ヴィリニュス、クライペダ(リトアニア) バルト三国その3
ヴィリニュス旧市街の北側を流れるネリス川
◆リトアニアのヴィリニュスへ
たった9人の乗客を乗せた大型バスは定刻の10時10分にリーガを発車、南下して一路ヴィリニュスへ。 国境を通過してから、途中トイレ休憩に立ち寄ったレストランはログハウスのいい雰囲気の店でした。 コーヒーを飲みたくなって、ラトヴィアのお金で払えるか聞いたら『だめだ』という。
夕方、ヴィリニュスのバスターミナルに到着。 タクシーを拾ってホテルへ直行。 しかし、このホテルが最悪、チェックインを済ますとフロント嬢が荷物を一つ持ってくれて、部屋に案内してくれるのですが、『下の階です』と言う。 えっ!という事は地下? こやつ『面白いホテルでしょう』とぬかしやがる。 半地下の独房のような狭い部屋にベッドが二つ置いてある。
壁は9ミリ厚の木片ボード(家具の下地や梱包に使われる)。 一応トイレとシャワーはあるが、その間仕切りも同じボード、造作も日曜大工よりも下手な仕事で、寄り掛かったら壊れそう。 自転車を置いておくスペースもない。 仕方がないから縦にして置く。 暖房設備が見当たりません。 寒い国だからラジエターぐらいないと、と低い天井を見上げると、むき出しの一本の細い配管が横たわっています。 手で触ると暖かい。 これがラジエター代りらしい。
ヴィリニュスは絶望的にホテルが取れませんでしたが、ここに来て理由が判りました。 隣国ポーランドから大型バスを連ねて、大量の団体旅行客が押し寄せているのです。 このホテルにも2台の大型バスが停まっていて、旧市街はガイドが付いたポーランドの団体さんでごった返していました。 そう云えばこの時期たしかウクライナやポーランドは大型連休だったように記憶しています。
ヴィリニュス
夜明けの門
夜明けの門は旧市街へ入るゲートで、かっての城壁の一部です。 ここを入ると迷路のような狭い曲がりくねった旧市街が広がります。
旧市街
夜明けの門の中はこんな感じの通りが続きます。 ここヴィリニュスの旧市街の範囲はかなり広く、はっきりした境界もなく、市民生活の中枢と渾然一体となっています。 そのため、狭い道にもたくさんの車が入り込んできます。 迷路のよう狭い道を進むといきなり広い石畳の広場に出たり、空間の変化が楽しい。
民芸品屋の店先です。 この親爺、旧ソ連製らしきポンコツオートバイと我が愛車を交換してくれという!
カテドゥロス広場
新市街も中心部の建物はかなり古く、かつ立派です。 街全体の印象は極めて清潔で洗練されています。
ウクライナではBD-1に乗っていると注目の的で、しょっちゅう話しかけられたものでした。 今回の旅でそのようなことがほとんどありませんでしたが(ツェースィスの自転車レースの会場では取材のカメラマンにずいぶん写真を撮られた)、ここヴィリニュスでは3人のお年寄りにロシア語で話しかけられました。
ゲディミノ大通り
カテドゥロス広場から延びるゲディミノ大通りがヴィリニュスのメインストリートです。 この日は車をシャットして特設ステージでの催しやオープンカフェでたくさんの人々で賑わっていました。
5人の女性が前衛的な音楽に合わせて巨大な椅子の上で曲芸とも踊りともつかないパフォーマンスはじめた。
◆リトアニア唯一の港町クライペダ
クライペダへのバス
ヴィリニュスからクライペダへの移動はまたバス輪行。 今回のバスは3軸の長いバスで、これまでで最も立派で快適でした。 そのバスに乗客はたった20人ほど、航空機と同様に空いている荷物室を利用して小荷物も運びます。 クライペダへは片側2車線、植栽された中央分離帯は10mほどの立派な高速道路、周りの風景は絵のように美しい。
北欧の国と同様に、バルト三国も車のヘッドライトは常時点灯しています。 道交法がそうなっているのか、バイクのようにエンジンを掛ければ自動的に点灯するようになっているのか、知っている人は教えてください。
クライペダのホテル
午後2時30分ごろクライペダのバスターミナルに到着。 タクシーで旧市街に隣接する地区にあるホテルに直行して、驚きました。 このホテルの立派なこと!
三ツ星とは思えないホテルで、フロント嬢は超美人、レストランも重厚なデザイン、エレベーターの床は御影石の一枚もの、部屋は寝室と居間の二室、窓は四つもある。 ベッドはクイーンサイズで薄金色のサテンのベッドカバー付いている。 クローゼットも豪華、居間には皮張りのソファとテーブル、デスクに椅子、冷蔵庫と食器棚、中にはワイングラスやカクテルグラスなど四種類のグラスが用意されている。 これでヴィリニュスの地下牢のような部屋よりも安いときている。 感激です。
いつも貧乏旅行ばかりしているから、このようなホテルに泊まったことがありません。 これなら一週間ぐらい滞在したいですが、残念ながらここは一泊だけの予定になっています。 明日は朝早い出発なので早速ポタリング開始。
クライペダの街
クライペダの旧市街
クライペダはリトアニア第3の都市ですが、ドイツ領に編入されたり、リトアニアに戻ったりを何度か繰り返してきた街です。 旧市街はドイツ時代に造られた街で、ドイツ風の建物が多い。 碁盤の目に整備された街路に小規模の建物が建ち並んでいます。 味わい深い建物が多いのに、碁盤の目の街路が街並みの景観をつまらないものにしています。
こんな木造建築も多数存在します。
こちらは19世紀初頭に建てられたドラマ劇場。 このバルコニーでヒットラーがアジ演説をやったことがあったそうです。
グニュ川には木造帆船が浮かんでいました。 レストランになっているようで、ちょうど帆を畳む作業をしていました。
同じグニュ川で、こちらは若者達がカヌーを漕いでいます。
◆再びリーガへ、そして帰国の途へ
クライペダからリーガへのバスは便数が少なく、午前中は朝の1便だけ、その後は夕方までありません。 ホテルでゆっくり朝食をとる時間がないと言ったら、バスの中で食べるようにと、朝食を包んでくれました。 車内で包みを開けてみたら、焼き飯とパン、バター、ジャム、フルーツ、紙パックのジュース、ミネラルウォーターまで入っています。 本当に親切で良いホテルでした。
リエパーヤの女の子たち
クライペダからリーガへ戻る途中に立ち寄ったラトヴィアの港町リエパーヤのバスターミナルで。 ここの軍港から日露戦争のとき、かのバルチック艦隊が出航しました。
夕方、懐かしいリーガに到着。 これでラトヴィアは3度も出入国を繰り返したことになります。 楽しかったポタも終盤、明後日はとうとう帰国の途につきます。
ヘルシンキ空港
帰りも行きと同様ヘルシンキ空港で乗り継ぎです。 なんと空港スタッフは空港内の移動にキックスクーターを利用していました。 来るときは乗り継ぎ時間がなくて焦ったが、帰りは5時間もあります。 どうやって時間をつぶすか、真昼間から飲むわけにもいかないし、こういう時一人旅は間が持たないね!