賢島から英虞湾を見る
賢島の宿からは英虞湾に浮かぶ真珠の養殖筏やその間を行き交う観光船が見えています。賢島は近鉄志摩線の開通とともに開発が進められ、現在は奥志摩の観光拠点となっているところのようです。
朝、温泉に浸かると英虞湾の眺めが良くて、これはいい気分。
賢島の宿を出発
さて、今日は志摩半島を巡ります。このあたりは伊勢志摩国立公園になっており、リアス海岸の複雑に入り組んだ海岸線が特徴で、真珠や牡蠣の養殖で有名です。
そこでまず、賢島港にある真珠店を覗きに行きます。
賢島港のあご湾定期船
賢島駅のすぐ南に賢島港はあります。
ここからは定期船のほか、帆船のクルーズ船などが出ています。
松井真珠本店
そして駅との間には真珠店が数件軒を並べています。
ここで一番立派な建物の松井真珠本店を覗いてみました。小さなイヤリングや帯留めから、数十万円の立派な首飾りまで、たくさんの種類の真珠が並んでいます。バロックないびつな真珠も。
賢島を出て東に向かう
賢島には楽しそうなところがたくさんあるのですが今日のお天気は少しあやしいので、賢島散策はこれで切り上げて先を急ぎます。
向かうは志摩半島南東端の大王崎。
小才庭付近の湾
このあたりは凹凸の激しいリアス海岸なので、湾沿いに道はありません。しばらく内陸を進み、小才庭というあたりでようやく湾が顔を出します。
熊野灘から半島や小島でガードされたここはまったく波がなく、海というより湖のよう。
田んぼと湾の間の堤防上を行く
そこにはこんな面白い道が。
小さな上りと砂利道
今日の最高標高は50mほどで、長くきつい坂はありませんが、数メートルほどの小さな坂があちこちに現れます。
穏やかな坂を上る
小才庭から松寿新田に抜ける道はこんなふうです。
波切の熊野灘
大王町の波切に入ると民家の間を行くようになり、細道の坂を下るとこれまでと違った海が現れます。
外洋の熊野灘、太平洋です。
先に大王崎
そして先には大王崎が見えてきます。
真ん中にうっすらと灯台が写っているのがわかりますか。
大王崎に上る
ここからは海岸線に沿って細道の上り坂です。
先頭レイナの視線の先は
あまちゃん
あまちゃん、ですね。このあたりには実際に海女がいるので、きっと本物に違いありません。
どうやら岩にへばりついた海藻かなにかを採っているようです。
大王崎の商店街
あれ~、道が建物の中に入って行く~ と思ったら、そこは魚屋さんや真珠屋さんが並ぶ商店街で、店の間の狭い道の上がアーケード状になっているのでした。
ここはちょっと面白い。
大王崎灯台
このアーケードを抜けると大王崎灯台が建っています。
灯台から西を見る
さっそく灯台に上ってみます。
これは西側で、標高は低いものの凹凸の激しい海岸線がよくわかります。
灯台から北東を見る
北東を見れば小さな入り江があります。
ここが志摩半島の南東端の大王崎です。
足下の岩
灯台の足下では複雑な岩が海面から顔を出していて、一番大きな岩の上には何人か釣り人がいます。
大王崎灯台の上にて
灯台の上に並ぶは奇妙な顔。
大王崎灯台を北から見る
灯台からの眺めを楽しんだら、北にある仙遊寺に向かいます。
仙遊寺
大王崎は織田、豊臣に従った九鬼水軍の本拠地の一つで、仙遊寺はその九鬼家の菩提寺だったそうです。この境内には九鬼家の墓碑と伝わる五輪塔があるはずなのですが、これはどこにあるのかわからなかった。
仙遊寺横の波切漁港
仙遊寺のすぐ横は波切漁港で、そこには小さな漁船が浮かんでいます。
東洋一の店先
大王崎観光を終えたらお昼です。灯台のすぐ近くの東洋一におじゃまします。
店先ではウニやサザエが焼かれていていい匂い。
伊勢エビ
海辺は新鮮で安い魚介が食べられるのがいいですね。ここでは伊勢エビの塩焼き、貝焼き盛り合わせ、四種の刺身といったところをやってみました。
伊勢エビはさすがに本場だけあり、ぷりぷりのしっかりした身、貝焼きはウニ、アワビ、サザエ、ヒオウギガイ、もう一種の貝とイカで、これも文句なし。刺身は小振りながらも鯵が素晴らしかった。汁には青のりがいっぱい。ん~ん、まんぞくぅ
波切漁港横の干物
おいしいお昼のあとは国府白浜に向かいます。
波切漁港の横を通ると、道端に干物などが並んでいます。奥に見える赤い屋根が先ほど行った仙遊寺。
ダンダラボッチ公園
波切漁港の脇にはダンダラボッチ公園があります。えっ、ダンダラボッチ?
