信濃川上から秋山方面へ向かう
梅雨明けを狙いすましたようなジーコマリアからのメイルには、『涼しくていい景色を見られるところへ行きましょう!』
しかし続いて『大弛峠、上級、ダート』とあります。 ジオポタの上級企画はこれまでほとんどありません。しかも今回はあのアニマル、ジーコマリアが上級というのです。これは大変なことになりそうだ!
参加者なしで企画倒れかと思われしも、なんと他3名が参加。
花畑の脇を行く
信濃川上駅から小さな集落を抜け、千曲川沿いを進むと前方に山並が見え出しました。
畑には高原野菜のサニーレタスやきれいな花が広がる中を、企て人ジーコマリアを先頭にサリーナ、アンドレと続く。
高原野菜の畑の脇を行く
秋山までは2%程度の極めて緩い上りで、車もそこそこの快適な道です。
秋山ではこのコース途中唯一のお店に寄ります。名前は有名なコンビニだけれど、田舎の食品を中心とした雑貨屋さんという趣きです。トイレを貸してもらいひと休み。
行く手には重なる山並み
秋山からは千曲川の支流、金峰山川沿いに南に進路を取ると、すぐに10%の激坂が100mほど。アヘアヘと登ればそこにはさらなる高原野菜の畑が広がっていました。
先頭ジーコマリアが目指す先は頂部が霧に霞んだいくつもの山並。このどこかに大弛峠があるのですが…
白樺とカラマツの林の中を行く
『ふれあいの森』というキャンプ場の看板から細い山道になりました。
『白樺とカラマツの林がきれいね!』 と最初は余裕のサリーナですが、徐々に勾配がきつくなりダートが現われると既に押しモードに。
『ここはまだ本格的なダートじゃあないよ。』 とサリーナを先導するアンドレ。
渓流が流れる
たらたらたらと登り、『も、もうダメ~!』 と思われるころに上から先行していたジーコマリアがやってきました。
『ここにおいしい湧き水がありますよ。すぐそこの橋の上で待っていますから飲んだら来てね。』
山の湧き水は冷たくてほんのり甘くとってもおいしかった。少し行くとジーコマリアが待っている橋に着きました。下には美しい渓流が!
ダートの上り
しかし…
『ここから本格的なダートですよ~』 橋の先はなんとダートの激坂!
『ひぇ~、こんなところ行くの…』 と即押しが入るみんなですが、一人ジーコマリアだけが、
『ここはまだ路面が締っていますから。』 とダンシングで駆け上って行きました。
『ひゃ~、やっぱりアニマルだね~』 と唖然とするサイダー。
これはもう絶対上れない!
ジーコマリアを除いた3人はここから完全押しモードです。とにかく押し、押し、押し! しかし慣れないダートの上りは押しでさえ辛いものがあります。
『ジーコマリアは行っちゃったから休憩にしよう』 と勝手に休憩を取りつつ、ヘ~コラいいながら前へ進む3人。所々でジーコマリアが後続を待っていてくれます。
下界を見下ろす
何度か同じことがくり返され高度が2,100mを越えるころになると、勾配はさほどでもないのに前に進むのが辛いくらいに路面はゴロゴロ、ジャリジャリの状態で 『も、も~進めない~』 と泣きが入ります。(TPO写真)
そんな時、木々の間が割け遥か下の出発地の信濃川上あたりまでの視界が開けました。『お~、あそこから来たんだね~』 と感動。
大弛峠
『もう一息で峠に着きますよ~』 とジーコマリア。しかしへろへろの3人にはここからもダートの上りは無限に続くように思えたのでした。
しかしカーブを曲がると前方に一台の車が止っているのが見えました。
『やった~、峠だ~っ!』
ヨレヨレと最後の大弛小屋への坂を上ります。なんとここまでたったの30km、それに5時間以上を費やしています。時速6kmで、『あ~、疲れたよ~~』 ダート区間は時速3kmといったところでしょうか。
大弛小屋で休憩
小屋で冷たいおいしい山の水をいただき休憩、生き返りました。ここは予約をすれば宿泊もできるそうです(0553-35-2466 管理人の佐藤さん)。ここから徒歩15分のところに見晴しのよい場所があるらしいのですが、すでにガスが出てきていて見晴らしは期待出来ないと、今回はパス。
ダウンヒルの始まり
大弛小屋で充分に休憩したあとはウインドブレーカーを着込み、いよいよ塩山までの30kmに及ぶダウンヒル。
ダートの押し上りの鬱憤を晴らすがごとく、サリーナ、アンドレ、ジーコマリアと豪快に下り出します。
深い緑の中を下る
辺りの緑は深く美しいものの、ガスが立ち出した山は霊験の世界へ。いつしか数十メートル先は霧に隠れて真っ白に。
金峰牧場までの林道川上牧丘線は近年舗装されたそうで、一部まだ工事車両が入っていますが、広くて快適な道です。今日は曇天の土曜日だからか一般車両は非常に少なく問題なかったのですが、もっと混雑することもあるそうです。
ジーコマリア
金峰牧場からは西側の林道川上牧丘線と東側の杣口林道が選べますが前者はしばらく工事中とのことで後者を行きます。上の川上牧丘線より狭く木々が覆い被さるような箇所もあり、こちらはこちらで良い雰囲気。
ジーコマリア、上りも速いけれど下りも速く、あっという間に消えてしまいます!
この下り、金峰牧場付近に少し登り返しがあるだけであとは本当に下りばかりという素晴らしさです。
牧丘近く
豪快に下って、下って、下って、ようやく道がなだらかになると牧丘の町が見え出しました。道脇はブドウ畑で、あぁ~山梨という感じ。
R140と合流した先の放光寺の近くで『花かげの湯』という温泉を発見。ここでダートの上りの疲れを癒しました。
温泉のラウンジのTVニュース、『千葉県で地震がありました。各地の震度は…』 この時は誰も大したことはないと思っていたのですが…
帰りの鈍行列車で
塩山駅まで下り、駅前でお決まりの宴会に突入。
『カンパ~イ! 押しでもなんでも大弛峠制覇!!』 と楽しく(何も知らずに)時を過ごした私たち。
さてそろそろ時間だと駅へと向かうが、そこで目にしたものは…
『特急は運休、各駅停車は大幅な遅れ!』
なんと地震の影響で電車は大混乱だそうだ。『ぎゃっ、今日帰り着かないかも~』 と大騒ぎとなるのでした。しかし間もなく各駅停車が到着、やれやれと乗り込むも帰宅まではまだまだ長~い時間がかかることになるのでした。
『ダートより電車でヘトヘト』 とは一番遠くのジーコマリアでした。
感想 by ジーコマリア
1年に1度は、なんらかのかたちで越えている大弛峠。
今年は、どんなふうにして越えてみよう。去年はランドナーで、長野県川上村から上ったのですが、約9キロのダート区間は、ほとんど押しでした。逆に考えれば、押していくなら折りたたみ小径車でもいけるんじゃないの? これが発端です。
ダメもとで案内をだしたところ、勇気のある方々?がいらして、実行できたわけです。
アブの盛大な歓迎をうけつつ、押しの9キロ。みなさん、お疲れ様でした。
標高差2000メートルのダウンヒルを満喫したあとの温泉とビールに馬刺しとほうとう、最高でした。
それから、1年以上乗っていなかったパシフィックも復活する機会ができてよかったです。
のんびり走るのなら、パシフィック最高!!