高円寺駅前
師走。今年の秋はとても暖かかったですが、ついに冬がやってきました。日が短くなった上にここのところめっきり冷え込んできて、そろそろ本格的なサイクリングは厳しくなってきました。しかも今日はとても寒いという予報です。そこで今回は身近な都内をポタポタすることに。
やってきたのは中央線総武線の高円寺駅で、某がドタキャンしたので、なんと野郎ばかりが四人。女子は先週の琵琶湖でエネルギーを使い果たしたのか、師走とあって忙しいのか。しかもマージコは今ひとつ体調が良くないということで、走行は控え夜の部のみ参加ということに。
高円寺中央公園
結局、ムカエルとドタ参のユッキー、そしてサイダーの三人で高円寺駅前をスタート。
南口から下ると中央公園では木々がかろうじて最後の紅葉を残しています。都心の紅葉はいつでも遅いですが、今年は暖かかったので特にそうなのでしょう。
荒玉水道道路
青梅街道を渡って都道428号高円寺砧浄水場線に入ります。この道は通称荒玉水道道路と呼ばれるもので、道路の下に水道管が通っています。地図で見ると良くわかりますが、この道はここから多摩川縁にある砧浄水場までほぼまっすぐ延びています。
ここの道脇には楓がまだ赤い色を残していますね。
杉並区大宮
この道は今でこそ車が通れるようになっていますが、1934年(昭和9年)の竣工当初は歩行者専用道路だったそうです。
それでか現在でも幅員が狭く、大型車は通れないようになっているので比較的交通量が少なく、自転車は快調に進む事ができます。
井の頭線
方南通り、井の頭通りと渡って進むと京王井の頭線です。
井の頭線は短い路線なのでマイナーなイメージが強いのですが、渋谷と吉祥寺という繁華街を結んでいるだけあり、関東の私鉄の中では最初に冷房率100%を達成し、京王の中で初めてオールステンレスの車体が採用された路線でもあるようです 。
下に神田川
井の頭線を渡ると神田川に下ります。
ここはこの道がまっすぐなのがよく分かるところ。
甲州街道
甲州街道に出ると、そこでは早くもお正月の門松作りをしている方がいました。
もういくつ寝るとお正月でしょう。
千歳台
千歳台に入り小田急線が近づくと、道の幅員が広がり、中央分離帯と並木が出てきます。
このあたりには都営のアパートが建っているので、その建設のときに道幅を広げたのでしょうか。
次大夫堀
仙川、野川と越えると次大夫堀公園に入ります。
この公園の名になっている次大夫堀は正式には六郷用水といい、これは1597年(慶長2年)から開発された農業用水で、昭和の初期まで使われていたそうです。写真は復元された次大夫堀です。
次大夫堀公園の紅葉
この細い次大夫堀に沿って進んで行くと、民家園があります。
旧谷岡家住宅表門
この民家園には江戸時代後期から明治時代初期の世田谷区の民家が集められており、当時の農村風景が再現されています。
村の鍛冶屋
一般的な民家園はただ建物や民具が並んでいるだけですが、ここが面白いのは、実際に当時の生活を再現する行動展示とでも言うべきものが行われていることです。
これは鍛冶屋さん。左奥の方は真っ赤に熱せられた鉄をトンテンカンテン。その横の方が操作しているのは『ふいご』で、木の箱で圧縮された空気が送り出されるのは手前に見える鍋の下の炭火のところです。
木挽き体験
こちらは木挽きの体験コーナー。
でっかい鋸でギコギコするは我らがユッキーですが、
『ひょえ〜、これ、ぜんぜん切れないよ〜』 と、あえなく3分でダウン。
旧加藤家住宅主屋
旧加藤家住宅主屋は、関東地方では江戸時代後期の農家にごく普通に見られた間取りである田の字形のプランをしており、村内の一般的な農家の屋敷として復元されています。
このお宅では養蚕を行なっていたようで、天井には簀の子が張られ、屋根には煙出し櫓が見えます。
旧城田家住宅主屋
旧城田家住宅主屋。このお宅は酒屋を営んでいたそうで、土間に広く張り出した板床や厨子二階があります。
ここではいろりに火が灯されています。茅葺きの民家では特に、いろりで火を焚くことによって油煙が木材や茅にしみ込んで、家を長持ちさせるのだそうです。
旧安藤家住宅主屋
見るからに立派な旧安藤家住宅主屋ですが、このお宅は名主を努めていたそうです。
旧安藤家住宅主屋の織機
この織機は当時のものではないかもしれませんが、ここで機織り体験ができます。
今日は午後からなので参加できませんが、パッタンパッタンと心地よい音が響くのが聞こえてきそうです。
旧安藤家住宅主屋のかまど
