村田川沿いに出る
そは五月。緑という緑が輝き、どこでも力強い生命力を見せつける。
3月下旬は寒くて桜はなかなか見頃を迎えませんでした。4月はひどい雨降り。そのたいくつな日々も5月に入って、なんとか生気を取り戻したようです。
関東の緑は新緑から深い色に変わりつつあるものの、まだ春の初々しさが残り、夏の真っ黒なつやつやしたものとは少し違う、微妙なニュアンスに満ちています。田んぼには水が入り、植えられた稲の苗は徐々に根を張りつつあるよう。
サイクリングロード?
今日はその五月の千葉市近郊で、田んぼを眺めながらちょっとしたアップダウンを楽しむコースです。
内房線の浜野駅の少し南に流れる小さな村田川の土手はほとんどサイクリングロードのような雰囲気。駅から2kmも走ればもう民家もとぎれとぎれで、道脇には小さな畑が現れたり、もうここは初夏かと思われるような背の高い草が現れたりします。
もう夏草が?
『ほう、こんなところにこんな道があるんですな~』 と先頭を行くは同じ千葉でもずいぶん北部からやってきたウッディーさん。
最初は車が通れるほどの道幅でしたが、橋を越えると歩行者自転車専用道といった様相のずいぶん狭いものとなります。この川沿いの道をのんびり6kmほど走ります。
畑の中を行く
村田川を離れると周辺は畑と田んぼになりました。行く手にはこんもりした森も見えています。このあたりは海沿いのいくらかのところを除くと、ずっと丘陵地帯なのです。
下野でr14に出たところで田んぼを眺めながら休憩していると、先の薮からバサバサと大型の鳥が飛び立って行きました。どうやらキジのようです。すでにもうここにはのどかな景色が広がっています。
ちょっと上り
さて、ここからいよいよ丘陵地帯に突入です。まずは高度差40mほどの上りです。
『これくらいならなんとか上れま~す』 とマーコンが行き、おしゃれなピンクのロードバイクのユカちゃんが続きます。
ひな菊
上りのあとは軽やかに東国吉までの下り。足元にはひな菊などのかわいらしい野草が咲いています。
深き森を進む
東国吉で道が向きを変えると今度は上り。両側から木々が覆い被さるような道の路面にはチェッカープレートのような模様が。ここは少々上りがきついので、模様はスリップ止めの塗装なのでしょう。
『あっ、生放送の電波がとぎれとぎれになっています。』 とロボさん。このサイバー・サイクリストはヘルメットにカメラを装着し、走りながらライブ映像をインターネット配信しているんだそうです。電波障害は森が深いせい?
小学校の運動会
ちょっとよろよろしてきた頃、森の先からなつかしいマーチが聞こえてきました。この音楽は私たちの上りを応援してくれているわけではもちろんありません。小学校の運動会です。
運動会というのは秋にやるもんだと思っている方、最近は春にやるところが多いんだそうですよ。へ~、ちょっと驚き!
細かなアップダウンを繰り返しつつ
小学校の先でr21からr128に入ると、穏やかなアップダウンを繰り返しながら徐々に高度を上げて行きます。
『ここならおいらも平気さ!』 とムカエルが行く。道脇にはところどころで畑が現れますが、相変わらず森の中といった雰囲気です。
大仏の看板の前で
金剛地の右折ポイントに到達すると、行く道には『大仏通り』の標識があります。
『大仏通りってなんだ? どこかに大仏がいるのかな…』 と白いビッキノに乗るレナールが首を傾げる。
おおらかに下りちょっとした上り返しが終わると、そこに今度は『奈良の大仏→1.3km』の標識です。
『奈良の大仏って、いったいなんのこっちゃ?』 と銀蝿メガネのペタッチ。
奈良の大仏
それで、こちらがその大仏様なのでした。上の写真の看板から静かな細い参道を200mほど進むと、立派な木々に守られるようにしてこの石像が建っていたのです。これは東大寺の大仏様とは何の関係もないようで、ここの地名が『奈良』なのだそうです。大仏というのもだいぶ大げさな大きさですね。
市津湖への上り
ひっそりとした大仏様の周囲を楽しんだあとは、市津湖へ向けてもう一踏ん張りです。進行右手の林の中に湖があるのですが、この時期は鬱蒼と茂った緑で湖面は最後まで現れませんでした。
市津湖
長柄自然休養村方面へ曲がるとすぐに町営の売店とレストラン『味の里』が現れ、奥にはカラフルなショッピングセンターが見えます。
ショッピングセンターはアウトレットモールとしてスタートしたものの経営がうまく行かず、現在は空き店舗がとても多い状況でゴーストタウン寸前の様子。メリーゴーランドと、市津湖に向かってすべり下りる大きな人口芝の滑り台がありました。ロボさんはこの滑り台にトライ、豪快なすべりを全世界に配信し、施設のPRに努めるのでした。私たちはこのショッピングセンターのオーナーの一人である女将の店でお昼にしました。
長い下りを楽しむ
市津湖からはほんの少し上りますが、そのあとは壮快な下りです。
森の合間を抜け、
田んぼの中を行く
どんどん下り、田んぼに出ました。森もいいけれど、田んぼもすばらしい!
