1412-13

エルヴ〜ブレニー鉱山〜リエージュ

ベルギー 13

開催日 2014年08月19日(火)曇りのち晴れ一時雨
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★
難易度
走行距離 49km
累積高度 340m

ブレニー鉱山
ブレニー鉱山

コース紹介

チーズで有名なエルヴから、小さな美しい村クレールモンと、世界遺産の一つ、ワロン地方の主要鉱区群の中のブレニー鉱山を訪ね、ベルギー第五の都市、ムーズ川とその支流のウルト川に抱かれたリエージュまで。

動画(06'56" 音声:一部にあり)

Googleマップでルートを表示 ルートデータ(gpxファイル)
総合データ1,2(GARMIN Connect:ルート、高度、速度など)

発着地 累積距離 発着時刻 備考
 Herve START 発08:05 Domaine Du Haut Vent
□Clermont-sur-Berwinne 7km 着08:45
発09:10
格子で囲まれた牧草地、教会、レンガ造りの家
 Blegny Mine 28km 着11:10
発15:00
世界遺産の炭坑跡 ツアー2h 9.6€ 11:30-
昼食:カフェ
■Liège 49km 着16:55 泊:Liège/Eurotel 70.5€
夕食:Tout Simplement
Clermontリエージュ市観光局日の入り20:50/■主要な町 □24の美しい村 ★トラピスト修道院醸造所 ☆ブリュワリー

エルヴの宿エルヴの宿

朝、庭にあった散水装置を借りて、自転車を洗いました。久しぶりにきれいになった。

ここはリエージュ州のエルヴ(Herve)で、ベルギーで唯一、チーズのAOCを持つところです。 宿でそのエルヴチーズを入手できるところを聞いて、いざ出発。

エルヴ郊外の景色エルヴ郊外の景色

しかし残念ながらその店はまだ開店前だったので、やむなく、『24の美しい村』の一つ、クレールモン (Clermont-sur-Berwinne)に向かいます。

まあ、エルヴチーズは有名だから、今日の終着地のリエージュ(Liège)でも買えるでしょう。

エルヴとクレールモンを結ぶ自転車道エルヴとクレールモンを結ぶ自転車道

幹線道を東へ向かえば、ほどなく自転車道が始まります。

牧草地が広がる牧草地が広がる

この自転車道の周囲は緑の牧草地。

自転車道を行くサリーナ自転車道を行くサリーナ

自転車道をどんどこ行けば、

トーチカトーチカ

先の大戦時のものと思われるトーチカがありました。

このあたりはドイツ国境に近いので、おそらく戦火があったのでしょう。

花々で飾られた陸橋花々で飾られた陸橋

その先に、ベルギーでは珍しい陸橋がありました。これは自転車道に連続するもので、きれいな花々で飾られています。

日本の陸橋もこれくらいきれいだといいのに。

自転車道の標識自転車道の標識

こちらは自転車道の標識。一番下の『RAVeL 5』は広域自転車道を表しています。

クレールモンクレールモン

この自転車道で7kmほど行くと、クレールモンに到着したようです。

簡単な柵や生垣で仕切られた牧草地の中にこの村はあります。

クレールモンの教会クレールモンの教会

その中心には大きな立派な教会が建っています。

クレールモン中心部へクレールモン中心部へ

その教会を目掛けて進めば、街の入口に17世紀に建てられたシャトー・フェルムが現れ、

タウンホールタウンホール

小さいながらも堂々としたタウンホールの前に到着します。

タウンホールその2タウンホールその2

このタウンホールは道路の上に建っており、

タウンホールその3タウンホールその3

現在でもその下をくぐることができます。

タウンホールの風向計タウンホールの風向計

そしてコーナーにある円塔の上には『1888』の数字が見えるユニークな風向計が取り付けられています。

この建物はきっと1888年に建てられたのでしょう。

煉瓦造の家々煉瓦造の家々

周辺には煉瓦造の家々が並んでいます。

煉瓦の壁の窓には石の枠が嵌められるのが、昔からの工夫の一つ。

ピレンヌの館ピレンヌの館

これは17世紀の建物で、ルネッサンス様式の一つ、ルイ13世様式だそうです。

煉瓦と石の組み合わせに独特のものがあります。

教会教会

タウンホールの向かいには、あの遠くから見えたどっしりとした教会が建っています。

教会の屋根飾り教会の屋根飾り

その屋根の上には、ここにも風見鶏などの装飾があります。

シャトー・フェルムシャトー・フェルム

教会の下に目を向ければ、堂々としたシャトー・フェルム。

この風向計はどうやらクジラのよう。

周囲の牧草地周囲の牧草地

外側には緑の牧草地が広がっています。

茅葺きの家茅葺きの家

この家はこのあたりの伝統的な様式とはちょっと違うようで、屋根は兜造りのような茅葺きです。外壁は比較的新しいので、どこかから屋根の構造だけ移築したものかもしれません。

