坂戸駅
桜が終わりつつじと牡丹の季節がやってきました。
そこで2年ぶりに比企丘陵の定番花巡りコースへ。
高麗川自転車道
今年の4月の気温は異常に高く、すでに25°Cを超える夏日が何日かありました。ところがこの日の朝は16°Cと低い上に、お日様が出ておらず北風ビュービューで寒い寒い。
Tシャツと薄っぺらなアウターだけしかないユッキーは寒くて我慢できないのでこの近くにあるワークマンに寄りたいと言います。その他の面々も是非そうしようと言うので、まずは集合場所の坂戸駅から1kmほどのところにあるワークマンへ移動です。最近私たちのユニフォームになりつつあるワークマンでした。(笑)
高麗川自転車道と外秩父の山々
今日のコースは周回ルートなので時計廻りでも反時計廻りでもいいのですが、午後にはお日様が出そうなので、見どころが集まっている北部を後半にし、時計廻りに進むことにしました。
マージコとシュンシュン
ということでワークマンからは高麗川の土手を引き返して、五大尊つつじ公園を目指します。
高麗川の若宮橋
高麗川(こまがわ)に下るとそこに架かるのは沈下橋の若宮橋です。
沈下橋は土手の中にあり、その名の通りに川が増水した時には水中に没してしまう橋のことです。老朽化のため数年前に架け替えられ、橋脚は木造ではなくなり路面も人工木材に変わりましたが、沈下橋であることに変わりはありません。
若宮橋を渡るレイナ
『こんな橋を渡るのは始めてです〜 手摺がないのでちょっと怖いですね〜』 と沈下橋初体験のレイナ。
欠ノ上の畑の中を行く
若宮橋を渡ったら畑の中をどんどこ行きます。
外秩父の山々と耕された毛呂山の田んぼ
外秩父の山々が近づいてきました。
向かう五大尊つつじ公園はあの山の麓にあります。
鎌倉街道遺跡
田んぼの先に『鎌倉街道遺跡』と書かれた標柱が立っています。この写真に写っている草が生えている道がかつての鎌倉街道のようです。鎌倉街道は言わずと知れた鎌倉時代に造られた道で、『いざ鎌倉!』という時に備える軍事道路でした。それゆえ鎌倉街道は鎌倉から四方八方に延びているのですが、この道は鎌倉から北へ向かう鎌倉街道上道(かまくらかいどう かみつみち)でしょう。
軍事道路としての性格上、敵に見つかりにくくするために掘割にしたところが多く、ここもそのような造りに見えます。
旧鎌倉街道を行く
鎌倉街道の標柱から北上すれば、どうやらここも掘割が残っているようで、両側がこんもりと盛り上がっています。
毛呂山の田んぼ道
越辺川(おっぺがわ)を渡り、田んぼ道を越生へ向かいます。
西戸グラウンド脇
宮下橋の袂までやってくると、元気のいい声が響いています。
西戸グラウンドで女性のチームがソフトボールをしていました。元気な声を聞くとこちらも元気になります。
丹沢山地から外秩父山地
正面には丹沢から外秩父にかけての山々が並んでいます。写真の左端が丹沢、道の正面に頭がちょこっと飛び出ているのが秩父の武甲山だと思います。晴れていればここからは富士山が見えるのですが、この日は残念。
笠山
北西に目をやると、小川町のシンボル、トンガリ帽子の笠山が見えます。
越辺川沿いの桜並木
越辺川の右岸に渡ると、そこには気持ちの良い桜並木が続いています。
花は散りましたが、初々しい緑の葉が素晴らしいです。
越辺川沿いの遊歩道
桜並木が終わると遊歩道が川辺に続いています。
正面に五大尊つつじ公園
この遊歩道を行くと、五大尊つつじ公園がある山が見えてきます。
五大尊つつじ公園入口
越生駅付近で越辺川を離れ県道を渡って進むと、山が真っ赤!
ここが五大尊つつじ公園です。
五大尊上り口
五大尊とは五体の明王像のことで、この上の社にそれらが祀られています。
樹齢350年のつつじ
その社の下にはなんと樹齢350年だと言うつつじの木がびっしり。
紅白のつつじ
原色の眩しさと、普通はあまり匂いを感じないつつじですが、ここはその匂いが充満していて頭がクラクラします。
つつじの巨木の中を行く
どれも人の背丈を超える大きさにびっくり。
オレンジ色が鮮やかなのはヤマツツジですね。
巨大つつじにびっくりのレイナとマージコ
ここには10数種類のつつじがあるそうですが、この紫色の大きな花はオオムラサキツツジ。そのうしろの白い花はリュウキュウツツジでしょう。
五大尊が祀られている社
山の中腹には五大尊が祀られているというお社が立っています。
中を覗いてみましたが、ん〜〜ん、五体あるはずの明王様が一体しかないような・・・
五大尊の前から越生のまちを望む
五大尊の前からは越生のまちが見えます。
あまり上った気はしませんでしたが、こうして見ると意外と高いところにいるのがわかります。
ヒラドツツジのアケボノ
ピンク色のグラデーションは平戸ツツジの中でももっとも有名なアケボノという品種でしょう。
山一面のつつじ
今日は陽の光がないのが残念ですが、ここに光が射すとびっくりする位どの花も輝いて見えます。
油絵の具のパレットのようなつつじ
強烈な色彩のオンパレード!
