サン・クリストバルでインディヘナの文化を垣間見たあとは、マヤ文明の遺跡が残るパレンケに向かいます。
しかしパレンケ行きのバスは深夜発なので、近くのスミデーロ渓谷に行ってみることにしました。
バスに1時間半ほど揺られて着いたのはサン・クリストバルから西に40kmほどのところにある、チアパ・デ・コルソという町です。
ここから小さなボートに乗り、2時間半ほどスミデーロ渓谷を廻ります。
ボートは両岸に高さ800m程の断崖絶壁があるグリハルバ川を進んで行きます。
グアダルーペの聖母が祀られている洞窟のようなところや、花嫁のベールという素敵な名前の細い滝などを見ながら、渓谷を進みます。
ここで圧巻なのはクリスマス・ツリーと呼ばれるもので、これは岩にへばりついた苔がどんどん成長し、きのこのサルノコシカケのように大きく迫り出したものが集まってできています。
遠くから見ると、この苔が集まった全体の姿がクリスマス・ツリーにそっくりなのです。
ツリーの下部はひらひら。
これが苔でできているとは到底信じられません。
上部のサルノコシカケ状の出っ張りに、岩から滲み出した水が滝のように降り注いでいます。
それが途中で飛沫になり、私たちのボートを霧雨のように包みます。
ここで上ばかり見ていてはいけません。
川縁にはご注意を!
スミデーロ渓谷を楽しんだら一旦サン・クリストバルに戻り、真夜中の2時のバスでパレンケへ向けて出発です。
暗くて良くはわからないものの、バスのヘッドライトで照らされる周辺は徐々に鬱蒼とした森になっていくよう。ガタン、ゴトンと音を立てて進むこと5時間、目覚めれば周囲はジャングルの趣。
朝の7時にパレンケに到着。バスを下りたとたんに、ムッとする熱気と湿気。ジトーッという空気がまとわりついて離れません。本当にここはジャングルの中にできた町なのです。
パレンケの遺跡は町から7〜8kmのところにあるのでまず町中で宿を見つけ、少し休憩してからコレクティーヴォ(ミニバス)に乗り込みました。遺跡へ向かう道はどんどんジャングル化していくように見えます。
パレンケは紀元前3世紀ごろから人が住むようになり、7世紀末に絶頂期を迎え、9世紀の始めごろに完全に放棄されたそうですが、この崩壊の原因は未だ解明されていないようです。
マヤ文明の遺跡の中でも白眉といわれるここの建物と彫刻は、優美で美しい。ピラミッド状の『碑銘の神殿』は均整のとれたすばらしいプロポーションで、正面にある階段はもの凄い角度で昇っています。
この階段を登っただけでもうアヘアヘ。登り終えた頂部にあるのが神殿で、その奥の壁には620個といわれる神聖文字が刻まれた碑文があります。この建物の名はここから付けられたのだそうです。地下には一枚岩をくり貫いた巨大な石棺(L3mxW2.1mxD1.1m)があり、すばらしい彫刻が施された蓋で覆われています。
この中からは翡翠づくめのパルカ王のミイラが発見されました。その顔には漆喰が塗られ、その上にたくさんの翡翠が貼付けられていました。これは現在、国立人類学博物館にあります。
この遺跡には複数の建物が残っていますが、そのなかでもっとも大きなものが宮殿で、この中には、12の部屋、東西の2つの裁判所、4層の塔があります。また、地下にはうしろを流れるオトゥルム川から引かれた水道があり、驚くことにスチームバスとトイレがあるそうです。
4層の高く聳える塔は物見塔だったようで、金星を表す絵文字が残されていることなどから、ここで天体観測が行われていたのではないかと考えられているそうです。
宮殿には多くのレリーフがあります。
ここは宮殿で一番大きな広場である東の広場で『捕虜のパティオ』と呼ばれ、捕虜が見せしめにされ、王に引き渡された場所とされています。
その捕虜のパティオのレリーフは、捉えられた捕虜の姿だそうです。
どう見ても絵にしか見えないマヤ文字。
十字架の神殿は内部のパネルの中心に十字架の図があることから名付けられたそうです。
