レイクルイーズビレッジからルイーズ湖へ向かう
レイクルイーズビレッジを拠点として一昨日はモレイン湖、昨日はエメラルド湖を廻った私たちですが、今日はいよいよこのあたりの地名にもなっているルイーズ湖です。
朝はとても清々しく、お天気も相変わらず素晴らしい。
ビレッジから湖に向かう途中、目の前の高架をカナディアンパシフィック鉄道の貨物列車が渡っていました。 この鉄道の列車のコンテナの数はとても数え切れないくらいです。
昨日同様にルイーズ湖までの坂道をのんびり上ります。 三度目ともなるとどこがどうなっているのか分かっているのでリズムを掴みやすく、同じ道とは思えないほどスムースに上ることができます。
ビクトリア氷河とルイーズ湖
昨日より若干早めの時刻にルイーズ湖に到着。
なぜかその表情は昨日とは微妙に異なって見えます。 湖面のさざ波か雲の具合でそう感じるのでしょうか。
正面にはこれから向かう真っ白なビクトリア氷河。 今日のルイーズ湖は昨日に増して魅力的に輝いています。
湖畔道、坊主頭の山がビッグ・ビーハイブ
ここには大きく分けて二つのトレイルがあります。 一つはこれから私たちが向かう氷河を眺めるプレーン・オブ・ザ・シックス・グレイシャーズ・トレイル。 もう一つはルイーズ湖を上から見下ろすアグネス湖とビッグ・ビーハイブを廻るコースです。
この二つは距離も難易度も良く似ていてどちらにするか迷いましたが、一昨日のハイキングで同行したオードリーとマリリンが、プレーン・オブ・ザ・シックス・グレイシャーズはとっても素晴らしい、と何度もいうので、心がぐっとこちらに傾いたのです。 トレイルの奥にはとても素晴らしいティーハウスがあるといいます。
氷河から滴り落ちる川沿いを行く
大きなホテル、シャトーレイクルイーズの前に自転車を止め、湖畔の舗装された遊歩道を進むと、すぐにその道はダートのトレイルに変わります。
ルイーズ湖の奥まで進むと、そこには氷河の水を集めた小さな流れがありました。 トレイルはこの川に沿って穏やかに続きます。 あの正面に見えたビクトリア氷河はこのあたりからすっかりその姿を隠してしまいます。
ロッククライミングの岩山
右手の山側にはごつごつとした岩が切り立っています。 ここはロッククライミングで人気の場所だそうです。
小川とサリーナ
いつの間にかぐっと川幅が狭まり、渓流っぽくなってきます。
モレイン
左手の山からは砂利が流れ出たようなところが見えます。 おそらくこれはモレインで、最近までこのあたりに氷河が流れていたのでしょう。
林の先のビクトリア氷河
針葉樹林間のトレイルをゆっくり進み徐々に高度を上げて行くと、ここまで隠れていたビクトリア氷河が樹上に顔を出します。
左にレフロイ山(3,423 m)、ビクトリア氷河を抱くビクトリア山は3,459m。
小さな氷河
その手前、左手の連続した山々の中の一番奥の岩山が近づくと、そのてっぺんには小さいながらも氷河の白い塊が見えます。
高山植物
ごつごつした岩山の風景の足元には、時折こんな可憐な花が咲いており、マーモットがひなたぼっこをしていたりします。
近づくビクトリア氷河
針葉樹林帯を抜け周囲が背の高い草に覆われるようになると、ぐっとビクトリア氷河が近づきます。
ここからはその氷河がやや緑がかっているのがはっきり見て取れます。 氷河は長い年月を掛けて削り取った周辺の岩の鉱物などを含んで、その氷河独自の色になるといいます。
崩落か川か
このトレイルはたいへん良く整備されており、初級者の私たちでもまったく問題なく進むことができますが、一カ所こんなガレ場を通りました。 ここだけ岩が流れたようになっているので、崩落があったのか、あるいは春先に雪が流れたのかもしれません。
唯一の難所
このトレイルの最大の難所はここです。
