いよいよ本格的な夏到来。関東地方は7月16日に平年より3日早く梅雨明けしたようです。
今日の予想最高気温は34°C。こうなると、走るところをよっぽど選ばないと熱中症で倒れてしまいます。高地で森と川があるところへ行きましょう。そうは言っても遠出は難しいので、盆堀川が流れる盆堀林道と醍醐川が流れる醍醐林道を繋ぐことにしました。それぞれには入山峠と和田峠があります。
やってきたのはJR青梅線の拝島駅。この駅からは南西に丹沢から秩父までの山々が見事に見えます。
その山並みの上に一際高い山が。え〜、あれ、もしかして富士山?
一瞬目を疑いましたが、あれは紛れもなく富士山です。雪がほとんどないので、なんだか富士山らしくありませんが。この時期、遠望は望めないだろうと思っていたので、これは嬉しい誤算。
拝島駅からはまず秋川を目指します。
秋川は多摩川の支流で、ここで多摩川に合流しています。
睦橋で渡るのは秋川が合流する直前の多摩川。
秋川は多摩川とは大分様子が異なる流れで、とても親しみを感じます。
これは規模の違いもありますが、河川敷とその周囲の景色の違いによるものでしょう。
秋川沿いには自転車道と呼んでも良さそうな道が続いています。この道を設置者が自転車道しているかどうかはわかりませんが、ここでは勝手に秋川自転車道と呼ぶことにします。
秋川ふれあいランドを通り過ぎ自転車道が土手道になったところで、前を行くサイクリストがこの先は通行止めだと教えてくれました。
その方が言う通り川辺の道は通行止めだったので岡に上がります。
行けそうかなと思った道が通り抜けできなかったりしましたが、数百メートルぐるりと廻って、再び河川敷へ。
通行止めはごく短い区間だったようで、このトライで自転車道に復帰できました。
しかし東秋留橋に出たところで、橋の下にあるはずの自転車道がないことに気付きました。
先ほどの通行止め箇所もここも、おそらく2年前の台風の爪痕なのだと思います。
仕方がないのでとりあえず橋の上に登ってみました。
秋川の河原では大勢の人がテントを設営し、水浴びを楽しんでいます。今日のここはいたって平和な空間で、平和な時間が流れており、2年前の激しさをみじんも感じさせません。
上流側には土手が続いているようですがその上はダートのようですし、そこに近くから下る道はなさそうなので、再び岡を行きます。
こんなときには思いもよらぬ発見があることもあります。ここは東秋留小学校の横ですが、感じのいい神社がありました。
東秋留小学校をぐるりと廻って河川敷に出ると、自転車道に復帰しました。
そしてすぐに秋留橋に出ます。ここは秋留インターチェンジでもあり、上部には巨大構造物が聳えます。
この秋留橋の先は僅かな区間一般車道を走りますが、東京サマーランドが見え出すあたりから再び自転車道が始まります。
秋川は相変わらずいい感じで流れています。
引田橋で秋川を離れ、武蔵増戸駅方面へ向かいます。
だいぶ気温が上がってきているので、横沢にある大悲願寺に立ち寄って涼み、その奥にある谷戸を覗いてみることにしたのです。
大悲願寺の創建は1191年(建久2年)と伝わりますが、現在残る建物は江戸時代のもののようです。
武蔵増子駅側からアプローチすると、小さな朱雀門があり、その西に楼門である仁王門が立っています。
朱雀門の奥には本殿、仁王門の奥には観音堂が立っています。
この境内には巨大な夫婦杉もあり、ひんやり涼しく過ごせます。夏はこういうところで一服するのがいいですね。
大悲願寺で一息付いたらその裏手にある谷戸へ。ここは里山保全地域になっている横沢入と呼ばれるところです。
かつて農業国だった日本には首都圏にもたくさんの谷戸があり、谷戸田があり里山がありました。しかしそれらの多くはここ数十年の間に耕作が放棄され、打ち捨てられました。そのため、これまであった環境を保全維持しようという活動や政策が各地で行われています。この横沢入もそうしたものの一つで守られている土地です。
道脇の小川で子供たちが網でバチャバチャやっていました。何が捕れるとと聞けば、小さな魚にザリガニと沢ガニと。こういうところで遊べる子供たちは幸せだと言っていいでしょう。
ここにはいくつかの谷戸が入り込んでいるようですが、メインの谷戸以外はボサボサでそろそろ埋もれそうです。
横沢入の奥には林道が続いており小机に抜けられるので、これを行ってみます。谷戸ですから奥へ行くにともなって上りになります。しかもこの林道横沢・小机線はかなりガレていてマウンテンバイク向きです。私たちの自転車ではとても乗っては進めないものでした。
