森林公園駅前
秋も深まりつつあるこの日は、都心から気軽に行ける比企丘陵から荒川の左岸を走り抜けます。
池袋駅から電車に乗り小一時間もすれば、車窓には飯能から秩父あたりの山が映りだします。下車した森林公園駅前で空を見上げれば、雲一つないいいお天気。
市野川
最初に向かうのは、北西に7kmほど行ったところにある二ノ宮山。そこにはこのあたりを一望できる展望台があるといいます。
森林公園駅のすぐ北を流れる市野川を渡り、細い道をどんどこ行き、
カントリーロードを行く
神社の先でちょっと広めのカントリーロードに合流すれば、これは地方によくある感じの道で、田んぼや畑の中を進んで行きます。
先頭は、お久しぶりムッチー。
先に二ノ宮山
この道をしばらく行くと、畑の中にセイタカアワダチソウがたくさん。今ではどこででも見られるこの植物は、明治時代の終わり頃、園芸用として日本に持ち込まれたものだそうですが、当時の美意識ではこの草をきれいだと感じたのでしょうか。
そのセイタカアワダチソウの向こう、民家の屋根の上に頭を出したのが二ノ宮山で、てっぺんにちょこっと展望台が飛び出しているのが見えます。
二ノ宮山へ
カントリーロードを左に折れると、左手は田んぼ、そして右手は二ノ宮山を背にした民家となります。
二ノ宮山登り口付近
道幅が急に狭くなり、左手に小さな池が現れると、その先に二ノ宮山への登り口が現れます。
二ノ宮山登り口
こんもりした森の中へと這い上るこの道は、しょっぱなから10%超えの激坂!
この激坂をものともせずに上りだしたのは、カッちゃんとネコちゃん、そしてプロちゃんがそれに続きます。
押しの面々
しかし他のメンバーは入り口の勾配を見ただけで戦闘意欲を喪失。いきなり押しです。少し行けばそこには勾配14%の標識が建っています。しかしこれで驚いてはいけません。さらに行けばなんと22%の標識! ギャ!!
『ここは押してもしんどいですね~』 とぜーぜーしながら自転車を押し上げるはレイナ。
二ノ宮山展望台
さてはて、先行組はこの22%の超激坂を上りきったかどうかはわかりませんが、とにかくその先にあるのがこの展望台です。
展望台から秩父山地を臨む
そのてっぺんまで上れば、360度ぐるりと周辺が見渡せます。
西には秩父から丹沢まで延びる山々が、北には谷川岳、赤城山、そして日光の男体山と、関東一円の錚々たる顔ぶれが並びます。
展望台で記念撮影
そうした山々の手前には、これから向かう荒川流域の広々としたスペースが広がっています。
二ノ宮山からの下り
二ノ宮山山頂で眺望を楽しんだ後は、上ってきたのとは違う道を使って下ることにしました。ところがこの道、進んでみれば廃道寸前という赴きで、落ち葉と草に埋もれ、所々に倒木のとおせんぼがあったりと、ちょっと楽しい。
なんとか元のカントリーロードに出て、滑川に沿って北西に進みます。このカントリーロードは走りにくくはありませんが少し車が通るので、滑川の土手(たぶん舗装路)を行ったほうが快適だったかもしれません。
田畑の中を行く
r11に突き当たる手前を右折して、ちょっとした森を越える道に入ります。
細い滑川を渡り、畑に突き当たったところからは完全な地道になり、ちょっとだけよっこらしょ。
その地道を抜けたところには大きな榎の木が立ち、その下にひっそりとお地蔵様が佇んでいます。
ここは『塩』というところで、この巨木は塩の大エノキ、お地蔵さんはいぼ地蔵と呼ばれています。このお地蔵さんにお参りするときっといぼが治るのでしょう。
このあたりはのどかでいい感じ。
田園風景の中をどんどこ
滑川沿いは南北を低い丘に挟まれた低地で、一帯が田んぼになっています。
その田んぼは稲の刈り取りもすっかり済んでいて、すっきりとしていています。
谷津状の奥へ向かう
両側から森が迫り、だんだん狭まって行く田んぼの脇を奥へと進んで行きます。
森の中の上り
田んぼがなくなりその先に小さな池が現れると、道はちょっとした上りとなり、森の中へと消えて行きます。
ここで少しだけ山の気分を味わいます。最も木々が生い茂ったところは路面に苔が生えています。
森を抜ける
この森は僅か数百mでおしまいとなり、穏やかに下って里に出ます。
小さな田畑の中を通り抜け、オレンジ色の実を付けた柿の木のある民家の脇をかすめて進めば、
和田川に沿う田畑の中の道を行く
和田川という小川に出会います。
その和田川に沿う田畑の中をどんどこ行く先頭は、ピンクのブロンプトンに乗るヒコちゃん。
文殊寺
そろそろちょっと休憩を、と立ち寄ったのは文殊寺。『三人寄れば文殊の知恵』というように、文殊菩薩は知恵をつかさどる仏様。ここにお参りするば頭が良くなるかも?
