今年は巳年、新春ポタはへびを見に行こう!
そんな掛け声に誘われて、蓮根駅から徒歩5分の城北交通公園にジオポタ集合。今回のプランナーはレイナとマージコ。そして参加はジオポタ9名に加え、ビジター2名の総勢11人。
さて、今日は人数が多いので、レイナ発案のポッキーを使ったくじ引きで『チョコ組』と『いちご組』に分かれて走ることに。さらにエリアごとに担当を決めて全員が事後レポートを書くように、とレイナが指示。『うへー、夏休みの宿題みたいだ』『書くことがないぞ~』早くも各人からうめき声が上がります。
ともかく出発。まずは『チョコ組』、左からマージコ、レイナ、ベネデッタ、コムラン、ユッキー、そしてビジターのはるばる群馬からやってきたグッチー。
この交通公園には実物のD51型蒸気機関車やバスが展示され、交通資料館もありますが、今日はまだ正月休みで閉まっています。
D51を背景に、『チョコ組』に続いて発進のこちらは『いちご組』。左から、ビジターで現れた赤いブロンプトンのユカちゃん、サイダー、シンチェンゾー、シュンシュン。チョイ悪そうな雰囲気の面々ですが、カメラの善玉サリーナもいちご組員ですからご心配なく(?)。
マージコを先頭に交通公園から3分ほど走ると、道路の中央にいきなり巨大な2匹の白へびが出現しました。『何じゃこりゃ~』
ここは蓮根川緑道にある珍スポット。昔この場所を流れていた蓮根川を暗渠にして整備されたそうで、不動の滝から白ヘビが水を飲みに来た伝承に因んで、巨大な白ヘビのモニュメントが置かれています。
長~い白へびの思い思いの場所に腰かけたり、とぐろの間に入ったりして、はい!ポーズ。新春へびツアーは最初からかなりインパクト大です。
へびの上に乗っかって歩いたり、くぐったりもできますが、残念ながらそんな子ども心をもったメンバーはいませんでした。
へび公園の『白へび』をあとに、一同は次のスポットへと向かいます。
途中、首都高をくぐり松山の坂を上ったらぐわーっと下る地形の変化を楽しんだら、企画者レイナが急にストップ。『ここ、今日は休みなんですけどパン工場の直売所です』と解説。お店は休みですが、そこにはパンの自販機が。まだお腹が空いていないのか製造日がわからないためか買う者はいませんでしたが、いろんなパンがありましたよ。またの機会に。。
茂品通りを南下していくと、目の前に並木道が見えてきました。城北中央公園に到着です。ここでトイレ休憩。
ここは野球場や陸上競技場などの運動公園、そして広場や森もある大きな公園です。陸上競技場ではアスリートの集団が黙々とランニングを続ける姿がありました。
そして、『私のおすすめスポットへ行きましょう~』と言うマージコに引かれ、木々の間を駆け抜けるジオポタ。
その先に、藁をピラミッド型に積み上げたようなものが見えてきました。
マージコの案内でたどり着いたのは、公園内の復元された竪穴式住居です。
ここは栗原遺跡といって、縄文時代~平安時代の住居跡が発見されたそうで、この復元は奈良時代のものとか。『奈良時代って縄文より古いんだっけ??』なんておとぼけなメンバーもいるジオポタです。奈良の都の発展に比べると、地方ではこんな暮らしだったんですね。
城北中央公園からは石神井川に沿って走ります。
桜の季節は華やかな川沿いですが、今は静かな遊歩道をどんどん進むと、『はい、ここです』とレイナ。あれ、何もなさそうだけど?
よく見れば、遊歩道の傍らにあった小さな碑にはへびの浮き彫りが。
何でも昔々、田畑に水を引くためにこの辺りに堰が作られ、堰の番をしていたおばあさんは『堰ばあさん』と呼ばれていた。ところが、いつの間にかおばあさんの姿が見えなくなり、不思議に思った村人が訪ねてみると大きな蛇がいた。これはおばあさんの化身だと、村人は堰の傍らに祠をたて堰守の神として供養し、いつしかこの祠を『堰ばあさん』と呼ぶようになった、とのこと。祠は朽ち果て、この碑のみが伝説を今に伝えています。
さらに桜並木が続く石神井川の左岸を行くと、中之橋に出ます。
そして、その先はかつて豊島園だったところで、今はワーナーブラザースのハリー・ポッター体験施設と、練馬区の公園になっています。
そのハリー・ポッターの前庭にはハリーの命を狙う大蛇『ナギニ』がドーン!
