2001.08.21 (火) 雨のち晴れ 嵐!そして強烈な向い風 Kenmare~Derrynane
地図:Googleマップ/gpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS
発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | 備考 |
---|---|---|---|
Kenmare | START | 発09:45 | 泊:Leebrook House/£44/朝付 バス停〜info〜ストーンサークル〜へリテージセンター〜カフェ |
Kenmare | 3km | 発11:40 | 雨が上がり出発 |
Tahilla | 20km | 着13:00 | 川のようなところで鱒釣りを眺めつつ休憩 |
Sneem | 30km | 着14:00 発15:00 |
昼食:シェーズパイ(ポテトとひき肉のオーブン焼)/サーモンとサラダ・サウザンアイランドドレッシング/ギネスのStautとHarp(ラガー) |
35km | 着15:35 |
強烈な向かい風と上りに苦しみ休憩 Watervilleへ行くのを断念、適当な村で宿を探すことに |
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Derrynane | 50km | 着17:00 | 泊:Hotel Derrynane/£99 夕食:ホテルのレストラン/ヤギのチーズ・バルサミコソース/小エビ・ムール貝・アボカドのカクテル/にんじん?スープ/シャーベット/butterfishのバターガーリックソース/サーロインステーキ+オニオンとマッシュルーム/ポテトと茹で野菜/アイスクリーム3種/ケーキ/コヒー/£50+ワイン |
為替レート:1IR£=147円 |
Ring of Kerry(ケリー周遊路)の二日目は、ケンマーレ(Kenmare)からアイベラ半島(Uíbh Ráthach,Iveragh Peninsula) を時計回りにぐるりと廻ってウォーターヴィル(Waterville)までの予定。
しかし・・・
嵐! そとは嵐なのだ。土砂降り強風!
止むなく自転車での移動を諦め、バスで行くことにした。ところがしばらくこのバスの便がない。仕方ないので街中を散策し時間を潰すことにした。ストーンサークルとへリテージセンターを見学しカプチーノをしていると、信じられないことに雨が上がるではないか。さっきまでの嵐はどこへ行ったのか?
こうなったら自転車で出発だ。今日は入り江沿いのルート。だからあまり上りは無いはず。へばったらバスにすればいいや! とウォーターヴィルへ向け出発。
道はN70の一本道。迷うところはない。牧草地の外周に巡らされた木々の合間に入り江の向こう側のベアラ半島(Béarra,Beara Peninsula)の山並みを見ながら、美しい緑の中を走り出す。
道端は自生のきれいな植物でいっぱい。気候がよいのでいつでも花が咲いているのかな。
時々川を横切る。ブラックウォーターブリッジ(Blackwater Bridge)を過ぎてタヒル(Tahilla)が近づくと、右手に川のようなものが現れた。ボートを漕ぎ出す人や岸で魚釣りをしている人がいる。
ここで写真のおじさん、でっかい鱒を釣り上げた。
すっかり雨が上がり、気温が高くなってきた。宿を出た時は雨が上がったばかりだったので合羽を着ていたが、それはもう必要なさそうだ。
このルート、景色は美しいものの、さすがに嵐が去ったばかりの入り江沿いはとても風が強い。強烈な向い風だ。休憩したいと思うが、地図には街が印されているものの、走っても走ってもそれらしい街が現われない。どうやら街といっっても数軒の民家があるだけのところだったみたい!
『また、ハンガーノックになる〜!』と叫びつつ、なんとかスネアム(Sneem)という小さな村にたどり着く。ここの川は嵐の影響で濁流だ。
嵐のため出発時刻が遅れたのと、強風でへばってきたのでこの村からバスに切り替えよう! ところが今度は、バスは逆戻りの方向へしかないという。まいった。意を決してスタート。あと35km、約半分だ。
しかし甘くはなかった。川の向こう側、内陸側にはこんもりした山が続き、その裾野には野原が広がっている。ここから内陸に道が入り込む。つまりまた上りってことだ。
風はどんどん強まるばかり。時速10km以下でのろのろ進む。35分で5kmしか進まない。なんとか『もどろうか?』と言うのを堪え、賢明にペダルを回す。ゆっくり休もうにもまたまた街がない。ど〜しよ〜…
空の雲が薄くなり、青空が見え出した。そしてスネアムから6〜7kmの地点で峠を越えたらしく、道は湾へ向かって下って行く。
ケンマーレからウォーターヴィルへと続くこの道は、穏やかなアップダウンはあるものの眺めが良く、リラックスして走れる。風さえなければ!