この文殊寺で本日の序盤は終了。ここから荒川に向かって北上します。
荒川大橋
中盤の荒川は荒川大橋から。
この橋には車道と分離された歩行者と自転車のための道があるので安心して渡れます。
荒川大橋より荒川下流を臨む
その荒川大橋から荒川の下流を眺めれば、こんな感じ。ゆったりとした大きな流れです。
熊谷桜堤
ここから荒川の両岸には、ほぼ連続して自転車道が海まで続いていますが、今日は左岸をずっと下り、指扇駅まで行きます。
熊谷駅の南に続く土手は、桜堤。春には見事な桜の花でこの土手が覆い尽くされます。
荒川左岸快走の図
荒川の下流域の自転車道はジョガーやサイクリストがたくさんいて渋滞ぎみですが、同じ荒川でもこのあたりはスカスカ。みんなで並んで走ることができます。
土手脇にコスモス
ロードバイクにまたがり速そうなプロちゃん、そして最後尾を固めたケンちゃんも悠然と進みます。
秋の花の代表はいくつか思い浮かびますが、その一つにコスモスも入るでしょう。コスモスは秋桜とも呼ぶそうですね。いい名前。
土手の脇にそのコスモスが咲き出しました。
荒川パノラマ公園の展望台より
きれいなコスモスを眺めながら走っていると荒川パノラマ公園が現れたので、ここで一休み。
この公園には小さな展望台があるので上ってみました。南側は木が大きくなってしまっていてそちらへの展望はないのですが、北側へは視界が開けていました。広大な荒川の河川敷がどこまでも広がっています。展望台からは滑り台で豪快に下ります。これはちょっとお尻が熱くなるけれど、楽しいよ。
公園のあとは、時はそろそろ13時ということで、大芦橋の北詰の先にあるそば屋でお昼に。
満開のコスモスを横目に
お昼のあとも荒川の土手を行きます。
このあたりは先ほどより長く、コスモスの畑が続くようになってきます。
コスモス畑
そしてその先には、広大なコスモスの畑が広がっていました。なんとここには1,000万本のコスモスが植えられているそうです。
手前には赤、ピンク、そして白のよく見かけるコスモスが。その向こうには薄い黄色の花が咲いています。あれもコスモスかな、と近づいてみると、
黄色のコスモス
それはまぎれもなくコスモスなのでした。黄色のコスモスってめずらしいですね。
土手に続くコスモス
この広大なコスモスの畑の先にも、土手脇にはコスモスが咲き続きます。
まだまだ続くコスモス
『さっきのコスモス畑、きれいでしたね~』 と右のムッチー。
『いえいえ、あなたほどではありませんよ!』 と中央のカッちゃん。
『そ、そんな~ぁ』 と下を向くムッチー。
『ムッチー、下を向いているとぶつかっちゃうよ!』 と左のムカエル。
もちろん、こうした会話が本当にあったかどうかは・・・
後ろに御成橋
いつしかコスモスはなくなり、土手上を走っていた自転車道も河川敷の中とおぼしきところを走るようになります。ここは超ミニカメラを首からぶらさげたネコちゃんを先頭に、どんどこ。
御成橋を越えたこのあたりは、川幅が日本一広いところで、その長さはなんと2,537mもあるそうです。
川幅日本一のところ
もっともこのあたりの荒川の普段の川幅は30mほどで、ここからはまったくその水面を伺うことはできません。
2,537mは河川敷を含めた両岸の堤防間の距離だそうで、その中には畑や田んぼが作られているから驚きです。
河川敷の中をどんどこ
こんなふうに、このあたりにはずっと田畑が続きます。
あたりはのんびりした景色なのですが、向かい風がきつくなってきました。へろへろ~っとなんとか進んでゆくはムッチー。
『ちょっとスピード、速すぎやしませんかぁ~』 とちょっと喘ぎながらレイナが続きます。
北本自然観察公園
なんとか北本までやってきた私たちは、ここでちょっとだけ自転車道を離れ、北本自然観察公園に立ち寄ってみることにしました。
湿地帯と林からなるここは、普通の公園と違って自然の観察を目的としたものなので、公園というよりはただ昔からある里山や池が残っているという雰囲気です。時間があればバードウォッチングなんかもしてみたくなる、そんなところです。園内は自転車は一応通行可ですが、歩行者優先でゆっくり行きましょう。
石戸宿の芭蕉句碑
北本自然観察公園の脇は石戸宿です。その一角の大きな木の下に、松尾芭蕉が詠んだ句の碑(1851年建立)がひっそりと建っていました。
原中や 物にもつかず 啼雲雀
--はらなかや ものにもつかず なきひばり--
裏面には川越と石戸の俳句愛好家たちの句が二十ほど刻まれているので、その人々がこれを建立したのでしょう。ちなみに芭蕉のこの句を刻んだ碑は全国各地にありますが、岐阜で詠まれたとする説が有力のようです。
ホンダエアポート付近
石戸宿からは再び自転車道に戻り、太郎右衛門橋を潜り、ホンダエアポートの対岸を進みます。ちょうどその真横になると自転車道が土手の上に上がり、飛行機が並んでいるのやあちこちにある風向きを知らせるための吹き流しが良く見えます。
空にカラフルな花が開いたと思ったら、それは落下傘のようなパラグライダーでした。一、二、三、四・・・全部で十二の花が開いていました。
ここで先頭を引くのはゴンちゃん。住まいが近いらしく、ここは庭のちょっと先だとかで、道案内してくれました。
日没間近の自転車道
この時期の日暮れは早い。時は16時半で日没まで30分になってしまいました。ホンダエアポートからは土手の上に上っても楽しいところがあるので、ちょっと寄り道するつもりでしたが、すでにその時間はなさそうです。
というわけで、そのまま自転車道をどんどこ。
榎本牧場
しかし向かい風が強く、一気に指扇駅まで行くのはしんどいと、途中にあった榎本牧場で一休み。
ロバさんの脇をかすめて牧場の中に辿り着いたら、もちろんここの名物アイスクリームをいただきます。疲れた身体をおいしいアイスクリームが癒してくれます。
日没の荒川河川敷
さてさて、真っ暗にならないうちに目的地に辿り着かねばと、重い腰を上げて指扇駅に向かいます。
広い荒川の河川敷の向こうに、ゆっくりと日は落ちて行きました。