お城お城

クレールモンの中心部の散策を終えたところで、雨。ピレンヌの館の脇の駐車場の屋根の下にしばし避難します。しかしこの雨、数分で止んだので、再出発。

先ほどまで走っていた自転車道に向かいます。その途中に、こんなお城がありました。17世紀のルネッサンス様式だそうです。

続自転車道続自転車道

このお城のところから、道はかなり怪しくなりますが、なんとか通り抜けることができました。そして自転車道の上を通過。あれれ、自転車道にはどうやって下りるの?

ということになるのですが、これは木々の間を突破、なんとか自転車道に出ました。

草原を行く草原を行く

この自転車道は北東に進んで行きますが、途中でこれを離脱、カントリーロードで西へ向かいます。次の目的地は、ブレニー鉱山(Blegny Mine)です。

道はのどかな牧草地の中を進んで行きます。

ダレムダレム

ダレム(Dalhem)までやってきました。

これまではほとんど何もない牧草地だけが広がる世界でしたが、ここはちょっとした街で、高台に大きなお城だか教会だかが聳えています。

ダレムその2ダレムその2

ブレニーに向かう道は、お城がある高台方面に延びています。

ここは石畳の激坂でよろよろ。

ダレムのお城ダレムのお城

ここは時間があったら少しゆっくりしてもいい街だったでしょう。しかし雲行きがあやしいのと、ブレニー鉱山の見学時刻の関係で、先を急ぎます。

コロンバージュコロンバージュの家

ここにもコロンバージュと呼ばれる木骨組積造りの家があります。

トロンブルトロンブル

ダレムからさらに一丘上ると、先に教会の塔が見えてきました。ブレニーに着いたかなと思いましたが、どうやらこここはブレニーの一つ手前のトロンブル(Trembleur)らしい。

ここで雨がパラパラ。

ブレニー鉱山その1ブレニー鉱山その1

教会の少し先にロータリーが現れると、木々に覆われた小さな山が見えます。おそらくあれはかつてのボタ山に違いありません。

そのすぐ先にブレニー鉱山の入口はありました。

ブレニー鉱山その2ブレニー鉱山その2

ブレニー鉱山は、『ワロン地方の主要鉱山跡』として近年世界遺産に登録されたものの一つです。

ベルギーの中でもワロン地方は、19世紀初頭にリエージュやシャルルロワなどで石炭や鉄鉱石などの資源を用いた工業を背景として、経済的に発展してきました。しかし20世紀に入ると工業の中心は次第に北部のフランドル地方に移っていき、ワロン地方の重工業は衰退を始めます。こうしてかつてここにあった鉱山は廃鉱に追い込まれます。このブレニー鉱山もその例外ではなく、今では炭坑跡となっていますが、2012年に他の3ヶ所の鉱山と共に世界遺産にリストアップされます。ベルギーでの石炭採掘の歴史は古く、既に12世紀には始まっていたそうです。

鉱山工場の外見はかっこいい。ボタ山があり、炭坑ツアーがあります。

鉱山へ潜る鉱山へ潜る

ここの見学には二時間必要なので、ちょっと迷ったのですが、せっかく来たのだからと、鉱山に潜ることにしました。

鉱山で使われた道具を説明するガイド鉱山で使われた道具を説明するガイド

防寒および防汚のための上着とヘルメットを身につけ、簡単なフェンスだけの二階建エレベーターに乗って地下へ。

真っ暗闇を下る、ほとんど被覆のないこのエレベーターは、やっぱりなんとなく恐ろしい。

エルヴ炭坑の先端

この鉱山の歴史は16世紀まで遡るようです。一時閉鎖されていた時期もあるようですが、1991年まで採掘が続けられたそうです。

進化した大型採掘機進化した大型採掘機 

最初は手掘りだったに違いありませんが、その後機械化が進み、ハンドドリルのようなものから、大型の採掘機が登場するようになります。

しかしこうした効率化が図られる頃、石炭産業は下火となっていきます。炭坑が大型化していくにつれ、排水の問題が深刻になり、排水装置に掛かる費用は膨大なものだったといいます。