霞んでいた対岸のベアラ半島が徐々にはっきりと見えてきた。
時折、羊や牛の姿がぽつぽつと目に入る。
この半島は岩がちで、そこら中に露頭が見える。
そんな岩の塊のようなところの上にも緑があり、花が咲いている。花はみんな小さいけれど群落を成しており、緑とのコントラストが素晴らしくきれいだ。
湾の中には岩礁が続いている。
これまで道は海岸から少し離れたところを走っていたが、ついに海辺に出た。
凹凸があり変化に富んだこの入り江はとても美しい。
しかし相変わらず激しい風だ。
岩場に打ち寄せる波が砕けて白い飛沫を上げている。
足下を見れば、こんなに条件が悪い場所だというのに、やっぱりあの赤や黄色の花が咲いている。
この植物の生命力は凄い。ヘザー、ヒース、エリカといったところだと思うが、私には残念ながらどれがどれだか良くわからない。
民家はポツポツとはあるが、相変わらず村や街はない。今日のうちにウォーターヴィルに着くことはとっくに諦めているが、どこかで今宵の宿を見つけなければならない。
岩場の海岸を出ると、まずい、向かい風の上に道は上りになった! しかしそこに突然、一軒のホテルの看板が! うぉ〜、ここに泊まっちゃお〜。
入ってみればこのホテル、プール付きのプチ豪華ホテルだったのです!
旅はこうでなくっちゃね。ここはどうやらデリネーン(Derrynane)というところらしい。
2001.08.22 (水) 晴れのち曇り 風にのる! Derrynane~Waterville~Killorglin
地図:Googleマップ/gpxファイル/GARMIN Connect/Ride With GPS
発着地 | 累積距離 | 発着時刻 | 備考 |
---|---|---|---|
Derrynane | START | 発09:50 | 泊:Hotel Derrynane/£99 朝食後散歩 |
Waterville | 16km | 着11:00 | チャップリンが過ごしたリゾート地 |
Cahersiveen | 32km | 着12:10 発13:15 |
昼食:Bar/シーフド・チャウダー/フレッシュ・アトランティク・クラブ/ギネス |
Glenbeigh | 58km | 着15:00 | ソフトクリーム休憩 |
Killorglin | 71km | 着16:15 | 泊:Kerdon House/£40 夕食:中華/かた焼きそば/海老と野菜炒め/ワイン/£28 Bar Kingdom/アコーディオンとドラムス |
為替レート:1IR£=147円 |
今日の目的地はアイベラ半島の北側にあるディングル湾(Dingle Bay)の奥にあるキローグリン(Killorglin)。昨日は当初予定していたウォーターヴィルより少し手前のデリネーンで終わっているので、今日はその分を取り戻さないとね。
昨日の凄かった風は止んだようだし、プールでリフレッシュもしたし、今日はなんとかなるかな。
しかし昨日最後に見たように、海辺のデリネーンからはまず上りだ。行く手には穏やかな山並みがずっと続いている。
最初はどうなるかと思ったが、この勾配は8kmで200mの上りで平均2.5%と緩いので、そう問題なかった。
昨日キラーニーで見たストーン・サークルからもわかるように、アイルランドは石の文化で建造物はみんな石造だ。
城もあちこちにあり、この海岸にも古い要塞が残っているのが見える。
左手の視界が開くと先に島が見えてくる。スカリフ島(Scariff Isrand)とディーニッシュ島(Deenish Isrand)だ。
はっとするような美しい海岸が続く。
しかしこんな傾斜地にも民家があるのには驚きだ。この前の嵐の時はどんなだったろう? 風はビュンビュンで外にも出られなかっただろうけれど…
写真は牧草地だけれど、今日は羊、いないね。
突然、目の前を塞ぐ美女二人。
『ハーイ、この坂きついね!』
“もう、死んじゃうよ!”