満足顔な面々
ここは始めてというシュンシュン、レイナ、コテッチャンはこれだけ纏まったつつじは見たことがないと言い、とても満足げでした。
大谷
五大尊つつじ公園のつつじに満足したら、ひとまず明覚へ向かい昼食です。
日本カントリークラブ横の坂道
今日はほとんど上りがないコースなのですが、ここにほんのちょっとだけへこへこしなければならない坂道があります。まあ、距離は500mほどと短いので、大したことはありません。
しいの木のうどん
JR八高線の明覚駅から1kmほどのところにあるうどん屋さんに到着。
埼玉県はうどん文化圏。武蔵野うどんです。ユッキーは武蔵野うどんと言えばの肉汁うどんを、その他の面々は天ぷらうどんをいただきました。この天ぷら、山菜がいっぱいでおいしいです。武蔵野うどんは一般的には太く腰が強いものが多いと思いますが、ここのうどんはその中では柔らかめで食べやすいです。
竹本
さて、午後の部です。今日の午後は見どころが4ヶ所もあります。
そして食事をしている間に空は真っ青に! 最高の天気になりました。
竹本の麦畑
ときがわ町から鳩山町に入り、田畑の中をどんどこ行きます。
緑の畑は麦です。風で葉っぱがひらひらして陽の光を浴びて輝く姿はとてもきれいです。
物見山へ向かう
午後の部に最初に向かうは東松山市の物見山公園。
正面のこんもりした丘の向こう側です。
観測センター通り
小さな谷戸の奥へ入って行くと、いつしか周囲は田んぼから林に変わります。
そして路面はアスファルトから砂利に。
JAXA地球観測センター
その砂利道が終わると突然、どうしてこんな山の中にこんな道があるのか、というアスファルト舗装の道が現れます。
巨大パラボラアンテナ
横には巨大なパラボラアンテナが二つ見えています。ここはJAXA地球観測センターです。
この施設は、地球観測衛星から送られてきたデータを巨大なパラボラアンテナで受信し記録する業務を中心に行っているそうです。予約すれば平日2回行われている見学ツアーに参加できます。
森の中を行く
地球観測センターからは美しい広葉樹の森の中を行きます。
物見山公園
r343岩殿岩井線に出るとそのすぐ先が物見山公園です。
物見山公園より東松山方面を望む
物見山公園にはつつじが4万本あり、このあたりではつつじの名所とされていますが、この時それはほぼ終わっていました。今年の花はみんな例年より早いようです。それにしても午前中に見た五大尊つつじ公園とは花の咲きぶりが丸で異なるのにびっくりです。
岩殿観音
物見山公園から細道を下ると坂東三十三観音霊場十番札所の岩殿観音です。
このあたり一帯は比企丘陵と呼ばれるところで、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を観た方はご存知かもしれませんが、源頼朝の乳母である比企尼(ひきのあま)の夫の比企遠宗(ひきとおむね)が治めていた地でした。頼朝は比企尼の甥である比企能員(ひきよしかず)を側近として迎え、坂東三十三観音霊場の制定にも深く関わったようです。岩殿観音は比企能員を中興の祖としており、頼朝の死後はその志を継いだ北条政子が堂宇を再建したと伝わっています。
大イチョウ
この観音さまはお堂も立派なのですが、それ以上に目を引くのがこの大イチョウ。
大イチョウを抱くレイナとコテッチャン
巨大も巨大で幹廻りは何メートルあるのか・・・ レイナとコテッチャンが手を広げていますから大きさが想像できるでしょうか。
それにしてもこの根っこは凄い!
断崖に埋込まれた石仏
観音堂の北は断崖になっており、そこにはたくさんの石仏が埋込まれています。
ごつごつした岩肌がちょっと恐ろしげです。
岩殿観音の参道
私たちは物見山公園から下って来たので山門を通りませんでしたが、本来の参道は寺から北東に延びています。
真っすぐ〜!
鐘楼
茅葺き屋根の鐘楼も味があります。
ちょっと驚いたことにこの鐘突き棒はなんとシュロの木でした。実は撞木にはシュロの木が最適なんだそうです。知らんかった〜
高本山峠
岩殿観音にお参りを済ませたら本日2回目の上りで、標高100mほどの高本山峠を越えます。
稲荷橋
高本山峠から下ると都幾川(ときがわ)で、コンクリート造の沈下橋、稲荷橋を渡ります。
この橋は同じ沈下橋でも今朝渡った木造的な若宮橋とは雰囲気が大分異なり、四国の四万十川に架かるものに良く似ています。四万十川のものもコンクリート造ですからね。
稲荷橋から見た都幾川
稲荷橋の下の河原には釣りやデイキャンプを楽しむ人々の姿があります。午後になりすっかりよい天気になりました。
稲荷橋と越えてきた山
うしろに見えるのが高本山峠がある小山。地形図に山名はないのですがおそらく高本山と言うのでしょう。
こうして見ると意外と高く見えますが、山の向こう側の方がここより標高が高いので、向こう側から上る方が楽なのでした。(笑)
シバザクラ
午後の部の花巡りの第二弾は東松山ぼたん園です。
北へ向かうと、畑の際のシバザクラが満開!