ダンダラボッチはダイダラボッチなどとも呼ばれ、日本各地に伝わる巨人で、山や湖沼を作ったり、足あとや手のあとを残すといった伝承が多いようです。
ここには大きな足あとが残されています。岩の左の方のくぼみがそれです。大王町のダンダラボッチについては、大王町◆ダンダラボッチ を。ちょっと面白いです。
小山の間の海
ダンダラボッチ公園からは海岸線に付かず離れずで進みます。
畔名付近の穏やかな上り
そこにはやっぱり小さなアップダウンがあります。
海辺の集落
ところどころで海岸線に寄れば、海辺の集落が現れます。
城ノ崎付近の浜辺
穴塚から細道を抜けて行くと、城ノ崎のあたりで浜に出ました。
志摩半島はリアス海岸が多いので浜は少ないのですが、この東海岸の一部はきれいな砂浜になっています。
魚網干場
その一部には漁業関係の小さな小屋が建ち、魚網が干されています。
堤防上を行く
お~、ここはきもちいいですね~ と右のレイ。
気に入ってもらえてうれしいで~す と左の企て人ヨンチェス。
海辺の自転車道
国府白浜との間に小さな出っ張りがあるところの少し南から、自転車道が始まりました。
ここはとっても気持ちいい。
来た甲斐ありのベネデッタ
あ~、ここはきれい。来た甲斐がありました~ と、昨日は別動隊でお伊勢参りしたベネデッタも満足の様子です。
国府白浜
自転車道はそのまま国府白浜の堤防上に繋がって行き、先に広い砂浜が広がるようになります。
国府白浜の堤防上を行く
きれいな海を眺めながら気分爽快で堤防上を進んで行くと、ありゃりゃ、堤防がなくなったぁ。
国府白浜その2
と、ちょこっとだけ堤防が途切れますが、すぐ先でまた現れます。
国府白浜の堤防上を行くその2
とにかく、ここは空が広くて気持ちいい。
サーファーたち
志摩は外洋に面していて浜があるところが少ないからか、ここは有名なサーフポイントになっているようで、たくさんのサーファーが海に入っていました。
関東のそれに比べると、波がほとんどないようにも見えますが、逆に初心者にはいいのかもしれませんね。
堤防の上でくつろぐ面々
サーファーたちを眺めながら、ここで一息つきます。
堤防脇を進む
ここからは的矢湾に向かいます。
堤防上の道はなくなったので、その横を少し行って国府白浜の北まで進みます。そこには国府神社がありますが、参道の反対側、神社のうしろの道を行ってしまったので、ここは寄り道せず先へ。
国府神社から的矢湾へ
国府神社から県道を横切り西に延びる道は鄙びて、いい感じ。
的矢湾
ほんのちょっとしたアップダウンを経て、的矢湾に出ます。
的矢湾といえば牡蠣の養殖で有名です。ここにもそれらしい筏がいくつか浮かんでいます。
的矢湾を廻る
的矢湾の南をぐるりと廻って行くと、青のりの養殖竿がたくさん立っているところもあります。
自転車道に入る
的矢湾の西から伊雑ノ浦(いぞうのうら)に抜ける道に入れば、これがなんと自転車道なのでした。
県道129号の自転車道を行く
だれも通らないこの道の標識には、県道129号磯部大王自転車道線とあります。ここは緑に囲まれ、静かですばらしく快適です。
少し広い道に突き当たってこの快適な道は終わりますが、自転車道としては歩道状になり先まで続いて行きます。
伊雑ノ浦
