2023年の紅葉狩りの最後は都心です。去年は浮気をして都心を離れ郊外に出ましたが、今年はいつものように山手線の内側を中心に巡ります。
スタート地点は東京と言えばの東京駅。赤煉瓦の外壁が印象的な東京の顔とも言える建物です。
東京駅の丸の内側から正面に伸びる道は行幸通り。長さ190m、幅73mのこの通りの中央分離帯は幅が30mもあり、皇室行事や外国大使の信任状捧呈式の馬車列が東京駅から皇居に向かう際に利用されます。
その両側に並ぶのはイチョウです。まだ緑色の葉を残すものがあるかと思えば、こんなふうに大分葉を落としたものもあります。
東京駅からまず向かうのは北の丸公園です。皇居を横目に見ながら内堀通りを行きます。
内堀通りと皇居の間にはかつては江戸城の内堀だった濠があります。この濠には場所ごとに名が付けられており、ここは大手濠。鴨などの水鳥がたくさんいます。
竹橋を渡り、東京国立近代美術館の前の紀伊国坂を上って行くと、北の丸公園のイチョウが見えてきました。このイチョウは少しくすんで見えますが時期的には良さそうです。
このあたりの内堀通りの街路樹は桜ですが、その紅葉はこの時期すでにおしまいで、茶色になっています。
首都高速の料金所の前で道路を渡ると北の丸公園です。
大きなケヤキの木の葉は紅葉せずに茶色になっています。今年は夏の猛暑の影響でかどこも紅葉はあまりパッとしないようなのですが、残念ながらここもその例外ではないようです。
池を渡り、千鳥ヶ淵の側にあるもみじゾーンにやってきました。
ここのもみじは時期が合えばびっくりするくらいきれいなのですが、今年は少し遅かったようで、だいぶ葉を落としてしまっています。その上、葉先がちりちりと焼けたようになっているものが多く、ちょっと残念。まあ写真ではそれなりにきれいに見えますね。(笑)
それでも数本は盛期で、かなり見応えがあるものもありました。
本日の参加者は左から、ユッキー、サンダリアス、タキスキー、ミルミル、コムラン、マージコ、カメラはサイダー。
普段ならこの真っ赤なもみじの林の中を散策するのですが、この日は中の方にはほとんど紅葉が見られないので、このまま武道館方面へ向かいます。
武道館の前には大イチョウがあります。この木はこの時期には盛りとなっていることが多いのですが、この日それはまだだいぶ青い葉っぱを残していました。盛期まであと一週間ほど掛かりそうです。
江戸城の田安門をくぐり抜け、お濠を渡ると靖国神社です。
ここのイチョウは今が盛期。イチョウはちょっとした環境の違いでずいぶん黄葉に差がありますが、ここはほぼ揃っていてきれいです。
靖国神社からは神田川沿いにある肥後細川庭園へ向かいますが、その途中に『市ヶ谷の杜』というものがあります。
ここは大日本印刷の再開発で作られた公開空地で、まだ完成して間がないので杜と言うには木々が小さいのですが、今後が楽しみです。
神田川に下る途中で早大通りを横切ります。この通りには立派なケヤキ並木があるのですが、北の丸公園で見たそれと同様、ここのものも全部茶色になっていました。最近きれいなケヤキの紅葉は見なくなりましたね。
ちなみにケヤキの紅葉には赤くなるものと黄色くなるものとがありますが、これは遺伝だそうです。
