2024年の紅葉狩りは山梨県の竜門峡。
今年はなかなか寒くならずに、どこもかしこも紅葉が遅れています。竜門峡は例年であれば10月下旬ごろには見頃になるのですが、今年は11月上旬の3連休になってもあまり色付かず、2週間伸ばして先週末開催予定でしたが、その週末は天気が今ひとつだったのでさらに1週間伸ばして本日開催となりました。
待った甲斐があり天気は快晴! 甲斐大和駅を降りると甲斐の武将武田勝頼の像が立っています。
その前には大菩薩峠行のバスを待つ人々が行列を作っています。日が長ければ私たちも大菩薩嶺を眺めて塩山に下りたかったのですが、この時期それはできそうにありません。今日のメインイベントは竜門峡の紅葉狩りですが、その前にこの勝頼父子らが眠る景徳院に立ち寄りましょう。朝の8時過ぎ、甲斐大和駅を出てR20を東へ向かいます。山間の谷を走るR20は両側から山が迫ります。まだこの時刻は太陽高度が低いので、日向と日陰の明度差が激しく、眩しさを感じます。
道は序盤から穏やかながらも上り。
R20から大菩薩初鹿野線に入ると程なく、道脇に日川(ひかわ)が流れるようになります。この流れが竜門峡へと続くのです。
2kmほど走って景徳院に到着。
このお寺は徳川家康が武田勝頼父子らの慰霊のために建てたもので、お堂のほとんどは焼失しましたが、この山門だけが当時の姿のまま残っています。
織田・徳川連合軍の侵攻を受けた武田勝頼は城を捨て小山田信茂を頼りますが、信茂が離反したため武田氏ゆかりの地である天目山棲雲寺(栖雲寺)を目指しました。しかしここで捕らわれ、自刃。武田氏滅亡。
甲将殿の横には勝頼と嫡男の信勝、そして北条夫人の墓があります。
景徳院のお参りが済んだら大菩薩初鹿野線を竜門峡へ。
ちょっと勾配がきつくなっってきた〜
竜門峡が近づいてくると西の山が輝き出しました。紅葉、まずまずでしょうか。
景徳院から1kmほど走って竜門峡の入口に到着。第一駐車場に駐輪してハイキングを開始しましょう。
駅前で大菩薩峠行のバスを待つ人々を見た時は竜門峡も混んでいるかもしれないと思ったのですが、この様子からするとここは空いていそうですね。
竜門峡の入口に架かるのは竜門橋で、この下に日川が流れています。
竜門峡ハイキングの序盤は朝日がとても気持ちいい、こんな広葉樹が生える素敵な道です。
雑木林の樹種については詳しくないのですが、樹皮からするとクヌギやコナラといったところでしょうか。
淡いオレンジ色に紅葉しています。
地図を見るとこの下の日川本流に大蔵沢が流れ込むところに『竜門の滝』があるのですが、ここは断崖で降りられません。そこへ行くには竜門橋付近から日川に降りて遡行しなければならないようなので、残念ながら今回はパスします。
これまで見えなかった日川が木々の合間から顔を出しました。鮮烈な流れ!
足元にはたくさん落ち葉があります。紅葉は樹種の違いはもちろんのこと、日向や日陰といったちょっとした環境の違いで大きくその進行が異なるので、もうほとんど葉を落とした木もあります。
竜門峡の入口から20分ほど歩くと、前方に小さな建物が現れました。あれは東京電力の水力発電のための取水口です。
取水口から上は朴の木の葉っぱがたくさん落ちていて、カサコソいい音です。子供の頃はこの葉っぱでお面を作って遊びましたね。
徐々に日川の存在が大きくなってきました。これが竜門峡ですね。
木々の色は黄緑色から黄色、そしてオレンジ色へと移っていきます。
それに青空が加わり、今日は最高です。
このルートはここまでとても歩きやすく問題になるようなところはありませんでしたが、ここは斜面に大きな岩がある上に狭くて足元にも石ころが転がっているので、設置されていたロープのお世話になりました。
このあたりから岩が多くなってくるのですが、この岩には木が絡みついていて、妙なことになっています。
この雑木林には赤くなる木は少ないのですが、これはオレンジ色が濃く、きれいです。
日川が近づきました。ここは水に触れられそうです。
このあたりはもみじの木が多く、よく見ればすでに葉を落としています。紅葉が盛りの時はここはさぞきれだったでしょう。
竜門橋から30分ほど歩くとこんなものがありました。炭焼窯跡です。
立派な石積みのもので、この中に木をびっしり並べ、その上に灰土を被せて焼くのです。炭ができるまでは数日掛かるため、この上には簡単な屋根が設けられていたはずですが、それは朽ち果てたのでしょう。
炭の材料はここにはたくさんありそうですが、出来上がった炭を運ぶのは大変だったでしょうね。
炭焼窯跡を過ぎると足元に岩がごろごろし出します。ちょっとぬかるんだところもあり、慎重に登っていきます。
先に小さな滝が見えてきました。『落合三つの滝』です。どこに三つあるのかな〜と探してしまいましたが、この三つは三段という意味らしいです。紛らわしいねぇ。
滝は対岸に落ちており、そっちには簡単には行けそうにないので、こちら側からちらっと観て先へ進みます。
落合三つの滝のあたりは道が狭く、このようなデッキを渡るところも出てきます。
このあと天鼓林という地面を踏み鳴らすとド〜ンド〜ンという音が鳴るところを通りますが、これは写真にはならず。
天鼓林を過ぎると足元にはふかふかの落ち葉が積もり、その横を渓流日川が流れます。
こんなにいいところなのに人はあまりおらずに静か。
このあと散策路は川を離れ上って行き、エメラルドグリーンの流れが下に見えるようになりました。
上には淡いグラデーションの紅葉が広がります。
いつの間にか散策路はまた日川に近づいたようで、橋を渡ります。
清々しい流れ!