R128を渡り、伊雑ノ浦に出ます。
ここは的矢湾の一番奥に当たるところで、振り返ればパルケ・エスパーニャの観覧車が見えます。
伊雑ノ浦沿いを行く
伊雑ノ浦沿いは県道の歩道が自転車道になっているようですが、できるだけ県道を使わずに進みます。
県道はちょっと交通量が多いのですが、こちらはまったくといっていいほど車は通らず快適。県道に合流しても広めの歩道件自転車道があるから安心です。
穴川駅付近の川沿いの道
穴川駅のすぐ手前で小さな川沿いの道に入れば、これも自転車道のようです。
周囲の木々はすでに落葉していて、落ち葉がカサコソと音をたてます。
線路沿いを行く
この道はすぐに線路沿いを行くようになります。
田んぼとお山
レイナの目線の先には稲が刈り取られたあとの田んぼが広がり、その先に低いお山が見えています。
このあと線路を渡って民家の中を進むようになりますが、そこも自転車道になっていました。
川沿いを行く
志摩磯部駅付近は川沿いの道を行きます。ここもほとんど車は通りません。
磯部の御神田
国道に合流しすぐに脇道に入ると、そこに伊雑宮(いざわのみや)があります。先ほど横を通った伊雑ノ浦の伊雑は『いぞう』と読みますが、ここは『いざわ』のようです。しかし一般的には『いぞうぐう』と呼ばれているようです。
ここは伊雑宮に伝わる田楽、重要無形文化財になっている『磯部の御神田(いそべのおみた)』の会場で、先にある田んぼで田植えが行われ、舞が舞われる、御田植祭が毎年6月24日に行われるそうです。
伊雑宮
御神田の横の森の中に伊雑宮があります。ここは伊勢神宮内宮の別宮で、天照坐皇大御神御魂 (あまてらしますすめおおみかみのみたま)を祀っています。千木も内宮の様式で先端が水平に切られた内削。伊勢神宮は大混雑でゆっくりお参りできませんでしたが、ちょっと離れたこの別宮にはほとんど人はおらず、心ゆくまでお参りできます。
式年遷宮で外宮と内宮の二つの正殿が建て替えられるのは有名ですが、それ以外にも、14ある別宮の社殿はすべて造り替えられます。この伊雑宮も一年後には新しくなるはずです。
伊雑宮は伊勢神宮の別宮のうち唯一伊勢外にあるもので、また神田を持つことでも唯一です。古い史書の先代旧事本紀や伊雑宮の神書には、伊雑宮が日の神の本宮で、外宮は月の神、内宮は星の神ということが書かれているそうです。いうなら、本当の神宮はこっちよ、ということですね。これはちょっと面白い。
佐美長神社の鳥居
伊雑宮の少し南にはその所管社の佐美長神社(さみながじんじゃ)があります。伊雑宮とここを結ぶ道は、かつて神様が両方の神社を往き来した『御幸道(ごこうみち)』だそうです。
こんもりした森の前の鳥居をくぐると、石の階段を上ります。
佐美長神社
石段を上り切ると森の奥で砂利が白く反射して、その中にお社が浮かんで見えます。ここでは自分の足音の、じゃり、じゃりという足音だけが響きます。
この社も神明造で、屋根は茅葺きではなく板葺きの大和葺き。ここも遷宮が行われます。横に見える小さな4つの社は佐美長御前神社でこれも神明造。
伊勢神宮の外宮のお参りから始まった伊勢志摩の旅は、この佐美長神社でおしまいです。伊勢神宮は全部で125の神社から成るそうなので、すべて廻ってみるのも面白そう。