東京の桜は一昨日の29日に開花したそうです。これは昨年より15日遅く、平年に比べても5日遅いとのこと。やっと咲いたか、という感じですね。
さて、予定ではこのあたりで近場のお花見ポタリングのつもりにしていたのですが、そんなわけでこれは一週間ほど延ばさざるをえません。じゃあどうする? コテッチャンから、八王子のあたりを走ったことがないので走ってみたいとリクエストがあったので、入山峠に行くことにしました。ぼちぼち山の桜が見られるかもしれません。
やってきたのは八王子駅。向かう方角からすると北口に出た方が良いのですが、北口は人口密度が高いので私たちはいつも南口を利用します。南口にはちょっとした広場があり、ゆっくりここで自転車を組み立てられますから。
駅前を出るとビル群の足元に早咲きの赤みの強い桜が咲いていました。河津桜でしょうか。
まずは野猿街道で浅川の暁橋へ向かいます。八王子の中心部を貫く甲州街道を渡りさらに行けば、八幡八雲神社に提灯がずらりとぶら下がっています。
八王子は山車祭りで有名ですが、これはこの神社と多賀神社の例祭とを合わせたものです。
暁橋に出たらそこからは浅川の土手上を行きます。
前方に西の山々が見えて来ました。今日は黄砂がひどいらしく、山影は薄ぼんやりしていますが、この視界の右のどこかに今日のピーク点の入山峠があります。
少し行くと浅川の土手に桜の木が並ぶようになって来ました。この木はもう大分咲いていますが、実は今年は都心より八王子の方が開花が2日ほど早かったのです。
道が大きくカーブすると南浅川が浅川に流れ込んでいます。
その南浅川を横川橋で渡り、対岸を下って再び浅川に出るとそこはつるまき公園で、その横で今度は浅川に城山川が流れ込んでいます。そして浅川のこれより上流は北浅川という名に変わります。
つるまき公園を出て城山川の対岸に渡ると道は細い砂利道の遊歩道に。これを回避して車道を行きますが、川に戻るとまだ砂利道が続いていました。もっともこの砂利道は硬く締まっている上にすぐに終わったので問題なし。
問題はお天気でした。暑い! この時期、26°Cと言われてもピンとこず、長袖にウィンドブレーカーというごく当たり前の格好で出かけてきたのですが、この時すでに全部を脱ぎ去らなければならないほどでした。
中央高速の下をくぐり抜けるとほどなく城山川に大沢川が流れ込みます。このあたりはずっと戸建住宅地が並びます。
この川沿いの道は『大沢川桑の葉通り』に突き当たっておしまいに。
『大沢川桑の葉通り』を西へ向かうとすぐ近くに山が見えます。方向からすると景信山(727m)あたりが見えるはずですが、あの山はもっと低そうなのでその手前のものでしょう。
美山通りを渡り、それに平行する旧道で一山越えます。
現在小野田トンネルがある小高くなっているあたりには地図に小田野城跡とあります。これは北条氏の八王子城の出城でそれと同時代の16世紀の終わり頃造られたもののようです。
小田野城跡付近のピークを越えて北浅川に下ります。下に河原宿が見えてきました。ちょっとした上りでも上りは苦しいのですが、ピーク付近からこんなふうに町が見えるとなんだかいい気分になります。小田野城からもこうした景色が見えていたのでしょう。
下った先には北浅川が流れています。
その向こう側の戸建住宅群の屋根の上にはこのあと向かう入山峠があるあたりの山が見えています。
陣馬街道を渡ってそれに並行して走る『モリアオガエルの道』に入ります。陣馬街道はそれなりに交通量があるのですが、この道はほとんど車が通らずに快適に進んでいきます。
そうそう、『モリアオガエルの道』ですが、その名からわかるようにこの周辺にはモリアオガエルが生息しており、その産卵が見られるそうです。『モリアオガエルの道』に沿って流れるのは小津川で、この川は私たちがこれから上る入山峠付近に源を発しています。
小津の民家の庭先では梅の花が満開。八王子では桜が咲き出していたので、今日はもしかすると桜と梅と両方楽しめるかもしれません。
小さな環状交差点に出ました。環状交差点の名称は道路交通法に出てきますが、まだ日本では数が少ないのであまり馴染みがないかもしれません。ロータリー型交差点やラウンドアバウト(Roundabout)と言えばピンと来る方もいらっしゃるでしょう。道路交通法上の環状交差点はその手前に標識が整備されているのですが、ここには見当たらないのでそれには当たらないようです。