片側には岩山が迫り、もう片側はちょっと落ちた谷になっています。 この時は問題ありませんでしたが、雨や雪の時にはかなり通りにくそうです。
さすがにここの山側には手すり代わりのワイヤーが設えられていました。
上下のビクトリア氷河
このちょっとした難所を無事通過すると、今度は小さな岩が積み重なったところに出ました。(TOP写真) これはたぶんモレインでしょう。 正面にはあのビクトリア氷河がそそり立っています。
このモレインの上を進むと谷底が見えてきました。 そこにも白い氷河があります。 ビクトリア氷河は山の上下に分れていて、下の氷河は谷の奥へと延びています。
ティーハウス
この下のビクトリア氷河が見えると、オードリーたちが絶賛していたティーハウスはもうすぐです。
小川が流れ、ベンチが二つ、三つ置かれた小さな広場の奥にそのティーハウスはありました。 針葉樹の林の先に真っ白なビクトリア氷河! 最高のロケーションです。
氷河を眺めながらチョコレートケーキとお茶でしばしのんびりします。 ボリュームあるケーキは二人でも食べ切れないほどでした。 味はもちろん、最高~
先へ続くトレイル
トレイルはこのティーハウスから先へも延びており、通常ならさらに氷河に近づけるのですが、残念なことにこの時は問題ありでこの先の進入は禁止されていました。
しかしここまででも十分に楽しい道のりでした。
下にルイーズ湖
帰路はひとまずやってきた道を戻り、途中からアグネス湖方面に向かいミラー湖を経由して戻ることにしました。 すぐに下にルイーズ湖が見えるようになります。 知らぬ間にずいぶん上ってきていたのですね。
お馬さん
途中からアグネス湖方面の道に入ると、向こうからお馬さんがパッカパカとやってきました。 このあたりはたいへん乗馬が盛んなようで、ホーストレイルという表示をあちこちで見かけます。
ルイーズ湖
アグネス湖まではかなりの上りとなるのでそちらには行かず、途中からミラー湖へ向かいます。 こちらのルートはごく僅かな上りです。
針葉樹が途切れたところから下にルイーズ湖が現れました。 朝とはまた違った、とても神秘的な色を見せています。
ミラー湖とビッグ・ビーハイブ
ルイーズ湖の色を楽しみつつ樹間を進むとミラー湖に到着です。
ミラー湖は濁りのないエメラルド色、その後ろにはビッグ・ビーバイブ(大きなミツバチの巣)がそそり立っています。 こちらのコースはプレーン・オブ・ザ・シックス・グレイシャーズ・トレイルより人気があるのか、後から後からハイカーがやってきます。
ルイーズ湖
ミラー湖の畔でしばし休憩してルイーズ湖に下ります。 この下りは意外に急な勾配で、逆から上るのはちょっとしんどいように感じました。
ルイーズ湖の畔にはずいぶんと人が増えています。 湖の色はまたしてもちょっと違って見える。
ルイーズ湖にて
さて、ハイキングはこれで終了。 ここからは一旦ビレッジに戻り、アイスフィールド・パークウェイをジャスパー方面に向かいます。
バンフ-ジャスパー間300kmの自転車の旅に戻るのです。
ビレッジまでのダートのトレイル
ルイーズ湖からビレッジまではダートのトレイルが続いているので、途中までこれを使いました。
ここはよく締まった路面で下りだから、問題なく進みます。 こうしたダートのトレイルは舗装路とは違った楽しみがあり、あまりハードなものでなければ、私たちは好きです。
レイクルイーズを出発
レイクルイーズビレッジに戻ると急に空が暗くなり、パラパラと雨が降ってきました。
雨天走行の用意を整え、レイクルイーズを後にします。 後ろにはあのビクトリア氷河が。
トランス・カナダ・ハイウェイ
レイクルイーズを出ると、まずトランス・カナダ・ハイウェイに入ります。
このあたりのトランス・カナダ・ハイウェイは中央分離帯がある広い道で、先には昨日通ったキッキングホース峠付近の山が見えています。
アニマルオーバーブリッジ
