大寒は過ぎたもののまだまだ寒い日が続いており出掛けるのがちょっと億劫になりますが、今日は快晴! ということで、白鳥を観に行くことにしました。去年は同じ位の季節に千葉県印西市に観に行ったのですが、今回は茨城県の坂東市と常総市との間にある菅生沼です。
出発地は埼玉県の春日部駅。この企画は南から北上してくる案もあったのですが、東北方面からもアクセスが容易なようにと春日部発にしました。ところが寒いからか、はたまた一週間延期になったせいか、参加者は企て人のコテッチャンとサイダー、サリーナの3名。午後にはペタッチが天神山から参加するといいます。
早朝に東京を出た時はかなり寒かったのですが、春日部駅を下りて日差しの中に立つと、ほのかな温かさを感じます。しかし、ここのところの寒さをもたらした寒波は午後には遠ざかって行きそうとは言え、午前中は風が冷たそうです。
春日部駅を出て大落古利根川(おおおとしふるとねがわ)沿いに出ます。名に『古利根川』とあるようにこの川は江戸時代以前は利根川の本流でした。ちなみに『大落』は大きな農業排水路という意味だそうです。
この時期は川の水は少なく川底が見えるほどで、ユリカモメとカルガモが立っていました。
その川沿いには広い歩道が設えられています。
東武野田線のすぐ北に架かる牛島人道橋を渡ると、大落古利根川の左岸に細い砂利道があったのでこれに入ります。あっ、東武野田線は最近は東武アーバンパークラインと呼ぶようになったようですが、なんかピンとこないな〜(笑)
東武線の鉄橋は頭をぶつけそうなくらいに低いのですが、なんとかくぐり抜けて進むと、そこに一目で鉄チャンとわかる人々がカメラを鉄橋に向けています。その中の一人にどんな列車がやって来るのか尋ねると、オレンジ色とグレーの古いタイプの車両とのこと。その方によるとあと5分ほどで来るので、ちょっと待ってみることにしました。
やってきたのは東武8000系8111Fで、一般的にはリバイバルカラーと呼ばれているもの。1963年11月製造・営業運転開始、2011年定期運用離脱、2023年11月定期運用復帰。この色はロイヤル・ベージュとインターナショナル・オレンジと呼ぶらしいです。
リバイバルカラーを眺めたら、そのまま川沿いを行き公園に入ります。
川沿いに細長く続くこの公園は牛島古川公園と藤塚三本木公園と二つから成るようです。
藤塚三本木公園を出たところで大落古利根川を離れ中川にシフト。
この中川は、下流の東京都では荒川と江戸川の間を流れている、あの中川なのですが、このあたりは護岸が自然の法で感じがいいです。
松伏町の中川。
快晴で気分良し!
今は稲も何にもない田んぼの中を横切り、江戸川に向かいます。
江戸川の土手の横には小さいながらも気持ちのよい竹林がある屋外カフェがあるので、ちょっと立ち寄ることに。
今日は日差しはあるものの気温はまだ10°Cに達しないので、温かいコーヒーはとてもおいしいです。素敵な店主さんが紫色のお芋をくださいました。ごちそうさまです。
竹林カフェで一休みしたら野田橋で江戸川を渡ります。
今日は大小の河川をいくつも渡りますが、この江戸川の河川敷はかなり広いです。ここは埼玉県と千葉県の県境になっていて、橋を渡ると千葉県です。
ここまでちらちらっとその姿は見え隠れしていたのですが、あまりうまく撮影できませんでした。野田橋を渡った江戸川の東岸からは遮るものがなくなり、バッチリ。富士山!