この交差点の周囲には大きな桜の木が何本かあり、二分咲きほどになっています。
今日の参加者は結果的にコテッチャンとサイダーの二人だけになったので、時間はたっぷりあります。そこでここから環状交差点を右折して小津林道へ向かってみることにしました。小津川や『モリアオガエルの道』はこちらへ続いているのです。
奥へ進んでいくと、民家の庭先の桜がかなり咲いています。都心ではほとんど咲いていないのに、なんという現象でしょう。八王子の方が寒いはずなのに。
ポツンポツンと立つ民家の前を過ぎて行くと杉林に入りました。
もう集落は終わったのかな、と思ったらパッと視界が開け、また民家が現れます。
ひっそりとしていていい雰囲気。
『モリアオガエルの道』はここまでというところまでやって来ました。小津川に小さな橋が架かっています。
この橋の袂ではレンギョウと河津桜が咲いていました。この先が小津林道です。
小津林道は1.5kmほどの短い行き止まり林道ですが、ここまで来たのでついでに行けるところまで行ってみることにします。
橋から5-600mほど進むと道にチェーンが張られており、この先は閉鎖と書かれた標識が立っています。この道はこの先数百mで行き止まりになり、その先は登山道が入山峠まで続いているようですが、今日はここまでにしましょう。
このチェーンが張られた道の横の木はすごい苔に覆われていました。なかなか立派な苔ですね。
ここでコテッチャンが対岸へ渡ろうとして、ボチャッ! あり〜〜
やって来た道を環状交差点まで戻り、力石峠へ上ります。
道脇には小津川の支流が流れ、そこにきれいな桜が咲いていました。
この力石峠へ上りは距離は短いのですが結構きついです。1.2kmで80mの上り、平均勾配6.6%。
深い切り通しの坂道をコテッチャンはグワーッと上って行き、サイダーはヨタヨタとその後を追います。
力石峠はこの切り通し壁の一方がなくなったところにあるのですが、そこには眺望はなく何の面白みもないのでさっさと下ります。
ヘアピンカーブを2つ回ると下に力石から宮ノ下あたりの集落が見えます。春の強い日光で眩しいほどです。
力石に下りて来ました。この道は陣馬街道で、かつては甲州街道の裏街道として使われたそうです。
この集落の内部だけ陣馬街道はかつてのままの幅員のようで狭く、ここ以外のところは広げられたようです。
力石を出ると陣馬街道は2車線に広がり、宮ノ下に入って行きます。
宮ノ下ですから当然お宮があるのですが、それは宮尾神社で、童謡『夕焼け小焼け』の作詞者・中村雨紅(高井宮吉)はそこの宮司の三男でした。境内の生家跡には『夕焼け小焼け』の歌碑が建てられています。
宮尾神社の下には八王子市の自然体験型レクリエーション施設『夕やけ小やけふれあいの里』があります。その一角では河津桜が満開です。
この河津桜の向かいに『オンガタVIEW』があるので一休み。この施設はかつては農産物直販所だったと思いますが、現在は地域で作られた土産物や軽食が売られています。
その横を北浅川が流れています。木造の吊り橋からは小さな滝が落ちるのが見えます。
いや〜、それにしても今日は暑いです。まだ11時だというのに汗だくで、ここで30分も休憩してしまいました。
夕やけ小やけを出るとお抹茶色というか、自転車乗りならビアンキ・カラーと言った方がわかりやすいか、とにかく薄緑色の上恩方郵便局が立っています。未だ現役です。長く続けて欲しいですね。
ほどなく陣馬街道は北浅川に沿って和田峠方面へ向かいますが、私たちは北浅川に流れ込む醍醐川沿いを進みます。
だいぶ山あいが狭くなって来ました。
和田峠方面への分岐から1kmほど進むと林道盆堀線の入口に辿り着きます。
さて、いよいよ上りが始まります。ここは上り出しがきついです。
チビ自転車を踏み倒して上るコテッチャン。
コテッチャンのチビ自転車は3速であまり軽いギアがないので、パワーでガリガリ行きます。
ヘアピンカーブを3つ回ると少し勾配が落ち着き、崖から水が滴り落ちるところに出ます。ここは上部に人家はなく、土に染み込み十分に濾過された水のようなので、ボトルに汲ませてもらいました。おいしいです!