『どこから来ているの?』
“カナダとアメリカよ、あなた達は? どこまで行くの”
『東京だよ。Westportへ ! 』
“エッ? どれ位の旅?”
『2週間』
“エッ~ッ? そのチビ自転車で?”
『こいつだってちゃんと走れるよ~』
“荷物、それしかないのに? パンツ何枚持ってるの?”
『ちゃんと3枚もってるよ~』
“こんなジャケットもないじゃない!” ---と見せる!
『ちゃんとリュックのなかにあるよ~ん』
“今日はどこまで?”
『Killorglin ! 70kmくらいかな。』
“ヒャ~、驚いた、彼らあのかっこで2週間も旅するんだってよ。今日はこのチビ車で70kmも走るんだって! タフね…”
『じゃあ、またね。次のView Pointでね!』
カナダとアメリカの美女と別れるとほどなく峠(Coomakesta Pass)を越えた。
ここからは一気にウォーターヴィルへ下る。さすがにこの下りは快適だが、あっという間だった。ウォーターヴィルはバリンズケリグス湾(Ballinskelligs Bay)の奥にあり、さらにすぐ内陸側にカレイン湖があるちょっとしたリゾート地で、かのチャーリー・チャップリンが10年以上に渡りバカンスに訪れたところとしても知られており、本来なら私たちの今日の出発地点となるはずだったところだ。
ウォーターヴィルから道は再び内陸に入る。つまりまた上りとなるがこれは大したことはなく、すぐに半島の北側に抜けた。
小さな入江の先にあるカアーサイビーン(Cahersiveen)で昼食にありついたあと、午後の部に入るとまたしても上り。しかしこの半島の北側は昨日とは逆に追い風だ。助かった〜。その後もアップダウンはあるのだけれど追い風だからね。
下りとなった道の先にディングル湾が見えてくる。そのまた向こうは低い山が連続するディングル半島だ。向こうからこちら側を見ればほぼ似たような景色のはずで、私たちはあのようなところを上ったり下ったりしている。
時は15時。キローグリンまで10km少々となった。今日は問題なくキローグリンに着けそうだ。
というわけで、ちょうどそこに現れたグレンベイ(Glenbeigh)でソフトクリーム休憩を。
アイルランドにはパブが多い。パブは日本では居酒屋と思われているが少し違う。これは地元の人々が集まり、食事や酒などの飲み物、そして音楽を楽しみながら交流する公共の場所だ。
Pubは "Public House"の略で、元は宿屋やホテルだったという。その中のレストラン部門が独立したようなものが今日のパブということだろう。だからパブではきちんとした食事ができる。
パブと似たものにバーと呼ばれるものがあるが、こちらはもっぱら酒を提供するところで、食事は出さないか出してもごく簡単なものだ。
パブはソフトドリンクも出すが、バーは出さないところが多い。ギネスはもちろん、どちらにもある。
食後はアイリッシュ・ウイスキーもいいし、アイリッシュ・コーヒーをいただいてもいい。
アイリッシュ・ウイスキーにはとてもたくさんの種類があり、モルトを始めグレーン、そしてもちろんブレンデッドもある。さらに穀物由来の風味が強いポットスチルと呼ばれるタイプがある。ポットスチルはモルトにした大麦に加え、未発酵の大麦やオート麦などの穀物を原料とする。ほとんどのアイリッシュ・ウイスキーはモルトにする過程でピートが使用されないため、スコッチ・ウィスキーのようなスモーキー・フレーバーがないのも特徴だ。
アイリッシュ・コーヒーは、コーヒー、砂糖そして生クリームが入った甘めのホット・ドリンクで、特に寒い時期に好まれる。意外とアルコール度数があるので、気をつけないと酔っぱらう。
キローグリンには無事到着。今日はアップダウンは少しあったが風が味方をしてくれた。ここまであのカナダとアメリカの美女たちにも追い越されなかった!
夜はバーに繰り出してアイリッシュ・ミュージックとお決まりの『黒い液体』を楽しむ!