神田川沿いの江戸川公園に到着。川沿いの桜並木はまだ少しだけ赤い葉っぱを残しています。
川は神田川なのになぜ江戸川公園? このすぐ近くには江戸川橋という橋もありますね。この理由は江戸時代まではこのあたりの流れを江戸川と呼んでいたからです。この江戸川は現在、千葉県と東京都の境を流れているそれとはまったく関係ありません。
江戸川公園で久しぶりのデニーちゃんが合流。
ここには輝くばかりのイチョウが一本。
江戸川公園のすぐ側には肥後細川庭園があります。江戸時代の大名庭園で、御多分に漏れず回遊式泉水庭園ですね。
この時期夜はライトアップされているようで、竹灯籠などが置かれています。
最近、東京では滅多に雪を見ることはなくなりましたが、ここには雪吊があります。ここも他のところ同様に紅葉は今一つでしたが、雪吊はちょっと絵になる景色ですね。
ここにレイナが登場。
肥後細川庭園を出て早稲田大学へ向かいます。
しばらくぶりのデニーちゃんは今日はブロンプトンではなくカゴ付きの買い物車に乗ってやってきていました。デニーちゃんはこの近くに住んでいるので今日は輪行する必要はないですからね。しかし普通の自転車ってでかいのね、びっくり〜(笑)
早稲田大学の大隈講堂前に到着。講堂横のイチョウは盛期を過ぎて葉を落とし始めていますがまだしばらく見られそうです。
早稲田大学にはその開設者の大隈重信の屋敷の庭だった大隈庭園があります。
ここまで赤い色の紅葉はあまりパッとしませんでしたが、この大隈庭園は良さそうです。
『なかなか良い色をしていますね〜』 と、先に見える紅葉に笑顔の面々。
赤いもみじもいいですが、オレンジ色や黄緑色もあり、微妙なニュアンスに満ちています。
本日参加の某は学生時代にここでデートをしたとかしないとか。いや、大隈講堂でゲバ棒を振り回していた?(笑)
まあ芝生が広がるゾーンもあるし、お弁当食べてぼーっとするにはいいところですよ、大隈庭園。
楽しく大隈庭園を巡ったら、新宿区の戸山公園に向かいます。
都心には比較的大きな公園がたくさんあります。戸山公園もその一つと言って良いでしょう。
そうしたもののほとんどは江戸時代は大名の屋敷でした。この戸山公園もその例外ではなく、尾張徳川家の下屋敷でした。
実は先ほど訪れた早稲田大学のキャンパスも、同じく尾張徳川家の下屋敷だったのです。
当時の尾張徳川家の下屋敷がいかに広大なものであったかはこれで何となく想像が付きますが、ここでいったいどのような生活が送られていたのかとなると、まるで見当が付きませんね。
戸山公園にはちょっと面白いものがあります。箱根山です。
箱根山の標高は44.6mで、これは山手線内の最高峰です。もっとも箱根山は築山(人造の山)で、自然の山では港区の愛宕山 (25.7m) が最高峰だそう。
ここまで来たら当然箱根山に登らねばなりますまい。箱根山の登山口(笑)は何ヶ所かあり、東麓からが一番山頂との標高差が少ないので、その登り口まで自転車を進めました。
ちなみにこの箱根山は尾張徳川家時代の築山の玉円峰(ぎょくえんぽう)と伝えられており、それは回遊式庭園『戸山荘』を整備した際に、池を作るために掘った土を積み上げてできたものだそうです。
東麓からワッセワッセと登ること30秒、高度にしては僅か10mほどを上ると、箱根山の山頂に到達。
登頂成功!