日頃テニスで鍛えているシンチェンゾーはここまでスタスタ。週に一度のジョギングだけのサリーナは少し疲れてきたか・・・
歩き出して1時間、橋を渡るとパンフレットに休憩舎とある東屋に到着。ここでちょっとだけ休憩です。
休憩舎付近で空が少し開き、きれいな紅葉が見えました。
休憩のあとは休戸橋(やんどばし)を渡り、また右岸に戻り、今度はこんな板を渡しただけの橋を渡ります。この板、穴が・・・
竜門峡は岩がごろごろ。このあたりに『休戸の滝』という小さな滝があるはずなのですが、どれがそうなのかわかりませんでした。
板の橋の先にはなんだか恐ろしげなものが。『平戸の石門』です。
どこからどうしてここにやってきたものなのか、巨岩がいくつか重なり合って人一人がやっと通り抜けられるようなトンネルを形造っています。そこを恐る恐る通り抜けるサリーナ。
その先には『木賊(とくさ)の石割けやき』があります。木賊はこのあたりの地名ですが、ケヤキの木が巨岩を割り裂いています。
おそらく小さな亀裂が入った岩にケヤキの木が根を下ろし、長い年月を掛けて根を伸ばし、ついにその圧力で岩が割れたのでしょう。それにしても見事にパッカーンと割れていますね。
石割けやきの先で矢印は二つの方角を指しています。一方はこのハイキングコースの終点である『栖雲寺』で、もう一方には『蜘蛛淵(くもんぶち)』とあります。蜘蛛淵まではすぐのようなので、蜘蛛淵を覗いてから栖雲寺へ向かうことにしました。
これが蜘蛛淵です。
シンチェンゾーが淵って何? どれが淵なのと言うので、指差してこれが淵がよって教えてあげたら、え、これって滝壺じゃあないの? と。(笑)
まあそうなんですけどね。淵って水を深くたたえている所のことで、言うなれば滝壺とまでは言えないようなところは淵になるんでしょうな。
しかし、なぜここが『蜘蛛』かについてはよくわかりません。淵の形が蜘蛛に似ているのかと思ってよく見てみましたが、どう見ても蜘蛛には見えませんでした。
戻って栖雲寺へ向かいます。すると『栂見の洞穴(つがみのほらあな)』という立て札が。
この洞穴は狭くて閉所恐怖症の私は入れませんでした。
栂見の洞穴のあとは急な登りです。空が開いてきて民家が現れました。竜門橋のハイキングはこれにて終了です。
ふと南を見ると、なんと山の奥に富士山が。ここはそういえば山梨県でしたね。
今年の冠雪はとても遅かったですが、もうすっかり雪化粧しています。
富士山を眺めて車道に出ました。周囲の山の紅葉がきれいです。空の青も見事!
車道を渡るとすぐに栖雲寺です。
ここの地名は『木賊の石割けやき』にあったように木賊といい、この裏山は古くは木賊山と呼ばれていたようです。寺の開山である和尚は修行した中国杭州の天目山によく似ていることから寺の山号を天目山とし、現在は山そのものもその名で呼ばれているようです。
この寺はしばらく武田氏の庇護を受けており、その菩提寺として大いに繁栄したようです。景徳院のところで述べたように、武田勝頼が最後に目指した地がここでした。
道脇の紅葉もなかなかきれい。
栖雲寺にお参りしたら、自転車を置いた竜門峡の入口に戻ります。
この道はこれから自転車で上る大菩薩初鹿野線ですが、かなり勾配が急なところがあり、ここより上方がどうなっているのかちょっと気になります。
栖雲寺から竜門峡の入口までは徒歩で40分ほど。途中、道脇に日川の支流である大蔵沢の流れが見えました。
竜門峡の入口まで下ってきました。ハイキングコースは竜門橋を渡るのですが、この橋の袂には『竜門峡入口』の石碑があります。
さて、ここからは自転車で上日川峠を目指すのですが、いったいどこまで行けることやら。
まず竜門峡入口からの上り出しですが、これがいきなりの10%で序盤から苦戦。
大きなカーブをいくつか廻って天目トンネルが近づくと、うしろにちょっとした山並みが見えてきました。
天目トンネルをくぐり抜けると『やまと天目山温泉』までもうすぐなのですが、この温泉の手前がきつい!
