つつじと牡丹を見ないうちに五月になってしまいました。もうおしまいかと思いつつも、最後の一輪を見ようと埼玉県の東松山ぼたん園に行ってみることにしました。
東武東上線の坂戸駅を下りると、かなり強い日差し。今日は夏日になるらしい。
駅前から高麗川(こまがわ)の土手に向かっていると、民家の庭先にきれいなピンクのつつじが。
種類や場所によっては、まだ花が残っているようですね。
高麗川の土手上には自転車道があります。
『この土手は快適ですね〜』 とミルミルがどんどこ。
西には秩父から丹沢にかけての山並みが見え、うっすらと富士山の姿も。
高麗川が越辺川(おっぺがわ)に合流し、東武東上線とR407東松山バイパスの下をくぐり抜けると、ほどなく木造の沈下橋島田橋が見えてきます。
このあたりには川の土手の中にあり、川が増水すると沈んでしまう橋がいくつもありますが、この島田橋もそうしたものの一つです。
木造でしかも水に浸かることが多い沈下橋はすぐに痛んでしまい、数年ごとに架け替えなければなりませんが、この橋は一年ほど前に架け替えられたばかりです。
ここはジオポタは何度も通っているなじみの橋なのですが、初めての参加者もいるので対岸まで渡ってみることに。路面となる板を止めるのに鉄の帯が使われていて、走るとガトゴトとちとうるさい。
島田橋のすぐ下流で越辺川に九十九川が流れ込みます。
その合流地点で越辺川左岸の自転車道はなくなるので、島田橋を戻って元の越辺川右岸を下ります。
越辺川はさらに都幾川(ときがわ)と合流します。
そのすぐ先の天神橋を渡り、今度は都幾川左岸を北上して行きます。
先に秩父あたりの山並みが見えてきました。
この山並みの左端にあった富士山は、どうやら雲に覆われているようで、ほとんど見えなくなっています。
都幾川左岸の自転車道は東武東上線の脇を通るr344でいったん終わるので、ここから畑の中を行くカントリーロードで箭弓稲荷神社(やきゅういなりじんじゃ)に向かいます。
畑の中から東松山の住宅地を抜けると、箭弓稲荷神社の前に到着。
交差点に建つ大きく真っ赤な第一の鳥居から参道を進んで行くと、正面に第二の鳥居が現れます。その両側には巨大な幟が。
箭弓稲荷神社は箭弓が野球と掛けられ、野球の神様のようになっていて、境内には野球のホームベース型の絵馬やバット型の絵馬がたくさん並んでいます。
ここには牡丹園があり、この日が牡丹まつりの最終日。
ということで多くは期待せず、ちょっとは残っているかもと園内に入れば、実際ほとんどの牡丹はおしまいでした。
しかし遅咲きのものが数輪、見事に咲いています。
どういうわけかその花は全部白です。
牡丹園の一角に延命(ながらへ)の藤という巨大な藤があります。
これもほとんどおしまいですが、僅かに花を残しています。
その横には紫色のジャーマンアイリスが咲いています。これは英語では、髭のアイリスという意味のベアデッド・アイリス(Bearded Iris)と呼ばれることが多いようです。
その髭はどこか。写真でははっきり見えませんが、垂れ下がった花弁の付け根にブラシ状の黄色い髭があるのです。
最近ジオポタではやっているのは各地のマンホール蓋の写真収集です。
これは箭弓稲荷神社の横で見つけたもので、絵柄はどうやら牡丹のようです。こんなふうに、マンホールの蓋の絵柄はその土地にちなんだものとなっていることが多いので、結構楽しい。
箭弓稲荷神社の近くで見つけたもう一つは『なんじゃもんじゃの木』。
特になんでもない木に見えますが、かつてはこの木が珍しいものだったのでしょう。『なんじゃもんじゃ』は特定の種類の植物を指すのではなく、その土地土地の見慣れない木を『なんじゃもんじゃ』と呼んだのだそうな。
この木はイヌザクラだそうです。
さて、東松山の市街地を通り抜け、次に向かうは『東松山ぼたん園』。
市ノ川沿いに出ると、ここもジオポタ向きの快適な道です。
市ノ川を離れると、カントリーロードにもかかわらず、もの凄い人がやってくるのに遭遇。
いったい何事かと思ったら、どうやらウォーキングのイベントをやっているよう。
田畑の中を抜けて東松山ぼたん園に到着。
ここは先の箭弓稲荷神社の牡丹園が手狭になったために造られたのだそうです。3万m²の敷地に9000株350種の牡丹!