仕分けと洗浄のエリア仕分けと洗浄のエリア

地下で採掘された石炭は建物頂部のスペースに運搬され、ここから仕分けと洗浄などをされつつ、ワゴンで下階へ流れて行きます。

手作業で仕分けする人手作業で仕分けする人

一部の作業をモデル化したところを見ると、仕分けは手作業でやられていたようです。

巨大機器が並ぶ巨大機器が並ぶ

下の階には巨大機器がずらり。どこで何をしているのかは、さっぱりわかりませんでしたが。

最下層の運搬列車最下層の運搬列車

とにかく、様々な工程を経て流れてきた石炭は、最終的に建物の一番下までやってきて、ここから運搬用の列車に積み込まれます。

面白いことにこの列車、敷地内の軌道と外の軌道が異なるため、二組の車輪を持っています。

ブレニー鉱山ビールブレニー鉱山ビール

二時間の見学を終えると、かなりぐったり。休憩がてら、カフェで昼食にしました。

ここで飲まれていたのは鉱山ビール。瓶のラベルに炭坑夫が描かれているのがユニーク。

ソーセージ入りリエージュ風サラダソーセージ入りリエージュ風サラダ

メインにリエージュ風サラダ (Salade Liégeoise)を。これは、ゆでジャガイモ、インゲン豆、ベーコンをヴィネガーで和えた暖かいサラダ。ここのものはソーセージ入りでした。

ベルギーの料理は、ヌーベルじゃない伝統的なフレンチや、煮込みなど、どちらかというとごついものが多いのですが、これは比較的あっさりしていておいしい。

ブレニー郊外ブレニー郊外

さて、ブレニー鉱山からはすぐ西を流れるムーズ川(La Meuse)沿いを南下、ワロンの中心的な都市リエージュ(Liège)に向かいます。

周囲は牧草地から麦畑に変わってきました。

蕪畑蕪畑

そして、これまであまり見かけなかった畑もちらほら見受けるようになります。

このあたりはもうアルデンヌではなくなったようです。

ムーズ川ムーズ川

そうは言っても、ここからもちょっとした丘を越えます。

その先にはムーズ川が流れています。

二本目のムーズ川二本目のムーズ川

このあたりのムーズ川は、大きな中之島状の陸地によって二本に分れています。

その西側の川の左岸には自転車道が続いていて、穏やかなムーズの流れを眺めながら、快適な走りができます。

ムーズ川の畔のボート置場ムーズ川の畔のボート置場

しかし、この自転車道はまっすぐで、周囲に遮るものがないため、風がきつかった。

丘がなくなったと思ったら、今度は風...

木が植わるボートハウス木が植わるボートハウス

畔にはヨットなどを置くスペースがあり、面白い船が停泊していたりします。

これは船を住居にしているボートハウスですが、なんと木が植えられている!

アルベール一世像が建つ塔アルベール一世像が建つ塔

先に大きな町が見えてきました。リエージュです。中之島の凸先に灯台のようなものが見えます。この塔の足元にはベルギーの第三代国王アルベール一世の像が立っています。

ここはアルベール運河(Canal Albert)の入口だそうです。アルベール運河はリエージュとアントワープ港を結ぶ、全長130kmに及ぶ長大なもので、リエージュ周辺が石炭や鉄鋼業で栄えていた20世紀の初頭に、オランダを通過することなく、そうした物資を運搬するために造られたそうです。

なんと、これまで走っていたのはムーズ川ではなく、このアルベール運河だったのです。

リエージュの街中に入るリエージュの街中に入る

さて、アルベール運河が終わるといよいよ街らしくなってきました。道脇にはこれまでなかった街路樹が現れます。

ムーズ川左岸の景色ムーズ川左岸の景色

都市圏人口60万人のリエージュはベルギー第五の都市で、ワロン地域の中心都市です。久しぶりに大都市にやってきました。

丘陵地に囲まれ、ムーズ川とその支流のウルト川(L'Ourthe)が交わるところにあり、かつては交易の中継地としてその名を馳せたといいます。 フランス語圏の中心地で、かつては強大な権力を持つ司教領首都として隆盛を極めた宗教都市でもあったようです。旧市街の中心にあるマルシェ広場(Place du March)にあるペロンの噴水は、市民の自由のシンボルだそうですが、その見学は明日に。

ムーズ川右岸の景色ムーズ川右岸の景色

ベルギーを代表するお菓子、日本でベルギーワッフルと呼ばれるものは、ここリエージュが発祥で、こちらではゴーフルと呼ばれます。

これにはアプリコット・コンポット入りなどのヴァリエーションも。

リエージュ名物の肉団子リエージュ名物の肉団子

リエージュの食べ物をもう一つ。ベルギーでは肉団子をよく食べます。ブレ・ア・ラ・リエジョワーズ (Boulet à la Liégeoise) はここの名物。

そしてベルギーでもっともよく飲まれるラガータイプのビール、ジュピラー(Jupiler)は、ここのジュピユ(Jupille)地区で作られています。

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