相模湖駅
師走も半ばを過ぎました。気温は高くないものの快晴となったこの日、8名が相模川下りの出発地の相模湖駅に集結。
相模川の水源は山中湖ですが、今日はここ相模湖駅から相模湾まで川沿いを下ります。
相模ダム
相模湖駅から下るとすぐに相模湖に辿り着きますが、それは神奈川県の重要な水がめの一つで、この相模ダムによって塞き止められてできたものです。
山と中央自動車道
ダムからは相模川の流れとなり、その対岸には高尾山から陣馬山に連なる山並みが見え、その中を中央自動車道の高架が貫いているのが見えます。
相模川右岸のカントリーロード
こうした風景を眺めながら相模川の右岸を行けば、これは山間の静かなカントリーロードの風情。
桂橋
4kmほど進むと桂橋に到着。
桂橋から見る相模川
ここからは豊かな水量の相模川とその周囲を取り囲む山々の眺めが素晴らしい。
この橋を渡って相模川の左岸に向かえばr515三井相模湖線があるのですが、この県道は赤馬(あこう)の集落の南から何十年もの間通行止めになったままで廃道化し、残念ながら津久井湖まで抜けられないので、桂橋の途中から引き返し、右岸を進みます。
細道を行くミルミル
阿津でR412に合流すると少し交通量が増えますが、それもごく短い区間で、山中湖近くの山伏峠付近に端を発する道志川が相模川に合流するところに架かる道志橋を渡って枝道に入れば、こんないい感じの細道になります。
今日のコースの後半はフラットですが、序盤はちょっとしたアップダウンが続きます。この細道から二車線の道に出ると、そこは僅かに上り。
きれいな畑と冬支度の山
その坂の上にはこんな畑が広がっています。真っ黒な土に緑の葉っぱが映えます。
そしてその向こうに見える山は、先日まで紅葉していた木々もだいぶ葉っぱを落としていて、そろそろ冬支度完了といったところ。
名手橋
畑から下って又野の集落を通り抜けると、津久井湖にひっそりと架かる名手橋です。津久井湖は相模湖のすぐ下流にある湖で、城山ダムによって塞き止められてできた人造湖です。
ここは山や湖面まで近く、車の交通も少ないので、リラックスして通ることができます。
名手橋から北の山を見る
名手橋から北を見ると、山の中腹に名手の集落が見えます。ここからあそこまで上らなければなりません。
名手の集落を行く
名手橋の西詰から90°カーブして北に進路を変えた道は、かなりの勾配で集落の中へ向かいます。
その坂道が終わっていったん勾配は落ち着きますが、
東光寺前の激坂
道がカーブし出すと、そこからがすごい激坂となるのでした。
東光寺に向かってよろよろと自転車を押し上げる面々。
名手から津久井湖を見下ろす
東光寺の下で再び90°向きを変えた道は、津久井湖に沿って東へ向かいます。
だいぶ高いところまで上ってきて眺めはいいのですが、ここから津久井湖はまだあまり良く見えません。しかしきれいな紅葉が少し残っており、二匹の野生の猿にも出会えました。
山道の県道を行く
この山の中腹を行く道はかなり細いのですが、県道です。
赤馬の先で通行止めになっているr515三井相模湖線が、先ほど通った東光寺のところから再開するのです。
南の山並み
この道からは南に丹沢あたりの山々がきれいに見えます。
三井の集落
山道風のところを抜けると三井の集落に入ります。
ここがホームコースの新人ビジターのタッちゃん先頭にどんどこ行きます。
うねる津久井湖
この三井の集落あたりからようやく、津久井湖がはっきり見えるようになります。
r513の上り
三井を通り抜けると道はr513になります。この道はこれまでの細道と違って普通の二車線の道。
r513に入るとこれがまたすぐ上りになり、中沢との間にあるトンネルでそのピークを迎えます。
津久井湖と三井大橋
トンネル付近から下を見下ろすと、大きくうねる津久井湖の右端に、r513の赤い三井大橋が架かっているのが見えます。
新小倉橋と相模川
津久井湖を作っている城山ダムの上を通るR413をかすめ、その下に廻り込むと、小倉橋に出ます。
この橋は相模川に架かる橋梁としては最も古いもので、そのうしろには新小倉橋が見えます。
小倉橋から相模川下流を見る
城山ダムから落ちた水は再び相模川となって現れます。
桂橋から見た相模川は両岸に山が迫っていましたが、ここは河川敷が広がり、伸びやかな表情。
中州を眺めながら進む
小倉橋から左岸を下って行くと、そこはほぼ歩行者と自転車のための道で気分良し。
このあたりには田んぼが作られている中州があり、そこには橋で渡れるようになっています。
相模川清流の里うしろの坂
その橋の先の公共施設『相模川清流の里』で一休みし、そのうしろの段丘の上に上ります。この上りは結構きつく、よろよろ。
ここは車道と歩道が分離されており、坂の途中からは歩道に入れないので、清流の里から歩道に入った方がいいでしょう。
大島中ノ郷のヤツボ
段丘の上に出て大島の住宅地の中を進んでいくと、『大島中ノ郷のヤツボ』の標識が。ヤツボっていったい何?