ここのぼたん祭りは明日までですが、もうほとんど散っているので、この日は入園無料でした。
それでも中にはこんなにあでやかに咲いているものもあります。
『レモンイエローでうっすら赤い縁取りのこの花、かわいらしい〜』 と、これはミルミルのお気に入り。
牡丹を眺めていたらお腹が空いてきました。
畑の中をどんどこ行って、近くの食堂でお昼に。埼玉県はうどん文化圏、ということで肉汁うどんを。
午後の最初の目的地は岩殿観音です。そこへ行くには街中を抜けて都幾川を渡らなければなりません。
東松山駅と森林公園駅の間の建物が抜けているところを繋いで進んで行くと、これがまずまずの道で、時に畑、時に小さな森といった具合。
気温はかなり上昇しており、直射日光下は30°Cを超えていそうですが、こうした林の中に入るとひんやりして気持ちいい。
この花な〜んだ、という人がいたので。桐です。
五百円硬貨の表に描かれているやつですよ。薄紫の上品な色。
畑の先に小高い丘が見えてきました。あそこが本日唯一の上り箇所です。
と、その前に都幾川に架かる稲荷橋に出ました。
これは鉄筋コンクリート製ですが、島田橋同様、沈下橋ですね。
稲荷橋を渡るといよいよ上りが始まります。
ここは距離は短いものの勾配は結構あって、アヘアヘ。
へろへろ〜っと頂上に到着します。
ここの木々は新緑が深みを増し、輝かしい緑となって空を覆っています。
丘の頂上からはぐわ〜っと下って、岩殿観音の参道に入ります。
真っすぐなこの参道は極穏やかな上り。
この参道の突き当たりの小高い山の中腹に岩殿観音はあります。
仁王門の前からは階段が続きますが、その横に急勾配の道が上へ続いています。この坂はちょっと自転車では無理。全員押して上ります。
岩殿観音は坂東三十三箇所の十番札所になっている立派な寺で、本堂の前にはうねうねした根っこが地面の上に飛び出した大イチョウが立っています。
この葉っぱも大分深い緑になってきています。
本堂の前から下にある仁王門と参道を見ればこんなふう。
参道からここまで、ちょっとした高さがあります。
境内の端っこには茅葺きの鐘楼があります。この鐘楼、東松山市内では最も古い建造物だそうです。
ここからの眺めもなかなかです。涼しい風がさーっつ通り抜けて行くのが気持ちいい。
岩殿観音のすぐ南には物見山公園があります。
この公園はつつじで有名なのですが、この時は完全に終わっていました。しかしここからの眺めは岩殿観音より開放的で、さらに素晴らしい。
この西にはちょっとした森が残っています。
東半分は『市民の森』で、武蔵野の雑木林がそのまま残されています。
西半分にはJAXAの地球観測センターがあり、ここでは巨大なパラボラアンテナで衛星からのデータを受信しているそうです。
このルートには一部砂利道のところがありますが、ほとんど人がいない静かな道で楽しめます。
森を抜けると今度は田んぼです。
ここは谷津で、狭いゾーンに田んぼが続いています。
一部の田んぼでは田植えの準備がされつつあります。
水が入った田んぼはやはりきれい。
どんどこどんどこと田んぼの縁を進んで、
JR八高線の明覚駅に到着。この八角形の平面を持つ木造の駅舎は関東の駅百選に選ばれた、かわいらしい建物。
ここでマージコが氷菓子を買って来てくれたので、それで身体を冷やしました。冷たい氷菓子は暑いこの日は最高にうまい。
明覚駅の木陰で一休みしたら、本日の最後の目的地の五大尊つつじ公園に向かいます。
明覚駅の近くの踏切りを渡ろうとすると、そこにちょうど八高線の列車がやってきました。色合いがシック。
カントリーロードを進んで行くと、
先に五大尊つつじ公園がある大高取山が見えてきます。
五大尊つつじ公園の前に立ち寄らねばならないところがあります。
パン工房シロクマ。ここのパンはみんなフワフワでおいしい。クリームパン、大好き〜
五大尊つつじ公園のつつじはもうおしまいなのは分かり切っていたので、行こうかどうしようか迷ったのですが、下からちらっと見ることに。
案の定、すでにほとんど散っていて、最後の残照という感じです。
しかしその近所の民家の庭先には、こんなつつじが咲いていました。
さて、これで本日の見どころはおしまい。
越生の田んぼの中を行き、
毛呂山の鎌倉街道上道をかすめて、再びのどかな田んぼの中をどんどこ。
ここは田植えが済んでいてとてもきれいです。
高麗川の流れに戻ると、そこに架かるは沈下橋の若宮橋。
この橋はごく最近架け替えられたようでぴっかぴか。この橋の主桁には米国製の鉄道レールが使われていたのですが、確認するのを忘れてしまいました。この桁はまだ健在でしょうか。
若宮橋からは高麗川の土手上の自転車道をのんびり行き、下に下りれば、休耕田と思われるところにほんわかしたれんげが一面に咲いていました。
この企画、牡丹とつつじにはちょっと遅かったけれど、どこに行っても眩いばかりの素晴らしい緑が見られ、とても良かったです。