このジャングルの中で、当時の人々はどんなものを食べていたのかちょっと興味がありますが、周辺に生えているバナナは実をたわわに付けていました。
パレンケでマヤ文明の遺跡を楽しんだあとは、そこから65kmほど離れたアグア・アスールで水浴びと決めました。
ジャングルの中をコレクティーヴォでひたすら走ると、途中20kmほどのところにはこんな大きな滝があります。豪快に流れ落ちるこの滝は裏見の滝になっていて、裏側からの眺めがなんともいえませんでした。
ポツポツとジャングルの中に見え隠れするインディヘナの家を見ながらさらに進むと、快適な舗装路はいつのまにかガタボコの砂利道に。パレンケから2時間ほどでアグア・アスールに到着です。
アグア・アスールは国立公園に指定されていて、小さな滝がいくつもある美しい川です。川とは思えないほど水は青く、周囲のジャングルとの対比がとても面白く感じられます。
子供たちが水浴びしているところにやってきました。
ここは水深が浅く流れも穏やかなので、遊ぶのにもってこいのところです。みんな川辺の木に登り、バシャーン。
川縁の散策ルートに沿って進むと、おっとと、こんなところも。
水はすばらしく冷たい。
無数の小さな滝が複雑な流れを作り、真っ白な飛沫が飛び散ります。
ここは浅瀬。流れが穏やかなところで水浴びです。
ジャングルの中の水浴びはすばらしく気分がいい!
水浴びが終わればお昼です。小さな食堂にはなんとこんな奥地にもかかわらずセヴィチェ(魚のマリネのようなもの)がありました。
近くを薄いお煎餅のようなものを頭に乗せた少女が通って行きます。
壮快なアグア・アスールを楽しんだらユカタン半島のメキシコ湾に近いメリダに向かいます。
一旦パレンケに戻り、深夜の1時のバスで出発。
朝の8時にメリダに到着です。
ここは昨日までいたジャングルの中のように湿気が多くなく爽やかなものの、日中はとてつもなく暑い!
メリダはユカタン州の州都で大都会。街にはわんさかと人がいます。
サンタルシア公園の日曜市を覗き、ソカロにやってくるとすごい人だかり。何かお祭りのようです。
木陰では木琴のバンドが演奏を繰り広げ、広場の真ん中では素敵な衣装を纏った何組かのカップルがダンスを披露していました。
女性の赤いサッシュには地方名らしきものが書いてあるので、彼らはダンスで各地から選ばれた人たちなのかもしれません。
さて、この旅もいよいよ終盤、そろそろビーチ・リゾートといきましょう。メリダからバスでユカタン半島の先端のカンクンまで移動しますが、ここには高級ホテルしかないのでさらに南下し、プラヤ・デル・カルメンでのんびりリゾートを、と思ったのですが、なんとここにはホテルがない!
目の前はビーチ、そしてその先にはコスメル島が浮かんでいます。ここは島へ渡るしかない! ということでフェリー乗り場に。このフェリーは1時間ほどでコスメル島に着きました。
フェリー乗り場のすぐ近くに宿が見つかりましたが、この近くでは泳げないといいます。お勧めのビーチはここから南に7~8km下ったナショナルパークのチャンカナーブとのこと。
翌日にそのチャンカナーブに向かうと、海はすばらしい青。空もこれまで見たこともないような青です。そしてチャンカナーブには真っ白なビーチがそれに加わりました。とにかく素晴らしいの一言です。海に入ればでっかい魚がそのへんにうようよいます。
陸を散策すればさすがにナショナルパーク? こんなのもいます。
やっぱり海ではダイビングでしょう。
最初はシュノーケルを借りていましたが、スクーバの体験ダイビングがあったのでこれにトライ。お〜、ナポレオンフィッシュ! お〜、上にはバラクーダがうようよ!
チャンカナーブでダイビングの虜になってしまったので、翌日もダイビング。島の南端近くにあるパランカール・リーフとコロンビア・ラグーンはどちらもとてもすばらしかった。
コスメルはとにかく絶対お勧めのところです!