峠たちを越える
30日、今日も雨模様。
今日はウエゴアからニューカレドニア・グランドテール島北部の主要都市クマックへ移動です。 主要都市とは言え、ヌメアに人口の半分が集中しているここでは、他の町と大して変わりはないのでしょうか? 人口は2千人しかいません。
さて、地図を見るとまたまた山模様です。 しかも今度は昨日と違って、峠ではなく『峠たち』とある。 どんなところだろう、いったい?
確かに視線の先には山々が…
カンカン照りの中を走るよりは快適かも… 実はこのルート、ビーチがないから体を冷やせない! とちょっと心配していたのでした。
どおやらその心配は無用らしい。 降り出した小雨のなか、カッパを着込んで走り出します。
平地から登り、登っては下り、登って登って、登って下り…
たしかに、昨日より登りの距離は短いような気がします。 『ここは峠だよねぇ、休憩、休憩っと。』 坂を登り切るとそのたびに休憩モードのサリーナです。 『カルメン、もうちょっとがんばってね。』 休憩の度に愛車の機嫌を伺います。 ずっと雨だしね。
おお~、今度こそ越えたろ~! だって、こんなに登ったんだぜ。 あの雲の向こうの山のず~っと向こうからだよ~ん。 と雲の下を指差すサイダーですが、それは甘かったのです。
峠たちの威力。 それは、もう終わったかなぁ~? これで最後かな~ぁ? と思ってもまだまだ先に山が続くのです。 山、山、そしてまたまた山。
これが『たち』っていうもんかぁ~ …
そして、これでもか、これでもか! と攻め立てた峠たちもついに、本当に終わったらしい。 ゆるやかな起伏を過ぎるとどうやら平坦になったらしい。
クマックまであと8kmの看板。 幹線道に出た。 そして道幅が広くなり、なんと自転車道の看板までが!
この国では自転車は車と同じに右側通行。 しかしサリーナは左側を。 これが自転車道。 見たのはここだけでしたがクマックの中心部へ向かうこの道には、ほんの一部の区間だけでしたが自転車道が整備されていたのです。
ずっと雨でずぶぬれだったけど、クマックへゴール! お昼過ぎ、到着したホテルのレストランでおいしいランチを赤ワインとともに堪能したのでした。
島北部の主要都市クマック
これは翌日31日の写真。 なぜかこの日は快晴!
北部主要都市クマック、目立つ建物はこれだけ。 ちょっと変わった形ですが教会です。 なんでも、飛行機の一部を利用して建てた建物だとか。
ここが町の中心です。
教会の向かいには、北部で最大の雑貨屋さんがある。 これがそれ。 たいていの町には雑貨屋なんてないか、あってもこれの1/10くらいの大きさ。 ここには少なくとも50km彼方からお客がやってくるのです。
私たちも買い出しを。 なぜかって?
『泊まってもいいけど、明日は誰もいないわよ。 もちろんレストランも休み!』 とは我らがホテル。 昨日と同じだから、そんなに焦らないけれど…
大晦日のこの日、私たちが向かった先は、町からちょっと北にあるビーチ。
町の中心部を走り出したサリーナ。 そしてこれがまさに町の中心部の写真。 建物はあっても2階建てが最高。 敷地にフェンスがあるのがとっても珍しく、広い道路と電柱があるのが都市のシンボルかな。
しかし500mも進めば、もうそこは荒野! そしてすぐに熱帯の深い緑の木々が道路を覆うようになる。
北上すること10km。 幹線を離れ、枝道のダートを進む(TOP写真参照)と、クマックから一番近いビーチに到着。
『ン~ん。 誰もいないねぇ~。』
とにかく、時間がゆっくり、あまりにゆっくりと過ぎる世界です。
のんびりここで一日を過ごそうか?
『ここは珊瑚がないね~、ちょっと先のビーチにいってみようか?』
ということで、さらに先のビーチへと向かうことにします。
『昨日の雨はなんだったんだ~? 暑いぜ、きょうは!』 わめくサイダー。 空は真っ青、太陽ギンギンです。 わずか数km移動するのもけっこう大変です。 そして山があるんだよね~、これが。
しかし苦労の甲斐あって、次のビーチは珊瑚の山。 ちょっとこんな珊瑚のお花畑、見たことない! それも浜から10数メートルでっていうのはちょっと信じられない!
あ~あ、水中カメラがないのがとっても残念!
ここならだらだらと、珊瑚と熱帯魚を楽しみつつ一日を過ごすには最適だ。 しかし、観光客の為に設えられたビーチではない。 パラソルはもちろん、近くに売店もない。 もちろんビールの入手は完璧に不可能!
そんなときには、現地流で過ごしましょう。 お昼は持ってきたサンドイッチ、おやつも持ってきた果物、飲み物も持ってきた、ただの水!
そうやって一日をのんびり、珊瑚と熱帯魚と共に過ごせば、ここの時間も自分達のものになるのです。
さてさて、そろそろ引き上げの時間ということで、やおら走り出すサイダー。 しかし『あれれ~、パンクかな~』 修理するも、替えのタイヤもパンク! 『この暑いのに、やってやんないね~、まったく! ブツブツブツ』
そしてサイダーを襲う次々のアクシデント!
ようやくパンク修理を終えたサイダー。 いつもの野生の勘がちょっとばっかり狂ったようです。 あらぬところに入り込むと『ウゥ~、ワオワオワオ~ン!』と数尾の犬に追われ、ガブリ! 幸い傷にはなっていないので、狂犬病の心配はないようです。 『それにしても、あ~、こわかったよ~』
犬から逃げるようにして灌木の間を通り抜け、幹線道へ出る。 このあたりは幹線道とはいっても、まるで静か。 車も人も、まず通らない。
灌木の向こうに、ただ蒼い海が一筋水平に伸びるだけだ。
クマックの宿に戻れば平和そのもの。 そして今日は従業員もいないというこの静けさ。 ひっそりとしたプールでこころゆくまで暑気を拭ったのでした。
しかし、夕食も買い出しのチーズとハム。 む~ん、大晦日だっていうのにね!