B&B La Fontanella
今日は休養日。ここ、ラ・ロッシュ=アン=アルデンヌ(La Roche-en-Ardenne)でまったり過ごします。
着いてみて始めて知ったのですが、ラ・ロッシュはちょっとした観光地で、日中、メインストリートは大勢の観光客でごった返します。
宿の前
しかし、まだ早い朝のこの時刻は静かなもの。
さて、ラ・ロッシュの散策に出かけます。
日中のメインストリート
この街のメインストリートはウルト川沿いの道ではなく、一本内側のそれです。
そこの日中はこんな感じで、道の両側にレストランやお店がずらり。
日中のメインストリートその2
この通りの中央よりやや北に、聖ニコラス教会が建っています。
聖ニコラス教会
1900年建造のネオ・ゴシック様式。
聖ニコラス教会内部
この教会は第二次世界大戦で被害を受けたそうですが、かなり良好な状態で残っているようです。
ウルト川の畔のタンク
メインストリートからウルト川沿いに出ると、そこには第二次世界大戦で使われたタンクが置かれていました。
この街も大戦の折り、被害を受けたところの一つなのです。
変電タワー
このタンクの近くに、高さ8〜9mの小さなタワーが建っています。
こうしたものはこれまでにも道端で何度か見かけたのですが、これはどうやら簡単な変電施設のようです。
ウルト川とお城
ウルト川沿いを歩いて行くと、街の入口の橋までやってきました。
そのすぐ上にはお城が見えています。
ウルト川と丘
そして、そのさらに先には小高い丘。
観光案内所でもらった地図によると、あの丘の上には公園があり、そこからの眺めがいい、とあるので、まずあそこへ上ることにします。
丘へ向かう道
川沿いの道を進むと、すぐに二股に別れ、左手の道が丘へと続いているようです。
丘へ向かう道からの見返り
このあたりはもうメインストリートを外れており、観光客の姿はまったありません。
丘の上のお城
左手を見上げれば、今は廃墟となったお城が見えます。
丘の中腹からウルト川を見下ろす
少し上ると、丘の中腹を廻ってくる道に出ます。ここからは街の南側が良く見えます。
さて、そこから丘の上の公園までは散策路が二本あります。途中に展望台があるものと、いきなり公園に入るものとです。私たちは、いきなり公園に入る方を上り、展望台のある方は下りで使うことにしました。
公園への上り道
まず車道からこの上り口を探しますが、見つかったのは、本当にこれ? という感じのもの。民家の横をすり抜け、あやしげな門扉を開けて進めば、まずはバサバサと木々が覆い被さってくる山道。
しかしほどなく、この道は、それらしい写真のような道になるのでした。
道に出た
えっこらよっこらとこの山道を上って行くと、あるところからまたバサバサになり、かなりあやしくなります。もう真っすぐは進めそうにないな、と思ったところで、周囲を良く見ると、左手にうっすらと巻道の跡のようなものがあります。
薮を掻き分けつつ進めば、なんとか道らしいところに出ました。これを進めば、もう一本の展望台ルートに出たようです。しかしここは展望台より上の平場に近いところのようで、見晴らしはあまりありません。
ここが公園?
とにかく公園を目指そうということでこの道を上って行くと、森になり、その中に牧草地のようなものが開けています。ここは俗にいう『公園』とは大分趣が異なりますが、名称が『ディスターの森公園』なので、おそらくここがその公園なのでしょう。
ひっそりとしていて、人っ子一人いない...