ということで林道横沢・小机線はほぼ押し。(笑) まあここは森の中なので涼めるのがいいところ。
えっちらおっちらして林道横沢・小机線を抜けたら、五日市の裏道を使って盆堀を目指します。
道が下りになると前方に山が見えてきました。この正面あたりの山にこれから向かう盆堀があるはず。
檜原街道に出たところで午後の分の飲料水を確保し、沢戸橋で秋川を渡ります。
沢戸橋を渡るとこれまでと風景が一変。五日市で街はおしまいになり、ここからは山あいを行くようになります。つまりここから上りが始まるのです。
沢戸橋は標高200m、この先に待ち構える入山峠は標高590mでその差390m、距離はおよそ8.6km、平均勾配4.5%。
上り出してすぐのところに一軒のレストランがあります。
ガリガリのクライマーならこれには目もくれずに一気に山頂を目指すのでしょうが、わたしたちはサイクリストじゃなくてポタラーよ。ということで、これに掴まってしまいます。
今日のスケジュールは、もう少し早めに出発して入山峠でランチボックス、そして午後の比較的早めの時間に上がってしまうという案もあったのですが、峠でのランチでは身体が冷やせないと考えて、あえて遅めに出発、ここでランチとすることで、冷房の涼しい風を浴びようとなったのです。
スープは冷たいガスパチョ、冷たいサラダと進んで、〆はバレンシア風パエリャ。ポタラー万歳のランチでした。
このレストランの先には僅かながら盆堀の集落があります。
茅葺き屋根の民家も健在。
このあたりから上りが本格化。えっちらおっちらが始まります。
道の両側に少しスペースができて、山の傾斜が見えるようになります。
このあたりで盆堀の集落は潰え、道は森の中へ。
砂利の採掘場かなにか工場のようなところが出てきて、さらにちょっと上ると盆堀林道のゲートがあります。このゲートは比較的最近作り直されたようで、真新しいペンキが塗られていました。
このゲートは開いていることが多いのですが、この時は閉じていました。少なくとも車が通れない程度の障害が上部にあるようです。
この山は一面が針葉樹林で見晴らしもほとんどないため面白みには欠けるのですが、道脇に盆堀川が流れているため、かなり涼しいです。
まあ、来た甲斐があったと言っていいでしょう。暑いからといって家にいても、酒飲んでゴロゴロしているだけですからね。
盆堀林道の五日市側は先ほど言ったように、基本的には閉鎖的で木々が被い被さっていますが、写真のように極僅かに開けたところがあります。
盆堀川は道の左右と所により位置を変えるので、いくつも橋を渡り、その橋からは川の様子が伺えます。
この川は人の手があまり入っていないと感じさせるいい流れです。
道の周辺には拡大造林政策により植えられた大量の針葉樹が立っています。
これらの木々は今となっては有効に利用されるのかどうか、かなりあやしいのですが。
盆堀林道はかなりうねうねした道で、直線部分はほとんどありませんが、ここだけまっすぐに感じました。
まあ、その距離は200mちょっとだと思いますが。
道脇には盆堀川。サワサワといい音です。
余裕があったら沢に下りて水浴びしたい気分なのですが、GPSの温度計は34°Cを指しており、立ち止まると走り出せなくなりそうで、ペダルを回し続けます。
さすがに苦しくなってきてあるところで停止したのですが、なんとそこには川がありませんでした。がっくし。
一息付いて、なんとか走り出します。
この林道は確か2年前の台風以降通行止めになっており、現在もゲートは閉まっており車は入ってこられません。自転車は通れるという情報があったのでやってきたのですが、車が通れない原因箇所にやってきました。崩落した砕けた岩が道をあらかた塞いでいます。
ご覧の通り、自転車一台がなんとか通れるくらいのスペースはあります。
この崩落箇所の先で停止したのが運の尽き。そこからは自転車に乗って上る気になれずに、押し歩きになってしまいました。
この上の方は勾配もきつくなっていたとは思うのですが、何より暑さでもうヘロヘロです。
しかし前を行くシンチェンゾーは見えなくなり、うしろから来たシュンシュンも漕ぎ出したので、なんとか乗って進んで行きます。
最後はへろへろ〜っと倒れ込むようにして入山峠に到着。ここには大抵2〜3組サイクリストがいるのですが、この日は誰もおらず。さすがに皆さん、この暑さでは走り難いのでしょうか。
