カスケード山とレガシートレイル
今日はカナディアンロッキーの最終日。 バンフの街の北にあるミネワンカ湖周辺の美しい水辺を楽しむことにしました。
空は青く、朝の空気は冷たい。 ロッキー最終日にふさわしいお天気です。
バンフアベニューを進み街を出ると、最近できたバンフとキャンモアを結ぶ自転車道、レガシートレイルが道脇を走るようになります。 快適なこのトレイルを進めば、街中のどこからでも良く見えるカスケード山(2,998m)がぐんと近づいてきます。
カスケード山の足元を行く
レガシートレイルはトランスカナダハイウェイに沿ってキャンモアに向かいますが、私たちはバンフアベニューから続く道で最初の目的地、カスケード池に向かいます。
カスケード山を見上げつつ、その足元をぐるりと廻るようにして進むと、
カスケード池
すぐに右に入る分岐がありカスケード池に到着です。
この風景は息を飲むというか、心がす~っと解けて行きそう。
周辺にはほとんど人がおらずとても静かで、ここがバンフのすぐ近くだということが信じられません。 自然に最低限の手しか加えない国立公園内にあってはめずらしく、この池には日本的な橋が架けられていたり、ピクニックテーブルがたくさん設えていたりと、少し公園風です。
カスケード山を後ろに
カスケード池の背後にはあのカスケード山が聳えています。 バンフの街から見るこの山は南側を見せますがこちらは東側。 少し表情が違いますね。
カスケード池からはその東にあるジョンソン湖に向かいます。 ジョンソン湖まではダートのトレイルが延びているはずですが、昨日のダートで散々な目に合った私たちはこれは遠慮することにします。
そのダートのトレイルと似た方向に舗装路が延びていたので、最近そのトレイルが整備され直したのかもしれないと思い、この舗装路を行ってみることにします。
レガシートレイルでキャンモア方面へ
少し進むとこの道はトランスカナダハイウェイの下を潜り抜け、今朝使ったレガシートレイルに合流してしまいました。
もしかするとこのトレイルはジョンソン湖にも繋がっているかもしれないと思い、しばらく進んでみます。 右手にはランドル山の塊がどこまでも延びて行き、その先にはキャンモアの先の山々も見えます。
ジョンソン湖付近までやってきましたが、レガシートレイルはまっすぐ延びるばかりで、トランスカナダハイウェイの反対側にも湖に向かう道らしきものは見当たりません。
フェアフォルムレンジ
仕方なくレガシートレイルをカスケード池まで引き返し、まっとうなミネワンカループでジョンソン湖に向かいます。
先にはミネワンカ湖から南東に延びるフェアフォルムレンジの山々が見えています。 この先のカーブを廻ると道は上りになり、ちょっとえっこら。
ジョンソン湖
トゥー・ジャック湖方面への分岐を過ぎ、ジョンソンドライブに入るとそれまで上りだった道は下りに転じます。 その坂を一気に下ると先に現れるのがこちらのジョンソン湖。
この湖周辺は先のカスケード池とは違い、ほとんど手が加えられていない、ほぼ自然のままの感じです。
ジョンソン湖の畔に立つサリーナ
ジョンソン湖には周囲をぐるりと廻るショートトレイルが巡らされているので、これを行ってみます。
僅かに揺らぐ湖面は静かに周囲の景色を映し、その中を鴨に似た鳥がつがいで戯れています。 水は驚くほど透明なブルー。 湖底には木が沈み、これはずっと昔からそこに横たわっているように見えます。 水温が低く、水に含まれる鉱物がこうしたものを腐らせないでいるのでしょう。
ジョンソン湖周回路
この湖にはめずらしいカエルとニジマスが生息しているそうです。 カエルさんは発見できませんでしたがニジマスさんを発見。
一部にビーバーを保護するための立ち入り禁止ゾーンがあったので、ここにはビーバーさんも生息しているようです。
ジョンソン湖からトゥー・ジャック湖に向かう
ジョンソン湖で一時間ほどのショートハイクを楽しんだあと、トゥー・ジャック湖に向かうと道は当然上り。
視線の先には3,000mに近いフェアフォルムレンジの山々が、ゴツゴツとした岩肌を見せています。
トゥー・ジャック湖
ミネワンカループからちょっと入ったところにトゥー・ジャック湖はありました。
この湖は、人工的に作られたミネワンカ湖の南の端にある水門らしきところからすぐ外にあるので、ミネワンカ湖のダム事業の産物なのかもしれません。
しかし、ここもたいへん美しい。
トゥー・ジャック湖に浮かぶ小島とランドル山
水位は低いようで全面にわたって浅いエメラルド色です。 その中にぽつんと、ジャスパーのマリン湖に浮かぶスピリットアイランドを思わせる小島が浮かびます。
その先にはバンフからキャンモアに続くランドル山。
トゥー・ジャック湖でピクニック
湖畔にはいくつかピクニックテーブルが設えられていて、その廻りでは地リスがあっちへいったりこっちへ来たり。
ここでちょっとピクニック休憩です。
ミネワンカ湖
ピクニックのあとはミネワンカ湖へ。
トゥー・ジャック湖を出た道が大きく向きを変えると、道脇の湖水は深いエメラルド色に変わりました。 ミネワンカ湖に出たようです。
道は明らかに人工的に造られたとわかる土手の上を行きます。 湖水の色はエメラルドからコバルトに近づきます。
湖畔では学生らしきパーティーが大騒ぎ。 この寒いのに裸になり、幾人かは湖に飛び込んでいます。 がまん大会?