元はインドネシア生まれのサーカスパフォーマーで、血の呪いをかけられてヘビに変身した姿です。『名前を呼んではいけないあの人』と呼ばれる最強の闇の魔法使い、ヴォルデモート卿のペットとして、彼のいくつもの殺人行為を助ける怖~いやつ。
ちょうどこの時、電車のトラブルで遅れていたフミリンが豊島園駅に到着したと連絡があったので、都立練馬城址公園内の花見広場に移動して待つことにしました。
どうにか合流できたフミリンですが、来るなり『なんかスピードがでないんですよね〜、このタイヤ、空気入っているんですかね〜』と呑気なことを言っています。チェックしてみるとプヨプヨでまったくダメ。さっそく空気を入れようとしますが、なんとバルブが英式! これに対応した空気入れは誰も持っていません。
あーだこーだと悪戦苦闘していると、都内の公園事情に詳しいコムランの『管理事務所に空気入れがあるんじゃあ…』というナイスつぶやき。それを聞き逃さなかったレイナがひとっ走り、本当に英式バルブ対応のフロアポンプを見つけてきました。お手柄〜 これでなんとか花見広場を出発できます。
『これで時速18kmは出るわ~』と、ルンルン石神井川をかっ飛ばすフミリン。追いかけるは青服サリーナ、そして赤いオシャレなブロンプトンに颯爽とまたがるユカちゃんが続く。
石神井川から南へ進み、練馬区立美術館に隣接する『練馬区立美術の森緑地』に着きました。
練馬区で美術というと・・・日本大学芸術学部ですよね! この緑地は2015年4月にリニューアルされた際に、彫刻家であり教授の鞍掛純一さんによる制作指揮のもと、芝生の園内に20種類32体の幻想的な彫刻が配置されたカラフルな楽しい公園になりました。
ここは、『見て触れて想像をめぐらせる幻想美術動物園』。鑑賞は無料。『遊べるアート』を謳っているだけあって、子どもたちは自由に“おさわり”しています。
肝心のへびはこんな高いところに。
へびもキャラクター化すればいくらでもかわいくできると思うのですが、やっぱり怖いとか気持ち悪いとかのイメージが強いのか、街中ではなかなか見かけません。神社仏閣、伝説の地以外で見つけるのはけっこう難しかったので、ここは大発見。さすがのジモピー、マージコのお手柄です。
そんな美術の森の中、へびには目もくれずタイガーに寄り添ってニコニコのサリーナ。こいつは春から縁起がいいわい。虎党のサリーナにとって至福の1枚になったことでしょう。
一方、ネコ2匹と並んで写真に収まるのはフミリンの相棒、チワワのマッキーです。
初めてジオポタに参加した時には人見知りが激しくてちょっとなでようとするとギャン鳴きでしたが、今やすっかり馴染んでいます。
美術の森緑地を出発し、さらにどんどん南下します。
早稲田通を横断し、妙正寺川沿いを進んだら、閑静な住宅街の中にある『Aさんの庭』にやって来ました。
『Aさんの庭』は、杉並区が運営するトトロのめいちゃんの家をイメージした小さな公園です。
かつて、この地には洋風の家と美しいバラが植えられていた庭があり、“ばらの家”と呼ばれていました。宮崎駿監督の著書『トトロの住む家』でも、“トトロが喜んで住みそうな家”として紹介され、地域の人々にも親しまれていたといいます。
区がこの場所を買い上げ公園として整備しようとしていたところ、残念なことに、家は火災により焼失。新たな公園計画を余儀なくされていた際、この地を愛してきた監督より公園デザインの提案があり、2010年7月に開園となりました。
かつての住宅をしのばせる建物は、誰でも利用できるトイレと防災倉庫を兼ねたものです。公園名の『Aさん』とは、公園に来る利用者を指しているそうです。四季折々の花が咲く小さなお庭は、地域ボランティアの人により管理されています。
ところで、肝心のへびはどこにいるのかな?
