妻良港
妻良港(めらこう)の浜に面した子浦の朝はとてものどか。漁師の小舟が一隻浮かぶだけの海はとても静かです。
宿の朝ご飯は刺身に焼きたての鯵のひらき、金目のみそ汁と海辺ならではのもので、とてもおいしくいただきました。
子浦の浜にて
さて、今日の天気予報は曇りのち雨。松崎経由で下田へ向かう予定ですが、空の様子を見ながら適当に変更することにします。
まずは宿の前の浜で出発の儀式。
子浦から激坂を上る
儀式ののち向かうは子浦からさらに奥にある落居という集落。なぜ落居かというと、子浦も小さな地味な集落ですが、落居はさらにその奥にある集落ということでちょっと惹かれたのと、うまくすればそのさらに隣の伊浜へ海岸沿いで抜けられるかもしれないからです。
さて、その落居への道はまずは激坂! えっこらえっこらしているうちに、先ほどまでいた妻良港が下に見えるようになります。
落居へのトンネル先から波勝崎を望む
その坂を上り切ると、落居へ抜ける丸山トンネルが現れます。トンネルを抜けるとパッと視界が開け、前方に尖った岬が姿を現します。あれがお猿さんがいる波勝崎でしょう。
落居の海縁を行く
落居は民家が数軒ほどの本当にちっちゃな集落で、その上を回り込むようにして道は進んで行きます。集落を過ぎると海には宇留井島が浮かび、後方には妻良の半島が見える景色の良い道になりますが、残念ながらこの道はすぐに行き止まりに。国土地理院の地形図には伊浜へ抜ける破線のルートがあるのですが、フットパスらしきものも見当たりません。川沿いをマーガレットラインへ上る道がありそうですが、これも川で途切れています。
マーガレットラインへ上る
止むなく落居から来た道を引き返し、子浦からマーガレットラインへ上ります。ここも激坂ですが、道脇にきれいな川津桜が咲いていました。
ここでムカエルが宿に忘れ物をしたのに気付き、一人坂道を下って行きます。
峠の茶屋
残りのメンバーはへこへこと坂道を上り、R136マーガレットラインに出ました。ちょうどそこに峠の茶屋があったので、ここでムカエルを待ちます。茶屋のおじさん、みかんに干し柿、そしてかんそう芋をくださり、お茶もサービスしてくれました。
マーガレットラインから波勝崎を望む
茶屋にムカエルがやってきて、またまたお茶をサービスしてもらい、まったり休憩。
さて、峠の茶屋の先は下りかと思いきや、なんと道は上っている。峠の茶屋なのに。。しかしここは6%ほどなのでなんとか上って行きます。うねうね道が海側へ寄ると、先に波勝崎。
伊浜へ向かう
空は曇りですが明るく、海側の景色がいいのでルンルンと行きます。
マーガレットライン
このあたりのマーガレットラインは午前中早めの時間帯ということもあり、思ったほど車の通りが多くなく、快適に走れました。
伊浜の集落と波勝崎
標高が200mに達すると伊浜への分岐に到達です。その分岐点から海を目掛けて一気に高度を下げ、伊浜の集落へ。途中、伊浜の集落の先に波勝崎が大きく見えます。
伊浜の桜と宇留井島
伊浜の集落にも早咲きの桜が咲き、その先の海の中には宇留井島が浮かんでいるのが見えます。このあたりはとにかくのどか。
マーガレット
伊浜周辺はマーガレットの産地として有名で、国道にもマーガレットラインと名が付くほどですが、そのマーガレットラインからはマーガレットの花はほとんど見ることができません。マーガレットはほとんどがビニールハウスの中で育てられているのです。
軒下をちょっと失礼します
伊浜からは先に見える波勝崎へ向かいます。ところがこの道がちょっとわかりづらく、うろうろしていると、おじさんが近道を教えてくれました。そこはこんなところでした。軒先をちょっとごめんなさい。
波勝崎への道から伊浜のマーガレット畑を見る
民家の軒下を通り、小さな畑の間を抜けて出たのはコンクリート舗装のまずまず立派な道です。しかしこの道、すごい上りに。
ちょっと上って振り返ると、伊浜のマーガレット栽培のためのビニールハウスが並んだ並んだ。
波勝崎への上り
左手は海、行く手には激坂。景色はいいけれど、汗、汗。
上るムカエル
空は徐々にうっすらと青みを帯びてきて、海の色も青みを増してきました。その海を下に、ヘコヘコと上って行きます。伊浜でほぼ標高0mまで落っこちた私たちは、ここでなんとか標高100mに復帰。
波勝崎
道が山側へ向かい海が見えなくなると、人気のない山道の下りとなります。上のマーガレットラインから下りてくる道に合流し、ちょっと下ると波勝崎苑。波勝崎の海岸へはこの苑に入らないと行けません。入園料を払いマイクロバスですぐの海岸に到着すると、お猿さんがたくさん。このお猿さんたちは野生のものを餌付けしたものだそうで、ここでは餌は与えるもののねぐらはなく、夜は山へ帰って行くそうです。みんなとてもおとなしいのにびっくり。
ここの海の色はとてもきれいで、海岸にはちょっとした奇岩がありますが、500円払っても来る価値があるかは?
