生の真蛸
ヌメリを取り去った状態
材料
- 生のタコ 1杯
- 塩
- 緑茶葉 大さじ1 こし袋に入れる
下処理
- タコをビニール袋に入れ冷凍する
- 完全に凍ったらビニール袋のまま冷蔵庫に移し替え解凍する
- 頭(本当は胴)の内側に指を入れ、頭を裏返して内臓を取り除く。漏斗の奥に墨袋があるので潰さないように注意を
- 目の横に切り込みを入れ、目玉を取り除く
- 足の付け根の真ん中にある口を頭側から押し出すようにし、足側から引っ張り出して取り除く。黒いクチバシの周囲の肉は食べられるので捨てないで
- 足と足の間にある水かきに包丁で切れ目を入れる
- ボウルにタコを入れ、水で流しつつ手でよく揉んで汚れとヌメリを取り除く。頭の中、吸盤、口の中も忘れずに
- 冷凍したタコの場合はこれだけで汚れとヌメリが取れるはずだが、落ちが悪ければ少量の塩を加えてもみ洗いする
- 匂いが気になる場合は酒を一振りして作業すると良い
- 皮をこすって、キュッキュッと滑るようになればOK
- 水を切ってザルに上げる
生蛸の刺身(奥)、手前は茹でタコ
生タコの刺身
- 刺し身には一般的には足の太い部分を使う →細い部分は茹でて他の料理に使う
- 吸盤をまな板に押し付けて吸い付かせ、包丁を皮と身の間に入れ、身を回しながら魚の皮を剝ぐように包丁と手を動かして皮を剥ぐ
- 身を薄く削げ切りまたは輪切りにする →柔らかくて切り難い場合は半冷凍にして切ると簡単
- 吸盤が付いた皮は塩をひとつまみ加えた湯でしゃぶしゃぶする程度にさっと湯がく
- 取り出して冷水で締め、水気を拭き取る
- 吸盤を皮から削ぐようにして切り出す →皮は酢の物にすると美味
- 切った身と吸盤を器に盛り付け、塩、わさび、すだちを添えて、完成!
茹でタコ(足の半分、茹でると自然に足が丸まる)
茹でタコの刺身
茹でタコ 刺身用
- 鍋にタコが浸かるだけの水を入れて沸かす →茹で上がるまで沸騰状態を保つ
- 沸騰したら塩ひとつまみと茶葉を加える →酢、酒、醤油などを加えることもある
- タコの足先を纏めて持ち、頭からゆっくり熱湯に入れ、足の中ほどまで浸す。3秒待ち、ゆっくり引き上げ熱湯から出す
- これをもう2回繰り返す
- もう一度足の中ほどまで浸け、10秒茹でて手を離し、身体全体を湯に落とす →沸騰状態を保つ
- 30秒ほど茹で、足が丸まって体表の色が変わったらザルに引き上げる →頭を浸けてから1分-1分半
- 粗熱が取れるまで置いて余熱で火を通し、表面を乾かす
保存
- 下処理前のタコは水で洗う前にビニール袋に入れて冷凍すると長期間保存できる
- 茹でたタコは1週間程度であれば、キッチンペーパーに包んだ上ラップに包み、密封袋に入れて空気を抜き、冷蔵する
- 長期間保存する場合は、ラップに包み冷凍用保存袋に入れて空気を抜き、冷凍する。タコは冷凍解凍してもあまり風味が落ちない
備考
- タコのヌメリは細菌などから身を守るためのものと考えられており、新鮮であればあるほど強いそうだ。ヌメリ取りの定番は塩で揉むことだが、これには時間と労力が要る。塩の代わりに片栗粉、きなこ、米ぬかを使うやり方や、100°Cの米油に浸ける方法もあるが、冷凍解凍すると細胞組織が壊われ柔らかくなる上にヌメリも分解されるようなので、ここではもっとも簡単な冷凍解凍を選んだ
- 解凍を急ぐ場合は、室温で自然解凍、あるいは、ビニール袋ごとボウルに入れ流水を当てても良い
- 水かきを切るのは足の付け根は洗い難いため。足の太いところに火を入りやすくする効果もある。タコが小型の場合は切り込み不要
- タコは通常生で食すと硬いので、熱を加えて柔らかくするのが一般的であり、刺身でも茹でて食されることが多い
- 上で紹介した茹でタコは刺身用で、外側は火が入っているが中心部はレアに近い状態
- 茹で時間はタコの大きさや使用目的によって変わるが、熱を加え過ぎると硬くなるので注意を
