002 NANBAN MUSIC/シンタグマ・ムジクム・アムステルダム

アルバムの写真SYNTAGMA MUSICM AMSTERDAM はケース・オッテンが主宰するグループで1963年に創られました。 多くのアンサンブルが固定メンバーによる活動を前提にするのに対し、このアンサンブルは固定メンバーが少ない(いない?)という特徴を持っていました。 すでに解散してしまいましたが最終期には佐藤豊彦が加わり、日本でもその名を知られるようになり何度か来日しています。

古楽の世界ではオランダは非常に有名で、数々の名演奏家を世に送り出していますが、おおざっぱにくくると先鋭的で鋭い音を持つ傾向にあると言えるのではないでしょうか。 実は僕はオランダ系の古楽の演奏家があまり好きではありません。 そんなオランダでも、オッテンだけはまったく別の方向を向いているように感じられます。

僕は何度かその演奏に接する機会を得ました。 レコードで聞くのと同様に、オッテンのなんともいいがたい深い人柄がそのまま演奏に現われたような印象でした。 特に印象深いのはオッテンの角笛による独奏。 非常に透明かつ深みのある音でほんとうにこの世のものと思われないようなものでした。 リュートの佐藤豊彦もとても素晴らしい。 彼についてはいずれ別項で取り上げることになるでしょう。

このレコードについて

17世紀前半のオランダ、イギリスをはじめとする音楽を集めたもので、小品ばかりです。 オッテンの笛、佐藤豊彦のリュート、メゾ・ソプラノとテノールといういたってシンプルな編成。

ジュリオ・カッチーニ(1545頃-1618)/アマリッリ
当時一世を風靡した珠玉の名作。 マリウス・ヴァン・アルテナのテノールがしみじみと心に響く。

ヤーコプ・ヴァン・エイク(1589頃-1657)/アマリッリ
上記の編曲でオッテンのリコーダー独奏。 この小品を聞いただけで、オッテンという人のすべてを感じ取れるでしょう。

ジョン・ダウランド(1563-1626)/ああ、私の生命である女は
                    /去れ、夜ごとの憂いよ

当時、最初の『アマリッリ』と同じくらい有名だったのがこの作曲者による『涙のパヴァーヌ』。 ここではその有名な曲ではなく別のものが取り上げられています。 前者はダウランド唯一のイタリア語による歌曲。 ここでもテノールがしっとり歌い上げている。 後者はめずらしく旋律楽器によるオブリガート・パート付き。 リタ・ダムス(メゾ・ソプラノ)のストレートな声が好きだ。

ダウランドは他に佐藤豊彦のリュート・ソロが一曲。 その他スヴェーリンク、ホイヘンスなど。

レーベル:DENON

※ 録音場所の『聖グレゴリオの家』はサイダーの関わる事務所の設計。

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uploaded:2004