モスキートクリークのユースホステルを出発
これまで晴れだった空も今日は曇り、朝の外気温は6度とかなり寒い。
上着を着込んで、林に囲まれたモスキートクリークのユースホステルを出発します。
朝靄の山を後ろに
後ろに見えるのはヘクター山あたりでしょうか。 朝靄が立ち上る山々を後ろにして進めば、道はいつしか穏やかながらも上りになります。
ドロマイトピーク
前方にはドロマイトピーク(2,972m)。
クロウフット山
そして左手にはクロウフット山が壁のようにそそり立ちます。
クロウフット氷河を脇に
その壁のような岩山を横目に進めば、山の間に延びている二本の白い帯が目に付きます。
この帯は徐々に近づき、ついに一体となって、それが一つの大きな氷河であることがわかるようになります。
クロウフット氷河
ワプタ氷原から流れ出るクロウフット氷河です。
現在は二本に見えるこの帯はかつては三本あったようです。
昔のクロウフット氷河
名称はかつてこの形がカラスの足のように見えたからに違いありません。 この1941年以前の写真で見ると、確かにそんなふうにも見えます。
これでは欠落した足の下にも氷河がありますが、現在はこれはまったく消えてなくなっています。
クロウフット氷河のアップ
遠目に見る氷河は白くてきれいだけれど、間近に見るそれは、恐ろしい、と感じるほどの迫力があります。 強大な力で押しつぶされ、ぎしぎしときしむ音が聞こえてきそう。
ボウ湖に下る
クロウフット氷河はボウ湖の際にあり、下るとすぐにボウ湖に至ります。
ボウ湖とボウ氷河
湖の先のジミー・シンプソン山の麓に赤い屋根のナムティジャロッジが現れ、その先の山の合間にボウ氷河が見え出します。 この氷河もクロウフット氷河と同じくワプタ氷原から流れ出しています。
氷河の下にはそこから溶け出した水が絶壁を落ちて滝となっており、そこまでのハイキングコースがあるのですが、この時このトレイルは通行止めで行けませんでした。
ボウ湖とクロウフット山
このボウ湖はこれまでの湖と違い白い濁りがほとんどなく、透明な深い碧をしています。
その後ろにはあのクロウフット氷河が見えていますが、この角度から見ると足の付け根の氷河はとても大きいのがわかります。
ボウ氷河を後ろに
ボウ湖の畔を少し散策したあとは、いよいよアイスフィールド・パークウェイの最高点、ボウ峠に向かいます。
標高が上がると、後ろにボウ氷河が大きく見えます。
ボウ峠
穏やかだった勾配が少し急になり、一漕ぎすると前方の視界が開け、ずっと先まで山々が並んでいるのが見えるようになります。
ボウ峠(2,067m)です。 このボウ峠までの上りはたいしたことはありません。
ここで一旦アイスフィールド・パークウェイを離れ、ペイト湖展望台に寄ることにします。
ペイト湖
峠の頂部で左折すると、そこからは10%超えの激坂が待っていました。 へこへこしつつ辿り着いたのはペイト湖展望台の駐車場。 そこには大型バスが停まっていました。
駐車場から林の中をちょっと行くと展望台です。 この展望台は大賑わいで、大勢の観光客で埋め尽くされています。
それもうなずける景色がその先に広がっています。 下の森の中にターコイズブルーのペイト湖。 その先まで続くミスタヤ谷と山々。
森の中の巨大マーモット
すばらしい景色ですが、こう人が多くてはのんびりと楽しめません。 そこで展望台からペイト氷河方面に延びるハイキングコースを行ってみることにしました。
湖に沿って南西に向かうと、そこはまったくといっていいほど人がおらず、静かに木々の中をトレイルが延びています。 視界が開けたところは南西にペイト氷河、北西にペイト湖を臨むすばらしいビューポイントです。 ゆっくり湖を眺めたいのなら一歩きして、ここに来るのがお薦めです。
ペイト湖を臨む高台の岩の上、そしてさらに上の森の中にはこんな住人が。 一瞬タヌキかと思うほどの大きさで60cmはあります。 でかいです。
ジミー・シンプソン山
氷河方面のトレイルはこのビューポイントで行き止まりで山の上には延びていないようなので、引き返してあらためてボウ・サミット・ルックアウトに向かいます。
そこには南にボウ湖、北にはウォーターファウル湖からミスタヤ谷が見渡せるすばらしい眺望があるといいます。
急な登りのトレイルの先にはジミー・シンプソン山の頂のひとつが聳えています。
花畑を行く