黄色いジャーマン・アイリス
畑からちょっとした林の中へ。
この黄色い花はたぶんジャーマン・アイリス(ドイツアヤメ)でしょう。黄色いアヤメ科の植物には帰化植物のキショウブもありますが。
東松山ぼたん園
東松山ぼたん園に到着。
開花状況を示す看板
ここには150種6500株の牡丹がありますが、現在、早咲きのものはすでにおしまいで中咲きから遅咲きのものが見頃とのこと。
牡丹その1
清々しいレモンイエローの牡丹。
牡丹その2
薄紫色。
牡丹その3
きれいな純白!
牡丹その4
微妙な色合いの赤。
牡丹その5
ティッシュペイパーみたいなひらひらのピンク色。
牡丹に見入るマージコとシュンシュン
うわ〜、とか、お〜っ、とか騒ぎながら、花の香りが充満する中を進んで行きます。
園の様子が分かる写真があまりないのですが、これは花の密度が低いところで、見頃のゾーンはこの何倍も花が咲いています。
芍薬その1
立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は百合の花
牡丹と芍薬はよく比較されますが、両方ともボタン科なので花は似ています。違いを簡単に言うと牡丹は木で芍薬は草。これは茎の部分を見ると良くわかります。花は牡丹の方がずっと大きく、芍薬は小振り。牡丹は枝分れした枝に花をつけるので、木の中心ではなく横にずれたところで花が咲くため、座っているかのように見えます。中国では花の王と呼ばれ、華やかさの象徴になっているそうです。一方の芍薬は伸びた茎の先に花をつけるため、すらりとした印象ですね。
芍薬その2
芍薬は蕾や半開きの花がかわいらしいです。
東松山ぼたん園がある丘をうしろに
東松山ぼたん園の牡丹に感動したら、本日最後の見どころである東松山駅のすぐ近くにある箭弓稲荷神社(やきゅういなりじんじゃ)へ。
そうそう、東松山ぼたん園はこの写真の小高い丘の入口にあります。
市野川
田んぼの中を行き、市野川を渡って東松山のまちに入ります。
箭弓稲荷神社
箭弓稲荷神社は古くは野久稲荷神社でしたが、平安時代のある戦ののちに現在の名に置き換えられたそうです。
拝殿と本殿
箭弓の『箭』は矢のことですから、その名からもこの神社が戦と関係があることがわかります。
野球のバットとホームベース形の絵馬
そして現代になると『箭弓』は野球と掛けられ、野球関係者の参拝が多くなったようで、境内には野球のバットとホームベース形の絵馬がたくさんぶら下がっています。
霜よけに覆われた牡丹
この箭弓稲荷神社にも牡丹園があります。ここの牡丹園は東武東上線の延線竣工を祝し、1923年(大正12年)に東武鉄道の初代社長が牡丹や藤を奉納されたことに始まっています。
箭弓稲荷神社のつつじ
この時は牡丹はほとんどおしまいでしたが、つつじはいい感じです。
延命の藤その1
そして藤が満開!
延命の藤その2
この藤は『延命(ながらへ)の藤』と呼ばれもので、かなり巨大。推定樹齢は250年以上!
東松山駅
今日はたくさん見どころを巡り、もうお花でおなかはいっぱい。このあとは出発地の坂戸駅まで土手を行くつもりにしていましたが、もうここで上がりたいというものが続出。
始めて焼きトンを食すユッキーとレイナ
というわけで、東松山といえばのやきとりを。『焼き鳥』ではありませんよ。『やきとり』です。
このあたりで『やきとり』というのは実は豚肉を使ったものなのです。つまり焼きトン! それもカシラと呼ばれる部位です。カシラは頬肉のことですが、白味噌をベースにした辛い味噌だれと共にいただくのが東松山流です。ユッキーは豚の頭なんて食べたくないと言っていましたが、なんのなんの、一本頂くとおいしいおいしいと言って2本目にいきました。コラッ!(笑)
やきとり屋のおやじさんと古い巨大栓抜き
東松山には焼鳥組合があり現在20店ほど加盟しているそうで、肉を共同購入するため安価に提供できると言います。加盟店のやきとりは同一価格で、以前は120円でしたがこの時は150円になっていました。しかしそれでもかなり安いと言えるでしょう。
この店は東松山では一番古い部類らしく、1962年にできた焼鳥組合の結成当初からのメンバーでもあるそう。店主が持つ写真の巨大栓抜きは先代が開業した当時のもので、その当時のビールメーカーすべての名が刻印されているのだとか。この店は白味噌をベースにした煮込みもとってもおいしいです。カシラが手に入れば是非作ってみたいですが、頬肉は一般にはなかなか手に入りにくいですね。
いや〜、最後が東松山上がりになったので花巡りの最後に『やきとり』のおまけがつき、楽しい春の1日になりました。