波勝崎からの上り
波勝崎でまたまた標高0mまで落っこちたので、ここからは当然上りです。えっこらよっこら、じわじわと上り詰めます。
喚声台からの眺め
標高が200mを越えたところでパッと視界が開け、やってきた伊浜から妻良港の南にある半島までが見渡せました。喚声台の表示のあるここから見る駿河湾は、雲の合間から差し込む光を反射して眩しく輝いています。
満開の桜
喚声台からはサーと下って、ピンクの桜並木の中を駆け抜けます。こりゃあいいや、と思ったら、マーガレットラインまではちょっとですが上り返しがありました。
マーガレットラインの裏道を行く
松崎が近くなりお昼も近づいてきて、マーガレットラインにも車が増えたようです。というわけでマーガレットラインは避けて、そのすぐ脇を通る裏道を進みます。森の中を行くこの道はとても静かで快適です。
ノーマルには雲見で海岸へ出、そこから富士山を眺めたいところですが、この日は曇り。富士山はとても望めそうもありません。そこで山側から石部へ抜けるルートを辿ることにしました。この道はごく小さな山を越えるのですが、そこの雰囲気がなかなかいいのです。マーガレットラインから入った道端には、なんと猪用の罠が仕掛けられていました。いるんですね、イノシシ。
石部近くでおばちゃんたちと
この小さな山の中でケロガメにアクシデントが発生し、山を下ったところでケロガメを待ちつつたむろしていると、農作業帰りの背負子を背負ったおばちゃんが声を掛けてきました。
どこからきたの、どこまでゆくの、ちっこい自転車じゃあた~いへんだろ、私んところの孫娘が一人で自転車で九州までいってね、心配で心配で。。。
と、ちょっと楽しい。
石部の海
おばちゃんたちとのおしゃべりを楽しんだあとは石部の海岸へ向かいます。
ちょっと山っぽい雰囲気
このあたりはちょっと山っぽく、小さなアップダウンもあり、なかなかいい雰囲気です。
石部の海岸
石部で国道に出るとそこには真っ青な海が。伊豆は山もいいけれど、やっぱり海もいいですね。そういえば曇りだった空はいつの間にか青い色に。
岩地付近
石部から松崎までは岩地の先で100mほどの上りをこなさなければなりませんが、ここはきれいな海を眺めながら進めるので、あまり気になりません。
富士見彫刻ライン
石部から松崎までの国道沿いにはたくさん彫刻が設置されており、このあたりの国道を富士見彫刻ラインと呼ぶようです。道の名のとおり、空気が澄んでいたら富士山が見えるのですが、残念ながらこの日はその姿はありません。
松崎付近
岩地の先で道が下りに転じると、遠くに堂ヶ島あたりの海岸線と、近くには松崎港が見え出します。
伊豆文邸
ググッと最後の坂を下って松崎に入ります。岩科川を渡るとすぐのところにあるのがこの伊豆文邸。明治末期の呉服商の建物で、倉敷や萩などと共にこの地で有名ななまこ壁です。この時は内部に素敵なお雛様が飾られていました。
岩科学校へ向かう
長八美術館の前で昼食をとったあとは、ちょっと内陸にある岩科学校へ向かいます。
田んぼと山
岩科川に沿って続く田んぼの中をどんどこ行くといい感じの山が見えてきます。岩科学校のあとはあの山を越えて、と思っていたのですが、温泉に浸かってのんびりしたいという圧倒的声に押され、この案はいつの間にか廃案に。
岩科学校
岩科学校は明治期に建てられた歴史ある学校で、昭和53年まで使われていたそうです。腰になまこ壁、建物の何ヶ所かに伊豆の長八こと入江長八の仕事が残っています。
田んぼの中をのんびり進む
この先の山越えがなくなってしまったので、松崎に一旦戻り街中の散策をします。
なまこ壁通り
なまこ壁とは平瓦の間をかまぼこ型の漆喰で固めた壁で、その漆喰のかまぼこ型がなまこに似ていることから名付けられたようです。ここは『なまこ壁通り』で、立派ななまこ壁の建物が数軒並んでいます。
明治商家中瀬邸
こちらは伊豆文邸と同様、明治期の呉服屋の中瀬邸。存在感のある立派な建物です。
松崎港を行く
なまこ壁の松崎見物のあとは、やっぱり温泉! と近くの温泉を目指します。沢田公園の露天風呂が一番とみんなの意見が一致し、沢田へ向かうことにしました。
松崎港の北を見る
沢田は松崎のすぐ北、あのちいさな半島の裏側にあります。松崎の港を眺めながら北に進路を取ります。写真の右端に大浜の砂浜がちょっとだけ見えます。
大浜のなぎさの湯の前で
国道へ出、仁科川を渡った所で沢田の入口を確認しようとガソリンスタンドに立ち寄ると、沢田公園の露天風呂は嵐で壊れたとのことで、急遽代わりの温泉を探します。このあたりでは浮島の『しおさいの湯』か仁科川沿いの『せせらぎの湯』がいいだろうとのことですが、実はすぐ近くにもあるとのことで、私たちは安易にその一番近い『なぎさの湯』へ向かいました。
大浜の浜辺にある『なぎさの湯』は、こじんまりしたお風呂ですが露天もあり、ゆっくり二日間の汗を流すことができました。
河津桜に菜の花、すばらしい海岸にちょっと山も、おいしい海の幸に浜辺の露天風呂。これぞ伊豆!