ヤツボとは相模原市の解説によると湧水を溜めた場所のことだそうで、このあたりにはたくさんヤツボがあり、飲料の取水や洗い場として利用されたとのこと。ヤツボの語源は、泉が八つあったことから八ツ壺となりヤツボになったとの説や、谷+壺などの説があるようです。
大島地区を行く
相模川をホームグラウンドとするチャナさんの案内で、大島の住宅街を進んでいきます。
大島水場のヤツボ
これは大島水場のヤツボ。周辺がきれいに石積みで整備されていて、その縁には水神、石造倶利伽羅不動が祀られています。
写真ではよくわかりませんが、このヤツボでは水が沸き出す様子がはっきりわかりますから、動画でどうぞ。
大島地区の段丘の縁を行く
ここは段丘の端っこで、ガードレールの向こう側は急激に相模川に向かって落ち込んでいます。
この先でもう一つのヤツボを見たら、ぐぐっと下って相模川の畔に出ます。
水郷田名あたり
水郷田名(すいごうたな)のカフェでお昼にしたあと高田橋へ向かえば、そこは土手上が整備されていて、きれいな桜並木に。
序盤の坂道で悲鳴を上げていたマサちゃんも平地ならバリバリ。そのマサちゃん先頭にどんどこ。
釣り場
高田橋を過ぎると小さな中州の手前がいい釣り場になっているようで、釣り人が糸を垂らしています。みなさん、おそらくヘラブナ釣りを楽しんでいるのでしょう。
落ち葉を踏んで進む
冬は寒くてサイクリングには厳しい日も多いけれど、この日は風もまったくなく、暖かです。
道には落ち葉がたくさん積もっています。これからしばらくの間は、こうした落ち葉を踏むカサコソという音も楽しめますね。
望地弁天
望地弁天(もうちべんてん)は元は江島神社に安置されていたそうですが、明治時代に望地河原に移されました。しかしその社は洪水で流失、昭和時代にここの水田が整備されるのに伴い再び社が建てられ、遷座することになったようです。
望地水田
望地河原と呼ばれていたここは江戸時代の末期には相模川の水が引き込まれ、農地として使われていたようです。今は田んぼになっているこの望地水田の北側には、河岸段丘の崖が延びています。
3時間掛けてはるばる栃木県からやってきたコンタがどんどこ。
望地水田から西を見る
西を見れば相変わらず丹沢山地の山々がきれい。
崖にへばりつくホウライシダ
望地水田から崖を上り出すと、その崖はかつて石切り場だったそうで、巨大な岩が顔を見せています。
その中で一際美しい緑に輝く植物は、観葉植物のアジアンタムの仲間のホウライシダです。
当麻の田んぼから見る大山
崖の上をしばらく行くと、道は相模川に沿う細道になり、いつしか川岸に下りr48に出ます。r48は少し車の交通があるのでこれを迂回、新しくできた圏央道の相模原愛川ICの上を通って当麻(たいま)の田んぼの中を行きます。
この田んぼの端を流れる八瀬川の水は驚くほどきれいで、八景に出る手前には湧き水もあります。
三段の滝から相模川を見る
道は八景の先で『三段の滝』の前を通ります。
この滝は人工のもので特別面白いものではありませんが、その前で大きく向きを変える相模川と丹沢山地の端っこにある大山への眺めはなかなかいいです。
新戸河原付近
『三段の滝』から先の相模川はまっすぐ南へ向かって流れていきます。
大山
優美な大山。
座架依橋(ざかえばし)をくぐって新田宿あたりから、土手の上は砂利道になります。この砂利道は締まっているので走れなくはありませんが、すぐ近くに舗装路があるので今回は舗装路を。
三川公園
この迂回が終わるとR246の新相模大橋をくぐり、相模三川公園(さがみさんせんこうえん)に入ります。
川沿いにはスポーツグラウンドの類いがずらりと並び、少し奥にちょっとしたイベントが行われる管理棟が建っています。この管理棟の前の夕焼けの丘の周囲は草花がきれいに手入れされています。