Chapelle Ste Marguerite
公園内の道とも呼べないような道はいくつかに枝分れしていますが、どこをどう行けばどこに出るのかがさっぱり分かりません。案内図も何もないのです。仕方がないので、北にある『ジビエ公園』に向かうことにしました。そこには車が通る道があるからです。
なんとかその道に出ることができて、それを下って来ると、小さなチャペルが現れました。下には街の中にあった聖ニコラス教会の尖塔が見えています。
チャペル内部
このチャペルの入口の扉は閉まっていましたが、それは鉄格子でできていたので、内部が覗けました。
簡素な石の壁に簡単な木造の小屋組が架かり、正面にマリア様がいます。
チャペル正面とサリーナ
このチャペルからは、あの展望台に上る道があることになっているのですが、どうやら現在それは薮に埋もれてしまっているようで発見できず。
展望台に行くのは諦めて、お城に向かうことにしました。
お城と聖ニコラス教会への眺め
チャペルの少し下で道がカーブするところに、お城と聖ニコラス教会への眺望がありました。
左の旗が立っているところがお城です。
南を見る
このちょっとした展望所からさらに下れば、ウルト川と街の南の景色が望めます。
東を見る
こちらは東側。こんもりした丘が続いています。
お城へ上る
意外とハードだった丘の上の公園散策を終え、次はお城です。
お城の門
メインストリートに戻り、小径を入るとすぐ、道は石畳の上りになり、お城(Château Féodal)の門が見えてきます。
Château Féodal
ここに最初の城が築かれたのは新石器時代といわれており、その後ローマがやってきて、8世紀にはヴィラが造られたようです。
しかし現在のこのお城の起源は9世紀頃だそうです。
まさに砦
今日見ることができるものは、主に12世紀のナミュール伯アンリによるものだそうで、円塔や地下牢などに中世城塞の特徴が見て取れます。
上部の中庭
中世から残る石積みの壁は圧巻。
中庭のサリーナ
この中庭から上部は3層ほどですが、下にも同様に数層あり、おそらく全部では7〜8層から成っていると思われます。
細かく数えるとそれ以上になるかも。
お城と聖ニコラス教会
お城から街のメインストリート方面を見ると、すぐ隣に聖ニコラス教会が見えます。
お城から見る聖ニコラス教会
これはお城の一番高いところから聖ニコラス教会を見たところ。
猛禽類のショー
中庭に大勢人々が集まってきました。なにかな、と思っていると、鷹やフクロウといった猛禽類のショーが始まりました。
中央にいる赤服の方が鷹使い。
空を舞うフクロウ
陣取った席が、たまたま鷹などが止まる止まり木のようなもののすぐ近くだったので、そこを目掛けて飛んでくる鳥たちをうまく撮影できました。
動画に、この飛ぶ姿があります。
肉屋さん
さて、お城散策を終えたら昼食です。毎度毎度レストランだと飽きてしまうので、ここは簡単な食材を買って、部屋で食べることにしました。
肉屋さん内部
アルデンヌは海から離れた内陸なので、海産物はありません。山の幸ジビエがおいしいらしいのですが、それは秋以降です。
アルデンヌで一年を通しての名物はハムで、それもここではスモークされたものが有名だとか。
吊り下げられているアルデンヌ・ハム
ということで、ここはスモークハムをメインに食材を調達することにしました。
アルデンヌ・ハム
肉屋さんに入れば、壁にずらりとアルデンヌ・ハムが吊り下げられています。
そしてショーケースの中にも。
様々なハムが並ぶ
スモークされたものとそうでないもの、熟成の浅いものと深いもの。ブタさんのランクの高いものと低いもの。おそらくそうしたものだと思うのですが、とにかく私たちには見ただけではさっぱりわかりません。
それで、スモークハムのおいしいのをちょうだい、といったら、はいはい、じゃあこれね、って出してくれました。
さて、ハムの次は何にしようか。
フライドポテト屋さん
ベルギー人はフリッツ(フライドポテト)が大好き。フライドポテトは別名フレンチフライとも言うけれど、その発祥の地はフランスじゃあなくて、ここベルギーだそうです。確かに、メインディシュにはたいていこのフリッツが付いてくるし、街中にはそこら中にフリッツ屋さんがあるのです。
これは日本のファストフード屋で出てくるものとは比較にならないくらい、おいしい。けれど、私たちは、まあ買ってまでは食べない。レストランではポテトの調理法が選べることも多く、フリッツ以外にマッシュポテトやグラタンがあります。私たちはよくグラタンを選んでいました。
無数のタルト
ベルギーではデザートメニューも豊富。これはタルトだけれど、定番のストロベリー、ブルーベリーといったものに加え、マロンやチーズなど何十種類もあります。
チーズ
アルデンヌは牧畜が盛んなので、乳製品はみんなおいしい。
中央下に見える四角いのは、ベルギーで唯一のAOCを持つウォシュタイプのエルヴ(Herve)チーズ。これは後日、現地で試せるでしょう。
ムール貝
ベルギー人が好きな海の幸の筆頭は、このムール貝でしょう。
海からかなり離れたここアルデンヌでも、この貝を食べさすレストランは結構ありますし、こうして売られています。