庭の奥でベネデッタが発見。『レイナ、これですか?』 そこには大正時代の面影を残した古井戸があり、昔なつかしい手押しポンプが保存されています。そしてポンプの先には丸くトグロを巻いた青いホース・・・青へびがいた! 正月早々小洒落たジョークに一同沸きました。
庭の散策を終えて次なるポイントは、お楽しみのランチです。腹を空かせた珍獣一行はいそいそと移動します。
今回は阿佐ヶ谷駅近くの『やの志ん』にて、お正月っぽく豪華な蕎麦懐石。こじんまりとした落ち着いた雰囲気のお店です。本来はまだお休みの予定だったのですが、予約できるランチスポットがなくて困っていたところ、特別にお店を開けてくださいました。
お店の入口にもへび発見!
和モダンな店内で、腹ごしらえの前にそば茶で乾杯~
ランチコースは前菜セットから始まり、お汁や天ぷら、蕎麦、そしてデザートと盛りだくさんで、どれも美味しい。
蕎麦は二八そば。冷水で締めてあり喉越しも大変良かったです。
工夫の凝らされたメニューの中で一番印象に残った料理は、蕎麦がきを団子にして素揚げした初体験メニュー。
お箸で割ると、ねっとりした味付きの生地が現れます。ハフハフ熱い~、蕎麦の香ばしさを楽しめる一品です。
蕎麦屋で腹を満たした後、午後の部の始まりです。5分ほど走ると、コインパーキングの隣に鎮座する阿佐谷弁天社に到着。
近くには阿佐ヶ谷神明宮があり、弁天社はあまり目立たない存在ですが、弁天様・白ヘビ様・お稲荷様が祀られたパワースポットらしい。
赤い鳥居をくぐったすぐ目の前に、比較的新しい白蛇の祠があります。へびは弁財天の眷属ということで、弁財天の台座そばに従っていたり頭の上に載っているのが一般的らしいですが、ここはへびが別に祀られていました。
ちなみに弁財天は、ヒンドゥー教の女神サラスヴァティを源流とする水の神様で、七福神の一柱です。知識や学問、音楽、富や繁栄、美や健康など、さまざまなご利益を授けてくれるとされています。
白へび様は3体あり、1体は石柱の上に、2体は座布団まで敷かれてとぐろっています。酒の瓶がいくつも供えられており、シンチェンゾーが涎を垂らしていた(にちがいない)。
小さな社ですが、地域の方の手入れが行き届き、お供え物も多く供えられておりました。
続いて15分ほど走ると、天沼八幡神社の北西に位置する天沼弁天池公園に着きました。
立派な屋敷門を入れば、そこは小規模ながら手入れの行き届いた木々や草花、滝もあり野趣あふれるしつらえの庭。かつて、近くにある天沼八幡神社の敷地の一部に直径35mもの自然の湧水を湛えた池があり、この池が同地の地名『天沼』の名の由来とされています。中之島には弁天様が祀られ、雨乞いも行われていたといいます。
今ここにあるのは、かつての池とは別の場所に作られた人工池です。そして、レイナによればここがへびスポット。
池があり中央には石灯籠がありますが、みんなどこにへびがいるのかよくわからない。
庭の周りをグルリと巡って、灯篭に目を凝らしてみる面々。
『あの灯篭の模様がヘビなのでは?』『ということにしよう』と一件落着、小さな庭を後にしたのでありました。
天沼弁天池から次の成宗五色弁財天までは、住宅街をひたすら走ります。途中、中央線の高架下や青梅街道を渡りながら、くねくねと軒先を掠めて進むコースは、まるで『へび道』。これも隠れへびスポットか?
先頭を走るマージコは、新年企画にあたり試走をし道をそらんじているようでスイスイと。一方メンバーは『ここはどこ…?』と思いながらペダルを漕ぐ。弁財天までは約2㎞、あっという間に到着。
成宮五色弁財天は、成宮須賀神社の隣にひっそりと隠れるようにいらっしゃいました。創建は不明とのことですが、何やら室町時代以前に建てられたかも、と言う解説があります。
当時あった湧水池(弁天池)のほとりに建立され、人々は日照りが続くとここを参詣し、弁天池の水を持ち帰ったそうです。
この弁天池は、1840年(天保11年)、中野村、高円寺村、馬橋村の三ヶ村が灌漑用水確保のために開削した『天保新堀用水』の中継地とされたそうです。
現在、弁天池は埋め立てられてマンションが上に建ってしまいましたが、社殿の左手に、天保新堀用水の名残である石橋と水路跡が残っています。すごーい!
