてきました。
桜橋から隅田川上流を望む
走り出して1時間半。ちょっと小腹がへったね、と言うものがでてきたので、言問通りの『山本や』で長命寺桜もち を買って隅田川を眺めながらいただきました。
桜もちは関東と関西ではだいぶ趣が異なり、関東のものは皮が小麦粉から作られ、白っぽいのに対し、関西のものは道明寺粉から作られピンク色をしています。どちらもお寺と関係がある名が付けられているところがちょっと興味深いですね。
隅田川右岸の自転車道
桜餅をいただいたら白鬚橋まで進んでこれを渡り、隅田川の左岸に出ます。白鬚橋から北の隅田川左岸には自転車道が設えてあるのでこれをどんどこ。
千住汐入大橋まで進んだら隅田川を離れ、荒川サイクリングロードに入ります。
荒川河川敷
荒川には両岸にサイクリングロードがあります。どちらも良く使うので勘違いして左岸のそれに入ってしまいました。戻ってやり直し。(笑)
晴れ間の広がりとともに気温が急激に上昇してきていて、暑い、暑い。中着を一枚脱いで走ります。
木下川水門付近の旧中川
木下川水門(きねがわすいもん)まで進んだら荒川を離れ、旧中川沿いに入ります。
この旧中川の右岸、墨田区側は旧中川水辺公園として整備されていて遊歩道が続いており、気持ち良く走れます。ここは河津桜の並木が3分咲きほどになっています。
旧中川沿いを行くビジターのケイちゃん
今回が初参加となるビジターのケイちゃんはEバイクのVELMO ペガサスで登場。ミルミルの天馬くんとは色違いで、こちらは真っ黒クロスケ。ケイちゃんとミルミルは自転車談義で盛り上がっていました。
旧中川水辺公園を行くジオポタの面々
旧中川は荒川とは水位が異なるためその両端に水門が設けられています。通常時は基本的にそのどちらも閉め切られているため、旧中川の水はほとんど流れておらず、川面と遊歩道が近い上にレベル差が小さく、とても川に親しみを感じます。
対岸は江戸川区平井
総武線の線路をくぐり抜けると、対岸の江戸川区平井側に河津桜がいい感じで並んでいます。
全体としてはやはり3分咲き程度ですが、一本だけかなり開花が進んでいる木があります。
平井の河津桜
歩行者と自転車のための『ふれあい橋』で対岸に渡ってみました。
河津桜とスカイツリー
『お〜、咲いてる咲いてる!』 と、ここはちょっとした花見客で賑わっています。
満開の河津桜
これが一番開花が進んでいる木で、ほぼ満開!
旧中川の江戸川区側を行く
平井の河津桜を楽しんだら、さらに旧中川を下ります。
総武線の線路から南側は両岸とも砂利道になるので、ここは江戸川区側をそのまま進みます。
中川大橋から平成橋を望む
旧中川の出口が近づいてきました。旧中川はあの平成橋のすぐ南で荒川に繋がっています。
中川大橋の江東区側にある『旧中川川の駅』で休憩し、荒川へ向かいます。
荒川ロックゲート
旧中川が荒川と合流する地点にあるのが荒川ロックゲートです。
旧中川と荒川とは最大水位差が3.1mありますが、船はこのロックゲートの開閉で20分でそれらの間を行き来できます。この時はゲート内の浚渫工事を行なっていたので、おそらく一時的に通行できなくなっていると思いますが。
荒川サイクリングロード
荒川ロックゲートからは再び荒川サイクリングロードを南下します。
やっぱり荒川は広い!