その他の海産物
しかし、その他の海産物はほとんどありません。鮭や加工したニシンなどが少しあるだけ。
そうそう、山には川があります。川には鱒、ということで、鱒を食べさすレストランも多い。
総菜
日本では総菜文化がかなり発達していると思いますが、ヨーロッパではあまり総菜屋は見かけないような気がします。しかし仏語にはそれを意味するトレトゥール(traiteur)という言葉があるようなので、気が付かないだけで、おそらくここベルギーにもあるのでしょう。総菜は肉屋(ブシュリーBoucherie)やパティスリー(Pâtisserie)にも置いてあるようです。
ここにはちょっとしたスーパーマーケットがあったので覗いてみると、総菜コーナーがありました。肉だんごやロールキャベツといったもの他、なんとかのマヨネーズあえというものが数種類並んでいます。ベルギー人はマヨネーズも大好きなのです。私たちは特別マヨ好きではないので、ここではマサラチキンを買ってみました。
ビール屋さん
ベルギーにはもの凄い数のビールの種類があることは何度も言ったので、その説明は省略しますが、これがビール屋さんのショーウィンドウです。
見たことも聞いたこともないビールがずらりと並んでいます。
ラ・シュフ
前日、ご当地もののビールを一つ紹介しましたが、ここでもう一つ。
ラ・シュフ(La Chouffe)はここから東10kmほどのところで作られているビールです。ラベルには写真にある、ちょっとかわいらしいおじいさんの絵柄が付けられていて、なんかほんわかな感じなのですが、このビール、今回の旅の発見の一つでした。
ちょっと濁りのあるゴールドで、アルコール度数は8%。オレンジや洋梨を思わせるフルーティーな香り。蜂蜜のような上品な甘さ。泡立ちがよくクリーミーで、コクがあります。かなりいける一品。
ラ・トラッペ
トラピストビールは現在8箇所でのみ醸造されているそうです。そのうちの6箇所はベルギーにあり、残りの二つはオランダとオーストリアで作られています。先のビール屋さんにこれまで飲んだことのない、オランダのトラピストビールがあったので買ってみました。
コニングスホーヴェン修道院 (Abdij Koningshoeven)で作られるラ・トラッペ(La Trappe)には、四種類あります。トリペルまではよく聞きますが、ここにはその上のクアドルペルがあり、これはアルコール度数10%。クアドルが四次発酵を意味するかどうかはわかりませんが、とにかくネイミングとしてもかなり珍しいでしょう。
で、味わいはというと、ん〜ん、残念ながらこれまで飲んできたトラピストビールには及ばない。。
スモークハムサラダ
で、こうしたビールを飲みながら、先ほど買い求めたスモークハムをいただきます。
このハム、スペインのハモン・イベリコやイタリアのプロシュット・ディ・パルマに引けを取らないくらい、おいしい。
B&Bのテラス
昼食後、部屋で休んでいたら時間が経ってしまい、すっかり夕方になっていました。博物館などいくつか見たかったところもあるのですが、もうそうしたところは時間外。
そういえば水車がどこかにあったな、と思い出し、とりあえずそっち方面に出かけることにします。
路上で遊ぶ少年たち
宿のすぐ前の路上では、少年たちが立派な車に乗って遊んでいます。
そうそう、私が子供の頃は木のリンゴ箱に車を付けて遊んだっけ。
ミミズクさん
午前中はお城で鷹などのショーを見ましたが、路上にはミミズクを手に乗せている方がいました。
まさか、ここでは飛ばさないよね。
たぶん戦車のチェーン
このあたりが第二次世界大戦の折り、ドイツ軍の侵攻を受けたことは前に言いましたが、ここには戦争関係の博物館があります。その前に置かれていたのがこれ。
たぶん、タンクのチェーンですね。
自転車家族
珍しく、みんなで自転車を押している家族がいました。
ベルギーではサイクリングは盛んですが、それはロードレースなどの競技で、特にアルデンヌはアップダウンが厳しいので、レーサー以外のサイクリストはほとんど見かけないのです。
街の入口の広場
ぶらぶらしているうちにウルト川を渡り、街の入口の広場までやってきました。
ここで繁華街はおしまいになり、住宅地になります。
バルコニーの花々
そうそう、アルデンヌの住宅の窓辺は必ずといっていいほど、きれいな花々で飾られます。
木骨組積造
ここで面白い構造の建物を発見。コロンバージュ(Colombages)と呼ばれる木骨組積造です。
日本の伝統的な木造建築の壁は、土壁ですが、これはその土の部分が煉瓦になったもの。
Moulin de la Strument
ウルト川に流れ込む小川がさらに枝分かれすると、水車があるホテルに到着。
このホテルの一番端に、今は水車博物館として公開されている、おそらくかつての水車小屋があります。残念ながらここも時間外となり、内部には入れませんでした。しかし、入口のところにある巨大な石臼を見ることができました。
今日は少しのんびりしましたが、明日はサイクリングで、三つの『美しい街』を巡り、世界で一番小さな町だというデュルビュイを目指します。