さて、へびは…
おっと!本物か!と思わんばかりのリアルさで、その石橋、水路の上にある水盤にトグロを巻いて鎮座していらっしゃいました。まさしく当時の水と信仰の表れなのでしょうね。
さて一行は、成宗五色弁天から次なるスポットへ、神田川に沿って井の頭公園へ急ぎます。急ぎすぎて、途中、車が多く信号に阻まれる間にしんがりシンチェンゾーとシュンシュンの2人を置き去りにしたのも気づかず、本隊はさっさと見えなくなってしまいました。
とはいえそこはしんがりを務めるほどのベテラン2人、本隊が公園の上を走る京王線の電車をのんびり眺めている間に無事追いつき、ことなきを得ました。
井の頭公園といえば、まずはひょうたん池。ここから流れ出る川が神田川の源流で、雨の後は相当な水量が井の頭池から流れ込みます。
『神田川』といえば1973年のかぐや姫のヒット曲ですが、白鳥のボートを漕いでいる子ども連れのファミリーや幸せそうなカップルを見ながら、この人たちは『3畳一間の小さな下宿』に2人で暮らす生活がどんなものか想像できるかな~などと思うフミリン。
そして、池の周りをたどりつつ西へ向かったら、池のほとりに自転車を停めます。
カモの泳ぐ池の先には、朱塗りの建物が見えました。井の頭弁財天です。
『ここは2箇所へびがいますよ~』とレイナ。
まずは、人頭蛇身でとぐろを巻く宇賀神像を発見。顔はおじいさんのようですね。宇賀神は、財をもたらす福の神として中世から信仰されているそうです。
さらに、奥の七井不動尊の脇にも宇賀神を頭に載せた宇賀弁財天がいらっしゃいます。
『昔々、松原(現・世田谷区)の長者夫婦が、井の頭弁財天に願をかけて娘を授かった。首すじに三枚のウロコがあるこの娘は、弁天様のようだと評判になるほど美しく成長したが、16歳の春、自分は池の主の化身だと告げて池に身を投げ、みるみる白蛇に変わってしまった。そして長者夫婦がせめてもの供養にと宇賀神像を作った』という謂れがあるそうですが、どちらがその像なのかは不明だとか。
さらに進むと銭洗い弁天を発見。早速、財布から万札を取り出して洗うレイナ。『おかねふえますように~♡』
濡れたお札をどうやって持ち帰るか気をもむみんなの心配などどこ吹く風。ところでお札も銭なのか…? 『私は銭を洗いましたよ』と自慢げにのたまうのは、100円玉と10円玉を1個ずつ洗ったシュンシュン。ふえるといいね~
この井の頭弁財天は本日最後のスポット。というわけで、参拝客の方にお願いして記念集合写真をパチリ。(TOP写真)
この後、メンバーの半分は自走で帰宅、半分は三鷹駅付近で新年会とのことで、井の頭公園で解散とあいなりました。新年初ライド無事終了、みなさんお疲れさまでした。今年も楽しく、たくさん走れますように!
◆ひとこと by 企て人レイナ
今年も無事にスタートしました。
この企画を立案した最初の頃は蛇スポットがなかなか見つけられなかったのですが、途中で、弁天さまには蛇が付き従っていることが多いことを知り、俄然探しやすくなりました。バラエティに富んだ蛇をいろいろご紹介できて一安心。
また今回は、全メンバーでレポートを分担したことで企画側はずいぶん気が楽でした。宿題出された皆さんはどうだったでしょう。ありがたいことに、全員が期限を守って提出してくれて、無事にこのレポートが完成しました。
毎回、企画から案内、引率、事後のレポートまでほぼ一人でやってのける事務局のサイサリさんには脱帽と感謝しかありません。
また、企画者はレイナとなっていますが、コースの下見やスポット探し、行程表づくり、どれもマージコさんの献身的なサポートに支えられています。
今年も楽しいポタをみんなでたくさん体験しましょうね。