この日は何かイベントでもあるのか、かまどにも火が入れられ、大きな釜に湯が沸かされていました。
旧秋山家住宅土蔵
旧安藤家住宅主屋の庭先には旧秋山家住宅土蔵が建っています。これら二つの建物はそれぞれ別の場所にあったものですが、母屋と外蔵の位置関係はこんな感じだったのでしょう。
私たちは駆け足で巡りましたが、この民家園はたっぷり時間を使って見て廻るだけの価値があるところですので、時間があるときにゆっくりどうぞ。
次大夫堀公園
民家園を出たら野川に向かいます。
紅葉が終わった木々の落ち葉がかさこそといい音を立てます。
きたみふれあい広場付近
野川の両岸には細い道がずっと続いているので、これをどんどこ。
両岸の道に大差はないので、気分で、というか人の少ない方を選んで行きます。
調布市須佐町
この道はほとんどが歩行者自転車道なので安心して走れますが、幅員が狭いのでスピードの出し過ぎには要注意です。
民家の庭先
都市部のポタリングの楽しみの一つは民家の庭ウォッチングでしょう。
このお宅はサザンカとたわわに実った柑橘類が見事。
水車
三鷹市に入ると右手に天文台の森が見えるようになります。その森を眺めながらどんどこ行くと、野川の脇に小さな水車が現れます。
水車付近の紅葉
この水車の横には小さな東屋があって、休憩に持ってこいです。
ボケの花
ここでボケの花を見つけました。ボケは春先に咲く花ですが、今年は暖かかったので狂い咲きでしょうか。
水車経営農家
武蔵野には江戸時代以降、新田開発に伴い数多くの水車が建設されたそうです。しかしそれは昭和に入ると急速に数を減らしていき、現在はほとんど見ることができなくなっています。
この近くに建つ峯岸家は19世紀の始めごろから水車経営に携わってきた家で、新車(しんぐるま)と呼ばれる大型水車が残っており、見学ができます。
武蔵野の森公園
水車を眺めたら調布飛行場の横にある武蔵野の森公園に上ります。
ここはイチョウとその隣の木がいい色。
掩体壕
ここには掩体壕なるちょっと変わったものがあります。これは戦争中に飛行機を敵の攻撃から守るための施設だったようで、正面には飛燕という飛行機の姿が描かれています。
調布飛行場は、元は帝国陸軍の帝都防空部隊の基地だったのです。そんなわけでこの周囲にはこのような掩体壕が60ほど造られたそうです。
鶏モモ肉のコンフィ
時刻はちょうど正午。昼飯時です。野川公園の入口にはリーズナブルで洒落たフレンチレストランがあります。
今日のランチはここで野郎3人飯。(笑)
調布飛行場を離陸する小型旅客機
おしゃれなランチのあとはデザートに、調布飛行場で離着陸する伊豆諸島便の小型旅客機を眺めます。
この時間帯は5分のうちに発着合わせて3便あるので、かなり効率よく楽しめます。ジャンボジェットなどに比べれば小さいも小さい、豆粒のような機体ですが、それでも至近距離で眺められるので結構迫力があります。
野川公園
小型旅客機のデザートを食べ終わったら、野川公園に戻ります。
野川公園は野川を挟んで向かいにある国際基督教大学のゴルフ場だったところで、かなり広大。ここはほとんど紅葉は終わり、落ち葉がきれいです。
野川公園その2
その落ち葉の中を進むユッキーとムカエル。
二人ともの覆面姿でわかるかと思いますが、この日は気温が低く、この時は一番気温が高くなる時分だというのに、わずか13°Cしかありませんでした。
野川公園の野川
野川の東側は自然観察園になっています。
その中では春先に、春の妖精と呼ばれる小さな小さなセツブンソウが見られます。
自然の護岸の野川と砂利道
このあたりの野川の護岸は自然のままで、コンクリートで覆われていないのでとても気分が良く、またその横の道が砂利道なのもうれしいです。
河川敷を行く
道が川を少し離れるようなので河川敷を走ってみました。ここの路面はコンクリートブロックなのが少し残念ですが、水に近づけるのがいいところです。
写真でははっきりしませんが、この東側はぐっと高くなっています。これは国分寺崖線で、昔むかしその昔、多摩川が台地を削り取った痕なのです。野川はこの国分寺崖線に沿って流れているのです。
小金井の野川沿い
野川公園のすぐ先の武蔵野公園を過ぎると、野川の両側は密集した住宅地になります。
小金井の街中
ここで野川を離れて進路を変え、小金井公園に向かいます。
野川を離れるとすぐに国分寺崖線を越えることになり、ちょっとした急坂を上ります。その先は、えっ、と驚くような極細道があったりして、街中なれど意外とここは楽しめます。
