和風ローストビーフ/フライパン
フライパンで焼いて煮るだけの超簡単ローストビーフ! 常備調味料だけでできるお手軽和風バージョン。
和風ローストビーフ
材料 作りやすい量
- 牛肉(ももorランプ) ブロック 500g(厚4cm)
- 塩
- 蜂蜜 (砂糖でもOK)
- にんにく 1片 薄切り なくてもOK
- 胡椒
- 粒マスタード (普通のからしでもOK)
- オリーブオイル
タレ
- 酒 100ml(2)
- 醤油 50ml(1)
- 味醂 50ml(1)
下準備
- 肉は調理開始にまでに常温に戻すだけの時間を見て冷蔵庫から取り出す →形状や状態によってはかなり時間が掛かることがある。遅くとも調理開始1.5時間前には取り出した方が良い
- ドリップがあれば取り除く
- 表面の水気を拭き取り、できるだけきれいな形に整える →火の通りが均一になるように
- 蜂蜜(大さじ1)、塩(肉の重量比1%)をまぶし、手で抑えて馴染ませる →調理開始30分前までに終える
- ラップを巻いて常温下に置き、常温に戻す →ラップは肉の水分の蒸発を抑えるため
作り方
- 肉の表面の水気を拭き取る
- フライパンにオリーブ油とにんにくを入れて弱火に掛け、にんにくの香りをオリーブ油に移す
- 肉を加えて全面に軽く焼き色が付くまで焼く 中火 各面1分 →焼き過ぎないように
- フライパンの油を拭き取る →中央部の旨味が付いた部分は残す
- タレを加えて沸かす →タレの量は肉の高さの半分程度でOK
- 沸騰したら蓋をして煮る ごく弱火10分 →香り付けに葱などを加えても○
- 途中で肉を返し、均一に火が入るようにする
- 肉を取り出しアルミホイルで包んでポリ袋に入れ、その上にタオルを巻き、保温しながらゆっくり冷ます
→肉は取り出した時点では完全には火が通っていないが、冷ましている間に肉の中心温度は上昇し、火が入っていく
- 常温になったら、フライパンに残ったタレにアルミホイル内の肉汁、蜂蜜(小さじ2)を加え、半量まで煮詰め、胡椒を振って軽く混ぜてソースにする
- 肉を好みの厚さに切り、粒マスタードとともに器に盛り付け、ソースを掛け、完成!
備考
- オーブンも低温調理器も使わず、湯煎もせず、でもおいしいローストビーフを! チンでもいいじゃないかって。それはちょっと・・・(笑)
- ローストビーフはシンプルな料理なので肉の品質が直接出来上がりに影響しやすいため、できるだけ上質な肉を使う →高額なものという意味ではない
- 肉を常温に戻す理由は以下。調理時間を短縮する。フライパンの急激な温度低下を防ぐ。できるだけ均一に火が通るように肉の外側と中心部の温度差を小さくする
- 肉の温度が低くて常温に戻しにくい場合は、チャック付きポリ袋に入れ、40°Cの湯で5分間ほど湯煎しても良い
- 蜂蜜を塗るのは肉を柔らかく仕上げるため。蜂蜜や砂糖にはタンパク質が加熱により変性して硬くなるのを防ぐ効果がある
- タレは市販のめんつゆでもOK
- 安全にいただける肉の中心温度は最下欄(️*1)参照 →63°C以上なら問題なし。簡易的な確認方法としては、串を刺し10秒待ってから引き抜き唇に当て温かければOK
- そのほか温度計がない場合、火が通っていると判断する材料には以下がある。出来上がった肉を押して弾力(反発)がある。串を刺して抜いて出てきた肉汁が濁っておらず透明。切断面が灰色かきれいなロゼ色
- 加熱後、常温までゆっくり冷ますことで肉汁が落ち着き、味が馴染んでおいしくなる。できれば1時間以上、最低30分は寝かした方が良い。一晩置くとさらに美味になるので、できるならいただく前日に作り冷蔵庫で寝かせると良い
- ローストビーフを(特に高温のうちに)切ると赤い汁が流れ出ることがあるが、この色は色素タンパク質ミオグロビンによるもので、血や生焼けとは関係がない
- ミオグロビンは赤紫色をしているが酸素と結合することでオキシミオグロビンに変化し鮮やかな赤色になる。切断面の色がロゼから赤に変わるのはこのため。さらに酸化が進むとメトミオグロビンとなり灰褐色に変化する
- 肉には美味しさを左右するミオシン、アクチン、コラーゲンという3つのタンパク質が含まれ、それぞれに熱変性する温度が異なる
- ミオシンは50°Cから変性開始。弾力が出て旨味を感じるようになる。変性しないと生肉のグニグニした食感で噛み切れない
- アクチンは66°Cから変性開始。収縮し硬くなり、水分(肉汁)を外に出すためパサつく
- コラーゲンは55°Cからゆっくりの変性する。徐々に柔らかくなっていくが、60°Cを超えたあたりから一転硬化し始め、65°Cに達すると急激に硬化する。70°Cを超えるとゼラチン化し今度はトロトロになるが、このゼラチン化には時間がかかる →じっくり煮込んだ料理が柔らかい理由(だたしコラーゲンを含まないものは柔らかくならない)
- また、ミオグロビンは60°Cから変性開始。赤色から灰褐色に変化する
- つまり、おいしく色がきれいなローストビーフを作るには、ミオシンが変性し旨味が出てきて、アクチンとコラーゲンは硬化せず、ミオグロビンが灰褐色にならずに赤色を保つ温度帯で加熱するのがよい、という結論になる。その温度帯は55°C -60°C
- ローストビーフは冷たい食品のイメージがあるが、牛肉の脂肪は融点が約40°Cであり、これが固まらない温度でいただいたほうがジューシーでおいしく感じる。逆に言えば、低い温度でいただく場合は脂肪が少ない肉を選んだ方が良い
- 牛肉については食中毒を引き起こす細菌は肉の外側に付いており、塊肉の内部には存在しない。タタキなど生の牛肉料理があることを見てもわかるように、ローストビーフは生焼けでも問題は少ないとされている
- (️*1)厚生労働省による加熱の基準については 食肉製品(PDF) 2 食肉製品の製造基準 (2) 個別基準 3.特定加熱食肉製品 を参照
参考資料
GEO POTTERING
uploaded:2024-02-12