野田橋から江戸川左岸のサイクリングロードを北上すれば、正面に白い雪を纏った日光連山が見えます。右端に見えるゴロッとした山は男体山、正面奥が日光白根山でしょう。
今日は北風。遮るものがなくなったこのサイクリングロードは向かい風で寒く、ハヒハヒです。
江戸川から座生川(ざおうがわ)沿いに入り、清水公園へ向かいます。
清水公園は明治時代に野田の有力醤油醸造業者によって作られたもので、28万m²と広大。
桜とツツジの名所になっているほか、日本最大級のフィールドアスレチックがあり、中でも池の中にある珍しい水上コースが人気です。
清水公園を出たらその周りに開発された戸建住宅地を行き、利根川に向かいます。
中にはちょっとワイルドなこんなところも。
利根川が近付くと、辺りはまだ田植えの準備が始まらない田んぼばかりに。
利根川に向かうまっすぐな道に入ると、正面に筑波山。
これまで大きな山としては西に富士山、北に日光連山が見えましたが、東には筑波山も見えていたのです。富士山同様に建物の影になりあまりよく見えませんでしたが、ここでははっきりその二つの頂が見えます。
利根川の土手にやってきました。
この土手を上ると目吹大橋(めふきおおはし)です。目吹大橋には歩行者と自転車のための専用橋が架けられていて、ストレスなく渡ることができます。
利根川は千葉県と茨城県の県境で、橋の中央部には県境を示す表示があります。この標識を境に茨城県に入るのですが、面白いことに橋の塗装がそこから先はきれいになっています。この橋の管理は県境で異なるようです。お〜い、千葉県、がんばれ〜!(笑)
目吹大橋を渡り終えたところでコテッチャンが、すぐ近くに山羊がいるはずだから見に行こうと言います。このあたりはコテッチャンの縄張りなのです。
民家の庭に停まっていた車の荷台に大きなオスの山羊が一匹、そしてその先の利根川の土手にこちらはメスらしい山羊が。土手の山羊さんは私たちが眺めている間ほとんど動かず、ただただじっとしていました。
利根川から白鳥がいる菅生沼まではすぐなのですが、白鳥見物の前に腹ごしらえです。
コテッチャンが選んだのは正真正銘のインド料理のカレー屋さん。日本のインドカレー屋さんはネパール人の経営であることが結構多いのですが、ここはインド人です。でっかいナンにコテッチャンはびっくり。
腹ごしらえが済んだらいよいよ白鳥です。菅生沼は利根川に注ぐ飯沼川の一部です。
飯沼川の土手路を進むとその突き当たりに『菅生沼ふれあい広場』があります。
この広場の入口には門柱が立っているのでここが『菅生沼ふれあい広場』であることはすぐにわかるのですが、その奥はがらんとした駐車場で、なんじゃらほい、と思ってしまいます。
しかしこの駐車場からさらに奥へ進めば、いたいた白鳥! それも何十羽も。いや百羽くらいはいるでしょうか。
菅生沼の白鳥情報を収集していたコテッチャンによれば、昨日はたったの2羽しかいなかったというので、見られるかどうか心配でしたが、これは杞憂に終わってよかったです。
事前情報ではオナガガモやハシビロガモがいるはずなのですが、その姿はなく、鴨好きのサリーナはちょっとがっかりでした。
しかしその時、空からコガモの群れが舞い降りてきて、サリーナは大喜び。コガモは小さくて遠目には地味ですが、よく見ると首のところが構造色で鮮やかな青などに見えます。
満足、満足、のサリーナとコッッチャン。
うしろの白鳥で左の方にいる数羽は土の上に播かれた米粒を食べています。
この時、空から2羽の白鳥が舞い降りてきました。
ダイナミックな飛行ですが、着陸はあんまり上手ではなく、バサバサ、ドン!
ここにいる白鳥はコハクチョウです。白鳥は6種類に分類されており、このコハクチョウとより身体が大きいオオハクチョウとが日本に渡って来ます。この2種の他にたまに見掛けるのは鼻のところに瘤があるコブハクチョウで、これはヨーロッパから持ち込まれ飼育されたもの、あるいはそれが野生化したもので、通年います。
白鳥の群れの中で時々羽ばたきをするものがいます。鳥だから羽ばたくのは当たり前ですが、これは何のためにするのでしょう。人間が時々腕を伸ばしたりすることと同じでしょうか。
ここにいる白鳥は3月ごろにはシベリアに帰ってしまうのですが、もうしばらくこうした姿が楽しめそうです。
しばらく白鳥とコガモを眺めたら、鉄板のデッキを伝って北にある『ふれあい橋』へ向かいます。
この鉄のデッキ、冬はまあいいとしても、夏には目玉焼きができそうです!
ふれあい橋は茨城県自然博物館の東に伸びる300mを超す長い木製デッキ橋で、東には『あすなろの里』があります。
あすなろの里は野外研修施設や宿泊施設などからなる複合施設で、テニスコートやプールもあり、ピザも作れて楽しそうなところです。あとでペタッチに聞いたのですが、ここの展望露天風呂はとても眺めが良いそうです。
あすなろの里のWEBペイジを見るとそのタイトルは『水海道あすなろの里』。ここは常総市になりましたがかつては水海道市(みつかいどうし)だったことを思い出しました。歴史ある地名が市町村合併によって失われてしまうのはとても残念に思います。
コテッチャンはここに来るつもりはなかったそうなのですが、なぜか来てしまったので道がわからなくなってしまったと。その上あすなろの里のゲートが2ヶ所とも閉じていてどうしたらいいのかさっぱり分かりません。
地図を見る限り、この2箇所のゲートから出る以外はやってきた道を戻る以外に方法はなさそうです。これはとても遠回りになります。そんな時は例によってサイダーの野性の感で行きます。←久しぶりに出た!(笑)
なんとかワイルドコースから一般コースに出ることができて、予定コースに復帰。
一言主神社の鳥居が見えてきました。
一言主神社は一言で言えば(笑)、一言の願いでもおろそかにすることなく叶えてくれる万能神を祀っている神社となります。お寺は決まり事が多くてちょっと近付きにくいところがありますが、神社は八百万の神で、なんでもありというところが多いですね〜
ここの社殿はかなり立派。毎年9月の第2土曜日には茨城県の無形民俗文化財に指定されている伝統芸能、仕掛け花火と人形による芝居劇を組み合わせた『からくり綱火』が行なわれます。
手水舎の横にはかわいらしいメダカが泳いでいます。
赤いメダカは世間では結構な値段で取引されているものもあるようですが、これ、おいくら?