仙台堀川公園
葛西橋の手前で荒川サイクリングロードを下り、仙台堀川公園に入ります。仙台堀川公園は仙台堀川に沿った緑道公園とでも言うような細長い公園で、その中に遊歩道が延びています。
仙台堀は隅田川と旧中川を結ぶ運河で、江戸時代には現在の清澄公園の西隣に仙台藩の深川蔵屋敷があり、そこに堀を利用して仙台から送られた米などを運び入れたことから仙台堀と呼ばれるようになったようです。
『野鳥の島』のアオサギ
仙台堀川と横十間川の交差点には『野鳥の島』があります。この島はとても小さいですが、通常、人が立ち入れないため、野鳥がたくさんいます。
ここではアオサギやカワウが営巣しており、たくさんの巣があちこちに見えます。
横十間川
『野鳥の島』からは進路を北にとり横十間川に入ります。
この横十間川沿いも公園になっており、仙台堀川公園同様に遊歩道が整備されていて快適です。
横十間川のカワウ
横十間川に張り出したデッキに真っ黒なものがいるなと思ったら、それはカワウでした。
このカワウは人慣れしていてまったく動こうとせず、私たちに向かって愛想を振りまいてくれました。
X字形の小名木川クローバー橋
横十間川沿いを進んで行くと小名木川との交差点に出ます。そこにはちょっと珍しい橋が架かっています。小名木川クローバー橋です。
川面に写っている橋を見るとよくわかりますが、この橋はX字形をしているのです。
小名木川クローバー橋にて
ここで記念の一枚を。
小名木川クローバー橋からは横十間川沿いをさらに北上します。この小名木川クローバー橋から北は横十間川沿いに設けられたデッキの遊歩道があるのですが、去年から工事中らしく通行できなくなっています。
亀戸天神
総武線の線路をくぐって亀戸天神に到着。
亀戸天神は梅の名所として古くから知られたところで、紅梅・白梅ともに満開!
亀戸天神の白梅
こんな蕾も好きです。
太鼓橋から鳥居方面見返り
紅白入り乱れ。
亀戸天神拝殿
拝殿の左右には紅梅白梅が一本づつ。
ここは天神様ですから祀られているのは菅原道真ということで、この時期は合格祈願の絵馬がたくさんぶら下がっています。
太鼓橋と枝垂梅
歌川広重が名所江戸百景で描いた太鼓橋。
八重咲きの梅
ピンク色の八重咲きはちょっと珍しいですね。
道脇の梅
亀戸天神にお詣りを済ませたら小村井の香取神社も覗いてみることに。
そうそう、このあたりの北十間川沿いには江戸時代に有名な亀戸梅屋舗(かめいどうめやしき)があったためか、梅が地域のシンボルのようになっているようです。この道脇にもきれいな梅が咲いていました。
香取神社
小村井の香取神社に到着。ここは千葉県の香取神宮の分社で、平安時代の末期に建立されたものだそうです。
香梅園
梅の密度が高い香梅園
この香取神社には面積はそう大きくないものの、梅密度が高い香梅園があります。
これは規模はともかく、明治時代まであった『小村井梅屋敷梅園』を再現したものだそうです。江戸時代のこのあたりにはたくさん梅の名所があったのです。
薄いピンク色の八重咲き梅
ここにも亀戸天神で見たものと良く似た薄いピンク色の八重咲き梅が咲いています。同じ品種でしょうか。
豪雨のような枝垂梅
ゲリラ豪雨のようにもの凄い枝垂で圧倒されます。
びっしりの白梅
ここは植え込みの密度が高いと同時に花の密度も高いように感じます。
とにかくぎっしりびっしりでびっくり〜(笑)
北十間川沿いを行く
香取神社の香梅園にびっくりしたら、北十間川沿いを東へ向かいます。
逆さ東京スカイツリー
北十間川の十間橋からは逆さスカイツリーが。
東京スカイツリー見上げ
そして東京スカイツリーの真下にやってきました。東京スカイツリーは言わずと知れた自立式のタワーとしては世界一の高さ634mを誇ります。
下から見上げても高所恐怖症の私は頭がクラクラします。怖い〜(笑)
墨田区側の隅田公園
東京スカイツリーの高さを改めて感じたら、隅田公園に入ります。
隅田公園と言ってもここは今朝通ったそれではなく、墨田区にある方。『梅めぐり散歩道』があったのは台東区側です。
アサヒビール本社
隅田公園を抜けたら隅田川沿いを南下します。
隅田川沿いでもっとも目立つ建物はこのアサヒビール本社でしょう。金ピカで頂部が銀色のギザギザです。これ、ビアジョッキに見立てたビルだそうです。その隣のフィリップ・スタルクがデザインした金色の人魂をのっけた奇妙な形のビアホール棟も健在です。
湯島天神
アサヒビールのビルを眺めたら、本日の最終地点である湯島天神へ。
湯島天神の紅梅
湯島天神は境内はそう広くはないものの、東京の梅の名所として真っ先に取り上げられるほどのところです。
紅梅満開!
湯島天神の白梅
白梅もちょうどいい頃合いです。
湯島天神の白梅と拝殿
梅の匂いがいっぱ〜い!
今日は朝方は曇り空で寒かったですが、ほどなく晴れ間が広がり、いいお天気になりました。まったりゆったりと1日、良い花見ができました。