この水場を出ると先に上って行く道と、その先のカーブを回って折り返して来る道が同時に目に入ります。ここは足元だけ見て上ればそう問題ない勾配なのですが、視界が開けて道の勾配が視覚化されると、なんともきつく感じてしまいます。
この写真はそのカーブを回ったところからのもので、谷の先に見える山は和田峠の上にある陣場山から景信山を繋ぐ稜線だと思います。
眺望点の先のヘアピンカーブを回ると標高500mです。
林道入口が280mあたりなので、200mちょい上って来ました。この道のピークの入山峠は標高600mなので、あと100m。
そして先に見えたカーブを回ると入山トンネルが現れます。
この入山トンネルを抜けると、これまでとはまったく異なる世界が開けます。空が開き、山並みの向こうには八王子あたりなのか町がうっすらと見えます。
条件が良ければここからはその遥か先に東京スカイツリーが見えるのですが、この日は黄砂で残念。
このあたりは道の勾配が穏やかで、ほとんどフラットというところも現れます。
しかし峠の直前の坂はちょっときついです。(TOP写真)
えっこらよっこらしてその先のカーブを回ると、先から何やら賑やかな音が聞こえて来ます。団体さんが山登りに来るようなところでもないし、はて?
入山峠に到着。
しかし峠には人だかりがあります。一体何なんだ〜と思って聞いてみると、有名な山岳耐久レースの『ハセツネCup』の入門編である『ハセツネ30K』をやっているのだそうです。これではとても峠で休むどころではないので、証拠写真を一枚撮って退散します。
そうそう、この『ハセツネ30K』は入門編とは言え山岳コースの30kmですからね。倒れている方がそこら中にいます! 我らがペタッチは本編か30Kかは聞き忘れましたが、一度走ってもうコリゴリと言っておりました。
入山峠からはあきる野市側に下ります。
下り出すとすぐに視界が開け、西の山々が姿を表します。峠で休めなかったのでここで一息付きたい気分ですが、ここには丸太が一本横たわってはいるものの、それはあまり座りごごちがよくないので水分補給だけして下り出します。
空が開けていたのは一瞬で、そのあとは盆堀川沿いの木立の中の薄暗い空間になります。
このあたりはひっそりしていて盆堀川の流れもきれいなので、時々立ち止まって川を眺めると良いところなのですが、今日はできるだけ止まらずに下ります。実はコテッチャンは最近キノマップという自転車の動画サイトに投稿しており、できるだけ連続した動画を撮りたいらしいのです。
片側が崖になり、少し日が当たるようになりました。盆堀川沿いのこのコースは夏でも比較的涼しく走れるところで、気温が高いこの日は快適でした。
盆堀の集落まで下って来ました。この集落内には茅葺き屋根の民家が残っていたように思うのですが、あれ、どこだっけかな。。しばらくご無沙汰しているうちになくなってしまったのか、あるいは見落としたのか。
真っ白な梅と赤味が強い桜が咲いていました。
盆堀の集落を抜けたら本日のメインイベントはおしまい。沢戸橋で秋川を渡りあきる野市の小中野に入ります。
時は13時。ここでお昼にしましょう。
今日は二人なので飛び込みでどうにでもなるので、昼飯処は特に決めていません。何度か入ったことがあるほうとう店はやめて最初に目に入った食堂の暖簾をくぐりました。
コテッチャンはとんかつ定食を、私は先週の生姜焼がおいしかったので、ここでも生姜焼定食をいただきました。とんかつ定食のとんかつは巨大な草鞋みたいで、コテッチャンは食べ切るのに往生していました。生姜焼は前回同様、ここのもおいしかったです。2回続けて当たり!