- ただし弱火で長時間煮続けると柔らかくなる。『やわらか煮』など、より柔らかく仕上げたい場合は、80°C程度の湯で30分以上煮る
- 上で紹介した茹で方は丸のままの基本形だが、バラして茹でてももちろんOK。頭は肉厚が薄い上に筋肉繊維が少ないので火が入りやすいため、足とは別に茹でた方が良い。足は1本づつに切ると早く火が入る
- 茹でる際に足先から湯に浸けると、太い足の付け根に火が入るころには細い足先は火が入り過ぎた状態となるので、付け根側から浸ける
- 茹で上がったら頭から吊るすと足がまっすぐになり仕事がしやすくなるそうだが、いったん丸まった足は簡単には伸びないので私はまだやったことがない →足先を縛って上にして吊るす方法もある
- 一般的な茹でタコを作る際の茹で方の考え方にはニ通りある。一つは高温短時間茹で。もう一つは低温長時間茹で。いずれも硬くならないことを目指しているが、硬くなるのはタンパク質が熱で変性し凝固するからで、前者は高温である時間を短くするという考え。後者はタンパク質が凝固しない温度域で調理するという考え。後者は温度コントロールに気を使うので、ここでは前者の考え方を採用した
- 湯に浸ける際にタコを上下させるのは、一気に熱を加えると筋肉繊維が急速に収縮し硬くなるので、空気に触れさせることで温度を下げ、これを防ぐため。皮を剥がれにくくする効果もあるという
- 湯に茶葉を加えるのは、それに含まれるタンニンとタコのタンパク質とが結びついてタコをきれいな赤色にし、皮の剥がれも止めることができるから。またカテキンには殺菌効果があり、かつタコの揮発性アミン類と結合して不揮発性物質に変化させ消臭するため。番茶でOK。なければ加えなくともよい
- 同様に加えられるものの種類と効果は、酢:柔らかくなる、殺菌、消臭。酒:風味が増す、消臭。醤油:風味が増す、色付け。小豆:色付け
- タコの硬さを和らげる伝統的な方法の一つに、大根で叩くというやり方がある。柔らかくしたい場合に筋肉繊維を壊すことは有効であることはよく知られていることで、冷解凍の上さらに麺棒などで叩くと効果が倍増される
- 上で大根を用いるのはそれに含まれる消化酵素であるアミラーゼ(ジアスターゼ)が筋肉繊維に含まれるタンパク質を分解する作用があると言われているからだと思うが、そうであれば叩くより茹でたり煮たりする時に加えた方が効果的である。また大根そのものではなくそのしぼり汁を加えた方がより効果が高い
- 炭酸水や重曹に含まれる炭酸水素ナトリウムに同様の作用があると言われている
- 西洋では玉ねぎやワインのコルクといっしょに煮ると柔らかくなると言われている
- 茹でて熱いうちにさわると皮が剥がれてしまうので注意を
- タコには美味しさを左右するミオシン、アクチン、コラーゲンという3つのタンパク質が含まれ、それぞれに変性する(火が通る)温度が異なる
- ミオシンは40-50℃以上で変性。ゆっくり加熱すると旨味成分のイノシン酸に変わり、弾力が出て旨味を感じるようになる
- アクチンは65-75℃以上で変性。色が変わって硬くなり、パサつくようになる
- コラーゲンは変性しないと硬い。60℃以上で変性し始め、70℃以上でゼラチン化し柔らかくなる
- しかしゼラチン化には時間がかかるため、トロトロにするには長時間煮込む必要があるが、高温で長時間加熱するとコラーゲンが全体的に収縮し、筋肉は流動性を失って硬くなる
- また70℃以上で茹でると皮はゼラチン化して剥がれやすくなる
https://www.youtube.com/watch?v=4UVB1YLNTnc
https://www.youtube.com/watch?v=YiZPsHxaXqs&t=375s
https://www.youtube.com/watch?v=hQjGj9L_-P0