おっと、あっちこっちちょこちょこ寄り道をしていたら、ペタッチとの約束の時間からだいぶ遅れています。
そろそろ天神山に向かいましょう。
カントリーロードを走ってもうすぐ天神山というところで、またまたコテッチャンがストップ。
これ、ちょっと面白いぜ! へへへ〜 とコテツ。
ん〜、なんじゃらほい、と見た先にはなぜかダチョウがおわします。しかも首から『営業中』の札を下げて。あんた、ここでなにしとん?
周囲を良く見ると、幟に『たまご直販』とあります。えっ、ダチョウの卵を売っているのか、それは珍しい! と思ったのですが、実は売っているのは鶏の卵でした。な〜んだ。ダチョウは営業部長だったのね。でもこの横には卵の自動販売機があってさらにびっくり。卵の自動販売機、始めて見ましたよ!
そういえば大寒の日に生まれた卵は『大寒卵』と言って一年で最も美味しいとされています。まあ、大寒(今年は1月20日)だけではなくこの時期の卵はおいしいということのようですが。ちなみに大寒は二十四節気ですがそれをさらに三つに分けた七十二候の最後は『鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)』で、これは鶏が卵を産み始める頃という意味のようです。
買って帰りたいけどな〜、自転車だからな〜
営業部長のダチョウさんに別れを告げ、ペタッチが待つ菅生沼の天神山公園に急ぎます。
反町堤からは飯沼川の土手に続く砂利道の菅生沼遊歩道(いばらきヘルスロード)を行きます。
天神山公園の入口ではペタッチが首を長くして私たちを待っていました。
いや〜、遅れてすまんすまん!
天神山公園はその名の通りに天神山という山とその周辺の菅生沼の一部から成るようです。
天神山はとても小さな低い山ですが、紅葉でも有名だそうです。
その天神山のすぐ先に白鳥がいる菅生沼があります。
ちなみに南北に細長い菅生沼ですが、反町堤から北のこちら側を上沼、南のふれあい広場側を下沼と呼ぶようです。
沼が見え出すと、お、白いものが浮かんでる。
いました、白鳥! よかった〜
コテッチャンが見ていた白鳥の飛来数はこの天神山公園あたりのものらしいので、こちらにはひょっとしていないのではと思っていましたが、ざっと見たところ20-30羽はいるようです。数はふれあい広場よりずっと少ないものの、ペタッチも白鳥を見ることができてよかったね。
白鳥がいる場所は大きく二つに分けられるそうです。一つは寝るところで、もう一つは餌をとるところ。多くの場合、朝に寝るところから餌場に移動し、夕方にまた寝るところに戻ってくるのだそうです。今はまだ昼だから、この菅生沼は餌場なのでしょうか。そうだとすると寝るところはどこなのでしょう。もっとも寝るところから全部が移動するわけではないようなので、ここが寝場所ということも考えられます。
さて、天神山公園で無事に白鳥に会ったらあとは守谷に行くだけなのですが、お寺好きのコテッチャンは近くの寺に寄り道。
この妙音寺は天神山七福神の毘沙門天になっているのですが、お堂の扉は閉じていたので、鰐口をガラガラしてお参りだけさせていただきました。
ここでコテッチャンがなんだか騒々しい。彼はここで自分の名前と同じ札が貼られていると大喜びしているのです。
今はあまりやられないようですが、一昔前までは神社やお寺さんにおまいりした時に、我ここに見参、という意味で自分の名が入った札(千社札(せんじゃふだ))をペタッチと貼る、あ、違った、ペタッと貼ることが流行っていたのです。これはそんなものの類いだと思いますが、『ジオポタ見参!』の札、あるのよ〜、虎徹っちゃん。
妙音寺を出たら今度こそ守谷へまっしぐら、というわけにも行きません。この近くで私たちの大切な友人が眠っているのです。ここまで来たからにはお参りしていかないとね。
鬼怒川から続く谷戸を通って、
やってきたのは谷和原御廟。
あれから4年が過ぎました。そのあとはコロナがあり、そして今年は能登で地震がありました。いろいろと起こるのが人生とも言えますが、それに耐えるのはやはり辛いです。
さて、今度こそ守谷へ一直線。まずは鬼怒川の土手に続く自転車道をどんどこ。
うしろにはあの筑波山!
玉台橋で鬼怒川を離れ小貝川の土手に移ります。こちらにも快適な自転車道が続きます。
このあたりには木造の沈下橋小目沼橋があるのですが、今回はこのあと予定があるのでパス。
つくばエクスプレスの総合基地の横を上って守谷の市街地に入ります。するとそこには立派な松並木が。
これは江戸時代の1620年に守谷藩が銚子街道沿いに植えたものと伝わり、現在では全長400mが公園として整備されています。
守谷ではコテッチャンが手配してくれたイタリアンレストランへ。
コテッチャンとペタッチはサリーナの誕生日が近いとか過ぎたとかと聞いたので、そのお祝いをしてくれるんだって。このケーキはペタッチのおごり! ん〜、サイダーとあるのはおまけだそうな。(笑)