午後の部は久しぶりに日の出町の林道を走るという案もあったのですが、コテッチャンは解散後の移動がかなり長いのでこれはやめ、秋川、多摩川と繋いで立川までにしました。
秋川はこのすぐ上流の檜原村あたりではかなり細い渓流ですが、ここでは少し流れが和らいでいます。
川沿いの道はいきなり畑の中に。その中に架かる歩道橋のあゆみ橋を渡ります。
渡った先は河原で、ここは夏はいつでも人で溢れているのですが、今日は気温が高いとは言えまだ3月なので水遊びには早いということか、人影はまばらです。
高尾橋を渡って網代に入ると、すでに5分咲きほどになっている桜がありました。今日1日でかなり咲いたのでしょうね。
引田橋を渡り、秋川左岸へ。
そこからはとってもとっても狭い道に入ります。
こんなとこに道があるのか〜、と心の中で叫ぶコテッチャン。
ほどなくこの細道は人がすれ違えるくらいの幅になります。
サマーランドの観覧車が大きくなってくると、土手にはすでに終盤の河津桜が。
このあたりは秋川自転車道と言ってよさそうな雰囲気です。
あきる野インターチェンジの巨大構造物の秋留橋をくぐりぬけると、あれれ、道は地道に。そういえばさっき上に迂回する道があったな・・・
ちょっとレトロな東秋留橋に出ました。実は東秋留橋は2本あり、これは1939年(昭和14年)に建設された古い方で土木遺産になっています。
この近くでは川に入って釣りをされている方の姿がありました。このあたりは3月中旬にヤマメとマスの釣りが解禁になっているので、そうしたものを狙っているのでしょう。
東秋留橋の先ですぐに土手下の道はなくなり、土手上に上ります。土手上には桜並木続きますがこれはまだ。
この土手の終点から先は河川敷に遊歩道があったのですが、これは確か2019年(令和元年)の台風で壊れてしまい、未だ復旧されていませんでした。そんなわけでこの先は階段の担ぎに。そういえばそうだった、忘れていた〜(泣)
住宅地の端っこを通って川辺の道の続きとなるサイクリングロードに下りました。
この先は快適なサイクリングロードが続きます。
東秋川橋の手前の秋川ふれあいランドでトイレ休憩し、一息付きます。
目の前の秋川には大きな堰が造られていて、そこを落ちるザーッという水の音が響いています。
東秋川橋をくぐるとほどなく秋川は多摩川に合流します。
秋川を離れて都道に出、睦橋で多摩川を渡ります。多摩川の右手から秋川が合流しているのがわかるでしょうか。
多摩川沿いに入るとすぐに福生南公園です。多摩川の河川敷に造られた広い公園。
福生南公園から先はお決まりの多摩川サイクリングロードをどんどこ。
多摩大橋付近は桜並木ですが、これはまだです。八王子とこうも違うとは驚きですね。
多摩川の河川敷はとても広いので川は見えないことも多いのですが、ここは流れがこちら側に寄ってきているので、よく川面が見えます。
先に中央本線の特急列車が見えるとそこは多摩川橋梁です。ここからは南西に丹沢山系の山々が並んでいるのが見えます。今日は黄砂がやってきているのであまりはっきり見えないのが残念ですが。そうそう、今日越えた入山峠はあの山の右の端のあたりにあるはずです。