マリンレイクシャトル
ジャスパーの街中からマリン湖までは50km。 高度差は600mあるので往復するのはちょっときつい。 そこで、行きはバスでらくちんします。
マリン湖へ行くシャトルバスは15~16人乗りで、自転車は折り畳み自転車でなくとも事前に連絡すれば運んでもらえます。 しかしこの日は大きなザックを担いだハイカーが12人もいて、荷物室は満杯。 私たちの自転車は折り畳んでなんとか無事収容されました。
メディスン湖
シャトルバスは街中のホテルを廻ったあと、マリン湖へ続く一本道を左手にコリンレンジの山々、右手にマリンレンジの山々を見ながら飛ばします。
しばらくすると湖に差し掛かりました。 メディスン湖です。 この湖は夏のこの時期はたっぷりと水を蓄えていますが、秋から春先まではこの水がなくなるという不思議な湖です。 メディスンの名はこの現象を不思議に思った先住民族が付けたものだそうです。 この湖はかなり大きく、この水がなくなるというのはちょっと信じがたいものがあります。
マリン湖のクルーズ船乗場から
左手の山々がクイーンエリザベスレンジのそれへと続くと、道にカーブが多くなり、マリン川が時々見えるようになります。 一時間ほどこのシャトルバスに揺られるとマリン湖に到着。
湖畔に立つと湖の両側に高い山が聳え、その山々がずっと奥まで延びて行きます。 正面には大きな白い氷河を載せた山。 このパースペクティウ゛は見応えがあります。
ここからはマリン湖のクルーズに出発です。
進行左手の山々
私たちを乗せたボートは、カヌーに気遣いながら湖の奥へと進んで行きます。
今日は空の雲が重いのが少々残念で、湖の色も重く鮮やかなブルーとはいきません。 しかしボートが進むにつれ、この色が微妙に変化してきます。 始めは灰色に近い色だったのが暗い青に、そして青からエメラルドに近い鮮やかなものになってきました。 これはどうやらお天気のせいだけではないようです。
そのころになると先にあった山々は大きくなり、その上の氷河もはっきり見えるようになります。
氷河の山
進行右手にあった大きな氷河を載せたこの山はチャールトン山(3,260m)でしょうか。
湖の奥でUターン
ボートは湖がくびれたところを通過すると、一番奥までは行かずゆっくりとUターンを始めました。
スピリットアイランドの船着き場にて
徐々に速度を落としたボートは小さな船着き場に停まりました。
このへんの水はボートに乗り出した辺りとはまるで違う色をしています。 ターコイズブルーでしょうか。
スピリットアイランド
この船着き場の先にあるのが、有名なスピリットアイランド。
スピリットアイランドその2
確かにきれいなところです。
ボートを下りてこの廻りをぐるりと一巡り。 下船で許された時間が10分ほどしかないのがちょっと残念でした。
ムース湖ループへ
マリン湖のボートクルーズのあとはショートハイキングです。
マリン湖周辺にはいくつもトレイルがありますが、私たちはムース湖ループを選択。 このコースと同程度のものにメアリー・シェファー・トレイルがありますが、宿の主人トニーがメアリー・シェファー・トレイルは人が多いので、静かなムース湖ループのほうがいいと薦めてくれたので、迷わずこちらに決定。
ムース湖
運が良ければムース(ヘラジカ)に出会えるというのも魅力です。
小川を渡って針葉樹林の中を進みます。 しばらくすると樹間から下に静かな湖面が現れます。 ここは本当にし~んとしていて怖いくらいの静けさ。 ハイカーもほとんどいません。 残念ながらこの時はムースはお休みのようです。
マリン湖に出る
ムース湖の端まで歩くとトレイルは山の上に向かいます。 ここからいつの間にかメイントレイルを外れサブトレイルに入ってしまったようで、倒木を乗り越え薮を掻き分けと、少々じたばた。
それでもなんとかマリン湖の畔に出ました。 先には赤い屋根のボートハウスが見え、手前にはクルーズ船が戻ってくるのが見えます。
マリン湖からジャスパー方面を望む
湖畔からは、ジャスパーから続くマリンレンジの山々が見えていました。
ジャスパーに下る