あゆみ橋
相模三川公園の先で相模川を圏央道が跨ぐと厚木で、あゆみ橋で右岸へ渡ります。
これまでまったく風を感じることはなかったのですが、さすがにこのあゆみ橋の上だけは風が強く感じられました。
小田急線の橋梁
右岸に渡るとすぐ、小田急線の鉄橋をくぐります。
ここから河口まではさらに、東名高速、r22横浜伊勢原線の戸沢橋、東海道新幹線、r47藤沢平塚線の神川橋、r44湘南銀河大橋、R1の馬入橋、東海道本線、そして箱根の駅伝でも使われるR134の湘南大橋と、いくつもの橋梁をくぐることになります。
相模川が近いグラウンド横
河川敷のローズガーデンの先からグラウンドの川岸側に廻ります。
ここは右岸でもっとも相模川の近くを走れ気持ちのいいところですが、土手上に復帰するには階段を押し上げなければなりません。
大凧
このあたりはGWに大凧まつりがありますが、その保存会が行っているのか、この日も対岸で大凧がいくつか揚げられていました。
東名高速を過ぎると、この時は土手の工事中でこれを迂回、玉川を過ぎたところから再び土手に戻ります。
四之宮付近
その土手上の道はしばらくすると砂利道になるのでいったん土手下に下り、舗装が復活したところからまた土手上に。前方に見えていた斜張橋の湘南銀河大橋が近付くと、快適だった土手上の道が途切れます。このあたりはなかなか一筋縄ではいかない。
ここはこのあたりを熟知しているヒロちゃんの先導で前鳥神社(さきとりじんじゃ)方面へ迂回。
前鳥神社
この日の前鳥神社の境内はひっそりとしていましたが、ここに祀られているのは学問の神様だそうですから、もうすぐ大賑わいになること間違いなしです。
頭が良くなるようにお参りに向かうはミルミルでした。
先にR1の馬入橋
湘南銀河大橋をくぐってしばらく行くと、なんとか土手上に復帰。
ここは広い河川敷を横目に快適に走れます。
ベルマーレ平塚の練習用グラウンド
河川敷は緑のグラウンドに赤いポストがたくさん並んでいます。このグラウンドはサッカーチーム・ベルマーレ平塚の練習用グラウンドだそうです。
そのグラウンドを横目に並んで走るミルミル、チャナさん、クッキー。
馬入の渡しあたり
R1の馬入橋(ばにゅうばし)のすぐ手前に『馬入の渡し跡』の標識が建っており、歌川広重の東海道五十三次・平塚『馬入川渡船』の絵が添えられています。
かつてここには渡しがあったようですが、そこは現在小さなマリーナのようなものになっています。
平塚漁港旧港
さて、相模川の河口まではもうすぐ。
ちょっと訳ありで平塚競輪場あたりを巡ったのち、平塚漁港の旧港の廻りをぐるり。
相模湾から房総半島を望む
R134の湘南大橋をくぐると正面に大島が現れます。ここからは空気が澄んでいる時には利島も見えるといいます。
東には三浦半島とその先の房総半島が、
箱根の山に落ちる夕日
西には平塚漁港の新港の先の箱根の山と、今そこに落ちていく夕日が。
ぶるっと震えている面々
この日の日没は16:30。しかし箱根の山があるので夕日を眺めるにはそれより早めの時刻に着いた方がいいということで、15分前を目安にやってきたのですが、それよりさらに10分ほど早く着いてしまったので、日が落ちるまでに冷える冷える。日中はかなり暖かかったこの日も、さすがにこの時分の気温は10°Cと寒い。
凍えてカチカチになっている面々でした。
夕暮れの富士山
箱根の山から視線を右にずらせば、端っこに金時山が、そしてその右手には富士山。
冬の相模川ですが、これは曇っていても、風が強くても快適に走れません。今日は快晴無風で、最高の相模川下りとなりました。せっかく下るのでしたら、相模湾の夕日もぜひどうぞ。