この日の箱根山山頂は日当りが良く、ぽっかぽかで快適でした。山頂際まで木が生えているので写真ではわかりにくいですが、ここはそれなりに眺めが良くて楽しめます。
箱根山から下山したら、次は新宿中央公園へ向かいます。
戸山公園の大久保地区を抜け、
メディカルセンター前の中央病院通りを行きます。
この通りはイチョウ並木ですが、道の左右とちょっとした環境の違いで、その黄葉の進行がまるで違うのが見て取れます。
新宿中央公園に到着。
ここの広い芝生広場は気持ちがよいので、軽い昼食タイムにします。
きれいに色付いたイチョウの木があったので、その近くで各々お気に入りのお弁当を広げます。
デニーちゃんはこのあとウクレレのレッスンがあるので楽器を持って来ていたので、ここで一曲披露してもらいました。小さなウクレレは比較的簡単に持ち運べるので、こういう時にももってこいの楽器です。
芝生広場の南側にはケヤキの木が立ち並んでいます。ここのケヤキはまだ少し色を残していました。
新宿中央公園からは裏道を使って明治神宮にワープ。
この杜は自然のものではなく人工的に作られたものであることに驚きますが、もうあまり手を掛けなくてもよい自然の再生サイクルに入ったと思います。今年のイチョウはまだあまり色付きが良くありません。
私たちがここで好きなのは神社の裏手になる宝物館の前です。ここは森に囲まれた静かな空間で、あまり人がいないのかいいところ。ここでずっと昼寝をしていたい。
明治神宮からは千駄ヶ谷を抜けて、神宮外苑に向かいます。
神宮外苑には日本で一番有名だろうと思われるイチョウ並木があります。紅葉シーズンにはマスコミに必ず取り上げられる場所であり、またドラマなどにも頻繁に登場します。
ここは再開発工事が進行中ですが、多数の樹木が伐採される計画にユネスコの諮問機関である ICOMOS が中止を求める警告文書を出し、反対運動が起こるなど、少しざわついています。幸いにしてこのイチョウ並木は残される計画ですが。
神宮外苑からは赤坂御所横の安鎮坂を下ります。この通りの並木は背が高いのはユリノキ、低いのはトチノキでしょう。トチノキの仲間はフランスではマロニエと呼ばれます。
赤坂迎賓館にやってくると、その正面入口前の三角形のゾーンはきれいに公園として整備され、カフェができていました。これにはちょっと驚き! ここは周囲には何もないところですからね。。
赤坂迎賓館を出ると今日の紅葉狩りは終盤を迎えます。
現在は上智大学のグラウンドになっている空堀のお濠を渡り、ホテルニューオータニの横の紀尾井坂を下って清水谷公園にやってきました。この清水谷公園は江戸時代は紀州徳川家の上屋敷で、清水が沸き出ていたことから付近は『清水谷』と呼ばれていました。その清水を人工的に復元したのが現在ここにある心字池です。
ちなみに上智大学のキャンパスは尾張徳川家、ホテルニューオータニは彦根藩井伊家の屋敷だったので、このあたりの町名は紀尾井町となったようです。『井』が気にくわん!(笑)
清水谷公園から東京FM通りを行き、半蔵門に出ました。半蔵門から南へ下る内堀通りは三宅坂です。
この桜田濠側の並木は背が高いユリノキで、例年ならこれはもう落葉しているのですが、今年はまだかろうじて葉を残しています。
国会議事堂前のイチョウ並木にやってきました。
ここは半分黄色、もう半分は緑色です。今年はずいぶん遅いですね。
国会前庭南庭の横を通り、霞ヶ関のお役所ゾーンを通り抜け、
本日の終着地の日比谷公園にやってきました。
その霞ヶ関側の入口は『かもめの広場』と言うようで、その真ん中でいつも水しぶきを上げているのは『カモメの噴水』。噴水の真ん中の彫刻のタイトルは『鴎』。でも、とある説明ではこの噴水は東京都の鳥であるユリカモメを模したものとあります。いずれにせよ彫刻の鳥はあんまりカモメっぽくないですがね。
この噴水の奥には輝くばかりのイチョウの木が。
日比谷公園の中の雲形池までやってくると、鶴の噴水の向こうにこれまた見事に黄葉した大きなイチョウが現れました。
日比谷公園にはたくさんの種類の木があるので、この時期は様々な色が楽しめます。
少し移動して振り返れば、先ほど見たイチョウがさらに輝いて見えました。
日比谷公園の中には洋食の老舗レストラン松本楼があります。
このテラス席で遅いランチにありつくのが好きです。
毎年今頃の時期の定点観測地。
今年の紅葉は残念ながらどこもあまりパッとしませんでしたが、それでもやっぱりこの季節の景色は特別です。来年はこの紅葉がどう変化するのか、気が早いですが、今から楽しみにしましょう。