パリサーレンジとミネワンカ湖の奥へ続く山々
バンフ周辺で最大の湖ミネワンカ湖は、このあたりで唯一モーター付きのボートの使用が許された湖でもあり、湖畔の船着場からクルーズ船が奥へと出て行きました。
先にはパリサーレンジの山々が見えています。 あの山の手前には驚くほど透明なスチュワート渓谷があるといいます。
スチュワート渓谷へ
本日のハイク第二弾として、そのスチュワート渓谷へ向かいます。
ミネワンカ湖の土手から北に進むと、スチュワート渓谷のトレイルヘッドがあります。
スチュワート渓谷入口の橋
ミネワンカ湖を右手に見ながら、針葉樹の中を進むと木造の橋に出ます。 ここが渓谷の始まりです。
奥へと続くスチュワート渓谷
スチュワート渓谷はミネワンカ湖が塞き止められ、その水位が上がったためにできた渓谷だと言われています。
橋の下は怖いくらい深い。 一見コバルトに見える渓谷ですが、その水はため息が出そうなほど透き通っています。
ターコイズブルーのスチュワート渓谷
森の中を進み、湖畔を行くトレイルとの分岐に差し掛かると、熊出没の標識が。 これは湖畔のトレイル方面で、渓谷沿いはそのエッジになります。 この先は熊鈴を鳴らして注意して進みます。
とことどころで現れる渓谷の色は驚くほど変化します。 陽の光を受けたここは鮮やかなターコイズ。
エメラルドの流れ
辺りの森は深い。 渓谷は下なので崖の際まで行かないとその流れは見えません。
ここで渓谷の流れは、エメラルドに変わりました。
落ちて行く渓谷
渓谷の深さは計り知れません。
目で追っても、上の崖がどんどん水面下に延びて行くばかりです。
浅い流れとなった渓谷
ザワザワ、という音が下から聞こえてくるようになると、渓谷の流れはいつの間にか白い飛沫を上げています。 どこからか、ずいぶんと浅くなったようです。
トレイルの先が大きく落ち込んだところまでやってくると、先に小さな川が渓谷に流れ込んでいるのが見えます。 ここでこのトレイルはおしまいになるはずなので、引き返すことにします。
このあたりにはグミに似た赤い実を付けた植物がたくさんあります。 これはなんでも熊の好物だとか。 気をつけてトレイル上を見れば、この実の種らしいものがたくさん混じった動物の糞が。 もしかしてこれは、クマさんの糞?
ミネワンカ湖からバンクヘッドへ
これで本日のメインイベントは終了。 スチュワート渓谷を後にしてバンフの街に向かいます。
ミネワンカ湖の南西からのミネワンカループドライブはちょっとしたアップダウンを繰り返して南下します。
ロウアーバンクヘッド
右手のアッパーバンクヘッドの入口を過ぎると左手にロウアーバンクヘッドの入口が現れます。
バンクヘッドは20世紀初頭の炭坑町で、現在はわずかに廃墟が残っているようです。 上の町は住宅地で、この下の町は炭坑だったところのようです。 この高台からは、オリジナルの炭坑車の一部が置かれているのがかろうじて見えます。
低いのがトンネル山
バンクヘッドは散策するぼどでもないようなので、高台から一望しただけでバンフの街に下ります。
ミネワンカループがトランスカナダハイウェイに差し掛かると、先にゴンドラで上ることができるサルファー山(2,271m)が見え出し、その手前にぽっこりとしたトンネル山(1,692m)が現れます。
帰りはあのトンネル山の廻りをぐるりと廻ります。
トンネルマウンテンドライブ
バンフアベニューからトンネルマウンテンドライブに入るといきなり上りに。
そして後ろにはいつの間にか、あのカスケード山の姿が。
Hoodoos展望所
道が大きくカーブした先で南側の視界が開け、見晴らしの良いところに出ます。 標識には『Hoodoos』とあります。
Hoodooっていったい何? Hoodooを辞書で引くと『疫病神』とあります。 ??
Hoodoosとボウ川
下にはトルコ石をもっと薄くしたような色のボウ川がゆったりと流れ、ラフティングのボートが浮かんでいるのが見えます。
手前の斜面には鍾乳石のような妙な形の岩が連なっています。 どうやらこの岩がHoodoosのようですが、どうしてそう呼ぶかはわからないそうです。
サプライズコーナーへの下り
Hoodoosからは左手に開けた景色を眺め、右手に広大なキャンプ場を見ながら進みます。 道は穏やかな上り。
トンネルマウンテンドライブはこの先オッター通りへと続きますがそちらへは進まず、キャンプ場が終わったところで左折しサプライズコーナーに向かいます。
ここからは激坂でした。 ようやく下りになったと思ったらすぐに上り返しで、ここはよろよろ。 バンフの街が下に見えるとそこが頂上で、それからは一気に下ります。
サプライズコーナーから望むボウ川とフェアモント・バンフ・スプリングス
ぐわ~んと下って大きなカーブを廻り、その先の急なコーナーの先に現れたのがこの景色。
下にボウ川、森の中に聳えるのはフェアモント・バンフ・スプリングス。
ボウ川上流を望む
ボウ川はこの下でちょうどボウ滝を作り、白くざわめいています。 その上流を望めば、先に見えるのはノーケイ山(2,515m)でしょうか。
ん~ん、ここは確かにサプライズでした。
正面にブリュースター山
サプライズコーナーからは正面にブリュースター山(2,859m)を見ながら、ボウ川に沿って一気にバンフの街中に下ります。
これでカナディアンロッキーの自転車の旅はおしまい。 B&Bで自転車を折たたみ、スーツケースに詰めます。 ロッキーの最後の晩餐はアイリッシュパブでエイルビールを飲み、バイソンを食べさせることで有名なバイソンでそのバイソンのショートリブを。