JRの友部(ともべ)駅でそれぞれ常磐線と水戸線を利用してやってきたメンバーが集合。早々に身支度を整えて、水戸線の一つ隣の宍戸(ししど)駅方面へ向かいます。
宍戸駅の北には立派なしだれ桜が咲く、完全寺、明光寺、唯信寺の三つのお寺があります。
満開のしだれ桜に感激したら、宍戸駅を通り越し、田んぼの中をどんどこと南下。涸沼川を渡り、北関東自動車道の下をくぐり抜けてゴルフ場の脇をかすめて進めば、ちょっとした森を抜けたり、田んぼの中を走ったり。本日のコースは関東平野の真っただ中の、美しい田園風景を見ることができます。
JR常磐線の岩間駅が近づくと、行く手に小高い愛宕山が現れ、その麓が近づいてきます。道がいよいよ上りになろうかというところに天正宮があり、門の中に岩間富士という富士山の溶岩を積み上げて作られた小さな山が見えます。小さいとはいってもこれは16mもあり、なかなか迫力があります。『開山 富士山』と彫られた石があちこちに置かれています。
愛宕山の標高はたったの305mしかありませんが、天狗が住んでいたという伝説があり、茨城百景に選定されています。その中腹から山頂にかけては、白い霞がかかったようになっています。なんとこれが桜!
さて、いよいよここから愛宕山を上りますが、しょっぱなから10%超えの激坂に突入! そしてこの勾配は少しも緩くなることなく、山頂まで続くのでした。アヘアヘ。まあここは押し歩いても山頂まで2.5kmほどなので、40〜50分もあれば辿り着くでしょう。この道脇には桜がびっしり。
愛宕山の山頂には愛宕神社があり、拝殿には天狗のお面が掲げられています。拝殿の裏には神殿があり、さらにその奥へと続く階段を上ると飯綱神社がひっそりと建っています。この飯綱神社の裏には 『十三天狗のほこら』と呼ばれる石のほこらがあります。これは愛宕山に住んでいたとされる十三の天狗を祀ったものだそうです。
山頂から少し下ると『あたご天狗の森』があり、その展望デッキから東を見れば、太平洋までもが一望にできます。
『あたご天狗の森』からうねうねとした道を豪快に下り、再び田んぼの中の道をどんどこ。屋敷林を抱えた大きな農家の脇をかすめ、森を抜け、再び三度と田んぼの中を走り抜けます。このあたりには立派な大きな農家が多いですね。
次に目指すは重要伝統的建造物群保存地区の真壁ですが、その前に腹ごしらえをと昼飯処に向かいます。このあたりで最も大きな街は八郷(八郷町は石岡市となり町も八郷という地名もなくなったけれど)で、そこには八郷の茅葺き民家めぐりで紹介したように茅葺きの民家がたくさん残っています。浦須の立派な長屋門を持つ佐久良東雄旧宅は国史跡。西を向けば関東平野の雄・筑波山が聳えています。
八郷には蕎麦屋がたくさんあるので、ランチはおいしいおそば。午後はいよいよ真壁に向かうのですが、筑波山の麓まで進むと上曽(うわそ)地区です。ここにも茅葺き民家があったのを思い出したので、その一軒を覗いてみます。この家はめずらしく二階建で、かつて旅籠だったものです。かつて様々な物資が、銚子から利根川、霞ヶ浦を通って石岡の高浜で荷揚げされ、この上曽宿を経て下館に運ばれていました。この道は銚子街道と呼ばれ、上曽宿は上曽峠の手前で荷の積み替えが行われた場所なのだそうです。そんなわけで、ここに旅籠があったのでしょう。
真壁に行くには筑波山と加波山の間にある峠を越えなくてはなりません。県道7号線の上曽峠です。標高310mほどのこの峠への平均勾配は8%で、中級者にはちょうど良い峠アタックになりそうですが、初級者が多い私たちは少々苦戦。うねうねとした道をなんとかえっこらよっこらと上り詰めて行きます。
ゆっくりと小一時間掛けて上ってきた峠には何もなくちょっとがっかりですが、周囲は新緑で美しい。ここから真壁への下りは上ってきた八郷側より勾配がきつく、直線で豪快! あっ、でもスピードの出し過ぎに注意してね。
上りは一時間もかかったのに下りはわずかに10分ほどで終わってしまいました。平地になるといよいよ重要伝統的建造物群保存地区の真壁です。
真壁には江戸時代末期から昭和時代初期ごろまでの歴史的建造物が数多く残っています。ここの区割りは戦国時代末期の真壁氏時代に形作られ、江戸時代初期の浅野氏時代に完成したとされています。現在104の建物が国の登録文化財になっており、それぞれの家があでやかな雛人形を飾る雛まつりでも有名です。
真壁のしっとりとした街並を眺めたら、北に向かい、桜の名所となっている雨引観音を目指します。ここからは『つくばりんりんロード』を行ってもいいのですが、今回は旧街道を辿り、旧家が残る大曽根に立ち寄ります。
うしろに遠ざかる筑波山、横目には筑波山地第二の山・加波山を眺めながら旧道を進みます。
横を見れば、筑波山地の最北部の山が桜に覆われています。これは雨引山で、その中腹には雨引観音こと楽法寺があります。これが本日最後の上りと、雨引山を上ります。
雨引山というちょっと変わった名は、嵯峨天皇の代に干ばつが国中を襲い、雨を祈願して天皇自らが写経したものをここに納めると大雨が降ったので、勅命によりここを雨引山と定めたのだそうです。現在楽法寺は安産、子育ての霊場とされていますが、これは光明皇后が安産を祈願したことに始まるようです。
雨引山の桜を堪能したら、再びつくばりんりんロードを北上し、その終点のJR水戸線の岩瀬駅に到着。
岩瀬駅からはその東北東にある磯部桜川公園に向かいます。磯部桜川公園は世阿弥の謡曲『桜川』の舞台であり、ここの周辺の桜は『桜川のサクラ』として国の天然記念物に指定されており、国の名勝ともなっています。桜の種類は30数種類あるそうですが、特に珍しい11種(桜川匂・樺匂・梅鉢桜、白雲桜、薄毛桜、初見桜、初重桜、源氏桜、大和桜、青毛桜、青桜)がどうやら天然記念物らしく、これらはひっそりと保護されているそうです。
ここの見頃はソメイヨシノより遅く例年は4月中旬ごろですが、それも年々早まっているようです。