玉川上水
小金井公園のすぐ南を流れるのは玉川上水です。
この上水は江戸時代に江戸市中に飲料水を供給する目的で、多摩の羽村から四谷大木戸までの全長43kmが開削されました。この区間すべて露天掘りだったそうで、ここでかつての姿を見ることができます。
小金井公園江戸東京たてもの園ビジターセンター
小金井公園は都内の公園でも最大規模を誇り、日比谷公園の約5倍もあるそうです。
とにかくここは、のんびりと一日が過ごせそうなほど広いです。
子宝湯
小金井公園は様々な施設から成りますが、その中の江戸東京たてもの園は江戸と東京の歴史的な建物27棟が移築保存されていて、かなり見応えがあります。
これらの中でも一風変わったのはこの子宝湯でしょう。これは千住にあった銭湯で、社寺仏閣を思わせる立派な唐破風が付いており、とにかく風呂屋とはとても思えないものです。なんでもある有名なアニメに出て来る建物のモデルとされるものの一つだとか。
広場
広〜い広場では子供たちが元気に遊び回っています。
小金井公園の自転車道
小金井公園の中にはサイクリングコースが設えられていているので、安心してサイクリングも楽しめます。
多摩湖自転車道
小金井公園を出て多摩湖自転車道に入ります。
多摩湖自転車道は五日市街道の関前5丁目交差点から多摩湖まで、まっすぐな道が10km続きます。実はこの道も今日の最初に通った荒玉水道道路と同じく、この下に水道管が敷設されているのです。
多摩湖自転車道の紅葉
意外とこのあたりにはまだ紅葉が残っていて、きれいです。
千川上水沿い
五日市街道に出ると千川上水が流れています。この上水は僅かに幅1mほどの小さな堀で、このすぐ西にある境橋で玉川上水から分水されています。
千川上水沿いその2
千川上水は江戸時代に小石川御殿(現在の小石川植物園)や湯島聖堂・上野寛永寺・浅草御殿(浅草寺)などの将軍家関係地への飲料水の供給を主目的として造られましたが、余水を江戸の北部市中に供給していたそうです。これは江戸の主要な上水道の一つで、玉川上水などとともに江戸の六上水の一つに数えられています。
善福寺池
千川上水を逸れ、善福寺公園にやってきました。
善福寺公園の中核を成す善福寺池には豊富な湧水があり、これは善福寺川の水源であると共に、このすぐ近くにある東京都水道局の杉並浄水場が水源として使っているそうです。これは東京23区内で唯一の地下水源だとか。
善福寺公園のイチョウ
善福寺公園の大イチョウはなかなか見応えがあります。まだしばらくこの黄葉は楽しめそうです。
善福寺川沿い
湧水が豊富だという善福寺池から流れ出す善福寺川の流れはもっと豊かなものかと思いきや、これがひどく少ないに、醜い護岸がきれいなはずの川を台無しにしています。
この川の両側には密集した住宅が迫り、川との間には人一人がようやく通れるだけのスペースしかありません。この狭いスペースを走るのを面白いと思うかそうでないかは人によりけりかと思いますが、私たちはこういうところはかなり好きです。
和田サイクル
狭い道とも呼べぬようなスペースをどんどこ行き、西荻に入ったところでちょっと和田サイクルに寄り道することにしました。今日のポタリングでムカエルの自転車に重大な問題があることが発見されたのです。
相変わらず超急がしの和田サイクルだったので、ムカエルは自転車を預けることになりました。
続善福寺川沿い
和田サイクルから再び善福寺川沿いに戻るも、依然としてあの細い道は変わらず。
善福寺川緑地
しかし、いつしかその細道は広がり善福寺緑地に入ります。
この時は何の工事か、緑地のあちこちで工事が行われていて川に近づけません。
和田堀公園へ
その工事区間が終わるとようやく善福寺川の横を進めるようになります。
すでにかなり暗くなってきていて写真は撮れませんでしたが、このあたりはなかなかいい雰囲気です。
高円寺の呑み屋街
和田堀公園で善福寺川を離れ、北上。今日の出発地であり到着地でもある高円寺に到着です。
高円寺はほとんど来たことがないので知らなかったのですが、なかなか賑わった呑み屋街があります。
貝やの貝
今宵の打ち上げはちょっと変わっていて、貝の専門店です。
貝、大好き〜♪
本日のメンバー
ムカエルは和田サイクルから電車で、さらに今朝分かれたマージコもやってきて、男ばかり四人が膝を突き合わせることに。
貝をついばみながら、今年ももう師走か、などとつまらない話をし、ゆっくり夜は更けていくのでした。