入山峠は多少は標高が高いとはいっても600mに満たないので、涼しさを感じるようなところではないと思ったのですが、休憩しているうちに温度計の目盛りは27°Cまで下がりました。これは完全な木蔭に入ったことが大きいとは思うのですが、高度による影響もある程度あるのでしょう。
入山峠は開けたところも見晴らしもないので、過ごすにはそう楽しいところではないのですが、この時はよろよろで動けず。しばらく休憩して走り出そうとしますが、今度は身体が固まって動けず。。(笑) これも暑さショックでしょうか。
とにかく少し下ったところに見晴らしが良いところがあるので、そこまで移動します。
さすがに峠を越えたら下りなので、漕がなくても進んでくれるのがありがたいです。す〜っと下って眺望ポイントに到着。するとシンチェンゾーが、
『お〜、こりゃあいい眺めだ〜 え〜いったいどこが見えてるの〜〜』と言います。
じっくり目を凝らしてみれば、中央に東京スカイツリーが見えます。これは私の肉眼では見えないのですが、双眼鏡で確認しました。ここからは都心のかなり広範囲のビルが見えていると思います。
この眺めを堪能したら短い入山トンネルをくぐり抜けます。
すると少しの間ほぼ水平移動。
ヘアピンカーブを過ぎると勾配が急になり、八王子側の山々が見えるようになります。
シンチェンゾーが水が尽きそうだというので、下りの途中にある水場に寄りました。
サイダーはこうしたところの水を飲むのは平気なのですが、慎重派のシンチェンゾーはおっかなびっくり。石橋を叩いても渡らないシュンシュンは、腹痛でも起こさなければ良いけれど、と見守るばかり。もちろん腹痛は起こしませんでしたよ。
山肌から滴り落ちる新鮮な水はとても甘くておいしいです。
水場から一気に下って盆堀林道の八王子側のゲートに到着。
いや〜さすがに下りは涼しくて快適でした。
さて、入山峠では暑くてめげて、この先ルート変更して夕やけこやけ経由で八王子にショートカットしようという案も出たのですが、下ってきたらちょっと元気回復。予定の通り醍醐林道経由で和田峠へ向かうことにしました。
醍醐林道も2年前の台風でかなりダメージを受けましたが、最近再整備されたようで、かなりきれいになっていてびっくりしました。
この醍醐林道も盆堀林道同様、横を醍醐川が流れているので、だいぶ涼しく感じます。中盤まではそこそこのペースで進んだのですが、後半は試練でした。このピンぼけ写真のように頭がボーっとしてきました。(笑)
それで写真もほとんど撮れず。ついに押し歩きです。へろへろ〜
先行したシンチェンゾーとシュンシュンが待っていてくれて、そこから2人になんとか付いて走ります。
あれ〜、林道、きれいになったのでダートもなくなったのかな、と思っていたら、それは上りが下りに転じた先の、最後の最後に残っていました。
この穏やかな下りのダートは100mほど続き、林の先が明るくなったと思ったら、そこが和田峠です。
醍醐林道から和田峠に出ると、下って峠なのがなんとなくおかしく感じます。
盆堀林道の水場で水を一口だけ飲んでボトルに汲まなかったシンチェンゾーは途中で水がなくなって、この和田峠の茶屋が開いているかドキドキものでしたが、日が長いこの日、それは開いていました。
『よかった〜、コーラ、コーラ!』
なんとか和田峠までやってこられた私たちですが、全員もうへろへろです。この日の〆はあっつい陣場の湯に浸かってさっぱりするというものでしたが、シュンシュンは、
『あそこは上りなんですよね〜、あたしは今日はもう登れません〜』といい、シンチェンゾーは、
『おいらはもうすぐにでも帰りたいゾー!』といいます。
ということで、今回は陣場の湯はバスし、まっすぐ藤野に下ることにしました。
和田峠からの下りはあっという間。和田の茶畑は何番茶かも摘み終わったのでしょう。だいぶ色合いが茶色っぽくなっています。
だいぶ下ってきて身体も涼んできたので、陣場の湯の分岐の直前でシンチェンゾーとシュンシュンに温泉に行かないか再確認しますが、2人とも行くと言いません。(笑)
仕方がないのでこのまま下ります。
この和田峠から藤野への下りは快適なのですが、最後に上りがあるのがいやなところ。この坂道で脚がつったシンチェンゾーでした。
そしてその先に狭い沢井隧道が待っています。
とにかくヨタヨターっと倒れ込むようにして辿り着いた藤野駅。ここの西日がこれまた強烈で暑苦しかった!
いや〜、とにかく今日は暑かったです。でもまだ7月。8月に入ればもっとずっとずっと暑い日がやってきます。この夏、まだ走れる?