インドルジフーフ・フラデツ
チェコの宿は朝食付きが一般的で、多くは食堂でのバイキングスタイル。 内容はハムとチーズが数種類ずつ、ソーセージ、卵、パン、シリアル、ジュース、ミルク、コーヒーor紅茶が標準で、これに野菜や果物が付く場合もあります。 部屋食の場合もありますが、その場合でも量はかなりのものです。
朝食のスタートは7時か8時で、8時のほうが若干多い感じですが、ここインドルジフーフ・フラデツの宿は前者だったので、8時過ぎには街を出ることができました。
グリーンウェイの32号線
インドルジフーフ・フラデツはプラハとウィーンを結ぶ重要な路線上にあり、その間は現在は自転車ルートのグリーンウェイで結ばれてもいます。 ここからはそのグリーンウェイを使って進みます。
自転車ルートのサイン
街を出るとすぐ、センターラインはないものの二車線ほどの幅員の道に出ます。 道端にグリーンウェイを示す黄色地に自転車と緑の葉っぱのマーク、そして32の数字の標識が現れます。 この道はグリーンウェイでありかつ32号線なのです。
標識の一番下にあるBikeBARは休憩所の案内ですが、ビール大国のチェコだけあり、BARというところがいいですね。
ちょっとダート
チェコの自転車ルートのほとんどは自転車専用道ではなく一般道なのですが、おおむね車の少ない快適な道が選ばれています。
そしてそれらの中には時折地道もあります。 地道は地図ではすぐわかるように破線で表記されていますが、ここはその区間が短いからか実線でした。
麦畑の中を行く
相変わらず道脇は麦畑と、
牧草地
牧草地です。
森の中を行く
そして時々森が現れ、
池
小さな池も現れます。
松林
ここは良く手入れされた松林。
道端の野草
道端には赤、ピンク、白、青と様々な野草が咲いています。
白いのはひな菊で青いのはヤグルマソウの仲間のよう。
先にノヴァー・ビストジツェ
南ボヘミア地方には高い山はなく穏やかな丘陵地が続きます。
強烈な激坂はないのですが、道はいつでも上りか下りで、平坦なところはごく僅か。
穏やかな下り坂の先に小さな街が見えてきました。
ノヴァー・ビストジツェ
インドルジフーフ・フラデツとスラヴォニツェのちょうど中間にあるノヴァー・ビストジツェです。
時は10時過ぎで、ちょうど広場に面したカフェが開き出したところなので、ここでちょっと一休み。
湿度の低いヨーロッパのテラスでのお茶は、真冬でない限りいつでも快適です。
お城?
ノヴァー・ビストジツェを出て少し行くとこんな建物がポツリ。
お城かな? 教会かな?
グリーンウェイの標識
これがグリーンウェイの案内標識。
プラハとウィーンを結ぶメインルートに加え、チェスキー・クルムロフやチェスケー・ブジェヨヴィツェなどを含むサブルートがあります。
スラヴォニツェへ向かうサリーナ
私たちの最近の夏のサイクリングは特徴的な自然を持つところに行っていました。 カナダのロッキー山脈、ハワイ島、スイス・アルプス、そしてピレネーと、そこには他にはどこにもない自然がありました。
しかしチェコにはそうしたはっきりとした特徴的な景色はないと言っていいでしょう。 どこにでもある牧草地に麦畑、森と小さな池、ただそれだけです。 これだけ見ればただの田舎ですが、チェコの他にどこにもないものは、こうした田園の中にちりばめられた珠玉の都市。
冷戦時代の遺物
さて、こちらは冷戦時代の遺物です。
ここは西側のオーストリアとの国境近く。 木の下に小さな小屋のようなものが見えます。 これは国境付近の警備施設で、このあたりにはこうしたものがそこらじゅうに散らばっています。
街はずれの十字架
神聖ローマ帝国と深い関係にあったチェコは言わずと知れたキリスト教の国で、道端でよく十字架を見かけます。
こうした十字架はおそらく旅人の安全を祈るものではないかと思われ、大抵、街からちょっと外れたところに建っています。
スラヴォニツェ到着
十字架が建っているということは街に近づいたということです。
その街こそ本日の終着地、スラヴォニツェでした。 穏やかな下り坂の先にすくっと高い塔が見えてきます。
スラヴォニツェ
その塔を目掛けて走ると、スラヴォニツェの広場に到着。
この街はプラハとウィーンを結ぶグリーンウェイのほぼ真ん中に位置し、プラハまで216km、ウィーンまでは209kmです。
聖母マリア被昇天教会の塔
街の起源は12世紀まで遡るといい、ここには三角形の広場と道が広がったような細長い広場があります。
三角形の広場の底辺中央に建つのは聖母マリア被昇天教会で、その塔に上れば、
スラヴォニツェの三角形の広場
街が一望に。
こちらは三角形の広場で、
細長い広場
こちらが細長い広場。
教会足元の円形配置の建物
塔の足元は珍しいことに、塔を中心に円形に建物が取り囲むように配置されています。
ルネッサンス様式の建物
広場を取り囲むのはちょっとユニークなルネッサンス様式の建物です。
スグラフィット技法の建物
それらの外壁の多くにはスグラフィット技法が用いられています。
スグラフィット技法による装飾の一部
スグラフィットは異なる色の漆喰を二層に塗り、上層の漆喰の一部を掻き落として絵柄を作る技法です。
スグラフィット技法の建物その2
ここのスグラフィットはとても細かいものが多いです。
スラヴォニツェにはこうした建物がたくさん残っているので、ユネスコの世界遺産に登録申請中だそうです。
観光案内所が入った建物の入口の天井
現在残る建物の多くは16世紀のもので、こちらは観光案内所が入った建物。
その入口の天井は細かいリブ付きできれい。
ギルドの家の天井
こちらはギルドの家の入口の天井で、多色のセラミックの飾りリブが付いています。
街の北の門
階段状の破風とバロック式の尖塔を持つこの建物は街の北の門で、形は違いますが東にももう一つ門があります。
夕暮れの広場
20:30、夕暮れ時です。
広場の下には13世紀の地下トンネルが張り巡らされているそうですが、見学に二時間も掛かるのでこれは断念。
しかしこの広場はスケール感がとても良く、観光客もあまり来ずいい雰囲気なので、ここに連泊することに決定。