その温泉にやってきました。この先には食堂はないのでここで昼食タイム。
この日は全員、ホタテや魚などのフライ定食。
もう日没が早いので、あまりだらだらせずに出発します。上日川峠方面へ向かう道は2本あり、一本は栖雲寺を通る大菩薩初鹿野線で、もう一本は焼山沢真木林道。大菩薩初鹿野線はバスが通る県道で、比較的緩い勾配で日川に沿って上って行きます。もう一方の焼山沢真木林道は湯ノ沢峠への登り口などはあるものの、ほとんど交通がない道で勾配はかなりきついです。私たちの実力からすると上日川峠までは行き着きそうにないので、上日川ダムから戻ってくることになりそう。であれば行きに焼山沢真木林道を使い、帰りに大菩薩初鹿野線を使うのが良さそうです。
ということで焼山沢真木林道に入ります。ところがこの道は序盤からものすごい勾配でアヒアヒ。
3枚しかギアがないシンチェンゾーは初っ端から押し! ごら〜、ここに3段変速で来るとは、てめ〜、ナメてんのか〜
道脇を流れるのは林道の名にもなっている焼山沢。もっとも、その流れが見えるのは橋のところくらいで、あとは僅かに気配を感じるだけです。
その焼山沢の谷にも僅かに紅葉が見られますが、すでに終盤といったところでしょうか。
ゆっくりと、徐々に上り詰めていくと、あるところでこんな景色に出会いました。木の種類はわかりませんが、ほとんどすべて葉を落としています。もう冬支度といったところでしょうか。
周囲の樹種が変わり再び紅葉した木々が現れますが、高度が上がったせいかかなり終盤といった風情で、だいぶ葉を落としています。
さらに上るとまた樹種が変わり、ここの木々は完全に落葉。
やまと天目山温泉から5kmほど上ると、前方に黄色いゲートが現れました。ここは湯ノ沢峠へ向かう登山口です。
黒岳、白谷小丸、大蔵高丸などを繋ぐ縦走コースが登山者に人気で、ここから1時間ほど歩くとそのコースの起点となる湯ノ沢峠です。
その登山口を横目に見ながらカーブを廻ると道は焼山沢を離れ、少し勾配が落ち着いて、振り返ればうしろの山々が見えるようになります。
ここまで上るともう紅葉はなく、薄茶色の木々に覆われた山があるだけになります。
このコースはやまと天目山温泉を出た後は休憩するのに適当なポイントは7kmほど上ったところにある東屋くらいしかなく、そこを目指して黙々と上り詰めて行きます。
いったん落ち着いたと思った勾配はまた急になってきました。
いくつもカーブを廻って進めば、周囲の山々が徐々に低くなってきます。
焼山沢の谷の向こうに見えているのは方角からすると大蔵高丸でしょう。今日もたくさんの登山者があそこを歩いているはずです。
えっちらおっちら上って、ようやく東屋に到着です。
この東屋の付近からは富士山が見えます。枯れススキがなかなか乙!
東屋で一服したあとはさらに上って行きます。
この東屋のあとは道の勾配がぐんと緩くなり、だいぶ楽になります。
しかも一気に視界がひらけて、ドーンと富士山!
その先、西には南アルプスも!
この景色に満足なシンチェンゾーとサリーナ。
このコースはこのあたりからが景色が良いのです。
富士山を眺めた後、カーブを廻ると日陰の北斜面に入ります。ここは日川の支流の大木賊沢の谷で、向こうに見える鉄塔のあたりを日川は流れています。
道は大木賊沢の奥へ向かって伸びています。
『ここはすごい景色ね〜』 と落葉した木が海のように広がる景色に圧倒されるサリーナ。
ここは標高1,550mあたりで、道はほぼ等高線に沿って伸びているようです。
いつの間にか北斜面から南斜面に出たようで、再び富士山に出会いました。手前に見える尾根は湯ノ沢峠から大蔵高丸あたりでしょう。
この富士山のすぐ先で焼山沢真木林道から日川林道が分岐します。
焼山沢真木林道はこの先湯の沢峠まで続くのですが、私たちはここから日川林道に入り、上日川峠方面へ向かう予定でした。しかし時はすでに15時15分。もう少し時間はありますが、標高が上がり日陰でもあることから、気温はかなり低く寒さを感じます。
この先、道は僅かに下ってまた上ります。上りだけだったら先へ進んだかもしれませんが、下って上るのはいやだな〜、ということで、本日はここで終了と決定。上日川峠はおろか、ショートコースとして設定していた上日川ダムまでも届きませんでした。まあいいか〜(笑)
やって来た焼山沢真木林道を戻ります。車がほとんど通らない林道の下りは快適です。
あっという間に焼山沢真木林道の入口付近にある八大龍王神社まで下ってきました。
このあとはやまと天目山温泉に浸かって温まりました。やっぱりサイクリングのあとの温泉は最高ですね〜
そして出発点の甲斐大和駅まで下り、反省会に突入。
最近走る距離がどんどん短くなってきているね〜、というのが全員一致の見解でしたが、それでもまあまあ満足できるのは、全員それなりに年を重ねたからでしょうか。