マリン湖のボートクルーズとムース湖廻りのハイキングを終え、いよいよここから自転車でジャスパーに下ります。
左手にはこの先ずっとジャスパーまでお供するマリン川が流れ、先には鋭い稜線を見せるクイーンエリザベスレンジの山々が見えます。
下るサイダー
マリン湖とジャスパーの標高差は600mほどあり、小さなアップダウンはあるものの、ずっと下りです。
先きにコリンレンジの山々
クイーンエリザベスレンジの山々の手前に覆い被さるようにしてコリンレンジの山々が現れます。 これらの山々は、一枚の大きな板でできているのではないかと思わせるような連続性をもち、色も全く同じ白っぽいグレーに見えます。
山を見上げる
その山を見上げればこんな感じ。 こんな岩山でもわずかに土はあるようで、下の方には木々が生えています。
再びメディスン湖
この岩山の脇には、朝車窓から見たメディスン湖があります。
本当にこの水は10月にはなくなるのでしょうか。
ならんだならんだ山並みならんだ
もうそろそろジャスパーというところで後ろを振り返れば、どこまでも続く岩の壁。
マリン渓谷入口
道がアサバスカ川にぶつかる少し前にあるのがマリン渓谷です。
この渓谷の上流側のトレイルヘッドは二ヶ所あり、一つは川沿いから第一橋へと続き、もう一つは舗装路を進んで第二橋に出ます。 私たちはたまたま後者の前に辿り着いたので、ここから渓谷に向かいます。
マリン渓谷の滝
ここまで穏やかな流れだったマリン川は、ここで大きくその表情を変えます。
まずは40~50mはあろうかという谷。 その谷底に向かって水が落ちて行きます。 流れは細いものの、結構迫力があります。
削り取られた岩の下を流れる水
川の歴史というのは日常的には気が付かないし、あまり気にもしないけれど、こうしたところを見ると、この川はいつからここを流れているのだろうと思います。
深く抉りとられた岩の遥か下に現在の流れはあります。
岩山の洞穴から流れ出す川
遥か下を流れていた水が徐々に近くなり、普通の川に近づきます。 しかしこの川はやはり普通の川ではありません。
岩山のあちこちに洞穴があり、そこから多量の水が流れ出して合流しています。 これは雪解け水が岩山にしみ込み、それが川となって流れ出ているのだそうです。
水の芸術
そんなんで、時にはこんな芸術が生まれます。
マリン渓谷下流の第五橋と先の山並み
水のアートを楽しみながら渓谷を下ると、トレイル(7)は第五橋で終わります。 私たちはこの橋の直前で折り返し、上のトレイルで出発点に戻ります。
マリン渓谷の上のトレイル
これまで歩いてきた渓谷沿いのトレイルは自転車は乗り入れできませんが、ここからは共用のトレイル(7h)です。
その入口付近に上から下りてきたバイカーたちがマウンテンバイクを押しつつやってきます。 その顔はちょっと青白いように見えました。
このトレイルはこの先で急な上りとなり、とても自転車では上れそうにありません。 逆側からの下りも相当テクニックがないと下れないでしょう。 彼らはこの激坂に痛めつけられたに違いありません。
マリン渓谷の上のトレイルからの眺め
その坂の先ではジャスパーの街方面に視界が抜けます。 遠くにはケブルカーで登れるウィスラー山を始めとする、トライデントレンジの山々が見えています。
マリン渓谷の第一橋付近の滝
トレイルを下り、渓谷に架かる第二橋から第一橋に向かいました。
その上では細い流れが小さな滝となり落ちています。
ジャスパーへ
マリン渓谷の散策を終えジャスパーに向かえば、ここからもあの山々が。
雄のエルク
大きく下ってアサバスカ川に沿って進むと、車が渋滞。 こんな時はほとんどが近くに大型動物がいるのです。
見回せば、いたいた大物、エルクです。 ここは昨日エルクの雌を見たところの近くです。 こちらは立派とはいえないものの、角がある雄です。
ジャスパー近く
川を渡るとジャスパーの街はもうすぐ。 後ろにはコリンレンジの岩山がまるで雪を冠ったように白く聳えています。
ジャスパーベア
この日は走行距離が短い割には意外と疲れたので、ダートのトレイルは避けて車道をまっしぐら。
ジャスパーのマスコット、ジャスパーベアと。