路肩はとても広く走るのにあまり不安は感じませんが、車はもの凄いスピードで走っているので、好んで走りたい道とは言えません。
先に見えるのはアニマルオーバーブリッジ。 これは森の動物たちが広い道路で寸断されたそれぞれのゾーンを行き交う道で、あちこちに作られています。
ハーバート湖
トランス・カナダ・ハイウェイからアイスフィールド・パークウェイに入ると車はぐっと減り、穏やかな上りになります。
そしてすぐに現れるのがハーバート湖。 後ろにはルイーズ湖のあたりの山々が見えています。
アイスフィールド・パークウェイ
アイスフィールド・パークウェイはレイクルイーズとジャスパーを結ぶ93号線のことで、230kmほどあります。 アイスフィールドとは氷原のことで、そこから流れ出したのが氷河です。 この一帯には大きな氷原がいくつもあり、たくさん氷河を見ることができます。
このアイスフィールド・パークウェイには大きな峠が二カ所あり、その一つのボウ峠(2,067m)はレイクルイーズから40km、高度500mの上りです。 今日はそのボウ峠の途中までの300mほどを上ります。
ヘクター湖
穏やかな上り坂、周囲の山々は少しずつその角度を変え、風景は徐々に変わって行きます。
この上りが終わると現れるのはヘクター湖。 この湖はこのあたりで最も大きな湖で、ルイーズ湖などと同様に白く濁った薄い青緑色をしています。 その上にはワプティク氷原より流れ出た氷河がちらっと見えています。
ボウピークを先に
左手、ヘクター湖から立ち上がるのはボウピーク(2,868m)でしょう。
今日の終着地モスキートクリークはそのボウピークの脇を流れています。 後ろからは黒い雲が迫ってきているので少々急ぎます。
モスキートクリーク
ヘクター湖の先で再び緩い坂を上り、ボウピークの真横で穏やかな下りになると小川に出ました。
これがモスキートクリークのようです。
モスキートクリークのユースホステル。左奥に見える小さな小屋がサウナ
道路沿いに本日の私たちの宿となるユースホステルの標識が立っていますが、それらしい施設は道路からは見えません。 少し奥まった林の中にそれはありました。 国立公園内のこうした施設は景観を損なわないように、道路からは見えないところに計画されているようです。
到着と同時に雨がザザーと降ってきました。 滑り込みセーフ。
さてこの宿、WEBではWilderness Hostelとあります。 電気もシャワーもなく、水は煮沸すればたぶん飲めるだろう、とあります。 せっかくカナディアンロッキーの山の中に来たのだから、一泊くらいはこんな宿もよかろうと泊まることにしたのです。
電気はソーラー発電で最低限の照明はありました。 しかし自由に使えるコンセントはなし。 水は小さなタンクに入っていて、使ったら報告せよと貼り紙があります。 私たちは飲料水は持参したのでこれのお世話にはなりませんでした。 別棟のトイレはもちろん水洗ではなくポットン式(これはトレイルヘッドなどにあるものも同じ)。
シャワーの代わりにあるのがサウナです。 木造の簡単な小屋ですが、これはとても良かった。 薪を燃料としたストーブの上に石が積まれ、そこに小川から汲んできた水を柄杓でかけると、ジュワッと音をたてて気持ちのいい蒸気がわき起こります。
しばらくして体がほかほかになったら、すぐ脇を流れる小川にジャブッと浸かります。 これが冷たいのなんの、体感温度0度で十秒と浸かっていられません。 雨が降った外気温は10度以下に下がっているのですが、サウナと小川を数回往復すると、体は本当にぽかぽかになります。
サウナのあとは炎がゆらゆらと揺れる薪ストーブがあるラウンジで、他の人々といっしょにくつろぎます。 このラウンジもなかなか気持ちがいい。
カナダのこのユースホステル体験はとてもすばらしかったです。