『関東はすっかりどこも田植えが終わったね~』 と農業に憧れるペタッチが行き、電波少年ムカエルが続き、生放送しながらサイバー・サイクリスト、ロボさんも飛ばす。
ロードバイクと田んぼ
『自転車買ってまだ2ヶ月ですが、よろしく~』 とピンクのロードバイクで行くユカちゃんはちょっと足があまり気味。
田舎の風景
田んぼの廻りには民家、そしてその向こうには小高い山が続きます。どこからか白い煙りが流れてきます。進めば道端で野焼きをしているのでした。このあたりはまだ野焼きをしても許されるのんびりしたところなのでしょう。
田んぼから林道へ向かう
長柄町の役場までこののんびりした田んぼの景色が続きます。役場の先でr13市原茂原線に入ると少々車が多いので注意して進みます。この道は針ケ谷でr147が分岐します。そのr147も同様に車が多いので、それに平行に100mほど東を走る道を行きます。
『ここまでは快調、このあたりから後半の上り開始?』 とこれまで後方に隠れていたウェルシーがダッシュ。
正面に林道刑部針ケ谷線
最後に短いながらも12%の坂を上りr147に出ます。r147でも上りは続きます。大きく道がカーブした先に林道刑部針ケ谷線の入口はありました。
入口の雰囲気がこれまでの道とは明らかに異なります。舗装はされているものの、上りの細い道が森の中へと消えて行きます。
林道刑部針ケ谷線を進む
呼吸を整えて林道に踏み込みます。道の両側から緑が覆い被さり、空気はひんやりしていて気持ちいい。
わっせわっせと林道を行く
うねうねとした道はそれほど勾配はきつくないもののしばらく上りです。わっせわっせとムカエルとウェルシーが牽き、他の面々があとに続きます。小さな上りと下りを繰り返し、木々の合間から下が見えるようになると、
『へ~、いつの間にかけっこう上ったんですね~』 とユカちゃん。まあ最高点で標高150mだけどね。
モーターバイクのサーキット
最高点からもうねうね道を上ったり下ったりしながら進めば、アンテナがたくさん建ったところに出、道幅が広くなります。そこは海上自衛隊の市原送信所だそうです。どうやらここで林道は終わりのようです。
その先からなにやら甲高い、ウィッーンという音が聞こえてきます。ゴーカートのサーキットのようなところで50ccのモーターバイクが何台か走っていました。このサーキットを眺めながらちょっと休憩。
再び田んぼの中へ
サーキットからはずっと下りです。うぐいすラインに入ってもしばらく豪快に下り、勝間の交差点までやってきました。うぐいすラインは少々車の通りが多いので、ここからちょっとだけですが旧道風の道を楽しみます。再びうぐいすラインに戻り、長い直線の先に上り坂が見え出したところで、今度は田んぼの中へ。
田んぼの中をどんどこ
この田んぼは小高い森に囲まれ、幅200mほどしかない狭いところに作られています。その中をどんどこ行きます。
雰囲気のある神社の鳥居
一旦ちょっとした通りに出たあともすぐに田んぼの中へ。快調快調、と並んでどんどん行きます。(TOP写真参照)
田んぼの先、行く手に迫る林の中に神社の鳥居が建っています。林の姿といい、鳥居の位置といい、なかなか味わいのある景色なのですが、この鳥居のところから道はついにダートに。
田んぼの中のダートを行く
いつもなら少々のダートならそのまま進むのですが、この日は細いタイヤのロードバイクに乗る方がいるので迂回路を探します。しかしこのあたりで舗装路は発見出来ず、元のダートに戻りました。
『ダート、好きで~す!』 とガシガシ行くはマウンテンバイクに乗るロボさん。ロードバイクのユカちゃんは石ころでパンクしないように草が生えたところを慎重に進んで行きます。
田んぼの中の不思議な道
r14に出ると車が多いのでちょっと行ったところから迂回、田んぼの中を行きます。この道、なんとも不思議な道で、隣には細い水路がありアヤメだか菖蒲だかが植えられています。一カ所小さな広場も整備されています。農業関係の整備事業かなにかで整備された道なのでしょうか。
『ここならロードバイクの勝ち~』 とマウンテンバイクのロボさんを追い抜いて、にっこり進むユカちゃんでした。
古市場公園スポーツ施設の土俵
数百メートルでその田んぼの中の道を離脱し、浜野駅へ向かいます。市街の一番端っこを廻り込むようにして進むと古市場公園スポーツ施設に出ました。開け放たれた体育館のような建物の中に見えるのは土俵のようです。
ちょっと覗いてみると立派な常設の土俵が設えられており、テッポウ用の柱もあります。隅っこでは小学生がまわしを着けてまた割りをしたり四股を踏んでいました。
ここから浜野駅までは一漕ぎです。
今日のコース、小さな川に始まり、植えられたばかりの稲が初々しい田んぼ、ちょっとしたアップダウンにこんもりした森、小さいけれどダム湖の水面、そして細い林道にダートと盛り沢山でした。