頂のまわりをぐるりと廻るようにして進めば、足元にきれいな花々が咲き出します。 すぐに分かるのはインディアンペイントブラシ、トール・パープル・フリーベン、黄色いのはアーニカかな。
北に続くミスタヤ谷
振り返って北を見れば、どこまでもミスタヤ谷が続いています。
ピカ
雪が残る岩場からピィー、ピィーという鳴き声。 これはナキウサギのピカちゃん。
実はここにトレイルがあることは知ってはいたのですがそれはうろ覚えで、この道でよいのか、どれくらい進めば何があるのか良くわかっておらず、先にきつそうな上り坂が見えたのでここらでそろそろ引き返そうと持参した弁当を食べている時、上からハイカーがやってきました。
その方が言うには10分ほど歩くと素晴らしい眺めのところに出るとのことなので、気を取り直して先へ進むことにしました。
ルックアウト付近
先の急な坂を登ると森林限界を超えたのか、周囲に木がなくなり視界が良くなります。
どうやらルックアウトに近づいたようです。
ホワイト・マウンテン・ヘザー
足元の花も様変わりで、モス.キャンピオンやイエロー・ヘザー、そしてせいぜいホワイト・マウンテン・エーベンが咲く程度になります。
マーモット
この丘の住人はこの方。 穴から出たり入ったり、あっちを眺めたりこっちを向いたりと忙しい。
下にボウ湖
この住人へのあいさつが済むと、その先でボウ湖が眼下に現れました。 その向こうにはずっと続くボウ谷とそれを囲う山々。
ここは北も南も美しい。
ボウ峠からの下り
ペイト湖とボウ・サミット・ルックアウトの眺めを楽しんだあとは、ボウ峠から激坂を一気に7kmほど下ります。 この坂は反対側からはきつそう。
左手には尖った山が。
パターソン山とスノーバード氷河
パターソン山の裏にはスノーバード氷河があります。
鳥が翼を広げているように見える?
左ホウスピーク、右シェフレン山
道は穏やかに下り続けます。 ホウスピーク(3,290m)とシェフレン山(3,307m)が見え出すと、ウォーターファウル湖はもうすぐ。
ウォーターファウル湖
ボウ峠からはペイト湖やその他の氷河からの流れがミスタヤ川となって流れます。 この川が膨らんだようなのがウォーターファウル湖で、背後にはシェフレン山が聳えます。
ワプティク連山を後ろに
ホウスピークやシェフレン山などの一連の山々はワプティク連山と呼ぶようです。 その山々を背後にしたウォーターファウル湖を眺めつつ、さらに下り続けます。
大きなカーブを抜けると穏やかだった下りが急勾配になり、その急坂の途中に車がたくさん停車しているところに差し掛かりました。
どうやらこの奥にミスタヤ渓谷があるようです。
ミスタヤ渓谷
歩くこと1kmほどで小さな橋に差し掛かりました。
ドーッという轟音は聞こえますが、滝も川も見えません。 橋の下を覗くと遥か下に水の流れ。 かなり深くてちょっと怖い。
ミスタヤ川
上流にはきれいなミスタヤ川の流れ。 彼方に見えるのはサーバック山(3,154m)でしょうか。
サスカチュワン・リバー・クロッシングへ下る
ミスタヤ渓谷の流れを楽しんだあともさらに道は下り続けます。
先に壁のような岩山が現れ出します。 サスカチュワン・リバー・クロッシングの先に聳えるウィルソン山(3,261m)です。
北サスカチュワン川
アイスフィールド・パークウェイが下り切ったところにあるのがそのクロッシングと呼ばれるところです。 ここにホウス川とミスタヤ川が集まり、ノースサスカチュワン川と合流して東へ向かいます。
ザ・クロッシング
ここは交通の要所でもあり、アイスフィールド・パークウェイに11号線デイビッド・トンプソン・ハイウェイが合流します。
というわけで、ここには宿泊施設、ガソリンスタンド、レストラン、売店を備えた施設があります。 私たちもこのレストランで夕食をとり、売店で食材を買い求めました。
ランパートクリークへ向かう
ゆっくり休んでいると空からパラパラと雨粒が落ちてきました。
昨日も夕方から雨だったので急いで出発準備を整え、本日の宿があるランパートクリークへ急ぎます。
ランパートクリークのユースホステル
運良く雨はすぐに上がり、一時間ほどでランパートクリークのユースホステルに到着です。
ここも昨日のユース同様にWilderness Hostelで、サウナがあるのも同じ。 このサウナ小屋は小さいながらも太い丸太のログハウスでなかなか気持ちいい。 暖まったら激冷の小川にザブン。